お天気がいいので、図書整理。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お天気がいいので、図書整理。

放っておくと、仕事場にどんどん本が増えていきます。図書館を活用しているので、手元にあるのは「側に必要な本」ではあるはずですが、それでも時間が経つと、その顔触れに「古さ」が出てきてしまうこともあります。本日、文化の日は気持ちの良い晴れとなりましたので、時間を見つけて図書整理。

まずはデスク上に並んでいるものから。英語の辞書を含めて3~4冊のスペースのはずが、いつの間にやら6冊に増えています。ここは、使用頻度の高いものから順に3冊に減らしました。次に、デスク横の本棚。大きさにもよりますが、ここには30冊ほど並びます。背表紙をこちらに向けて縦に並べているのですが、その本の上=棚板までの隙間に、平積みの状態で本が積み重なっています。50冊ほどに増えていました。

まずは目に見えているところから、最近手に取っていない本をどんどん取り除いていきます。さほど悩むこともなく、とりあえずそこにあるべき本は10数冊まで減りました。次は、居間にある本棚(というか、三段ボックス)に詰め込まれている本をチェック。そこからデスク横に移動すべき本を数冊だけピックアップ。デスク横の本棚スペースに数冊追加できる余裕がある状態で、整頓完了です。

本棚から出されてしまった本たちは、図書室(自称!)の本棚へ。図書室には、すぐには使わないけれど、あるべき本が並んでいます。画集や文学全集や百科事典など重厚なものは、この図書室の重鎮。ここに、デスク周りにあった本たちが移動していきます。移動が済んだら、本日の図書整理完了。あとはまた別の日に、図書室からリサイクルに回す本を出す作業をすることになります。これは年末までにできればOKというところ。

本棚はわたしにとって、いわば外部記憶装置のようなもの。これを整理整頓することは、頭の中の整理整頓にもなります。ついつい後回しになりがちですが、思いついて取り組むと、実際に頭がすっきりした感じになります。これをしておくことで、つい「同じような本」を重ねて買ってしまうミスも減らせます。

お天気に釣られて、タイミングよく図書整理ができました。今日は文化の日。地味ながらも文化的な仕事ができたかも、と満足。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 藤吉憲典の挑戦」パンフレットが出来上がりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 藤吉憲典の挑戦」パンフレットが出来上がりました。

「展覧会パンフレット(図録!?)を作成中」とアップしてから、数日しか経っていませんが、完成品が届きました。出稿データを速やかに美しく形にしてくださる印刷のウェーブ(株式会社ウエーブ)さんに、心より感謝です。

嬉しいので、本日は中身をちょっとだけご紹介。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 藤吉憲典の挑戦」

写真だけではなく、論考や年表などの資料も入れています。「肥前磁器(ひぜんじき)」という単語を初めて聞いた方でも楽しんでいただけるよう、解釈のちょっとした手引きになればと思います。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 藤吉憲典の挑戦」

資料の制作には、いろいろな文献にお世話になりましたが、これまでにもサイトや作家のポートフォリオなどを制作する際に調べてきた内容でしたので、比較的スムーズにまとめることができました。

年表などの資料も入れています。

11月11日(木)から16日(火)までの会期中、受付にて1冊700円で販売いたします。展覧会は入場料無料ですので、入場料代わりにお買い求めいただければ幸いです。また、会期が終了しましたら、花祭窯のオンラインショップ「蕎麦猪口倶楽部」でも販売予定です。こちらは送料含め1000円になる予定です。どうぞお楽しみに!

今年もそんな季節。来年の手帳を手に入れました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年もそんな季節。来年の手帳を手に入れました。

11月がスタート。今日から新しい手帳です。まだちょっと早いかしら?と思いきや、今年(2021年)の手帳は、昨年(2020年)の10月下旬に手に入れていましたので、やはりそんな季節なのですね。

「紙の手帳派」を貫いているわたしにとって、1年間いつも手元にある手帳は、大切な相棒です。スマホ全盛の世のなかにあって、手帳を触る数の方が未だ多い(笑)。手作り靴と革小物のお店cokeco さんに作っていただいた革の手帳カバーも、もう7-8年目に入りました。手帳カバーを決めてからは、中身の「書きやすさ、見やすさ」だけを考慮して選んだらいいので、手帳選びの時間はずいぶん短縮されました。

そして中身の手帳も、博多駅アミュプラザにお店のある「Smith」さんで見つけ、気に入って使い始めたものが3年目に入ります。月次カレンダーのデザインのシンプルな美しさと、紙質が気に入っています。店内のどの棚にあるかもわかっているので、2022年版をサッと購入。手帳売り場で何時間も迷っていた頃がウソのようです。あの迷う時間は、それはそれで面白くもありましたが。

