海がある贅沢。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海がある贅沢。

このところブログのアイキャッチ画像が連続で海の写真でした。無意識でしたが。そういえばSNSのフィードに流れてくる、近所の友人たちの写真にも、いつにもまして海が増えてきた今日この頃(笑)

海の近くに住んでいると、秋冬春に暴風が吹いたり、潮風でいろいろなものが錆びたり傷みやすかったり、特有の少し困る点もあります。が、それにしてもあまりある恩恵。

日が長くなってきたと思ったら、先週末は夏至でした。夕食後に「海と夕陽」を見にちょっとそこまで散歩、ができる贅沢。

津屋崎浜は内海になっているので、風が無いと上の写真のように鏡面のような穏やかさです。湖か⁉というくらい。この穏やかさに慣れると、風が強く波が立ったときに「おお、海っぽい!」と思ってしまいます。

鷺発見(見えるかな?)。津屋崎浜からは干潟が続いているので、生きものが豊かです。それを狙って、鳥たちも集まってきます。

ぐるりと半円状の海岸線。徒歩30秒でこの景色を満喫できる贅沢。目の前が開ける景色に、気持ちも開放。ありがたい環境です。

読書『日はまた昇る』(早川書房)

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読書『日はまた昇る』(早川書房)

アーネスト・ヘミングウェイ著、土屋政雄訳。これまでも何度か手に取り、途中までは読んでいましたが、このたびようやく読了。つくづく「本を読むタイミング」ってありますね。読むつもりで手にとっても、まったく内容が入って来ないときもあれば、同じ本が別のタイミングではスイスイと入ってきます。

新書版の訳者・土屋政雄氏は、カズオ・イシグロ作品の訳書でもなんどもその文章を読んでいます。わたしにとっては、今回もその日本語表現がとてもしっくりきました。名作がときどき「新訳」で復刊されることにはきちんと理由があるのだなぁ、と思いました。

ヘミングウェイの最初の長編であり初期の代表作と言われている本書。あらためて、27歳の時の作品というのがまず驚きです。その若さで、登場人物の心の機微をこのように描けるものなのですね。解説では「粗削り」とされていましたが、その後の作品を読むことによって、そう感じられるのでしょう。このあと『誰がために鐘は鳴る』を読もうと思っていますので、楽しみです。

舞台は第一次世界大戦後のヨーロッパ。ヘミングウェイ自身が戦後パリで経験したのであろう環境が、色濃く反映されているのだろうと思えました。登場人物は、イギリス人、フランス人、ユダヤ人、スペイン人…主人公はヘミングウェイと同じアメリカ人であるものの、そのことを忘れそうになりました。

主人公はじめ、登場人物それぞれが、プライドと自嘲の間を行ったり来たり。とても切なかったです。そして、直接的な表現はないものの、戦争の悲惨の影がずっとつきまとっていました。分類すれば「恋愛小説」ということになるのかもしれませんが、もっと重々しいものを感じました。

その後の作品を読んだ後に、もう一度読み返したい本です。

○○初心者。

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○○初心者。

という、さりげない言いまわしに感心した出来事がありました。ご近所友だちが「わたし津屋崎初心者なので教えてください」とおっしゃったときのこと。

その方は代々この地・津屋崎に住んでおられる家系の若旦那。対するわたしたちは、ここに移住してきて9年目。この歴史的年数だけ見れば、どちらが津屋崎初心者かといえば、圧倒的に私たちなのですが。

この会話が交わされたのは、彼がお子さんの手を引いて「海岸のどのあたりに行けば、子ども連れで潮干狩りが楽しめるか」を思案していた時のことでした。たしかに「小さい子どもがいる状態での津屋崎」については、彼は初心者であり、わたしたちは経験者。さらに津屋崎浜を毎日朝な夕な散歩している我がダンナは、その道のベテランと言えるかもしれません(笑)。

ということで、ダンナが紙にささっと地図を描き「このあたりがいいよ」と、潮干狩りポイントをレクチャー。後日伺ったところによると、無事、家族で潮干狩りが楽しめたようです。

