続・Talking about Art

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・Talking about Art

『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」対話型鑑賞のオンラインセッションに参加してまいりました、の第2弾。第1弾の感想はこちらでご紹介しています。

対話型美術鑑賞法。受講する側で参加することによって、学びなおしの機会となりました。

一つめは、英語でも日本語でも、対話型鑑賞法の効果は同様に得られるということ。わたしは英語がつたないので、そこを一番懸念していました。すなわち、「英語で伝える」ことに必死になってしまって、対話型鑑賞法を楽しんだり、対話型鑑賞法による気づきを深める余裕がないかもしれない!と。

杞憂でした。もちろん「思っていることを上手に伝えられない!」ジレンマはありますが、自分のなかに湧いてくる「鑑賞を通しての変化」は、日本語でやっても英語でやっても変わりないことがわかりました。

二つめには、対話型の美術鑑賞は、一人で取り組むのもいいけれど、複数人のクラスも楽しいという再認識。自分の内側をとことん掘り下げていきたい場合、一人でのワークショップ(トレーナーとのマンツーマン)が適していると言えそうですが、他者との視点の対比で自分を見つめなおすという意味では、複数人でのセッションが面白いし、単純に楽しいと実感しました。

そして三つめには、対話型美術鑑賞法で「見る」と、見たものが記憶に定着することをあらためて実感しました。そもそも「見る」とはどういうことか?という問いが、美術鑑賞教育の根底にあります。

2回のTalking about Artを通して、4枚の絵画を鑑賞しました。わたしはいずれの絵画も「初めて見る絵」だと思ってクラスに臨み、そのつもりでトーク。ところが、クラス終了後にもう何度も読み返している『西洋美術史』の本をぱらぱらとめくっていたら、課題4枚のうち2枚の絵が、時代や流派を解説する代表的題材のひとつとして取り上げられていたのです。

つまり、本を通してではあるものの、その絵を何回かは目にしていたのに、まったく記憶に残っていなかったということです。ただ、ここまではよくあること(笑)。驚いたのは、まったく意識していなかったのに自然とその絵が目に入ってきたことです。対話型鑑賞法を通して、自分にとって「よく知っている絵」になったとたん「見える」ようになったことを、体感しました。

「見る」とはどういうことか。美術鑑賞教育の面白さを、体感・実感を通して再確認したオンラインセッションでした。

Talking about Art

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Talking about Art

『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」対話型鑑賞のオンラインセッションに参加しました。米国ヒューストンで美術講師をなさっているレスリーさんと繋いでの贅沢なオンラインセッション。

写真は、今回のセッションの予習にフル活用した英語のテキスト『英語でアート』(マール社)、『英語のお手本』(朝日新聞出版)、『WISDOM和英辞典』(三省堂)の三冊。普段から出番の多い三冊でもあります。

対話型美術鑑賞と、英会話の訓練とを両方を兼ねる講座です。宮本先生のアートアライアンス東京が長年通学講座で開催なさっているものを、昨今の状況に鑑みてオンラインでスタートしてくださったもの。「英語とアート」の組み合わせは今やわたしのライフワークです。いつか東京に通ってでも受講したい!と思っていた講座でしたので、わたしにとっては思いがけないラッキーチャンス。

参加者の皆さんはほとんどが、リアルでの講座に参加なさっている方で、初参加はわたしだけ。わたしは、日本語での対話型鑑賞では準備要らず(むしろ準備しない方が良い)のスタンスなのですが、とっさの英語表現に自信が無かったので、今回はあらかじめ課題絵画に対する下準備をして臨みました。

最初は緊張しましたが、気がつけば1時間のセッションは終了。終始くつろいだ雰囲気で楽しい時間だったのは、セッションをリードしてくださった宮本由紀さんとレスリーさんのお人柄ゆえだと思います。お二人の話す内容はもちろんのこと、参加者の皆さんの視点や表現も、学ぶことがたくさんでした。画面を見つつ、メモを取りつつ、自分の予習内容と見比べつつ、充実した時間でした。

