「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

「美術館同行サービス」スタート。と書いたのは、昨年末のことでした。

自分の背中を押すために書いたのでしたが、さっそく友人数人から好意的なリアクションをいただき、「よし!やるぞ!」と勇気100倍に。尊敬するお友だちからの声援は大きな力になりますね。ご希望の方にすぐにでもご案内できるよう、具体的に組み立てていくことにいたしました。

以下、概要をつらつらと。


「対話型美術鑑賞」の技法を盛り込んだ美術館同行サービスです。観察眼を磨き、視野を広げ、自分の内側を覗き込む。そんな深い美術鑑賞体験をナビゲートいたします。別のアプローチとしては、ご希望により「回想法」の技法を活用した鑑賞法も可能です。どのような美術館体験をしたいか、ご相談により最適と思われる方法をご提案して参ります。

と書くと、なんだか堅苦しい感じがしますが、単純に「一人ではなかなか美術館に足が向かないから」「鑑賞した感想を誰かと分かち合いたいから」という理由でオーダーいただくのもウェルカムです。通常は常設展示での同行を想定していますが、このような場合は「特別展」での同行も検討可能です。

どこの館で行うかは、これもご相談によりますが、通常対象館と出張対象館の二つのパターンを想定しています。出張対象館では、既定の美術館同行サービスの料金に講師の旅費交通費が加算されます。

  • 通常対象館:福岡市美術館/福岡アジア美術館/福岡県立美術館
  • 出張対象館:福岡市博物館/九州国立博物館/ご相談により日本各地のご希望の館

基本的には、各館の常設展示室を使っての開催となります。特別展は人が多いことが想定され、ゆっくり鑑賞に集中することが難しいので。同行サービスは基本的にはマンツーマン、または2名様までです。3名以上の人数になる場合は「講座」扱いとなり、別プログラムとなります。時間は1時間半程度を基本としますが、ご相談により調整可能です。また複数回を組み合わせたプログラムにすることも可能です。

(2023年1月24日掲載→最終更新日1月26日)


とまあ、こんな感じです。まだまだ情報が足りない部分もあるかもしれませんので、これを基本に、随時加筆して参ります。料金については、個別にお問い合せ下さいませ。その他ご質問等、お気軽にどうぞ。

お問い合わせ先やアートエデュケーターのキャリアについては、下記のページをご参照くださいませ。

「美術館同行サービス」スタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「美術館同行サービス」スタート。

本日はアートエデュケーターとしての仕事のお話。上の写真は、お気に入りの絵本『美術館って、おもしろい!』より。

先日、あるギャラリーオーナーさんとお話をしていて、気づいたことがありました。わたしはアートエデュケーションを仕事にするうえで、ありがたいことに学芸員研修などの機会を毎年享受しています。そこで学んだ最新の知見を、美術鑑賞講座のなかで形にしたりはしているのですが、インプットに対してアウトプットがまだまだ少い!と気づいたのでした。

ここ数年はコロナ禍で動きにくかった、ということもありますが、アウトプットの方法は、考えれば工夫次第です。せっかくの専門的な学びを、もう少し積極的に地域社会に還元して行きたいと思いました。今年10月に受講した宮本由紀先生の「アートの仕事」の講座で、アートエデュケーターとしてこれから進むべき方向性を整理整頓したところでしたので、より実践に落とし込んでいきたいところです。

というわけで、「美術館同行サービス」スタートします。美術館・博物館の常設展示を使った、対話型美術鑑賞の技法を盛り込んだ美術館同行サービスです。観察眼を磨き、視野を広げ、自分の内側を覗き込む。そんな深い美術鑑賞体験をナビゲートいたします。

博物館リンクワーカー人材養成講座、2022年度最終回は、脳外科医の先生の取り組み事例。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座、2022年度最終回は、脳外科医の先生の取り組み事例。

