読書『鳥人王』(光文社)額賀澪著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『鳥人王』(光文社)額賀澪著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、初めましての著者さんです。ゴールデンウィーク中にたくさん本を借りてきましたので、ほかにも「初めまして」がありましたが、個人的に一番のヒットが本書でした。

30歳を超えて芽の出ないお笑い芸人が、「アスリート芸人」としての仕事をこなしていくなかで自問する迷いと葛藤。テレビ欄を埋め尽くすバラエティ番組の数々は、たくさんの芸人さんに支えられている(と視聴側であるわたしからは見える)けれど、その裏側というか、出演している芸人さんたちの心の中はこんなふうに吹き荒れているのかもしれないな、と思わせられるものでした。

最初は主人公とは対照的な登場人物として現れたかに見えた「オリンピックを目指す爽やかイケメン大学生アスリート」はじめ、登場人物それぞれが持つ「ちょっとした闇」や「ちょっとした傷」や「ちょっとした葛藤」が、きっと多くの読者にも心あたるのだよなと感じました。自分と、経験や考え方がぴったり重なる登場人物はいなくても、要素要素がところどころ重なるのよね、という感じ。

なかでも「いるんだよなあ。友達のままの方が関係良好だったカップル、仕事仲間にならない方が良かった友達、仕事にしない方が楽しかった趣味、その他諸々」というセリフは、沁みました。何歳までなら夢を追っていいのか、何を選ぶのが合っているのか、誰とならうまく行くのか。きっと決まった正解は無いし、どこで見切ったらいいのかなんて、誰にもわかりません。あきらめないから掴めるものもあれば、あきらめたからこそ掴めるものもあるわけで。なんてことをぼんやり考えさせられました。

同じ光文社から著者の『競歩王』なる本が出ておりました。「鳥人」が棒高跳びで、「競歩」はそのまま競歩。このシリーズはスポーツ小説とでもいう分野になるのかなぁ、と思いつつ、『鳥人王』が面白くてサクッと読めましたので、こちらも読んでみたいと思います^^

『鳥人王』(光文社)額賀澪著

カメリアステージ歴史資料館で開催中の「令和5年度発掘速報展」を見て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

カメリアステージ歴史資料館で開催中の「令和5年度発掘速報展」を見て参りました。

福津市のカメリアステージは、1階が歴史資料館とカフェ、2階が図書館の文化施設です。1階の歴史資料館には、世界遺産・新原奴山古墳群に関する常設展示室があります。コンパクトながら重要な遺物等を展示するための基準を満たす特別展示室がふたつ、その周りに回廊になっている展示スペース、そして机と椅子が備わり閲覧可能な書籍資料の部屋。そして常設以外に、ときどき企画展・展示解説があります。

毎年恒例となりつつある「発掘速報展」。福津市の文化財課が行っている発掘調査の成果を、展示解説で観ることが出来ます。現在、令和5年度の発掘調査の成果が展示されており、図書館ついでに覗いてきました。今回は遺物の展示はとっても少なくて、正直なところちょっと拍子抜けしてしまいましたが、それでも身近にある古墳群がどのようになっているのか、その一端を覗き見ることができるのは魅力的です。

出土した遺物のなかで「ほお!」と思ったのは、小ぶりの土師器の瓶。完全な形ではありませんでしたが、形状が可愛らしく美しく、いいなぁ、と思いました。そして今回の見どころは、写真資料による石室の様子。大きな板状の石を使った床、壁、天井、棚は、思わず「すごいなぁ」と声が出ます。このような感じの石室には、実際に古墳で何度か入ったことがあるので、写真を見ると、全体のイメージが頭に浮かびます。ここにある古墳もそんな作りなのね、と思うとワクワクし、近い将来、公開されるようなことがあったら、ぜひ行ってみたいな、と思えばさらに嬉しくなります。

報告書によれば、これまで円墳だと思われていたものが、前方後円墳である可能性が出てきたとのこと。調査によって歴史が書き換わる面白さを、ごくごく身近で感じることができる贅沢です。こういうものを見ると、また発掘調査係に登録したいなぁという考えが出てきます。わたしが掘ったことがあるのは、江戸時代の遺構でしたので、そこから歴史を大きく遡る古墳発掘は、憧れなのです。

↓昨年度の企画展の様子はこちら↓

津屋崎千軒「藍の家」で五月人形の展示を見て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

津屋崎千軒「藍の家」で五月人形の展示を見て参りました。

連休中はご近所で。登録有形文化財の「藍の家」では、五月人形の展示が開催されています。三月のお雛様も、毎年大がかりな展示と撤収がたいへんそうですが、五月人形も古いものの寄贈が増えてきたようで、年々充実してきているように思います。

