読書『運命の人』(文春文庫)山崎豊子-後半(3・4巻)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『運命の人』(文春文庫)山崎豊子-後半(3・4巻)

数日前に、読書『運命の人』前半をアップしましたが、その後半です。前半の感想の最後に「エンディングに向かってドキドキ」などと書いておりましたが、それどころではありませんでした。本書では「国家権力とジャーナリズムの戦い」ひとつを主題としていたのではなく、「沖縄問題」そのものをさらに深く追求していくことが、もうひとつの大きな主題であったのだと気づかされました。

わたしが読んだのは文庫版。「文庫版のためのあとがき」を山崎豊子さん自身が手がけており、そのなかに、この本に対する思いがはっきりと書かれています。いわく「通常より早い文庫化をお願いしたのは、私の方からだった。一人でも多くの読者に読んで欲しいと、願ったからである。」(『運命の人』(文春文庫)「文庫版のためのあとがき」より)。

この「あとがき」を読んでさらに、本書への並々ならぬ思いを感じました。ちょっと探してみたところ、文芸春秋社のサイトに、本書についての山崎豊子さんへのインタビューが載っていました。そのなかで「これが最後の作品だという気持ちをこめて書き上げました」とおっしゃっています。

「沖縄の基地の統廃合には、日本の外交、防衛のありようが集約されている。再び取り返しのつかない不幸な事故が起きない前に、国民一人一人が真摯に考えて欲しい、というのが私の切なる願いであり、拙著がその万分の一でも役立てば幸せである。」 (『運命の人』(文春文庫)「文庫版のためのあとがき」より)。

わたしは本書がいつ書かれたのかを知らずに手に取りましたが、読み終わって、これが最近の著書であったことを知り、現在の日本の状態を憂う著者の思いの結晶であることがわかりました。まぎれもなくわたしにとっては、真摯に考えるきっかけとなる一冊(4巻)です。「ペンは剣よりも強し」の言葉が思い出され、ペンを手に取る人の責任感・使命感を強く感じた読書でした。