読書『競歩王』(光文社)額賀澪著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『競歩王』(光文社)額賀澪著

ゴールデンウィーク中に読んだ『鳥人王』が面白かったので、借りてきた一冊です。『鳥人王』が2024年2月の刊行、『競歩王』が2022年6月の刊行となっておりました。上の写真は競歩ではなく800m走の様子ですが、陸上競技つながりということで。

『鳥人王』がなかなか芽の出ないお笑い芸人と大学生アスリートだったのに対して、『競歩王』はスランプに陥っている小説家と大学生アスリートのお話。本書の一文目「ひどく矛盾した競技だった。」が、わたしの持っていた「競歩」のイメージそのもので、「だよね~」と引き込まれました。

作家である主人公とともに、競歩がどのような競技であるのかを学びながらの読書となりました。どんなスポーツもそうだと思いますが、少し知識が増えるだけで、見え方がずいぶん変わってくるものですね。正直なところを言えば、これまでまったく競歩の試合を観たいと思ったことがありませんでした。それが読後は、機会があれば見てみたいな、という思いに変わっていますので、すごいことだと思います。

と同時に、小説家という仕事についても、なるほどそういうものなのかと、のぞき見したような気持になりました。主人公の設定は、高校生のときに受賞デビューした天才(と言われた)小説家。もちろんフィクションであるとはいえ、昨今の出版業界の事情が垣間見えてくるような感じで、これまたとても興味深かったです。小説を書き続けていくというのは、きっとたいへんなことなのだろうな、と。

1990年生まれという著者。サイトを拝見したところ、スポーツ小説、青春小説を主に書いていらっしゃるようです。まだ読んでいないものばかりですので、ちょっと追っかけてみようと思います。