肥前磁器の美:藤吉憲典の器「赤絵筒型二段重箱」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「赤絵筒型二段重箱」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズをスタートします。「美しさ」と書きましたが、ここには「用途の美」を含みます。つまり、使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

磁器作家・藤吉憲典がつくる筒型の重箱です。粋で華やかな赤絵は、食卓のアクセントになりますし、おめでたい席にも最適です。菓子器として用いたり、珍味入れに用いたり、使い方はいろいろ。場が華やぐ美しいお重です。

サイズは、径9センチで、全体の高さが9センチ。一段の高さは約4センチです。

ANAのふるさと納税でも、藤吉憲典の「赤絵筒型二段重箱」福津市のふるさと納税返礼品としてご注文いただくことができます。

読書『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)前半。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)前半。

マイク・サヴィジ著、舩山むつみ訳。そういえば今月のはじめに読んでいたのが、階級社会英国のなかでも「ロウアー・ミドル・クラス」に注目した『英国紳士の生態学』(講談社学術文庫)でした。

本書『7つの階級 英国階級調査報告』は2019年12月発行の学術的研究報告。英国社会に興味があるので読んだ、というのが一番の動機でした。が、その報告内容は世界的に広がりつつある「貧富の格差」や「人々の意識」を読み解くのにも役に立つであろう、という書評も腑に落ちるものでした。

以下、備忘。たくさんになりそうなので、前半(第1部、第2部)と後半(第3部、第4部)に分けて。今回はその前半。


  • 経済資本(資産と所得)、文化資本(思考、興味、文化活動)、社会関係資本(社会的ネットワーク、友人関係、参加する集団)。
  • 人々がどのような知識や専門的技能を持っているか、持つことができたかは、その人が属する階級そのものと深く関係している
  • 「『経済的に不自由のない階級』というとき、私たちは『文化的で教養のある階級』のことを考えている」(T・H・C・スティーブンソンの記述より)
  • 階級は歴史的に構築される
  • 文化資本の継承
  • 文化資本の継承は不明瞭だ。その上、能力主義の実績と努力の名のもとに隠されている。
  • 教育資源
  • 社会関係資本とは、人々の社会的ネットワークの範囲と性質であり、人生におけるチャンスに影響を及ぼすものだ。
  • 資本がどのように蓄積され、継承されていくのか
  • 人々の主観的な階級理解は、経済資本だけでなく、文化資本や社会関係資本にも影響を受けている。
  • 文化活動は(中略)多種多様だが、どれもが社会的に同等に評価されているわけではない。その活動の正当性が社会に認められると、資産となったり、他の活動に対する優位性が生じたりするのだ。
  • 文化を抽象的に鑑賞する能力
  • このような(「高尚な」)文化に精通している人々は、学校の授業を容易に理解し、抽象的な思考能力も養われるため(中略)それがキャリアの成功の基盤となる可能性もある。
  • 文化資本は単にその人の経済的豊かさを表すものではなく、(中略)、多くの文化資本を持つ者とそうでない者との間には大きな違いがある
  • 文化資本の力
  • 彼にとっての文化は、より広い意味を持った社会的な通貨であり
  • (社会がグローバル化し)芸術のヒエラルキーは姿を変え始めている
  • 文化的思考の相違は、根本的な社会的区分をはっきり表している
  • 文化的な催しに出向くことで、積極的に携わっている感覚を味わうことができ、その自覚が文化的な自信や誇りを増幅させている。
  • 識別する能力
  • 文化的活動に携わって得た自信によって文化資本を蓄積している
  • 「高尚」な文化資本と「新興」の文化資本
  • 新興文化資本の本質は(中略)様々な選択肢からクールなアーティストや作品を巧みに選び出す技量を証明することであり
  • それが自分の好みだと公言するには、その理由を説明できなければならない。
  • 鑑識眼
  • 「ものの見方」
  • スノッブな人々の高尚で学術的な美学をきっぱりと拒絶する人もいた。そこに社会的な差別の匂いを嗅ぎ取るからだ。
  • 文化的スノビズム
  • 文化活動には個人の熱意だけでなく、社会関係がついてまわる。
  • 社会関係資本には極めて排他的な特徴があり、恵まれた環境にある人の方がより大きな利益を得られる構造になっている。
  • 誰もが何らかのクラブや広範な社会的ネットワークに参加していれば、社会構造は全体として強化していくという
  • 非常に幅広く、弱いつながりで結ばれている(中略)そのような知人を必要に応じて、情報や支援を得るために動員することができる
  • 社会構造の全体で弱い紐帯のネットワーク
  • 誰が誰を知っているか
  • 「橋渡し型社会関係資本」
  • 非常に裕福な人々は、それ以外の人々に比べて際立った社会的紐帯を持っている
  • 社会関係資本は人々の所得や学歴だけでなく、生い立ちや経歴など、その他さまざまな背景とも関連するため、経年的に蓄積する。
  • 経済資本は高年齢層に蓄積されるが、文化資本では、高尚な文化資本は中高年上中流層に蓄積し、新興文化資本は若年専門職層に多く蓄積している(中略)社会関係資本は比較的、年齢の影響を受けない。

