こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
読書『日の名残り』(早川書房)
カズオ・イシグロ作品のおっかけ継続中です。写真はロンドンにあるウォレス・コレクション。お屋敷がそのままコレクションの美術館となっています。
『日の名残り』の舞台である「お屋敷」には、薄暗い館内のイメージが、読んでいる間ずっとありましたが、きっとこの写真のような、シャンデリアが煌めき肖像画のかかったお部屋があったに違いない、というのが、わたしの勝手なイメージです。
さて『日の名残り』。執事スティーブンスの独白で進むストーリーに引き込まれ、あっという間に読み終わりました。物語が起こっているのはほぼお屋敷内という限られたエリアであり、主要登場人物はとても少なかったこの本。物語を深め広げるのは物理的な条件ではなく、人の心の動きにあるのだなぁ、とつくづく感じました。
それにしても、本を読んでいる現在の自分と、『日の名残り』の主役スティーブンス、時代も背景も(性別も!)まったく違うのに、ストーリーが進むにしたがって、これほどまでに感情移入できるものなのだなぁ、と我ながら驚きました。あまりにもせつなくて、終盤はもう、一緒に泣きそうでした。
『日の名残り』ノーベル賞記念版が出ていました(^^)