「ふつう」ってなんだ?

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「ふつう」ってなんだ?

経営者のお友だちと話していた時のこと。「わたしたちが『ふつう』とか『一般的』と思っていることって、実はあんまり一般的じゃないかも」という話題になったことがありました。「わたしたち」の想定する範囲がどこからどこまでか、ということまで含め、「ふつう」ってなんだ!?と盛り上がりました。

たとえば我が家の近所を見てみると、パッと思いつく顔ぶれのなかに、いわゆる「会社員」を職業とする人がほとんどいません。窯元(うちですね)、金工作家、革職人、酒蔵、フレンチシェフ、ガーデナー、農家、大工、板金屋、建築士、映写技師、プログラマー、ゲームクリエイター、カメラマン、スポーツの国際審判、市議会議員…こうして並べてみると、実にいろいろな職業がありますね。

皆、経営者だったりフリーランスだったりするので「朝、ほぼ決まった時間にスーツを着て会社に出かける」人をほとんど見ません。ここで暮らしていると、その景色が日常的で「ふつう」という感覚になります。でも、自分自身がサラリーマンだったころを考えてみると、通勤電車内も会社のあるオフィス街も「スーツを着たサラリーマン」が大多数で、それが「ふつう」という感覚でした。

働き方、暮らし方、時間の使い方、ものの考え方、価値の置き方。こういうものが近いと、お互いに話が通じやすいので、仲良くなりやすくなり、結果として、周りにそういう人が増えていく、という循環はありそうですね。

「ふつう」というのは、ほんとうは存在しないのだと思います。言葉として便利だからよく使いますが、一人一人、ひとつひとつ違うんだよなぁ、と、あらためて思った出来事でした。

上の写真は、日ごろからよく使う器のひとつ、藤吉憲典のつくる「染錦唐草文楕円皿」。我が家では職業柄「作家もの」の器を毎日の食卓で使うのが「ふつう」ですが、とても贅沢なことかもしれません。