陶片の整理整頓。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

陶片の整理整頓。

梅雨を前に、ダンナの仕事場の整理整頓を断行。とはいえ花祭窯の工房は、基本的に仕事場は作家本人以外立ち入り禁止です。わたしは外側からアプローチ。仕事場の裏手にある、大きくなり過ぎたヤツデの木の枝を落としてみたり、草むしりをしてみたりと、さりげなくプレッシャーをかけてみました。

周りでガサゴソとしていたら、作家本人も「整理整頓」に重い腰を上げてくれました。まずは毎朝の海散歩で拾ってくる貝殻の選り分けからスタート。ほぼ毎日拾ってくる貝殻は、種類も多様なら数も大量です。上の写真は、貝殻や陶片を目当てに散歩するダンナ。海は遠くへ向かって開けているのに、下ばかり向いているという(笑)

貝殻の整理整頓が終わったら、次は陶片の整理整頓。これまたほぼ毎日海辺で拾ってくるので、一回に拾ってくるのは2-3ピースでも、これが350日以上×8年とすると…!?という量に積みあがっています。毎日少しづつすべきだったけれど、と今さら反省。

肥前磁器の担い手として、資料的価値を感じるモノ、未来に残したいものを選んでいこうということで、選別はダンナにお任せすることに。陶片を見てすぐにそれがどういうものかを判別できる知識と経験の量は、さすがです。わたしは学芸員資格は持っていますが、この場面ではそんなことは意味をなさず、かないません。この景色を見るたびに、もっと勉強しなきゃと思います。

思いがけず陶片の整理がはじまったので、これはチャンス。今年は陶片ミュージアムに向けて歩を進めてまいります。まずは専用の展示棚があると、さらにモチベーションが上がるな、と思いつつ。年内にひとつカタチにしたいです。

理想は「東京の出光美術館」にある、陶片室。あのように一つの部屋をまるまる使えると嬉しいですが、工房兼ギャラリーのスペースを考えると、それはちょっと難しい。花祭窯の陶片ミュージアムでは、常設でご覧いただける広さは展示棚ひとつ分ぐらいかなぁ、と。ともあれ、嬉しい妄想が膨らむ五月末です。

続・読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

昨日、読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)のブログを書いたところでしたが、本日はその内容備忘メモ。


  • 生命は色彩である
  • 「肌で感じる」
  • 目とか心とかで判断する以前に、皮膚が識別する。
  • 色には感情がある
  • 味は視覚で決まる
  • 色彩呼吸法
  • 色聴
  • 音楽を色彩に翻訳
  • 色をして語らしめよ
  • 何よりも太陽光線
  • (色彩の)面積配分による快い芸術的な効果
  • 私たちの目は無意識のうちに、色彩や形態を単純化して見てとろうとする。
  • 生活空間のリズムを、視空間のなかの五パーセントの小さな面積が作り出す。場所は一か所に限定するものではない。
  • 緑色は名医だ。
  • “皿まで食う”
  • 食器の優劣で料理の味は、ものの見事に大差がついてしまう。
  • (味覚は)自らの視覚経験や味覚記憶によって条件づけられている
  • 成人の視覚は観察と観念の累積
  • 「捨て色」の美学
  • 日本人は色を見るための色を使う。
  • 思考などはこわれやすいのに、シンボルはこわれにくい。
  • 色は形よりもずっと容易に記憶される
  • 生命あるものは震動で形成されている
  • 人間は「見る」ことに慣れるにしたがって、「見えないもの」に対する感覚を鈍らせてしまった。

『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著より


第4章「IV社会を動かす色彩術」で茶道の話が出てきます。今回十数年ぶりに読み直して、そのなかにわたしの入門する南方流の『南方録』からの引用があったことに気づき、思いがけず嬉しかったです。この本を手に入れ最初に読んだときには、南方流の存在も知らず、目に留まらなかったのですから、面白いものです。