入ってすぐのところには、今年から仲間入りしたという面々が飾られていました。古いものを扱うのは緊張した!とは、展示をなさった藍の家スタッフさんの弁。

藍の家 五月人形

雛飾り同様、やはり「道具類」に目が行きます。破魔弓・破魔矢に鎧兜。ここの展示の良いところは、ガラスケースに入っていないところ。間近で見て参りました。

藍の家 五月人形

郷土工芸の「津屋崎人形」の金太郎は愛嬌があって、見ている方が思わず笑顔になります。

藍の家 五月人形

奥にどっしり構えていたのは、ふくよかなお人形さん。脇に控える張子の虎の姿が良かったです。ミニチュア(というには少し大きめでしたが)の菖蒲の花、粽(ちまき)、柏餅などが供えられて、立派でした。

近々津屋崎方面お越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ^^

津屋崎千軒「藍の家」

ご近所のゴールデンウィークの様子―津屋崎浜とあんずの里。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ご近所のゴールデンウィークの様子―津屋崎浜とあんずの里。

連休後半はお天気に恵まれています。青い空青い海。朝早くから海の上を目指すボートや遊漁船の方々が集まってきているようです。

朝から近くの農産物直売所「あんずの里市」に買い物&散歩。桜の花も杏の花も終わり、新緑が美しいです。海の方を見れば、鯉のぼりがはためいていて、テンションが上がりました。水の張られた田んぼ、その先に青い海。眼福です。10分ほどお散歩をして、直売所の店内へ。人の多さに、連休を感じました。お野菜類も、連休前に比べると量・種類ともに多めで、嬉しくなります。

あんずの里

帰途に就くと、対向車線は宗像方面に向かう車の列ができていました。ふだんほとんど混まない道路なので、あまり見ない風景でしたが、おそらく道の駅宗像を目指している方々かな、と。ともあれこの495号線は、片側に新緑、反対側には海と、とても気持ちの良い道路なので、ドライブにも最適です。

花祭窯の前から歩いて海の方へ散歩に出れば、威勢の良い掛け声がして、海の上に視線が向かいます。近所の水産高校のカッター部の練習風景は珍しくありませんが、いつも以上に気合が入っているように見えるのは気のせいでしょうか。統率された動きが美しかったです。写真を大きくすると、その美しさを見ていただけます。

津屋崎浜

海の色も、夏が近づいてきていることを感じさせます。この透明感、この青さ。そのまま歩いて津屋崎浜から宮地浜へ向かえば、天気の良さと気温の上昇につられた人々が、服のまま海に入っているのが見えてきました。と思ったら、なかにはビキニスタイルの水着でばっちり海水浴を楽しんでいる人も。

やはり人がいつもより多いので、避けながらの砂浜散歩。楽しんでいる人たちをウォッチングしながらの散歩は、思わずこちらまで笑顔になります。

今日までは青空が続く予報。皆さま、引き続き良いお休みを♪

最近お気に入りの、購買行動パターン。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

最近お気に入りの、購買行動パターン。

とっても個人的な話ですが、自分の購買行動パターンの変遷が面白いなぁと思っています。インターネットで買い物をするのが当たり前になった昨今ですが、わたし自身がネットショップで買い物をしていたのは、20年前~10年前が一番多かったように思います。2000年からオンラインショップの運営を始めたので、その勉強を兼ねて、他店での買い物をすることが多かったことと、当時は佐賀花祭=山のなかに住んでいたので、ネットで注文して宅配で届くという恩恵が、とても大きかったのです。

もともと物欲があまり無いといいましょうか、ウインドウショッピングが苦手です。買いたいものがあるときは、お店のそのモノのところに直行直帰してしまうタイプ。ですので、ピンポイントで検索してモノを購入できるネットショッピングは、わりと性に合っていました。ただそうすると、極端に視野が狭くなり、世の中の動き・流れのようなものが見えにくくなるという感じもあります。だんだんと、買い物の機会にはできるだけ「売り場を歩く」をすべきだと思うようになりました。

そんなわけでここ数年は特に、指名買いでお店(ネットショップ)が決まっているもの=そこでしか買えないときや、どうしてもその人から買いたいときはネットショップを使いますが、そうでない場合は、実店舗でモノを見て買うことを意識するようになっています。佐賀の山奥から、博多まで1時間弱の立地に移ってきたことも、大きく影響しています。実店舗への足の運びやすさ、ですね。結果、年々オンラインでの買い物頻度が減ってきています。

そして最近のお気に入りの購買行動パターンは、「ネットで注文、リアル店舗で受取り」。「マスト」なものを確保したうえで、リアルの売り場にも足を運ぶことになりますので、「その周辺のもの」も視野に入れることが出来ます。お店が混雑していたり、自分が急いでいるときは、受け取ってサッと帰ることも出来ます。両方のいいとこどりです。

このパターンでわたしが最近比較的よく使うのは、紀伊國屋書店、無印良品、ヨドバシ、エディオンなど。自分の足を運ぶ範囲にリアル店舗が無ければなりませんので、大手流通になりがちではありますが、「ネットで注文、リアル店舗で受取り」が出来るお店は、どんどん増えているような気がします。注文時に実店舗に無くても、取り寄せが出来るケースがほとんどなので、それも助かります。

