読書『鳥人王』(光文社)額賀澪著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『鳥人王』(光文社)額賀澪著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、初めましての著者さんです。ゴールデンウィーク中にたくさん本を借りてきましたので、ほかにも「初めまして」がありましたが、個人的に一番のヒットが本書でした。

30歳を超えて芽の出ないお笑い芸人が、「アスリート芸人」としての仕事をこなしていくなかで自問する迷いと葛藤。テレビ欄を埋め尽くすバラエティ番組の数々は、たくさんの芸人さんに支えられている(と視聴側であるわたしからは見える)けれど、その裏側というか、出演している芸人さんたちの心の中はこんなふうに吹き荒れているのかもしれないな、と思わせられるものでした。

最初は主人公とは対照的な登場人物として現れたかに見えた「オリンピックを目指す爽やかイケメン大学生アスリート」はじめ、登場人物それぞれが持つ「ちょっとした闇」や「ちょっとした傷」や「ちょっとした葛藤」が、きっと多くの読者にも心あたるのだよなと感じました。自分と、経験や考え方がぴったり重なる登場人物はいなくても、要素要素がところどころ重なるのよね、という感じ。

なかでも「いるんだよなあ。友達のままの方が関係良好だったカップル、仕事仲間にならない方が良かった友達、仕事にしない方が楽しかった趣味、その他諸々」というセリフは、沁みました。何歳までなら夢を追っていいのか、何を選ぶのが合っているのか、誰とならうまく行くのか。きっと決まった正解は無いし、どこで見切ったらいいのかなんて、誰にもわかりません。あきらめないから掴めるものもあれば、あきらめたからこそ掴めるものもあるわけで。なんてことをぼんやり考えさせられました。

同じ光文社から著者の『競歩王』なる本が出ておりました。「鳥人」が棒高跳びで、「競歩」はそのまま競歩。このシリーズはスポーツ小説とでもいう分野になるのかなぁ、と思いつつ、『鳥人王』が面白くてサクッと読めましたので、こちらも読んでみたいと思います^^

『鳥人王』(光文社)額賀澪著