何気ないおしゃべりのなかで「津屋崎初心者」という言葉が無意識に出て来たのだろうと思います。その響きには自然な謙虚さがあって好ましく、そういう言い方があったかと感心したのでした。自らを振り返っても、子育ては分からないことだらけで、まさに「初心者」場面の連続であったことを思い出しました。

自然体で好ましい言葉遣いができる人に、とても憧れます。「言葉を選ぶ」という言い方がありますが、そういう人はおそらく意識的には選んでもいないような気がします。気持ちがそのままきれいな言葉に載るのですね。そんな言葉づかいができるようになりたいです。

2020上半期読書ベスト3。

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2020上半期読書ベスト3。

少し早いですが、半年振り返り。この上半期は家にいる時間が長かったので、読書数も増えているかもしれないと、数えてみました。写真は図書館が臨時休館する前に本を借りてきたときのもの。

さてブログにあげているだけで15タイトルありました。そのなかに上下巻ものやシリーズものもあったので、冊数で換算したら20冊を超えます。月平均3冊以上ペースは、自分としては十分充実の読書生活と言えます^^


第1位『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)
トルストイ。読んでいなかった名作シリーズです。国も時代も環境も自分とはまったく異なる登場人物の「ダメなところ」に共感しつつ、この年齢だからこそ理解できる機微を楽しむことのできた本でした。

第2位『三銃士』(角川文庫)
アレクサンドル・デュマ。昨年はまった『ハリー・ポッター』同様、登場人物の魅力がそのままストーリーの面白さとなっていました。『ダルタニヤン物語』の続きは是非読みたいと思っています。

第3位『新・リア王』(新潮社)
高村薫さん。『晴子情歌』に続く上下巻で、ボリュームも内容も圧巻でした。現在の日本の状況と合わせて、政治の問題、地域の在り方の問題を考えさせられました。高村薫さんの本、特に2011年以降の既刊でまだ読めていないものがあるので、折を見て読みたいと思います。


顔ぶれからわかるこの上半期の読書傾向の特長は、小説の多さでした。それも、ボリュームのある長編。ベスト3も小説で、いずれも上下巻、あるいは上中下巻でした。小説をたくさん読むのは、現実逃避的傾向とも言えるのですが(笑)、仕事頭からスカッと切り替えることができていた、という前向きな捉え方もできましょう。

最近の本のニュースで嬉しかったのは、カズオ・イシグロ氏の新作ニュース。日本では来年春に刊行される予定ということで、今から楽しみです。

ホームベーカリーの愉しみ。

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ホームべーカリーの愉しみ。

ホームベーカリーを使い始めて、かれこれ20年ほどになります。我が家でホームベーカリー習慣が続いているのは、「パン作りが好き!」というようなおしゃれな理由ではありません。日本の家庭に炊飯器があるように、ホームベーカリーもある、という感じです。写真はぶどうパン生地を寝かせているところ。

そもそもは佐賀の山の中に暮らしていた時に、パンを買いに出るよりはホームベーカリーで焼いた方が早い!と発想したのでした。「美味しいパン屋さん」までの距離が遠かったのです。ホームベーカリーなら失敗なく、手軽に焼きたてパンをいつでも食べることができる、というのが手に入れた理由。(実際はたまに失敗します(笑)

最初の十数年はリーガル社のものでした。雑誌『通販生活』で紹介されていたものを、故障しても部品を変えてもらったりしながら使い続け。リーガル社のものを2台使いました。現在使っているのは三代目でツインバード製。三代目を購入した時に驚いたのは、その性能の良さと価格が安いことでした。いろいろなメーカーがホームベーカリーを出すようになった結果なのでしょうね。

20年で3代目というのは、家電でもなんでも長く使う我が家としては、寿命が短い方。でも「ご飯を炊くように食パンを焼いている」ことを考えると、しっかり働いてくれた結果ですね。さすがにご飯のように毎日ではありませんが、週に1-2回は焼いています。そうそう、最近はときどきお餅もついています。

パンは食パンしか焼きませんが、胡麻を入れたり、レーズンを入れたり、ライムギを混ぜてみたり、全粒粉を入れたり。ちょっとした変化をつけるだけで、大いにワクワク楽しんでいます。いずれの場合も材料を投入してスイッチを押すだけですから、こんなにお手軽で美味しくて楽しいものはありません。

