読書『シャネル CHANEL』(講談社)藤本ひとみ

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『シャネル CHANEL』(講談社)藤本ひとみ

今回の「一人で勝手に藤本ひとみ祭り」は、ココ・シャネル。このところ思いがけず、映像や文字を通して女性の生き方をたどる旅をしています。ジュディ・ガーランド(1922-1969年)、マリリン・モンロー(1926-1962年)ときて、ココ・シャネル(1883-1971年)。シャネルの生きた時代に、ジュディもマリリンもいたのですね。

三人とも「自分の存在価値、居場所」を求めて苦しみもがいて生きています。なかでも藤本ひとみ氏の筆を通して見るシャネルは、「怒り」をエネルギーにしているところに、強さを感じました。「怒る」というのは心身ともに疲れてしまう行為ですが、大きなエネルギーを伴うからこそ疲れるのです。ある時期まで怒りをエネルギーにしていたわたしとしては、これをプラスのエネルギーに転換できたシャネルの凄さに感嘆せずにいられません。

以下、本書中から心に残ったもの。


「すべての逆境はチャンスだ」

自分の体と心、そこから生まれる誇りと愛情。それだけは最後まで残る。

「(前略)僕らは、仕事で成功することでしか地位を築けない。認められるために、この世に自分の居場所を創り出すために仕事を頑張るしかないんだ。」

私は貧困と無知の中で生まれ育った。だが、それが力となったのだ。

「コピーが広がれば広がるほど、オリジナルの価値が上がるのよ。(中略)その時のために、ここではコピーの及ばない完璧なオリジナルを作る必要があるの。オリジナルの良さを知れば、もうコピーを求めることはないわ」

『シャネル CHANEL』(講談社)藤本ひとみ著 より


ジュディやマリリンが時の流れとともに「昔の人」になりつつある今も、「CHANEL」はブランドとして現在を生き続けています。「もの」と、その「ブランド価値」を確立し残していくことの凄さが、そこにあります。ココ・シャネルその人を知らなくても、ブランドとしてのCHANELの名前は知っている。まさに「そこから生まれる誇りと愛情。それだけは最後まで残る」のだと思いました。