11月12月のスケジュールを新しい手帳に写し、スケジュール以外にも「いつも手帳を開けば確認できる」ように、覚書き・大切なことを書き写します。「利休七則」「南方流茶道訓」「経営理念」などなど。毎年少しづつ変わりますが、何年もの間、書き継がれているものが多いです。こうして買ってきた手帳を「自分仕様」に整えていきながら、やっぱ紙の手帳よね!と自己満足。この手帳スタイルで来年も参ります。

ハイヒールの靴を履くと、背筋が伸びるというか、伸ばさねばならない。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ハイヒールの靴を履くと、背筋が伸びるというか、伸ばさねばならない。

ときどき、どうでもいい話^^。先日、約15年ぶりにハイヒールを履きました。7cm。「東京靴流通センター」や「SHOE・PLAZA」で知られる靴のチヨダさん(株式会社チヨダ)のSHOE MAGなるコンテンツによると、2-3cmがローヒール、5-6cmがミドルヒール、7cm以上がハイヒールとのことなので、7cmはハイヒールのなかでは一番低いことになりますが。

そもそも背が高いので、履いてもミドルヒールの靴。妊娠出産以降は十数年以上、ほぼローヒールでした。山のなか、あるいは海辺の町での日常生活には、ハイヒールを履く必要性を感じる機会はほぼ無く、たまに出番があっても4-5cmの靴で十分です。

ところがつい先日、久しぶりに外出先の靴屋さんで「形の美しさ&履きやすさ」に惹かれて買った靴が、久々の(たぶん20代以来の)ハイヒールでした。若い頃から「おしゃれのために、やせ我慢をする」ことが全くできない性分なので、どんなに形が美しくても、歩きにくいものはNGです。でも、あまりにも足にフィットしたので、カカトの高さをよく確認せずにゲット。

さて、歩くときは「膝が曲がったままにならないようしっかり伸ばす」「猫背にならないようにしゃんとする」「きちんとカカトから足を着く」の三大原則を意識します。以前、福津市の郷育カレッジの講座「正しい姿勢と歩き方」で学んだ内容。特に前の二つは、わたしも含め、背の高い女性が無意識に陥りがちな癖です。

久しぶりに博多の街中をハイヒールで歩きまわり、数日を経てのご報告としては、ふくらはぎはもちろん、腹筋背筋にも筋肉痛。ああ、やっぱり筋肉使うのね、と実感したところです。自ずと出た結論は「美しい立ち姿、歩き姿を目指すには、筋力が必要」。少しづつ意識して鍛えてまいります^^

展覧会パンフレット(図録!?)の作成に挑戦しています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

展覧会パンフレット(図録!?)の作成に挑戦しています。

11月は福岡アジア美術館で展覧会。『磁器作家 藤吉憲典の挑戦』を作り上げる過程は、同時に「窯元おかみ、ふじゆりの挑戦」でもあります(笑)。仕事で新しいことにチャレンジするのは、創業以来絶え間なく続けていること。今回の試みも楽しんでおります。

美術館での展覧会といえば、図録!ふだんは見る方の専門である「図録」。今回制作するものは、図録というにはページ数も少なく簡易なものにはなりますが、大切な「記録」のひとつになると思うと、気持ち的に力が入ります。まずはこれまでに手に入れてきた、様々な展覧会図録を眺めつつ、どんな構成で作るかイメージ。上の写真は、参考にしたひとつ、九州陶磁文化館・柴田コレクション展の図録のひとつ。

当初プロのデザインやさんにお願いしようと思っていたものの、冷静に考えたら期日が迫っていてちょっと無理だと判明。中身のイメージはほとんど頭の中にできていたので、自力で作ることに決定。ほんとうはその「イメージを形に落とし込んでいく作業」こそ、プロの手を借りるべきところなのだと思いますが、今回は致し方無しということで。まずは印刷屋さんに出稿する仕様を確認するところからスタートです。

中身=文章と写真の検討は、ダンナ=作家の頭のなかにあるイメージと、わたしの頭のなかにある資料ストックからコンテンツを組みたて、足りないものを少し補う程度で揃いました。文章も写真も、ホームページ制作やSNS投稿、お取引先への情報提供など、これまでもたくさんのコンテンツ向けに作ってきているのが、役に立ちました。

文章と写真を組み合わせ、足し、引き、展覧会図録にふさわしいものに構成していく作業は、神経も使いますが、なかなか楽しいものです。なによりも、実際の会場展示のイメージとコンセプトの確認につながりました。制作物はあくまでも展覧会の補助的なものであって、メインは展示ですから、展示前にこの作業ができたことは、いい練習になりました。こうして準備物を整ていくことが、展示につながっていくのだなぁと実感。