ホームベーカリーでのパン作りは、大雑把な性格のわたしにぴったりなのだと思います。自分でパンを焼くとか考えられない!というような方に、ぜひこの楽しさを知ってもらいたいものです。

ひそかにリスペクト。

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ひそかにリスペクト。

している人が、ご近所に二人いらっしゃいます。あいさつ程度のご近所づきあいですが、その佇まいや振る舞いを見聞きするたびに「真に余裕のある大人」の優雅が感じられ、そのような雰囲気を醸し出せる人物になりたいなぁ、と思うのです。

お二人に共通するのは、怒りや焦りの感情を表に出したり、大きな声を出す姿が、まったくイメージできないこと。あるときお嫁さんとおしゃべりの最中に聞いてみたら、「たしかにわたしが嫁に来てから1回もお義父さんが大きな声出してるとこ見たことないわ」ということで、やはりイメージ通りのようです。

もうひとつ共通しているのは、家のなかを歩くように、ご近所内を歩いている姿。近所でお見かけするときはいつも、いかにも気負いのない格好で歩いていらっしゃるのです。実のところお二人ともいわば地元の名士でありながら、まったくそのようなものにとらわれていないのがわかります。

いったいどうしたら、そのように飄々として品のある雰囲気が身に付くのでしょう。年齢的に考えると、お二人ともわたしよりおそらく20歳ほど上でおられるのですが、20年後に自分がそのような雰囲気をまとえるものかどうか。

「何かを成し遂げた」という行いへの敬意の場合は、その目指すものが行動として明確なのですが、「真に余裕のある佇まい」にたどりつくための指針は、漠然としています。どんな日々を積み重ねてきたかが問われるのだろうなと思いつつ、いったいどんな毎日を送ったらよいのでしょうね。お二人の姿をお見かけするたびに、思わず考えてしまいます。

続々・Talking about Art

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続々・Talking about Art

レポートがちょっぴり遅くなりましたが、英語で対話型美術鑑賞のオンラインセッション第3回目。『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」。第1回目第2回目の受講を通して、オンラインセッションを受講するのにも、だいぶ慣れてきました。

さて第1回目の課題は具象画、第2回目は抽象画でしたが、続く第3回目はオブジェクト=立体。毎回頭の切り替えを要求され油断できません(笑)が、それがまた、宮本先生のセッションの魅力。特に連続講座の場合には、こうした新鮮な刺激が、受講生へのさりげない配慮であることを実感しました。

実は「立体での対話型美術鑑賞をどう進めるか」は、個人的な課題でした。自分が対話型鑑賞法をナビゲートするときに、立体でもやりたいと思いつつ、進め方と効果に対する確信が持てず、ついつい絵画をテーマに選んでいました。

もちろんこれまでにも立体作品による対話型美術鑑賞のトレーニングはしてきましたが、なにかがしっくりきていなかったのです。それが、今回のセッションを通して、すっと霧が晴れました。なにがどうスッキリしたのかを言葉で説明するのは難しいのですが、おかげさまで次からは迷いなく立体での対話型美術鑑賞を実践できそうです。

この実感を通して、あらためて学び続けることの大切さを思いました。今回のオンラインセッションは、わたしにとって「通学講座で受講していたものがオンラインに変わった」のではなく、東京まで通学できずに眺めていたものが「オンライン開催に変わったことによって参加できるようになった」もの。まさに「棚からぼたもち」で、ありがたい機会をいただいています。

宮本由紀先生のアートエデュケーションは、こちらから詳細をご覧いただくことができます。「教養」「リベラルアーツ」という言葉に惹かれる方に、おススメです!

