読書『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)原田マハ著

ひさびさの原田マハさん。2019年は立て続けにアート系「史実に基づいたフィクション」の新刊が出ていたので、気になっていたところでした。『美しき 愚かものたちの タブロー』の素(もと)は、国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」

上の写真は、集英社『現代世界の美術5 ART GALLERY GOGH』より、作中にも名前が出てくる、ゴッホがアルル時代に描いた「アルルの寝室」と題された絵のひとつ。『現代世界の美術5 ART GALLERY GOGH』によると、同じタイトルの油絵が3点あるとされています。

一気に読みました。日清日露の戦争に、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦敗戦という時代背景が、緊迫感を持って迫ってくるストーリー。本書中に何度か繰り返されたセリフに、美術・絵画の本質、ほんものの持つ力をあらためて思いました。


飛行機じゃなくて、タブローを。
戦争じゃなくて、平和を。

『美しき 愚かものたちの タブロー』(文藝春秋)原田マハ著より

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タブロー(tableau)というのは、フランス語で絵画のこと。英語圏の美術専門家の間でも、そのまま「タブロー」で使われているそうです。

そしてもう一つ、この小説の大きなメッセージとして「頭ではなく、心で見る」を受け取りました。今こそこのメッセージを、美術に関わる人にも、関わらない人にも伝えていきたいと、アートエデュケーターの端くれとして、強く再確認した読書でした。

次は『風神雷神』が楽しみです♪