こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳
これもいつものカメリアステージ図書館新刊棚から。シュールなタイトルと、表紙の絵の独特の雰囲気に惹かれて手に取りました。英国生まれの著者による短編集で、『ルビーが詰まった脚』はそのなかの一編のタイトルです。本書の原題は『The People in the Castle:Selected Strange Stories』で、読後感としては、この「Selected Strange Stories」のタイトルがぴったりです。
なんとも不思議なストーリーの数々です。巻末の著者紹介で、大人向けのホラーストーリーやファンタジーで有名であるというくだりを読んで納得。本書内の短編には、あからさまにホラーという感じのものはありませんが、全体に異世界の雰囲気が漂っています。すべてがやわらかくオブラートにくるまれている感じで、警戒することなく読み進めていたら、うっかりおどろおどろしい世界に連れて行かれそうになっていた…という感じ。
ちなみに短編のタイトルを並べてみると
- 葉っぱでいっぱいの部屋
- ハンブルパピー
- フィリキンじいさん
- ルビーが詰まった脚
- ロープの手品を見た男
- 希望
- 聴くこと
- 上の階が怖い女の子
- 変身の夜
- キンバルス・グリーン
あらためて並べてみると、表題となっているものだけでなく不穏な気配を感じるタイトルがいくつかありますね(笑)
お父さんがピューリッツァー賞受賞の詩人で、著者も詩や戯曲も手掛け、生涯に百冊以上の本を出版したといいます。独特の世界観にみちているであろう詩を、怖いもの見たさで読んでみたい気がしています。