自分のなかに無意識にある「スケール感の標準」を突破するには、外からの働きかけが一番。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。このところなぜか、ブログのタイトルが長くなりがちです(笑)上の写真は、最近生で観て「でかっ!」と思ったラクダのはく製。この展覧会の会場で、このサイズのものに出会うと思っていなかったところに現れたので、かなりびっくりしました。

自分のなかに無意識にある「スケール感の標準」を突破するには、外からの働きかけが一番。

ダンナ・陶芸作家藤吉憲典の制作における話なのですが、このタイトルを書き終わった時点で、「これって何事においてもそうかも」と思いました。そもそもは、長年のお付き合いの料理人さんからご相談があったことがきっかけです。この方は昔から、いろいろなチャレンジを藤吉憲典に投げかけてくださってきています。

今回は、藤吉憲典がこれまで作ってきたものから考えると「かなり大きなもの」にチャレンジすることになりました。もともと「小さいもの」が好きだし得意な藤吉憲典。食器についても、尺皿・尺鉢あたり=直径30cm前後のものが最大かなぁ、というサイズ感が無意識に標準になっていたと思います。それだってしょっちゅう作るものではなく、文字通り「手のひらサイズ」の作品が多かった、というのがこれまででした。

ところが今回、藤吉作品としては珍しく大きな「尺越えサイズ」のものを作ることになり、手を動かして取り組んでみると、案外すんなりうまく行くことが判明。これまで磁器作家として、多様な技術と経験を積んできているのですから、それらを動員すれば当たり前といえば当たり前なのですが、それも実際に手を動かしてみないと分からないことです。結果、ほんの数日で、それまでは「大きくてたいへん」だと思っていたサイズが、作家にとって「作れるサイズ」の新基準になりました。要は単に、これまでやっていなかっただけということですが、嬉しい変化(進化)です。

先日作家が内覧してきた銀座黒田陶苑さんの新しい展示室が、かなり広く、大きなものが映える空間ということでしたので、グッドタイミングに七月の個展で「これまでよりも大きめの、藤吉憲典作品」をご覧いただける機会になりそうです。もちろん、大きなスペースに小さいものをたくさん並べたらどう見えるかも面白いところですから、これまで通りのサイズのものもたくさん並ぶ予定です。

結局自分の作るもののサイズにライン(制限)を引いていたのは、自分自身だったということで、本人が納得できる(そして面白がって取り組める)機会さえあれば、あっけなく取り払われるものでした、というお話。そしてそれは、誰にでも、なんにでも当てはまることがありそうですね。わたしも無意識の「要らん制限」は、どんどん取り払っていけたらいいなと思います。今回、ダンナに機会を提供してくださった料理人さんに、心より感謝です^^