あと0.5秒ゆっくり。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あと0.5秒ゆっくり。

昨日はお茶のお稽古でした。月に2回のお稽古は、自分の心身の状態に向き合う時間でもあります。前回のお稽古から、一足早く風炉になりました。季節により設えが変わり、設えが変わることにより作法が少々変わります。稽古をする者としては、作法のひとつひとつを習得しきれないままに変わってしまうことが悩ましい半面、この変化があるからこそ楽しいのだとも思います。

現在わたしがお稽古しているのは、奥点前のひとつ「袋茶碗」。基本の作法は濃茶ですが、仕覆(しふく)からお茶碗を出したり、仕覆を拝見に出したりと、付随する所作が相応に増えます。この次はこれ、その次はこれ、と、忙しい気持ちが動きに現れていたのでしょう、ひと通りのお稽古を終えた後に、見てくださっていた先生から言われたのが「あと0.5秒ゆっくり」でした。

「全体にはとっても良くできていますから、あとは、一つ一つの所作に、あと0.5秒ゆっくりかける気持ちでやってごらんなさい。そうしたら、もっとお点前が落ち着いてきれいに見えますよ」と。

とてもありがたいご助言でした。せっかちで大雑把な性格が所作に出ますね…と反省の弁を申しますと、「お茶のお稽古の時だけでなく、ふだんの生活から、一つ一つの動きに0.5秒余分に時間をかけてごらんなさい。そうすると動きが優雅になりますよ」と。お茶室でだけ意識をしても、結局は常日頃の動き方(生き方)が所作に現れるということですね。お稽古をしていていつも思うことであり、先生方から助言をいただくたびに心あたることでもあり。

50年以上生きてきての、動きや思考の癖ですから、一朝一夕には変えることはできないでしょう。ここから50年かけて、「0.5秒ゆっくり」が習慣になり、自然と所作に現れるよう、まずは意識していきたいと思います。

上の写真は、昨年のお茶会のときのもの。床の間で季節を感じるのも、お茶の楽しみのひとつです。筍シーズンですね。