久しぶりに、がっつり、やきものの話。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに、がっつり、やきものの話。

先週末、磁器作家・藤吉憲典を訪ねてお越しになったお客さまがあり、久しぶりにがっつりと「肥前磁器の話」を楽しむ時間となりました。

肥前磁器の歴史の話、染付の話、道具や材料の話、佐賀の産地の栄枯盛衰の話、江戸時代の風俗の話、九州陶磁文化館の話、現代の伝統工芸の話、デザインと芸術の話、陶片や骨董の話、作家を育てるギャラリーさんの話、朝鮮半島と中国大陸の話、佐賀有田(伊万里)とここ津屋崎との不思議なつながりの話…果てしなく話題は広がっていきました。

文様についての話題も盛り上がりました。文様のルーツについて、解釈について、様式について、描き方について、古典文様とオリジナル、写しとコピー、使う絵の具について、筆について…。わかりやすいように、それぞれの話題に応じた器を引っ張り出し、目の前に並べて見ながらおしゃべりしていたら、テーブルの上は器だらけになっていました。

「やきものの一番の魅力ってどこにあると思いますか?」というお客さまの問いに対する答えは、このおしゃべりの時間がそのまま答えになっていたように思います。すなわち知的好奇心をくすぐる要素があまりにも広く深いこと。文様の話ひとつとっても、語りだしたら、いくらでも語るべきことがあり、調べだしたらいくらでも調べるべきことがあるのです。作り手にしてみれば、作っても作っても「これで完璧」ということはなく、どこまでも追及していける深みがあること。いずれにしても「簡単に理解できるもの、達成できるもの」は、面白くないのかもしれません。

日常的に(仕事も生活も)肥前磁器に囲まれていますが、たっぷりの「言葉」で肥前磁器の世界に浸かったのは久しぶりでした。好きなものについて語り合う時間は楽しい。素敵な時間をもたらしてくださったお客さまに、心より感謝しています。