行きたい場所(館)リスト。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

行きたい場所(館)リスト。

引き続きStay Creative、Enjoy Home続行中。3月4月のカード明細を見て、交通費の支出がほぼゼロだったことにあらためて驚いています。交通系カードの引き落としが無いのは、使いはじめてから初めてのこと。

ちまたでは、少しづつクローズドからオープンへと動き出した感じですね。制限付きながら「再開しました」の文字を見ると、そういえば、あそこにもここにも行きたかったのだった!と記憶がよみがえります(笑)

そこで本棚から引っ張り出しているのが、年の初めにブログにも書いた『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

カラヴァッジオ見たかったな、リヒテンシュタイン侯爵家の至宝行けるかな…と未練たらたらです。でも、ほんとうに見たいのなら、渡航できるようになってから所蔵館に足を運べばよいのだ!と頭を切り替え。そのためには旅費が必要で、旅費を稼ぐ!が、これからの仕事のモチベーションのひとつになりそうです。

そうしてあらためてリストアップしてみると、行きたい場所(館)の基準は、特別展のテーマ云々ではなく、その美術館・博物館自体への興味であり、魅力であることがわかってきました。立地、環境、建物、運営ポリシー、私設のものであれば創立者の想い、そして常設の所蔵品。

滋賀のMIHO MUSEUM、京都の福田美術館、京セラ美術館、大阪のあべのハルカス美術館、島根の足立美術館…

今、美術・芸術は絶対に必要なものだとの思いを強くしています。遠慮なく足を運べるようになって、たっぷりミュージアムを堪能できる日が楽しみです。

ぐるっと見るための撮影キット。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ぐるっと見るための撮影キット。

と書いて、あらためて辞書を引いたら、キットというのは「道具一式」という意味なのですね。写真は、花祭窯の「ぐるっと見るための撮影キット」。

美術館や博物館に行ったときにしばしば感じるストレスに、「作品をぐるっと全方向から見たい」とか「作品の裏側を見たい」というものがあります。わたしがやきものを見るのにギャラリーや骨董屋さんをお勧めするのは、「作品を手に取って見る」ことができるのが一番の理由です。手に取ることができるということは、あらゆる角度からそのものを見ることができるということなので。

美術館等での展示は、たいていの場合、壁面を背にしていたり、すぐ横に別の作品が置いてあったりするので、360度十分にぐるりと眺めることができないことが多く。最近は「メイン」な展示物は一作品の展示で周囲を回れるようになっていることも増えてきたのが嬉しいです。でも「裏側」に至っては「地」についているので、持ち上げなければ見ることができず、まず見ることができません。

ただ、やきものについては、裏(高台)のつくりを見たいという要望は一般的にも多いので、透明の展示板の上に作品を置いて、その下に鏡を入れて裏側の作りが見えるようにしている展示も増えてきています。この方法での展示を初めて見たとき、「全体が見える」ことが嬉しくて、この展示方法を採り入れた学芸員さんの素晴らしさに感嘆したものでした。

さて、できるだけぐるりと眺めたいのは、ネット上での作品紹介もしかり。提供する側としては、わかってはいるものの、なかなか取り組めずにおりました。が、このたびその方法のひとつとして作ったのが、上の撮影キット。

ターンテーブルには、ダンナの仕事の道具である絵付用の「筋車」を借りました。これをゆっくり回して、カメラで動画を撮れば、360度ぐるりとご覧いただける次第です。回転の速度、カメラの位置角度など、まだまだ研究課題は沢山ですが、まずはチャレンジです。

https://www.instagram.com/p/B_okEuoFG40/

見る、解釈する、創造する。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

見る、解釈する、創造する。

美術館に足を運びにくい昨今ですが、手元にあるものを使ってビジュアルシンキング=対話型美術鑑賞を楽しんでいます。このところアートエデュケーションの現場実践ができていないので、自分自身の訓練と鑑賞の楽しみを兼ねて。上の写真は美術鑑賞イメージ(テートモダン美術館で撮ったもの)です。