読書『三銃士』(角川文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『三銃士』(角川文庫)アレクサンドル・デュマ

「読んでいなかった名作を」シリーズ。今回はデュマの『三銃士』上・中・下巻合わせて約1080ページ。そういえば前回の名作はトルストイ『アンナ・カレーニナ』でした。1870年代ロシアから1600年代フランスへ。時間と空間を軽々と超えるのが読書の楽しみですね。

実はまったく三銃士のストーリーをまったく知らず、「三銃士と言いながら、四人の物語」だということを、読みはじめてから知りました。それも『ダルタニヤン物語』の一部であると。『ダルタニヤン物語』は全11巻なのですね。いずれ続きを読まねばなりません。

さて『三銃士』。読みながらまず思ったのは「この時代の世界史を頭に入れてから読むんだった!」ということでした。でも読みはじめてしまったもので、面白くてページをめくる手を止めることができず。時代背景がきちんと頭に入っている状態で読んだ方が、深読みできただろうなぁ、というのが反省点です。

ストーリーの面白さもさることながら、登場人物の個性が魅力的でした。主役の4人だけでなく、悪役側キャラクターのアクの強さも、漫画でも読んでいるような感じでした。そういえば、NHKで放送されたという、三谷幸喜氏が脚本脚色した「新・三銃士」の人形劇も相当面白かったようですね。

登場人物が魅力的だからこそ、その人物にまつわるストーリーをもっと読みたくなるし、きっと作者もその人物のストーリーを描き続けたくなるのだろうな、と感じました。スティーブンキングが著書『書くことについて』で「登場人物がストーリーを作ってくれる」ということを言っていたことを思い出しました。

ところでわたしは本を読むとき、自然とそのシーンがカラーで頭のなかで再生されています。今回は、全体として薄暗いというか、セピア色のメガネをかけて見たような色合いで再生されました。次に読むときは、この時代の絵画をしっかり目に焼き付けて、もう少し色鮮やかなシーンを見ながらストーリーを追うことにいたします。

よく読むメルマガ:ビジネス編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

よく読むメルマガ:ビジネス編

自粛期間中に、美術館博物館からのメールマガジンで気に入っているものをいくつかご紹介したところ「メルマガをとったことが無かったけど、便利ですね」という声をいただきました。その時ご紹介したのは、九州国立博物館と、根津美術館と、国立民族博物館の三つ。

そうなのです。便利なのです。情報源がわかっていて、自分が気になる情報をダイレクトに届けてくれるメールマガジンのおかげで、ネット上を探し回る手間がずいぶんと省けています。メルマガのタイトルや、その中身の項目が、「自分にとっての検索性が高い」ということですね。

本日は、そんなメルマガのなかでも、ビジネス情報を集めるのにわたしがお世話になっているものをいくつかご紹介。

  • メールマガジン「ユーロトレンド」:ジェトロ 欧州ロシアCIS課
  • 福岡ABCよりお知らせ:福岡アジアビジネスセンター
  • ビジネスブックマラソン:エリエス・ブック・コンサルティング土井英司氏
  • インフォキュービック・ジャパン『The Global』:インフォキュービック・ジャパン
  • 福岡県商工会連合会からのお知らせ:福岡県商工会連合会

今回ここでご紹介したのは、あくまでも「わたしにとって、必要な情報が見やすい、集めやすい」ものです。海外の情報、国や県の施策、商工会のサービスなどの最新情報を得るのに、主に使っています。

ここでご紹介した以外にも、定期的に届くけれども、タイトルで読むか否かを判断したり、ほとんど目を通さないものもあります。たとえばジェトロが発行するものは、数も多く種類もいろいろありますので、自分の欲しい分野のものを選ぶことができます。

メルマガ文化をうまく活用しているのは、ネット黎明期から親しんでいる50代、60代の方々のように思います。使いようによっては、とても検索性の高い情報源となりますので、おススメです。

花祭窯の6月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の6月の庭。

ずっと晴れのお天気が続いていた北部九州も、そろそろ梅雨入りです。ラジオ体操をしつつ眺める小さな庭には、緑と白がたくさん。先日読み直した色彩学の本によると、緑も白も、生命そのものの色だとか。6月は生命力があふれてくる季節なのですね。

ぽやぽやと可愛らしい。つぼみもたくさん。
うしろにピンクも隠れていました。
花桃の実です。桃になったら嬉しいですが。
あっちにもこっちにもドクダミ。
ナンテンもたくさんつぼみ。
斑入りの草は、花がなくてもアクセントに。
こちらも斑入り。

外に出ると、色とりどりの紫陽花の花が目に入りますが、花祭窯の今は、見事に緑と白。思わず深呼吸したくなる空間になっています^^