『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)より。


思った以上に、大量の文章になってしまいました。学術的内容にしては読みやすい文章でした。日本語に訳する際に、平易な表現を心がけてくださったのかもしれません。

『英国紳士の生態学』(講談社学術文庫)を読んだときには、「ロウアー・ミドル・クラス」の行動原理の切なさに「身につまされる」思いがしましたが、今回は「文化的スノービズム」なる言葉に、ハッとさせられました。

後半につづきます^^

読書『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)

著者は森美術館広報・プロモーション担当の洞田貫晋一朗氏。このブログでビジネス書の紹介は久しぶりのような気がします。お友だちがSNSマーケティング関連の書籍を何冊も紹介している中に「森美術館」の文字を見つけ、即購入。

2018年美術館展覧会入場者数で、「ルーブル」「ゴッホ」「印象派」「北斎」など美術的キラーワードを並べた国公立美術館の数々の展覧会を抑え、日本では特に道半ばにある現代アート分野の展覧会でみごと1-2位を占めた(『美術手帳』調べ)という森美術館。その集客を支えたのが無料のSNSツールと聞けば、読むしかありません。

以下、『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)より、備忘。


  • インターネットで情報を得(62%)、SNSが来館動機(55.6%)※ただし来館者の約70%が10-30代。
  • 公式ハッシュタグ(長くても)正式名称で。
  • 「文化や芸術は、経済より上にあるべきもの」(森ビル2代目社長森稔氏)。
  • 「中の人」は接客の最前線。
  • 「『アート&ライフ』をモットーに生活の中のあらゆる場面でアートを楽しむことができる豊かな社会の実現」(森美術館ミッション)
  • アメリカの美術館では(中略)公正利用の範囲であれば著作権侵害にはあたらない(中略)それに対して日本は、著作権法に公正利用に関する規定が無い。
  • クリエイティブ・コモンズ。
  • 基本情報をきちんと伝えていくこと。
  • そのアカウントから伝えるべきこと、ユーザーが欲している情報。
  • タイムラインは流れるもの。
  • 必要なことは様々なタイミングで「同じ内容の短冊」を何度も流す。
  • 大事なお知らせや基本情報は、日本語と英語、バイリンガル投稿。
  • 「自分は何者なのか」をきちんと発信していく。
  • 最初のステップは、森美術館の名前を覚えてもらうことでした。
  • 長期的なブランディング。
  • アイコンとカバー写真を固定。
  • アカウント名も固定。
  • SNSは公式ウェブサイトに誘導するだけのものではない。
  • できるだけ情報はリンクに頼らず、SNS内で完結していることが望ましい。
  • 実際の行動につながるフックとなっているのは圧倒的にSNS。
  • SNSはプライベートな空間。
  • 値段を載せない。
  • その投稿で一番伝えたいこと、大事なことを、1行目で表現(中略)これはどんな投稿なのかという「タイトル」にする。
  • せっかくいい展示をしても、見る人がいなければ何の意味もありません。
  • 目指すゴール。
  • 「文化的な投稿」は突出してユーザーの心に届きやすい。
  • ユーザーの日常を少しだけ豊かにする「提案」。
  • その場の思いつきだけで投稿するのではなく、なるべく計画を立てること。
  • SNSの話題にあがっているトレンドを作品に紐づける。
  • 口コミで拡散したいならツイッター、ファンとのつながりを強めたいならインスタグラム、ピンポイントでファンに情報を届けるときにはフェイスブック。
  • インスタで重視される「統一感」と「リアリティ」。「美観」。
  • 動画を投稿したいなら「ストーリーズ」に。
  • コツコツ信頼を積み上げて、将来的にユーザーに来館してもらう道。
  • 企業アカウントは、最初にしっかり設計図をつくってから始めるべき。
  • 「自分たちが伝えたいこと」(目的)と「その先にあるもの」(志・理念)。