↓前回までの報告はこちらから↓

最終回の第6回は富山県氷見市にある老人保健施設アルカディア氷見の施設長であり脳外科医の長谷川健先生からの事例報告でした。

以下、備忘。


  • 認知症に対する非薬物療法の一つとしての回想法。
  • 五感を刺激するための材料としての民具。
  • 同時的刺激による効果。
  • 味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚。
  • それぞれの感覚への刺激が脳のどの部分に届いているか。
  • 皮膚覚=温度の熱い冷たい、痛い、圧、振動、運動などなど。触覚と一言に言っても、それぞれの刺激により、脳のどの位置で受け取るかが異なる。
  • 認知覚としての皮膚感覚。例えば、耳かきやネイルケア。
  • 認知症ケア・予防・脳リハビリ。
  • 傾聴=耳も、体も、傾けて話を聴く。
  • 触る+その他の知覚。音、匂い、味の記憶…無意識に他の感覚を伴っていることがある。
  • 人はいくつになっても褒められると嬉しい。
  • まずは実践者が一番楽しんで(回想法)に取り組む。
  • 異なるもののコラボレーションからの発見。

脳医学の見地からこれまでの学びを見つめ直す時間となり、新鮮なインパクトのある最終回でした。なにより先生自ら心から楽しんでおられるご様子が伝わってきました。長谷川先生の実践と、その裏付けや根拠を示す見地の数々は、これから取り組みたいことに向けて、心強く背中を押してくださいました。

今年度も学びの大きかった「博物館リンクワーカー人材養成講座」。昨年度も、終了後にすぐに動いて翌年(2022年)のアートエデュケーターとしての活動に生かせることがありました。すぐに具体的な実践につながる学びもあるところが、この連続講座のすごい所でもあります。さっそく、新たなプログラムに生かすべく、頑張ります。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。今年度は日程の合わない日もあり、飛び飛びで参加しています。

第5回目は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんによる実践報告。今年度、福津市の「郷育カレッジ」では、わたしが担当する美術鑑賞講座で、福岡市美術館の「どこでも美術館」というアウトリーチ(出前)にご協力いただきましたので、特に思い入れを持って拝聴いたしました。

以下、備忘。


  • 制作物を1年度に届ける→未来への目線。
  • どこでも美術館(アウトリーチ)=地域公民館、学校との連携。美術館に行けない人のところへ、こちらから届ける。
  • シニアプログラム「回想法」:施設職員の方(専門家)のフォローが必要。
  • 「美術」という共通言語。
  • アフターコロナのGOODな傾向:「男性お一人様」の参加が増えている。
  • 実物・実物大の美術作品=「空間を支配するもの」の存在の大きさ。
  • 美術館に行きたいけれども行けない←YouTube、Facebook等でのライブ配信。
  • 何が見えますか、何が描いてありますか?からはじまる回想法。
  • 学問・専門は、専門家だけのものではない。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』より


特に、実践報告のなかで演者の学芸員さんがおっしゃった「『空間を支配するもの』の存在の大きさ」というキーワードに、美術・美術館の役割をあらためて思いました。また、グループワークのなかで出てきた「学問・専門は、専門家のものだけではない」という言葉に、奢ることなく取り組む姿勢を貫く現場の方々の思いが見え、ハッとしました。

2022年度の博物館リンクワーカー人材養成講座も残すところあと1回となりました。肩の力を抜いて楽しみながら学べる貴重な機会、しっかり自分のものにしていきたいと思います。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。

その第3回目は、熊本県は阿蘇小国町にある坂本善三美術館の取り組みを拝聴しました。町内の医療・福祉分野の皆さんとの連携による活動でしたが、その活動のベースにある確固たる信念に感嘆する発表内容でした。

以下、備忘。


  • コレクション・リーディング:収蔵品を再解釈する展覧会。異分野の方をゲストに招き再解釈するシリーズ。
  • 「もの」を取り巻く、人・エピソードの面白さ。展示するのはそのすべて。
  • その人らしい生き方=暮らすことは表現すること。
  • ではあるが、そのままではアート足り得ず、見るべき価値のあるモノとして価値づけされることを通してアートとなる。
  • 足元にあるモノを拾い集める。→再編集。
  • 地域の歴史・文化から、何を発信できるか?
  • ありものの展示を持ってきて展示会にするのは安易だが、それよりも自分たちで(そこに居る自分たちにしか作れない)展覧会を作り上げることの価値。
  • 異業種の連携。(新たに仕事を増やすのではなく)日々の仕事でいっぱいいっぱいの現場が、それぞれ(美術館・医療福祉)の現場でやっていることを持ち寄ることによって実現する。

