アート・エデュケーターとしての、ワーク・フィロソフィー。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アート・エデュケーターとしての、ワーク・フィロソフィー。

上の写真は、わたしに美術教育、アート・エデュケーションという仕事があることを教えてくださった師である、齋昌弘先生の「大きな羊の見つけ方」の表紙帯。齋先生との出会いは2016年の10月のことでした。

それから6年後となる先日受講した宮本由紀さんの講座で、アート・エデュケーターとしてのわたし自身のワーク・フィロソフィーについて考える機会をいただきました。。

そもそも「work philosophy」とは何ぞや!?単純に翻訳すると「仕事哲学」です。会社でいうところの「経営理念」、芸術家にとっての「アーティスト・ステイトメント」というようなこと、かな。フリーランス=個人の名前で仕事をするにあたり、大切にしているもの。「哲学」という言葉はしっくりきます。さらに言えば、仕事がそのまま人生である人(わたしもそうですが)にとっては、人生哲学ともいえるのかもしれません。


アート・エデュケーターふじゆりの哲学。

WHY なぜその仕事をしているのか。

結婚を機に「工芸・アート(美術)」の世界に入りました。ギャラリーを回るなかで、お客さまに接するなかで、すぐに「自分の美意識(価値観・世界観)で作品を評価出来る人が、いかに少ないか」に気づきました。「やきものが好き、アートが好き」と言いながら、個別の作品について「これが好き、これが良いもの」と、自分の言葉で言える人がとても少なかったのです。自分のモノサシを持たず、他者の評価がないと、決めることが出来ない人たち。一般のお客さまだけでなく、ギャラリストをはじめとしたアート関係者にもそういう方が少なくなかったのは、ショックでした。

わたし自身は、仕事として美術の世界に入ったのは26歳からですが、「自分の好きなもの・自分にとって良いもの」を評価することは、それ以前からずっと、あたりまえのことでした。ですのでこれは、単にアート(美術)の問題にとどまらず、生き方全般に関わることだと思いました。「自分で決めることが出来ない」人々を目の当たりにして、自分で決めることが出来る人を増やしたいと思ったことが、根本的な動機・使命としてわたしのなかに芽生えました。美しいものとはどのようなものか、大切なものは何か、自分自身のモノサシを持ち、判断できる人は、自分の人生を豊かにすることが出来ると思うからです。

そんなわたしの課題を解決する方法として、美術が使える=アートエデュケーションの意味・価値・方法を最初に教えてくださったのが、齋昌弘先生の美術教育の講座でした。齋先生に出会ったのは、博物館学芸員資格を取った後のことでしたから、最初に課題を見つけてから10年以上が経っていました。「これが自分の探していたものだ!」と、長年のモヤモヤに一つの道が開けて、興奮したのを覚えています。自分のこれまでのキャリア・経験がすべて無駄なく生かせる仕事であり、注ぎ込むべき仕事だと思いました。

WHAT 何をしている人なのか。

アート・エデュケーターです。「Meet Me at Art アート(美術)を使って自分と出会う」をテーマに、活動しています。美術・工芸に関する知識の教授、美術・芸術教育情報の提供、セミナー・研修会・会議の企画開催、美術に関する講習会および美術鑑賞セミナーの企画・開催、美術・工芸・芸術に関する書籍・テキストの制作…などが、Meet Me at Artの仕事、アート・エデュケーターとしてのわたしの仕事です。

HOW 具体的にどのような活動をしているのか。

美術を使った教育プログラム(アート・エデュケーション)を提案・実施しています。対話型鑑賞法(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)や身体的なアプローチによる美術鑑賞、自分の内面と向き合う美術的コラージュ制作のワークショップなど。それぞれの手法で「見る(触る)」「分析する」「解釈する」「言葉にする」トレーニングを行うことにより、観察力・想像力(創造力)・表現力を育みます。視野が広がり感性が磨かれると、他者の評価に惑わされない自分自身のモノサシができます。美術を使ったプログラムを通して、自分軸のモノサシを会得し、磨いていくお手伝いをいたします。

まとめると…

「Meet Me at Art」アート(美術)を使って自分と出会う。「見る(触る)」「分析する」「解釈する」「言葉にする」アート・エデュケーションを通して、観察力・想像力(創造力)・表現力を育むお手伝いをしています。視野を広げ感性を磨き、自分自身のモノサシができると、毎日はもっと面白く豊かになります。不確実性の高い現代をしなやかに生きる人を、美術を使ってサポートします。


思いのほか時間がかかりました。常日頃から考えていることなので、すんなりいくと思ったのですが、文字にまとめるとなると、またひと手間ですね。これからも、場面や自分自身の成長に合わせて、少しづつブラッシュアップしていくことになると思います。まずはこれが出来上がったことで、確実に自己紹介がしやすくなりました。ワーク・フィロソフィーを言語化する。分野を問わずフリーランスで活動する方々は、この手順で自分の「哲学」まとめてみると、活動の核となると思います。あらゆる選択・決定の場面で、立ち戻ることのできる核があると、ブレない行き方(生き方)ができるだろうな、と。