写真は新たにDigital Artist日浦さんに撮っていただき、これまでにabc picturesの赤司さんに撮っていただいていたものと、合わせて準備。印刷はいつもの印刷のウェーブ(株式会社ウエーブ)さんにお世話になりました。

今月末(もうあと2日ですが)には印刷が上がってくる予定です。どうぞわたしが編集でミスをしていませんように!出向前に何度も確認したものの、ドキドキです。

久しぶりのクラシックコンサート。素人だからこその、鑑賞の特権。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりのクラシックコンサート。素人だからこその、鑑賞の特権。

東京ほどではないものの、制限の続いた福岡県。緊急事態宣言も、まん延防止措置も解除となって、少し気分的にほっとしていたところに、「秋のお客様大感謝コンサート」なるご招待をいただきました。地域のコンサートホール宗像ユリックス九州交響楽団(以下、九響)の粋な計らい。

今回は「クラシックコンサートが初めての方でも楽しめるように」考えられたプログラムということで、聞き覚えのある曲、初めてでも楽しめる曲が並びました。上の写真はそのプログラムの一部。ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズのテーマ」でスタートし、オーケストラを構成する楽団・楽器を紹介する「インストゥルメンタル・ブルース」を経て、ヴィヴァルディ「春」、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ベートーヴェン「運命」、スメタナ「モルダウ」と続きました。

素人・初心者にやさしいコンサートを実感しました。「初めての方でも楽しめるように」がしっかりと伝わってくる選曲・曲の並び。わたしは音楽を聴くのは好きですが、楽器はしないし、知識的にもほとんど情報を持っていません。だからこそ、ジャンルを問わずコンサートで思うのは「自分の好きな音かどうか」だけ。 横山奏さん の指揮による九響オーケストラが奏でた音は、とっても好きな音でした。

指揮を務めた横山奏さんの「おはなし」からも「優しいクラシックコンサート」のコンセプトがしっかり伝わってきましたが、それはあくまでも補足的なもの。自分が好きかどうか、音が心身に響いてくるかどうかに、知識は要りません。音楽を学んだことのある人は、きっとそうもいかないのかもしれないな、と思うと、素人だからこその鑑賞特権を嬉しく思います。

こういうとき、いつも思い出すエピソードがあります。それは一流の日本料理人さんとお食事に行ったときのこと。「和食の会食は、いろいろと目についてしまって心から楽しむことができないから、フレンチや中華の方がいい」とおっしゃったのを思い出すのです。どんなジャンルでも、純粋に自分自身の五感で味わいたいと思ったときに、「知らない」ことは大きな強み。

ともあれ、「耳に入ってくる音」「響いてくる振動」だけを純粋に味わうことのできた、贅沢な時間でした。

11月は福岡アジア美術館で展覧会『磁器作家 藤吉憲典の挑戦』準備進捗状況。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

11月は福岡アジア美術館で展覧会『磁器作家 藤吉憲典の挑戦』準備進捗状況。

初日まで約2週間となり、じわじわ差し迫った感じがしてまいりました。協力や後援のお名前の入ったチラシ第2弾もできあがり、会場設置用のポスターも出来上がり、アジ美のご担当者さんとの打ち合わせも終わり、いよいよという感じです。あとは展覧会冊子の印刷ができあがれば、制作物はほぼ完了。当日に向かっては、告知と、こまごまとした準備を進めていくばかりです。↓こちらは刷り上がりがイメージ以上で嬉しくなったポスター↓。

古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 磁器作家 藤吉憲典の挑戦


古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ
磁器作家 藤吉憲典の挑戦

【会場】福岡アジア美術館8F交流ギャラリー(福岡市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル8F)

【会期】2021年11月11日(木)-11月16日(火)

【時間】9:30-18:00(金・土は-20:00、最終日は-15:00)

【入場無料】

【問合せ】花祭窯(TEL0940-52-2752)

磁器作家 藤吉憲典の挑戦 イベントページ

福岡のアート情報を発信してくださっている、プラスフクオカさんでも、イベントページでご紹介いただいています。ありがとうございます!