「対話型」というと、複数人での鑑賞プログラムととらえられがちです。もちろん複数人での対話型鑑賞のプログラムもありますが、一人でも対話型美術鑑賞はできます。他者を気にせず取り組むことのできる個人ワークの対話型美術鑑賞は、わたしのおススメプログラムのひとつです。その場合は「絵画とわたしとの対話」「わたし自身との対話」がメインとなります。

絵画のある場所に足を運ぶことができないときは、ネットで公開されている世界各地の名画を題材に、画面を通じて対話型鑑賞することもできます。でも個人的には、そのような著名な名画でなくてよいので、「生(なま)」の絵を自分の目で直接見る方が良いと思っています。

ということで、我が家にある絵を眺めながらのビジュアルシンキングタイム。ポスターでも絵葉書でもカレンダーでも、「よく見る」ことで「見えてくるもの」があります。生活のなかにある「絵」で「見る」訓練。意外と面白いですよ。

個人ワークの対話型美術鑑賞、取り組んでみたい方はお問い合わせくださいね。

海外美術館の教育普及ツール、その8。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その8。

世界中に「行ってみたい美術館・博物館」は沢山ありますが、なかでもここは必ず行かねば!と思っているのが、ゲティ財団が運営する美術館です。

ロサンゼルスにある、ゲティセンターとゲティヴィラ。
https://www.getty.edu/

サイトのアドレスを見ると「.edu」ドメイン。エデュケーションの「edu」です。収蔵作品や資料をいち早くネットでオープンにし、教育利用を促進したことでも知られています。オンラインで学ぶ仕組みの充実ぶりも有名。12歳以下の子ども向け、学校での利用向け、ファミリー向け、エデュケーター(指導者)向けと、さまざまなプログラムがあります。

『英語でアート』の宮本由紀先生がおススメする海外美術館サイトの紹介に「使いこなせるようになれば、かなりの情報量にアクセスできます」とあり、膨大なもののようです。

そして、すごいな!と思ったのが、こちらのブログ記事。今回の緊急閉館の期間中にオンラインでゲティミュージアムをどう使ったらよいかを、いち早くアナウンスしています。

https://blogs.getty.edu/iris/explore-getty-art-resources-closed-coronavirus/

このブログ記事に導かれていくだけでも、相当量の美術学習(そして英語学習にも)になるでしょう。わたしは、まずはここから、チャレンジしてみたいと思います。

ゲティ家と、藤吉憲典とのつながりについては、こちら。

一人戦略会議。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

一人戦略会議。

昨日の午後は、場所を変えて「一人戦略会議」。場所を変えて、と言っても、家の中です。パソコンのある2階の仕事スペースから、1階のギャラリースペースへ。お天気が良かったので窓を開け放ち、静かで気持ちのよい空間でペンと紙を手に考えを整理しました。

わたし自身は3月はじめから外出自粛を始めたので、2か月以上博多に出ていません。それまでは月に2-3度、博多に出たついでに寄るカフェや、往復の電車内が、自然と「一人戦略会議」の場所と時間になっていました。外出・移動がなくなって、その時間が取れていなかったことに、ハタと気づき。

毎年、年初めが年度初めの花祭窯は、そのタイミングに合わせて「経営指針書」をつくっています。一人戦略会議は、年初めに作っていた指針書に対して、現在どう動いているかを検証しながら、その先どう動くかを修正していく貴重な時間。わたしにとってこの時間を確保することは、日々の仕事を進めるうえで、とても大切です。

変わること、変えるべきこと、変わらないこと、変えてはならないこと…。この2か月、頭のなかでいろいろと考えてきたことを、紙の上に置きなおすことで、整理していくことができました。文字に落として目に見える形にするとスッキリしますね。

