ウォレスコレクション

読書『日の名残り』(早川書房)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『日の名残り』(早川書房)

カズオ・イシグロ作品のおっかけ継続中です。写真はロンドンにあるウォレス・コレクション。お屋敷がそのままコレクションの美術館となっています。

『日の名残り』の舞台である「お屋敷」には、薄暗い館内のイメージが、読んでいる間ずっとありましたが、きっとこの写真のような、シャンデリアが煌めき肖像画のかかったお部屋があったに違いない、というのが、わたしの勝手なイメージです。

さて『日の名残り』。執事スティーブンスの独白で進むストーリーに引き込まれ、あっという間に読み終わりました。物語が起こっているのはほぼお屋敷内という限られたエリアであり、主要登場人物はとても少なかったこの本。物語を深め広げるのは物理的な条件ではなく、人の心の動きにあるのだなぁ、とつくづく感じました。

それにしても、本を読んでいる現在の自分と、『日の名残り』の主役スティーブンス、時代も背景も(性別も!)まったく違うのに、ストーリーが進むにしたがって、これほどまでに感情移入できるものなのだなぁ、と我ながら驚きました。あまりにもせつなくて、終盤はもう、一緒に泣きそうでした。

『日の名残り』ノーベル賞記念版が出ていました(^^)

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。