見どころの多いシーズン到来@津屋崎浜。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

見どころの多いシーズン到来@津屋崎浜。

秋ですね。このところ週末になると、海に沈む夕陽を見ようと(撮ろうと)たくさんの人が浜に出ています。春と秋に、参道と夕陽の光が重なる「光の道」で有名になった宮地嶽神社。その参道から、そのまま海岸に降りてくると↓このような景色↓がみえます。

津屋崎浜

気温が下がってきたので、浜辺にカモメやら千鳥やらの姿が増えてきました。千鳥は年中いるように見えますが、種類がいろいろとあるようで、夏の間はあまり見かけなかった種類が増えてきました。逆に、夏の間によく追いかけっこをしていた千鳥は、居なくなっています。ともあれ1羽でいても、集団でいても、可愛い千鳥。近づいてもあわてて飛ぶではなく、しばらくはトコトコと歩いて距離をとろうとします。

津屋崎浜

そして、福津観光スポットのひとつとして最近一気に売り出し中の「鏡の海」ですが、腕にまったく覚えが無くても、意図しなくても、まあまあそんな写真が撮れます(笑)。この鏡の海、実際には砂浜の上に海水面がうっすらと残っているだけの状態なので、靴をまったく濡らすことなく歩くことができます。ですが視覚的には、空のような海の上のような場所を歩くことになり、ずっと歩いていると、足元がおぼつかないような酔うような感覚になります。

津屋崎浜

ちなみに上の写真でわたしが撮りたかったのは、鏡の海ではなく、ここ数日で一気に数が増えたカモメ。そういえば昨年教えてもらった「アイルランドの国鳥」であるミヤコチドリの姿も見えました。気が付くのが遅くて撮れませんでしたが。

夕陽に、野鳥に、鏡の海。「ちょっとそこまで散歩」で出会える景色が奇跡的に美しいありがたさです。

郷育カレッジ講座『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』に参加してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』に参加してまいりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。令和3年度は7月に開校式を開催したものの、コロナ禍による「緊急事態宣言」や「福岡コロナ警報」といった制限が続いて、講座の中止を余儀なくされておりました。10月になってやっと解除になり、講座スケジュールも再開となっています。

さて 『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』 。ふだんは60代、70代の受講者が多い郷育カレッジ講座ですが、土曜日の開催とあって、嬉しいことに小中学生の参加者が三分の一を占めました。講師は郷育カレッジ学長でもあり、図書館での活動を長くなさっている成清鉄男先生。カメリアステージ図書館の説明と館内探検は、図書館長の森さんがご担当くださいました。

座学で図書館活用の概要を学んだあと、実際にカメリアステージ図書館へ。森館長の案内で、一周しました。書架の構成・特徴、企画展示の説明など、ふだんから通っている図書館であるものの、説明を聞きながら周るとまた新たな発見があるから不思議です。郷育カレッジ講座の運営側の一員として、一参加者として、充実した時間となりました。

福津市には福津市図書館とカメリアステージ図書館の二つの図書館があり、図書館探検は、一年ごとに交代で開催しています。市民にとって価値の高い講座内容なので、継続的にカリキュラムに入れています。数年おきに参加すると、図書館自体の進化も感じることができます。知ってますます好きになる図書館です^^

読書『キリギリスのしあわせ』(新潮社)トーン・テレヘン著、長山さき訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『キリギリスのしあわせ』(新潮社)トーン・テレヘン著、長山さき訳

オランダから届いたお話。読後にまず思ったのは「読後感」に既視感があるということ。とてもやさしくて、ちょっぴり切ない、そんな気持ちなのですが、過去にもそんなことがあったような。すぐにその理由がわかりました。『くまのプーさん』です。でも、キリギリスのお話の方が、プーさんのお話よりも、切ない感じ、不条理感がちょっぴり大きいかな。あくまでも個人的な感想ですが。

くまのプーさんは、石井桃子さんの訳が素晴らしくて、さらに大人になって原著を読んだら、石井桃子さん訳のイメージにぴったりの語感の英語が並んでいて、とても嬉しかったのです。本著『キリギリスのしあわせ』も、長山さきさんの訳が素晴らしいからこその、この読後感なのだと思います。ただ、原著はオランダ語になりますので、語感の確認は私には難しいですが。

『キリギリスのしあわせ』 にはいくつものお話が入っています。「なんだかちょっぴり不条理」な感じのお話も。とてもいいな、と思うのは、それらのお話から、教訓めいた説教臭い感じが一切してこないこと。同じストーリーでも、教訓めいた雰囲気が出た途端に、鼻白んでしまいますので。「ただ、そうなんだよ」というお話を書くことの方が、もしかしたら難しいのかもしれませんね。そう考えると、貴重な出会いです。

著者の『ハリネズミの願い』(新潮社)が2017年に本屋大賞の翻訳小説部門賞を受賞しているということでした。まったく存じませんでしたので、これはぜひ、遡って読んでみようと思います。