『森美術館のSNSマーケティング戦略 シェアする美術』(翔泳社)より抜粋要約。


「文化や芸術は、経済より上にあるべきもの」という森ビル2代目社長森稔氏の言葉を知ることができただけでも、この一冊を読んだ甲斐があったというものです。と言いつつ、ちょうどインスタグラム運用について考えていたタイミングでもあり、ずいぶんたくさん本文中から引っ張りました(笑)。おかげさまで一番大切にしたいことを思い出しました。

そういえば、インスタグラムで海外美術館のフォローはしていましたが、国内の美術館はほとんどフォローしていなかったことに気づき…。さっそく森美術館をフォローです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「染付牡丹唐草文三段重箱」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「染付牡丹唐草文三段重箱」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズをスタートします。「美しさ」と書きましたが、ここには「用途の美」を含みます。つまり、使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

第1回目は「染付牡丹唐草文三段重箱」。小さめの重箱です。文様デザインは、洋の東西を問わず愛される美しい唐草文様。唐草文様には生命の繁栄の意味が込められており、古くから人気のある吉祥文様のひとつです。

菓子器として用いたり、酒の肴を揃えたり、使い方はいろいろ。染付の青が、品のある華やかさで、季節や場面を問わず安心して使えます。

染付牡丹唐草文三段重箱 藤吉憲典
藤吉憲典の器:染付牡丹唐草文三段重箱
藤吉憲典の器:染付牡丹唐草文三段重箱

サイズは7センチ四方の正角で一段の高さは約3センチ、全体の高さが10センチです。

ANAのふるさと納税でも、藤吉憲典の「染付牡丹唐草文三段重箱」福津市のふるさと納税返礼品としてご注文いただくことができます。

そろそろ山笠絵皿。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

そろそろ山笠絵皿。

例年ならば6月最初の日曜日からスタートする津屋崎祇園山笠。いつもならソワソワし始めるところなのですが、今年の山笠奉納は一年延期となりました。街も静かなら、気持ち的にも静かな感じです。

梅雨も本番のなか、こんなときこそ気分だけでも盛り上げたいと、山笠の絵皿を飾り棚に出しました。

津屋崎祇園山笠
津屋崎祇園山笠絵皿 藤吉憲典

写真左から「岡流」「新町流」「北流」の三つの流れ。2014年に津屋崎祇園山笠発足300年を迎えたとき、その記念に制作したのでした。

花祭窯にお越しのお客さまが目に留めては「山笠ですね!迫力ありますね!」と声をかけてくださいます。特に地元の方々に好評で、皆さん「今年は無いからね…」と遠い目。出してよかったなぁと、つくづく思いました。

津屋崎祇園山笠絵皿。7月いっぱい、花祭窯のギャラリーに飾っております^^

まずは一人でお茶のお稽古。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

まずは一人でお茶のお稽古。

3月以降、お茶のお稽古が中止になっています。わたしが入門している南方流では、例年ならば3月に懐石披露、4月に南坊忌とお茶会があり、気持ちが引き締まります。今年はこれらに参加できず、とても残念でした。仕方がありませんね。

