こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『DEEP LOOKING』(AIT Press)ロジャー・マクドナルド著-その2
アートNPO法人AIT(Arts Initiative Tokyo)創設メンバーで、インディペンデント・キュレーターの著者による、美術鑑賞本。昨日(その1)の続きです。
以下、備忘。
- 視覚経験がいかにもろく、不安定で信用ならないものであるか
- (鑑賞者にとっての)「タイムマシン」としての作品
- アートの歴史におけるひとつひとつの事象は孤立したものではなく、すべてが繋がっていて
- 何世紀も前の表現だからといって「古い」わけではなく、また同時代に生まれた表現だからといって「最先端」ということもない
- 肉眼で世界を見る体験の重要さ
- 意味の理解が曖昧なまま、表現そのものを受け止める(中略)それによって、想像や解釈をもっと豊かに、無数の方向に拡げていくことが出来る
- すぐに言葉にしない
- 外側の世界にばかり向いていたアートを、もう一度、個人の内側の世界へと向かわせようとした
- 「有用性」
- 作品が鑑賞者に対していかに具体的に作用を及ぼしうるか
- 現実の物質世界に奪われた自らの「注意」を取り戻し、時間的・空間的制約のない内面の世界へと、「意識」を集中させていく
- アートを積極的に「使っていく」
- 自分だけの「アート鑑賞コース」をつくる
- 同じ作品を何度も見ること
- 鑑賞体験が個人的であるかどうか
- ケアとしてのアート
- 「公共空間の回復」
- 言語というものの限界
『DEEP LOOKING』第2章~より
従来の諸説からさらに深い考察が繰り広げられ、思いがけず嬉しい驚きのあった読書でした。その鑑賞(観察)方法を何と呼ぶかはさておき、より深い美術鑑賞へのアプローチが理解できました(著者は「対話型鑑賞法」とは異なるとおっしゃっています)。さっそくわたしも、本書で共感できた内容を反映させていきたいと思います。
↓本書についての詳細はこちら↓
https://www.deeplooking.net/