読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

思うところあり、十数年ぶりに読み返した一冊。

著者の商学博士・野村順一氏は「商品学」の草分け的存在だそうです。わたしは学生時代経済学部経営学科で、「商品学」なる学問があることをそのときに知りました。当時、商品学の授業で1年間をかけて「マヨネーズの比較論」をしたのが、とても面白かったのを思い出しました。「商品学の先生が科学的に解明した」というのが本書の売り文句です。

1994年に書かれた単行本の文庫版です。今でこそ「色」をビジネスに生かすことは誰もが知っていて、「カラー○○」などの肩書きでビジネスをする人もたくさんいらっしゃいます。が、執筆当時は、もちろんファッション業界をはじめデザインの世界ではあたりまえでも、今ほど「色」への注目は一般的ではなかったと思います。

約四半世紀前に書かれた本。わたしが初めて読んでからも十数年が経っていますが、やはり面白かったです。中身が濃いのに、文庫なのでさっと読めるのが魅力です。ビジネスに関わる方に、色彩学の最初の一冊としておすすめの本です。

読書『トラベルデイズ ウィーン プラハ・ブダペスト』(昭文社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『トラベルデイズ ウィーン プラハ・ブダペスト』(昭文社)

旅行ガイド本。図書館が休館に入る前に借りて来ていたなかの1冊。旅行の予定を具体的に立てているわけでもないのに、こんなにしっかりガイド本を読んだのは初めてかも知れません。まさに「読書」しました。

写真はウィーン分離派会館。福岡ACAD.『世界史を建築家の視点で学ぶ!』シリーズでも学んだ、時代を象徴する建物のひとつ。講師の株式会社藤井設計室藤井昌宏氏が現地で撮ってきた写真のなかの一枚です。

まずは地図をチェック。オーストリアのウィーンであり、チェコのプラハであり、ハンガリーのブダペストよね、と広域図で確認しないと、位置関係もよくわかっていないところからスタート。

特に読み応えがあったのは「ハプスブルク家 645年の栄華」とタイトルのついた特集。そもそもガイド本ですから、豊富な写真にわかりやすい地図、建物の見取り図など、ビジュアル的にも充実。家系図や年表までついて、20ページほどの特集ながら、1冊の本を読んでいるかのようでした。

「建築」「アート&カルチャー」「エンターテインメント」の各ジャンルも、読み応え抜群でした。このエリアが「持っている文化」のすごさをひしひしと感じました。ガイドブック1冊を見ただけでも「見たい、知りたい、体感したい」が詰まっていて、まさに芸術の都なのですね。

わたしが読んだのは2013年発行版(写真)。現在は最新版のガイドが出ていると思います。

さて、そろそろ図書館もオープン。思いがけず長く借りることができた旅行ガイド本のおかげで、妄想旅行を楽しむことができました。ウィーン、プラハ、ブダペスト。実際に時間をしっかりとって出かけたい場所です。

トマトがおいしい。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

トマトがおいしい。

花祭窯のある福津市は、お野菜がおいしいです。土にこだわったり、農法にこだわっている農家さんもいらっしゃって、そういうものが特別美味しいのはもちろん、ふつうに「農産物直売所」に売られているお野菜が、普通以上においしい。ここに住んでいると、それがあたりまえのようになりますが、実はとてもありがたいことだと思います。

わたしがふだんよく行くのは、市内に二か所ある農産物の直売所「ふれあい福間」と「あんずの里」。新鮮な旬の野菜が並ぶ直売所に行くと、テンションが上がります。このところ特においしくなってきているのは、トマト。おやつに丸かじりしたりするので、買ってきてもすぐになくなってしまいます。

福津市では、冬から春にかけてのカリフラワーとかブロッコリーとかキャベツとかが有名で、これらのシーズンが終わってこれから夏にかけてはトマトです。ホームベーカリーで焼きたての食パンに、バターとチーズをのせて、その上にトマト。最近一番お気に入りの食べ方です。