取組自体の面白さを感じるとともに、それを支える館のスタンスに感嘆しました。あるいは学芸員さん個人のスタンスでもあるかもしれませんが、ベースに「坂本善三」という揺るがない価値があればこそ挑戦できるという自覚、自館のもつ価値への再評価・再解釈を恐れない信頼が、素晴らしいと思いました。

また、そこにあるものを「見るべき価値あるもの」として価値づけること自体がアートであるという視点は、まさに現代アート的な視点だと思いました。そこにあるモノをいかに編集して観る人の前に差し出すか、これぞキュレーターたる学芸員の存在意義・腕の見せ所ですね。

というわけで、展示・取り組み内容そのものはもちろん、その背景にある取組姿勢に大きく感動した第3回講座でした。次回も楽しみです♪

郷育カレッジ「コラージュ講座へようこそ」開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ「コラージュ講座へようこそ」開催いたしました。

「コラージュ」はフランス語で「糊付け」の意味。ハサミで紙を切り、糊で台紙に張っていく作業を通して、自分の内側を覗き見てみましょう、という講座です。美術の表現技法のひとつでありながら、心の安らぎ・健康を目指す側面を伴うのは、わたしが最初にコラージュを学んだのが、心理療法として長年臨床で取り組んでこられている先生の講座であったからにほかなりません。

かといって、わたしは心理の専門家ではありませんので、アート・エデュケーターとしての範囲内でのナビゲーションになります。それでも、コラージュ制作を通して得られる心理的効果は、自分自身がとても感じています。まずは受講生の方々にいかに楽しんでいただけるかが一番!

例えば「今から絵を描きましょう」と言われたら、ちょっとしり込みしてしまいますが、コラージュなら気軽に手を動かすことが出来る。それが、わたしがコラージュが好きな理由のひとつです。とても優れた美術的表現方法だなぁ、と思います。

講座を開催するごとに、集まる方々は十人十色ですから、進め方も少しづつ変わります。今回、受講生の皆さんはほとんど迷うことなく、すぐに制作・思索に取り掛かられたので、ナビゲーションは必要最小限にして、見守りに徹するかたちで進みました。グループの規模もちょうど良かったのかもしれません。計画していた時間内で、皆さんほぼ完成させることが出来ました。

出来上がった作品には、それぞれの個性がとてもよく表れていて、拝見していて嬉しくなりました。一人一人違うと分かっていても、毎回実際にそれを目の当たりにすると、やっぱりすごいことだなぁと嬉しくなるのです。そして今回は、作品完成後に、グループでそれぞれの作品の「分かち合い」をすることが出来ました。「分かち合い」では、出来上がった作品に対して、自分の思いを説明するとともに、他の方の作品には一言コメントをプレゼントすることです。コロナ禍下で対話が憚られていた時期にはこれが出来なかったのでしたが、やっぱり、お互いに作品の感想を分かち合うと、作品の解釈がさらに広がって、とてもいいですね。

講座終了後に、皆さんが晴れやかなお顔になって会場を後にするのを見送り、ホッと致しました。講座後の受講生アンケートでも、皆さん嬉しい感想をたくさん寄せてくださいました。なかでも「日常思っていることを、コラージュ制作を通して整理することが出来ました」「『テーマ』を決めて創り出す、迷ったら『テーマ』に立ち返る。このポイントをこれからも生かしていきます」というご感想は、まさにわたしのコラージュ講座が一番伝えたいことであり、ほんとうに嬉しく思いました。

楽しく取り組んでいただくのがなによりのコラージュ講座。受講生、運営の方々のおかげで、無事に開催することが出来ました。ありがとうございました!

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

せっかくの機会なので、具体的な実践につなげていくための学びにしたいと、今年は自分なりに事前準備をいたしました。まずは、自分の取り組みスタンスを整理。

できる範囲での周辺知識の獲得。

連続講座第1日目は、九州産業大学の緒方泉先生による「博物館浴」研究の最前線の報告からスタートしました。そのなかでピンときたキーワードは次の通り。

  • 博物館に課せられる「ケアの義務」
  • 博物館法=社会教育法+文化芸術基本法
  • MUSEUM CHANGES LIVES
  • 博物館やギャラリーは、英国におけるウェルビーイング資源
  • 英国での取り組み Museum Health &Well-Being Summit
  • メンタルヘルスプログラム、MINDFUL MUSEUM
  • 感覚から科学へ
  • 博物館健康ステーション
  • 脳の仕組みの変化を追う
  • 回想法のキーワードは「共感」