ふだんのお稽古も、お茶のお稽古はまさに「三密」ですので、お休みが続いています。自分一人でも、家で手元にある道具を使ってお稽古ができることは頭ではわかっていながら、気分的に釜の前に落ち着いて座ることができませんでした。

6月も下旬になって、ようやく「そろそろ自主練(お稽古)しよう」と思えるようになってきました。もうすっかりお点前を忘れてしまったかもしれないという焦燥感もありつつ、とりあえず一歩前進です。

そんなわけで先週末は、まずお茶室周りのお掃除。露地の雑草を抜いて枯草を取り除き、お茶室に掃除機をかけて畳を乾拭き。そういえば花祭窯のお茶室「徳り庵」もずいぶん使っていませんでした。梅雨の晴れ間にお掃除できて良かったです。

季節は既に風炉。次は道具の点検です。茶筅を買い替えたほうがいいなとか、お抹茶はまだ十分にあるかなとか。少しづつ整えていくうちにだんだんと気分が上がってきます。お掃除やら道具の点検やらを通して、空間と一緒に気持ちが整っていくのだったと、今更ながらに実感しつつ。

さあ、あとは季節の和菓子を買ってきたら、十分です。美味しい水無月が手に入りますように!

海がある贅沢。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海がある贅沢。

このところブログのアイキャッチ画像が連続で海の写真でした。無意識でしたが。そういえばSNSのフィードに流れてくる、近所の友人たちの写真にも、いつにもまして海が増えてきた今日この頃(笑)

海の近くに住んでいると、秋冬春に暴風が吹いたり、潮風でいろいろなものが錆びたり傷みやすかったり、特有の少し困る点もあります。が、それにしてもあまりある恩恵。

日が長くなってきたと思ったら、先週末は夏至でした。夕食後に「海と夕陽」を見にちょっとそこまで散歩、ができる贅沢。

津屋崎浜は内海になっているので、風が無いと上の写真のように鏡面のような穏やかさです。湖か⁉というくらい。この穏やかさに慣れると、風が強く波が立ったときに「おお、海っぽい!」と思ってしまいます。

鷺発見(見えるかな?)。津屋崎浜からは干潟が続いているので、生きものが豊かです。それを狙って、鳥たちも集まってきます。

ぐるりと半円状の海岸線。徒歩30秒でこの景色を満喫できる贅沢。目の前が開ける景色に、気持ちも開放。ありがたい環境です。

読書『日はまた昇る』(早川書房)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『日はまた昇る』(早川書房)

アーネスト・ヘミングウェイ著、土屋政雄訳。これまでも何度か手に取り、途中までは読んでいましたが、このたびようやく読了。つくづく「本を読むタイミング」ってありますね。読むつもりで手にとっても、まったく内容が入って来ないときもあれば、同じ本が別のタイミングではスイスイと入ってきます。

新書版の訳者・土屋政雄氏は、カズオ・イシグロ作品の訳書でもなんどもその文章を読んでいます。わたしにとっては、今回もその日本語表現がとてもしっくりきました。名作がときどき「新訳」で復刊されることにはきちんと理由があるのだなぁ、と思いました。

ヘミングウェイの最初の長編であり初期の代表作と言われている本書。あらためて、27歳の時の作品というのがまず驚きです。その若さで、登場人物の心の機微をこのように描けるものなのですね。解説では「粗削り」とされていましたが、その後の作品を読むことによって、そう感じられるのでしょう。このあと『誰がために鐘は鳴る』を読もうと思っていますので、楽しみです。

舞台は第一次世界大戦後のヨーロッパ。ヘミングウェイ自身が戦後パリで経験したのであろう環境が、色濃く反映されているのだろうと思えました。登場人物は、イギリス人、フランス人、ユダヤ人、スペイン人…主人公はヘミングウェイと同じアメリカ人であるものの、そのことを忘れそうになりました。