Talking about Art

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Talking about Art

『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」対話型鑑賞のオンラインセッションに参加しました。米国ヒューストンで美術講師をなさっているレスリーさんと繋いでの贅沢なオンラインセッション。

写真は、今回のセッションの予習にフル活用した英語のテキスト『英語でアート』(マール社)、『英語のお手本』(朝日新聞出版)、『WISDOM和英辞典』(三省堂)の三冊。普段から出番の多い三冊でもあります。

対話型美術鑑賞と、英会話の訓練とを両方を兼ねる講座です。宮本先生のアートアライアンス東京が長年通学講座で開催なさっているものを、昨今の状況に鑑みてオンラインでスタートしてくださったもの。「英語とアート」の組み合わせは今やわたしのライフワークです。いつか東京に通ってでも受講したい!と思っていた講座でしたので、わたしにとっては思いがけないラッキーチャンス。

参加者の皆さんはほとんどが、リアルでの講座に参加なさっている方で、初参加はわたしだけ。わたしは、日本語での対話型鑑賞では準備要らず(むしろ準備しない方が良い)のスタンスなのですが、とっさの英語表現に自信が無かったので、今回はあらかじめ課題絵画に対する下準備をして臨みました。

最初は緊張しましたが、気がつけば1時間のセッションは終了。終始くつろいだ雰囲気で楽しい時間だったのは、セッションをリードしてくださった宮本由紀さんとレスリーさんのお人柄ゆえだと思います。お二人の話す内容はもちろんのこと、参加者の皆さんの視点や表現も、学ぶことがたくさんでした。画面を見つつ、メモを取りつつ、自分の予習内容と見比べつつ、充実した時間でした。

柔軟に変えてみる。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

柔軟に変えてみる。

花祭窯では、国内発送にゆうパックとクロネコヤマト宅急便のお世話になっています。どちらにお願いするかは、お届け先からのご希望や配送状況により変えています。お客さまにものをお届けするのに、物流を請け負ってくださる方があってこそ、成り立っています。

昨今の状況で、この5月現在、ゆうパックの集荷は前日までの予約が必要になりました。でも、即日発送できるものは、出来るだけ早くお客さまにお届けしたい。というわけで、今月に入ってから「早く出荷したい小さい荷物」は「持ち込み」することにしてみました。

混んでいたら止めようと思っていましたが、幸い最寄りの郵便局は、時間帯によりほとんどお客さまがおらず、受付もスムーズ。これなら、時間を選んで訪問すれば大丈夫そうです。ついでに最新の記念切手をチェックもできて大満足。先日は相撲切手を見つけ、衝動買い(笑)

物流が止まったらたいへん!の思いを強くする今日この頃。配送業の皆さまに感謝し、配送スタッフの方々の負担軽減に少しでも寄与できていたら嬉しいな、と思いつつ。

行きたい場所リスト、息子編。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

行きたい場所リスト、息子編。

昨日、「行きたい場所(館)リスト。」のタイトルでブログを書いていたら、画面をのぞき込んだ息子が「僕の行きたい場所リスト」を紙に書いて持ってきました。そういえば、我が家における「行きたい場所リスト」は、息子が小学生の時につくって壁に張り出したのがスタートでした。

小学生当時の息子のリストでは、(1)京都、(2)北海道、(3)四国、(4)沖縄、(5)宮崎、でした。今回の最新リストでは、(1)京都、(2)山口、(3)沖縄、(4)熊本、(5)千葉、(6)東京、(7)鹿児島、(8)山梨、(9)北海道。前回は5位までだったのが、9位までに増加。京都は不動の1位です。

面白いのは、初めてリストを作った時は「まだ行ったことが無い所」が上位5位すべてを占めていたのが、最新リストでは、行ったことがある場所が半数以上を占めたこと。「行ったことが無くて、行ってみたい場所」と「行ったことがあって、また行きたい場所」を挙げた結果、リストの件数自体も倍近くに増えたことがわかりました。