それにしても、こうして買い方を選択できる世の中になったのは、すごいことですね。恩恵を享受しつつも、できるだけ無駄のない購買行動をしていきたいな、と思います。

佐賀の小城羊羹(おぎようかん)が美味しい。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

佐賀の小城羊羹(おぎようかん)が美味しい。

連休期間に入り、ご来店のお客さまがなんとなく続いております。そんななか、先日佐賀方面からお越しのお客さまから、大好きな小城羊羹を手土産にいただきました。

佐賀に住んでいた頃は、週末になると家族で「羊羹や巡り」をしておりました。花祭窯の創業地から小城羊羹の街までは車で10分ほど。有名どころの村岡総本舗、村岡屋、八頭司伝吉のほか、小規模な羊羹やさんがたくさんありました。かなり足を運んだ気がしていますが、それでもまだ行ったことのない羊羹やさんがあります。

さて、お土産にいただいたのは、むら雲堂本舗さんの村雲羊羹。実は、小城羊羹巡りをしていた頃、一番おいしいと思ったのが、村雲の白練り羊羹でした。久しぶりに村雲の白練りをいただいて、豆の味に感動。とっても贅沢な気分になりました。

今も佐賀に窯業材料を仕入れに行ったり、花祭の手入れをしに行ったりするときには、だいたい小城羊羹を買って帰ります。小城の高速入り口に近い村岡総本舗の本店が便利なので、そこで外側が砂糖の結晶でザクザクになる昔羊羹を買うのが定番になっています。上の写真は、その「昔羊羹」。安定の美味しさで、迷わずサッと買えるのがよいのですね。でも冷静に考えたら、むら雲堂本舗さんもすぐ近くにあるのですから、たまにはそちらで購入するという選択があっても良いのです。

ゴールデンウィークが明けたら、佐賀出張(というほど遠くではありませんが)の予定がありますので、久しぶりに別の羊羹やさんで買ってみようかな、と思いました。

小城観光協会のホームページには、小城羊羹のお店リストが載っています♪

むら雲堂本舗

村岡総本舗

自分のなかに無意識にある「スケール感の標準」を突破するには、外からの働きかけが一番。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。このところなぜか、ブログのタイトルが長くなりがちです(笑)上の写真は、最近生で観て「でかっ!」と思ったラクダのはく製。この展覧会の会場で、このサイズのものに出会うと思っていなかったところに現れたので、かなりびっくりしました。

自分のなかに無意識にある「スケール感の標準」を突破するには、外からの働きかけが一番。

ダンナ・陶芸作家藤吉憲典の制作における話なのですが、このタイトルを書き終わった時点で、「これって何事においてもそうかも」と思いました。そもそもは、長年のお付き合いの料理人さんからご相談があったことがきっかけです。この方は昔から、いろいろなチャレンジを藤吉憲典に投げかけてくださってきています。

今回は、藤吉憲典がこれまで作ってきたものから考えると「かなり大きなもの」にチャレンジすることになりました。もともと「小さいもの」が好きだし得意な藤吉憲典。食器についても、尺皿・尺鉢あたり=直径30cm前後のものが最大かなぁ、というサイズ感が無意識に標準になっていたと思います。それだってしょっちゅう作るものではなく、文字通り「手のひらサイズ」の作品が多かった、というのがこれまででした。

ところが今回、藤吉作品としては珍しく大きな「尺越えサイズ」のものを作ることになり、手を動かして取り組んでみると、案外すんなりうまく行くことが判明。これまで磁器作家として、多様な技術と経験を積んできているのですから、それらを動員すれば当たり前といえば当たり前なのですが、それも実際に手を動かしてみないと分からないことです。結果、ほんの数日で、それまでは「大きくてたいへん」だと思っていたサイズが、作家にとって「作れるサイズ」の新基準になりました。要は単に、これまでやっていなかっただけということですが、嬉しい変化(進化)です。

先日作家が内覧してきた銀座黒田陶苑さんの新しい展示室が、かなり広く、大きなものが映える空間ということでしたので、グッドタイミングに七月の個展で「これまでよりも大きめの、藤吉憲典作品」をご覧いただける機会になりそうです。もちろん、大きなスペースに小さいものをたくさん並べたらどう見えるかも面白いところですから、これまで通りのサイズのものもたくさん並ぶ予定です。

結局自分の作るもののサイズにライン(制限)を引いていたのは、自分自身だったということで、本人が納得できる(そして面白がって取り組める)機会さえあれば、あっけなく取り払われるものでした、というお話。そしてそれは、誰にでも、なんにでも当てはまることがありそうですね。わたしも無意識の「要らん制限」は、どんどん取り払っていけたらいいなと思います。今回、ダンナに機会を提供してくださった料理人さんに、心より感謝です^^