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読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

これもいつものカメリアステージ図書館新刊棚から。シュールなタイトルと、表紙の絵の独特の雰囲気に惹かれて手に取りました。英国生まれの著者による短編集で、『ルビーが詰まった脚』はそのなかの一編のタイトルです。本書の原題は『The People in the Castle:Selected Strange Stories』で、読後感としては、この「Selected Strange Stories」のタイトルがぴったりです。

なんとも不思議なストーリーの数々です。巻末の著者紹介で、大人向けのホラーストーリーやファンタジーで有名であるというくだりを読んで納得。本書内の短編には、あからさまにホラーという感じのものはありませんが、全体に異世界の雰囲気が漂っています。すべてがやわらかくオブラートにくるまれている感じで、警戒することなく読み進めていたら、うっかりおどろおどろしい世界に連れて行かれそうになっていた…という感じ。

ちなみに短編のタイトルを並べてみると

  • 葉っぱでいっぱいの部屋
  • ハンブルパピー
  • フィリキンじいさん
  • ルビーが詰まった脚
  • ロープの手品を見た男
  • 希望
  • 聴くこと
  • 上の階が怖い女の子
  • 変身の夜
  • キンバルス・グリーン

あらためて並べてみると、表題となっているものだけでなく不穏な気配を感じるタイトルがいくつかありますね(笑)

お父さんがピューリッツァー賞受賞の詩人で、著者も詩や戯曲も手掛け、生涯に百冊以上の本を出版したといいます。独特の世界観にみちているであろう詩を、怖いもの見たさで読んでみたい気がしています。

『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ジョーン・エイキン著/三辺律子訳

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。