これまで、社会教育法のうえに根拠を置いていた「博物館法」が、今年度から社会教育法にプラスして文化芸術基本法をも根拠とするように変わったという、日本の法令上の変化は、遅れ馳せ感はありながらも、きっと歓迎すべき変化なのだろうと思いました。

講座後半はグループに分かれて「語り場」タイム。久留米大学の学芸員課程を教えておられる先生、宮崎県総合博物館の解説員さん、下関市考古博物館の学芸員さんとご一緒させていただきました。宮崎県総合博物館では既に週3回、福祉施設と連携した回想法の開催をしているということで、実際の取り組みについてお話を伺うことが出来たのは、とても刺激になりました。

アート×ウェルビーイング:認知症サポーターになりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アート×ウェルビーイング:認知症サポーターになりました。

アート・エデュケーターとして、博物館リンクワーカー人材養成講座で学ぶなかで、社会教育施設としての博物館学芸員が、地域での役割として福祉の現場とつながっていくのは、とても自然なことだと感じています。

福祉を専門的に学ぶには時間がかかるにしても、認知症サポーターになることは、誰もが無理なくできる第一歩。さっそく認知症サポーター養成講座を受講してまいりました。

講座の時間は約1時間半。短い時間のなかで、簡潔にわかりやすい説明がなされ、講座が終わる頃には、認知症への理解がすっかり上書きされました。わたしは4年間ほど、高齢者福祉施設を複数抱える社会福祉法人で人材育成の仕事をしていたことがあり、ある程度の理解しているつもりでした。が、10年以上のブランクのあいだに、認知症の解明も大きく進み、取り巻く環境も変わっています。それがわかったことが、まず大きな収穫でした。

今回の認知症関連イベントは、市内の大型ショッピングセンター内のホールで開催されました。市役所の高齢者サービス課、地域包括支援センター、地域の薬局、生活支援コーディネーター、福祉施設運営者など、さまざまな立場の方々が協力して運営なさっており、「リンクワーカー」の在り方を目の当たりにする機会にもなりました。

一番大切なのは「心のバリアフリー」=まずは自分の意識を変えることから。認知症サポーター(=地域で暮らす認知症の人とその家族の応援者)宣言をし、その意思表示である「オレンジリング」をいただきました。今日から認知症サポーターです。

「博物館リンクワーカー人材養成講座」に向けて、自分の立ち位置を考える。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「博物館リンクワーカー人材養成講座」に向けて、自分の立ち位置を考える。

今年も11-12月にかけて、九州産業大学の緒方泉先生をリーダーとする「博物館リンクワーカー人材養成講座」が開催されます。このタイトルで開催されるようになったのは2021年度からですが、

実はそのさらに前、2018年の「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」の連続講座で、すでにその流れは始まっていました。

今年度の連続講座開催に先立ち、そもそもリンクワーカーとはなんぞや?と、今更ながらに思いました。その先駆的な取り組みをしているのは英国で、これまでの学芸員研修会でも、英国の美術館の事例を学んできました。

あらためて復習して思ったことは、リンクワーカーはリンクワーカーでも、アートエデュケーターとしてつなぐ先は、美術に関連する活動や組織や施設であればこそ、その専門性が生かされるということ。アートを軸とすることで、そこから広がる活動にも「わたしが関わる意味」がはっきりするだろうな、と思いました。

アート・エデュケーターとしての、ワーク・フィロソフィー。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アート・エデュケーターとしての、ワーク・フィロソフィー。

上の写真は、わたしに美術教育、アート・エデュケーションという仕事があることを教えてくださった師である、齋昌弘先生の「大きな羊の見つけ方」の表紙帯。齋先生との出会いは2016年の10月のことでした。

それから6年後となる先日受講した宮本由紀さんの講座で、アート・エデュケーターとしてのわたし自身のワーク・フィロソフィーについて考える機会をいただきました。。

そもそも「work philosophy」とは何ぞや!?単純に翻訳すると「仕事哲学」です。会社でいうところの「経営理念」、芸術家にとっての「アーティスト・ステイトメント」というようなこと、かな。フリーランス=個人の名前で仕事をするにあたり、大切にしているもの。「哲学」という言葉はしっくりきます。さらに言えば、仕事がそのまま人生である人(わたしもそうですが)にとっては、人生哲学ともいえるのかもしれません。