主人公はじめ、登場人物それぞれが、プライドと自嘲の間を行ったり来たり。とても切なかったです。そして、直接的な表現はないものの、戦争の悲惨の影がずっとつきまとっていました。分類すれば「恋愛小説」ということになるのかもしれませんが、もっと重々しいものを感じました。

その後の作品を読んだ後に、もう一度読み返したい本です。

○○初心者。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

○○初心者。

という、さりげない言いまわしに感心した出来事がありました。ご近所友だちが「わたし津屋崎初心者なので教えてください」とおっしゃったときのこと。

その方は代々この地・津屋崎に住んでおられる家系の若旦那。対するわたしたちは、ここに移住してきて9年目。この歴史的年数だけ見れば、どちらが津屋崎初心者かといえば、圧倒的に私たちなのですが。

この会話が交わされたのは、彼がお子さんの手を引いて「海岸のどのあたりに行けば、子ども連れで潮干狩りが楽しめるか」を思案していた時のことでした。たしかに「小さい子どもがいる状態での津屋崎」については、彼は初心者であり、わたしたちは経験者。さらに津屋崎浜を毎日朝な夕な散歩している我がダンナは、その道のベテランと言えるかもしれません(笑)。

ということで、ダンナが紙にささっと地図を描き「このあたりがいいよ」と、潮干狩りポイントをレクチャー。後日伺ったところによると、無事、家族で潮干狩りが楽しめたようです。

何気ないおしゃべりのなかで「津屋崎初心者」という言葉が無意識に出て来たのだろうと思います。その響きには自然な謙虚さがあって好ましく、そういう言い方があったかと感心したのでした。自らを振り返っても、子育ては分からないことだらけで、まさに「初心者」場面の連続であったことを思い出しました。

自然体で好ましい言葉遣いができる人に、とても憧れます。「言葉を選ぶ」という言い方がありますが、そういう人はおそらく意識的には選んでもいないような気がします。気持ちがそのままきれいな言葉に載るのですね。そんな言葉づかいができるようになりたいです。

2020上半期読書ベスト3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020上半期読書ベスト3。

少し早いですが、半年振り返り。この上半期は家にいる時間が長かったので、読書数も増えているかもしれないと、数えてみました。写真は図書館が臨時休館する前に本を借りてきたときのもの。

さてブログにあげているだけで15タイトルありました。そのなかに上下巻ものやシリーズものもあったので、冊数で換算したら20冊を超えます。月平均3冊以上ペースは、自分としては十分充実の読書生活と言えます^^


第1位『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)
トルストイ。読んでいなかった名作シリーズです。国も時代も環境も自分とはまったく異なる登場人物の「ダメなところ」に共感しつつ、この年齢だからこそ理解できる機微を楽しむことのできた本でした。

第2位『三銃士』(角川文庫)
アレクサンドル・デュマ。昨年はまった『ハリー・ポッター』同様、登場人物の魅力がそのままストーリーの面白さとなっていました。『ダルタニヤン物語』の続きは是非読みたいと思っています。

第3位『新・リア王』(新潮社)
高村薫さん。『晴子情歌』に続く上下巻で、ボリュームも内容も圧巻でした。現在の日本の状況と合わせて、政治の問題、地域の在り方の問題を考えさせられました。高村薫さんの本、特に2011年以降の既刊でまだ読めていないものがあるので、折を見て読みたいと思います。


顔ぶれからわかるこの上半期の読書傾向の特長は、小説の多さでした。それも、ボリュームのある長編。ベスト3も小説で、いずれも上下巻、あるいは上中下巻でした。小説をたくさん読むのは、現実逃避的傾向とも言えるのですが(笑)、仕事頭からスカッと切り替えることができていた、という前向きな捉え方もできましょう。

最近の本のニュースで嬉しかったのは、カズオ・イシグロ氏の新作ニュース。日本では来年春に刊行される予定ということで、今から楽しみです。