読書『家庭用安心坑夫』(講談社)小砂川チト著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『家庭用安心坑夫』(講談社)小砂川チト著

先日読んだ『猿の戴冠式』がツボにはまったので、図書館で著者名検索。蔵書にありましたので、すぐに手に取ることが出来ました。ありがたいですね、図書館。本書は群像新人文学賞受賞作だそうです。

さて『家庭用安心坑夫』。『猿の戴冠式』もずいぶん不思議で独特な世界でしたが、ファンタジーっぽくもSFっぽくも解釈できるものでした。ところがこの『家庭用安心坑夫』は、とても現実味があって、それゆえに狂気的な怖さを感じました。

主人公の行動と、主人公の記憶にある母親の行動やセリフは、ちょっと視点をずらせば大笑いできそうなコメディ的要素がありながら決してそうはならず、ジワジワと切迫感が押し寄せてきます。一気に読み上げたあとは、本書のタイトルの秀逸さに、ため息が出ました。小砂川チトさん、これからも読んでいきたいと思います。

上の写真は講談社bookのサイトから。『家庭用安心坑夫』も『猿の戴冠式』も、独特の表紙絵のインパクトが大きかったので、少しネットで調べてみました。装画は榎本マリコさん、装幀が岡本歌織さんという、どうやら今とても人気のあるクリエイターさんのようです。「顔の無い人物」の画は、いろいろな想像を掻き立てるテーマ性を感じますね。

『家庭用安心坑夫』(講談社)小砂川チト著