「みんぱく」からのメルマガ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「みんぱく」からのメルマガ。

九州国立博物館からのメルマガ根津美術館からのメルマガ、に続いては、「みんぱく」からのメルマガをご紹介。みんぱく=国立民族学博物館。文化人類学・民族学とその関連分野の研究機関です。大阪府吹田市の万博公園内にあります。

5月号のメルマガでは、このご時世を反映して「おうちでみんぱく」が紹介されています。お家で遊べる民博ページに並ぶメニューは、次の通り。

 ◆バーチャルミュージアム紹介
 ◆ぬりえ(5種類)
 ◆飛び出す獅子舞 福ぬりえ
 ◆ペーパービーズ
 ◆読んでみよう!

おうちでみんぱく」のページでチェックしてみてくださいね。

民族博物館ならではの素材のマニアックさが楽しいです。子ども向けと位置付けられていますが、大人の知的好奇心にもばっちり応える情報展開ですので、家族で楽しめると思います。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

海外美術館。自分自身行ったことが無い場所、試してみたいものがたくさんあって、いくら時間があってもご紹介しきれないな、と思っていた矢先に思い出したのが、グーグルのアートプロジェクト。Google Arts & Culture サイトを覗くたびに、新しい発見があります。

最近のお気に入りは、Over 2,000 Museums at Your Finger Trip

Google Art&Culture

文字通り、指先で美術館への訪問旅行気分が味わえる素晴らしい仕組み。世界80か国以上、2000館以上の美術館・博物館のコレクションに、ワンクリックでひとっ飛び。自分で検索しなくても、館の名前を知らなくても、このページを出発ロビーに見立てて、簡単にアクセスできるのが便利です。すべてではなく、またざっくりとではあるものの、日本語訳されているテキストがついているのも嬉しいです。

このゴールデンウィークは、お家に居ながらフィンガートリップ。優雅に世界中の美術館訪問はいかがでしょうか。

森林浴ならぬ「ご近所草花浴」でストレス緩和。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

森林浴ならぬ「ご近所草花浴」でストレス緩和。

Stay Home, Stay Safe. たまに家の周りを散歩 with マスク。

1年半ほど前、アートエデュケーター(教育普及学芸員)の技術研修の一環で、園芸療法の先生から「美術館 de 園芸療法」の講座を学んだときのこと。一日に5分だけでも緑に触れる時間があるだけで、ストレスの緩和に大きな効果があることが、たくさん実証されていることを知ったのでした。そういえばこのお話を聞いて、一日5分の草むしりをはじめた、わたし。

講座を担当してくださった千葉大学園芸学研究科・看護学研究科の岩崎寛先生は、ヨーロッパではあたりまえに採り入れられている園芸療法を、日本でも定着させていくために、なによりもエビデンス(医学的根拠)を大切になさっていました。

そして、森林浴とまでいかなくても、草木や花が植えてある「公園浴」でも、その効果があることを実証なさっていました。ということは、公園でなくても、草木や花のあるご近所浴だって、ストレス緩和に効果があるということ。今こそ、このことをたくさんの方に知ってもらいたいと、あらためて思っているところです。

というわけで、ご近所から借景。画像をクリックすると大きくなります。

ご近所さんの藤棚。
ご近所さんが丹精込めて育てている藤棚。
ご近所さんの菖蒲。
菖蒲?あやめ?燕子花?いつもわからなくなります(汗)
年々大きくなるご近所のリンゴの木。
ご近所のおじさんが撒いたリンゴの種がついに実をつけるようになって早数年。
ご近所さんの牡丹。
迫力を感じる、みごとな牡丹。
うちの芝桜
足元に目を向ければ芝桜。

↑この芝桜は、家の前にある駐車場沿いに、わたしが植えたもの。毎年少しづつ花が増えていて、嬉しいです^^