アート・エデュケーターふじゆりの哲学。

WHY なぜその仕事をしているのか。

結婚を機に「工芸・アート(美術)」の世界に入りました。ギャラリーを回るなかで、お客さまに接するなかで、すぐに「自分の美意識(価値観・世界観)で作品を評価出来る人が、いかに少ないか」に気づきました。「やきものが好き、アートが好き」と言いながら、個別の作品について「これが好き、これが良いもの」と、自分の言葉で言える人がとても少なかったのです。自分のモノサシを持たず、他者の評価がないと、決めることが出来ない人たち。一般のお客さまだけでなく、ギャラリストをはじめとしたアート関係者にもそういう方が少なくなかったのは、ショックでした。

わたし自身は、仕事として美術の世界に入ったのは26歳からですが、「自分の好きなもの・自分にとって良いもの」を評価することは、それ以前からずっと、あたりまえのことでした。ですのでこれは、単にアート(美術)の問題にとどまらず、生き方全般に関わることだと思いました。「自分で決めることが出来ない」人々を目の当たりにして、自分で決めることが出来る人を増やしたいと思ったことが、根本的な動機・使命としてわたしのなかに芽生えました。美しいものとはどのようなものか、大切なものは何か、自分自身のモノサシを持ち、判断できる人は、自分の人生を豊かにすることが出来ると思うからです。

そんなわたしの課題を解決する方法として、美術が使える=アートエデュケーションの意味・価値・方法を最初に教えてくださったのが、齋昌弘先生の美術教育の講座でした。齋先生に出会ったのは、博物館学芸員資格を取った後のことでしたから、最初に課題を見つけてから10年以上が経っていました。「これが自分の探していたものだ!」と、長年のモヤモヤに一つの道が開けて、興奮したのを覚えています。自分のこれまでのキャリア・経験がすべて無駄なく生かせる仕事であり、注ぎ込むべき仕事だと思いました。

WHAT 何をしている人なのか。

アート・エデュケーターです。「Meet Me at Art アート(美術)を使って自分と出会う」をテーマに、活動しています。美術・工芸に関する知識の教授、美術・芸術教育情報の提供、セミナー・研修会・会議の企画開催、美術に関する講習会および美術鑑賞セミナーの企画・開催、美術・工芸・芸術に関する書籍・テキストの制作…などが、Meet Me at Artの仕事、アート・エデュケーターとしてのわたしの仕事です。

HOW 具体的にどのような活動をしているのか。

美術を使った教育プログラム(アート・エデュケーション)を提案・実施しています。対話型鑑賞法(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)や身体的なアプローチによる美術鑑賞、自分の内面と向き合う美術的コラージュ制作のワークショップなど。それぞれの手法で「見る(触る)」「分析する」「解釈する」「言葉にする」トレーニングを行うことにより、観察力・想像力(創造力)・表現力を育みます。視野が広がり感性が磨かれると、他者の評価に惑わされない自分自身のモノサシができます。美術を使ったプログラムを通して、自分軸のモノサシを会得し、磨いていくお手伝いをいたします。

まとめると…

「Meet Me at Art」アート(美術)を使って自分と出会う。「見る(触る)」「分析する」「解釈する」「言葉にする」アート・エデュケーションを通して、観察力・想像力(創造力)・表現力を育むお手伝いをしています。視野を広げ感性を磨き、自分自身のモノサシができると、毎日はもっと面白く豊かになります。不確実性の高い現代をしなやかに生きる人を、美術を使ってサポートします。


思いのほか時間がかかりました。常日頃から考えていることなので、すんなりいくと思ったのですが、文字にまとめるとなると、またひと手間ですね。これからも、場面や自分自身の成長に合わせて、少しづつブラッシュアップしていくことになると思います。まずはこれが出来上がったことで、確実に自己紹介がしやすくなりました。ワーク・フィロソフィーを言語化する。分野を問わずフリーランスで活動する方々は、この手順で自分の「哲学」まとめてみると、活動の核となると思います。あらゆる選択・決定の場面で、立ち戻ることのできる核があると、ブレない行き方(生き方)ができるだろうな、と。