そしてもうひとつ、イメージだけで行きたいリストに入ったのは「北海道」と「沖縄」だけで、あとは行ったことがあったり、知っている人がいたり、という「自分とのつながり」がある場所を選ぶようになっていました。地名を見たら、なぜそこに行きたいのか、その理由がわかる場所。

最新リストを眺めながら、体験や人とのつながりが、こんなふうに反映されていくのだなぁ、と興味深く思いました。

行きたい場所(館)リスト。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

行きたい場所(館)リスト。

引き続きStay Creative、Enjoy Home続行中。3月4月のカード明細を見て、交通費の支出がほぼゼロだったことにあらためて驚いています。交通系カードの引き落としが無いのは、使いはじめてから初めてのこと。

ちまたでは、少しづつクローズドからオープンへと動き出した感じですね。制限付きながら「再開しました」の文字を見ると、そういえば、あそこにもここにも行きたかったのだった!と記憶がよみがえります(笑)

そこで本棚から引っ張り出しているのが、年の初めにブログにも書いた『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

カラヴァッジオ見たかったな、リヒテンシュタイン侯爵家の至宝行けるかな…と未練たらたらです。でも、ほんとうに見たいのなら、渡航できるようになってから所蔵館に足を運べばよいのだ!と頭を切り替え。そのためには旅費が必要で、旅費を稼ぐ!が、これからの仕事のモチベーションのひとつになりそうです。

そうしてあらためてリストアップしてみると、行きたい場所(館)の基準は、特別展のテーマ云々ではなく、その美術館・博物館自体への興味であり、魅力であることがわかってきました。立地、環境、建物、運営ポリシー、私設のものであれば創立者の想い、そして常設の所蔵品。

滋賀のMIHO MUSEUM、京都の福田美術館、京セラ美術館、大阪のあべのハルカス美術館、島根の足立美術館…

今、美術・芸術は絶対に必要なものだとの思いを強くしています。遠慮なく足を運べるようになって、たっぷりミュージアムを堪能できる日が楽しみです。

ぐるっと見るための撮影キット。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ぐるっと見るための撮影キット。

と書いて、あらためて辞書を引いたら、キットというのは「道具一式」という意味なのですね。写真は、花祭窯の「ぐるっと見るための撮影キット」。

美術館や博物館に行ったときにしばしば感じるストレスに、「作品をぐるっと全方向から見たい」とか「作品の裏側を見たい」というものがあります。わたしがやきものを見るのにギャラリーや骨董屋さんをお勧めするのは、「作品を手に取って見る」ことができるのが一番の理由です。手に取ることができるということは、あらゆる角度からそのものを見ることができるということなので。

美術館等での展示は、たいていの場合、壁面を背にしていたり、すぐ横に別の作品が置いてあったりするので、360度十分にぐるりと眺めることができないことが多く。最近は「メイン」な展示物は一作品の展示で周囲を回れるようになっていることも増えてきたのが嬉しいです。でも「裏側」に至っては「地」についているので、持ち上げなければ見ることができず、まず見ることができません。

ただ、やきものについては、裏(高台)のつくりを見たいという要望は一般的にも多いので、透明の展示板の上に作品を置いて、その下に鏡を入れて裏側の作りが見えるようにしている展示も増えてきています。この方法での展示を初めて見たとき、「全体が見える」ことが嬉しくて、この展示方法を採り入れた学芸員さんの素晴らしさに感嘆したものでした。

さて、できるだけぐるりと眺めたいのは、ネット上での作品紹介もしかり。提供する側としては、わかってはいるものの、なかなか取り組めずにおりました。が、このたびその方法のひとつとして作ったのが、上の撮影キット。

ターンテーブルには、ダンナの仕事の道具である絵付用の「筋車」を借りました。これをゆっくり回して、カメラで動画を撮れば、360度ぐるりとご覧いただける次第です。回転の速度、カメラの位置角度など、まだまだ研究課題は沢山ですが、まずはチャレンジです。