ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ローマ教皇レオ14世のことばに頷く―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月からスタートした「気になったニュースから」についてのブログ、カテゴリー名を「芸術・文化のニュースから」に変更しました。内容にしっくりくるカテゴリー名を模索中でした。取り上げるニュースソースは、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなどで、出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

さて今回も、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)から。『「AIの時代にこそ芸術家が必要」──ローマ教皇が人間によるアートの営みの重要性を強調』の記事です。ローマ教皇レオ14世といえば、つい先日肺腺がんの手術で入院なさったと報道されていましたね。経過良好で退院なさっとのことで、なによりでした。

さてこのニュース記事、まず「バチカンで行われた芸術家たちとの会合で」の書き出しの、あまりにも自然な感じが印象的でした。そのような「芸術家たちとの会合」が、バチカンあるいはローマ教皇あるいは教会にとって、珍しいことではないのだろうな、と思わせられる文章です。宗教と美術の結びつきの強さ、それらが日々の生活のなかにある基盤の強さを、思わされました。

「人工知能(AI)の時代における芸術の重要性」についての発言で、ARTnews JAPANの文章をそのままお借りすると、“アーティストやキュレーターに対し、教会にはあなたたちが必要だと語りかけ、「それは、人間の芸術と機械が生み出すものとの区別が急務である人工知能の時代において特に重要です」と述べた”、とのこと。元の記事では、その前後の内容や背景についても書かれていますので、興味のある方はぜひそちらにあたってみてくださいね。

芸術・美術に真剣に取り組み生業としている人たちにとって、とても粋に感じる言葉だったろうなぁと思いました。わたしは、「芸術家」と称する人は、我が道を進んでいるようでいて実は誰かの(社会の)役に立ちたいという気持ちや承認欲求が強い人たちが多いと、常日頃から感じています。なので、自分の存在・やっていることの価値がこのような形で語られるというのは、きっと嬉しかっただろうなぁ、と。

同記事によると、ローマ教皇としては、1964年にも当時のパウロ6世が「我われはあなた方を必要としている」と芸術家に呼びかけた、とありました。そのときの背景がどのようなものであったのかまでは、わたしは調べていませんが、社会のなかで、歴史の中で、当たり前に芸術家の存在が認められていることを、意識させられます。と同時に、歴史のなかでは、芸術家やその作品が政治的に利用されてきたこともあったことを思い出させられました。

ローマ教皇とはスケールが違うとも思いますが、例えば日本で神社やお寺がアーティストやキュレーターを集めて「あなたたちの存在が重要です」と言ったら、それはどのように受け取られ、どのようなニュースとして取り上げられるだろう…と、ちょっと興味が沸きました。もちろん、その発言の背後に何があるかに寄って異なるでしょうけれど。

ともあれ、アート業界の端っこで仕事をしている者としては、世の中が良くなる方向へ、平和な世の中に向かうように、芸術の力が働き生かされることを、願ってやみません。

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「医療とアート」について思うこと―ARTnews JAPANのシリーズ記事から

この2026年10月から、このブログに「気になったニュースから」のカテゴリーを追加しました。スタートしたばかりで記事数が少ないので、頑張って連続で上げて行きたいな、と思っています。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。記事について思ったことをつらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね。

ふたたび、ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。【医療とアートの最前線】なる連載物を見つけました。最新記事のタイトルは、『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』。「アートと健康」については、福岡では「博物館浴」を提唱する九州産業大学地域共創学部・特任教授の緒方泉先生のもと、比較的早い時期から学びの場がありました。毎年のシンポジウムでは、英国での最新の取り組みをお聞きすることができ、とても恵まれた環境だと思います。

さて『認知症にアートは「効く」のか──イギリスの「Arts for Dementia」が示す創作の力』の記事。ワークショップへの参加者が、手や身体を動かして参加する「創作活動」についての記述に興味が沸きました。ワークショップがどのように進められるのか、そこで助言をするアーティストたちがどのようにかかわっていくのか、そしてその結果として、どのような成果・効果が見込まれるのか。

わたしがこれまでに学んできたところでは、音楽療法では、実際に楽器を使ったりという身体的なアプローチでしたが、美術分野では、回想法などのアプローチ、すなわち体を動かすというよりは「観て、話す」が多かったです。なのでこの記事で、陶芸、彫金、モザイクなどの「モノをつくる」を取り入れる方法、その過程で出てくるさまざまな課題を垣間見ることができたのは、とても良かったです。

Arts for Dementiaのペニー・フォステン氏が、ワークショップの目的を「セラピーではない」とし、『その目的はあくまで「アイデンティティや好奇心、喜びを探求する楽しみ」であり、患者も介護を担う家族も、「病気に支配されがちな日常から離れ、認知症患者というレッテルから自由になること』(ARTnews JAPANの記事より)としていることに、目を開かされる思いでした。

緒方泉先生による「アートと健康」へのアプローチでは、2018年に「博物館と高齢者の健康・幸福感」のテーマがまず掲げられました。2020年のコロナ禍を経て、あらゆる世代に向けての、より緊急かつ重要な課題として「博物館と健康・幸福感」がテーマになってきています。一番上の写真は2025年度のシンポジウムのもので、この時の大テーマは、「博物館と医療・福祉のよりよい関係」でした。ARTnews JAPANの記事を読みながら、身近で同様のテーマを学ぶ機会をいただいていることのありがたさを、つくづくと感じました。

「英研究機関と協定」ですって!― 西日本新聞の記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「英研究機関と協定」ですって! ― 西日本新聞の記事(2026/10/6)から

この2026年10月から、このブログに「ニュースから考える」カテゴリーを追加することにしました。新しいカテゴリー(今日からカテゴリー名「気になったニュースから」にしました)で、記事数が少ないので、ちょっと頑張って連続で上げて行きたいな、と思っています。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。記事に載っていた内容について思ったことをつらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね♪

福岡県のローカル紙・西日本新聞からの、めちゃめちゃ地元!な記事です―世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の保存活用協議会が、英国セインズベリー日本芸術研究所と学術交流の連携強化を目的とした協定を締結した―というもの。花祭窯のある福津市には、「新原奴山古墳群」があり、この「関連遺産群」に名前を連ねています。というわけで、新聞に載っていた協定締結の記念写真には、福岡県知事や宗像市長や宗像大社宮司と並んで、ご近所住人でもある福津市長の顔もあり。

「セインズベリー日本芸術研究所」の名前に目が留まりました。英国セインズベリーといえば、ロンドン市内あちらこちらで見かけるスーパーマーケットチェーンです。出張時にお世話になっている宿の最寄りスーパーがセインズベリーなので、毎回足繁く通う(!?)親しみのあるスーパーなのです。ヴィクトリア&アルバート博物館のなかに、セインズベリーギャラリーなるスペースがあり、コレクションを寄贈しているのを観ていますので、スーパーマーケットの事業で儲かったのを文化芸術方面での支援に回しているんだなぁ、こういう寄付文化が英国の美術館を支えているのだなぁ…と思っていました。

が、「日本芸術研究所」なるものがあるとは存じませんでした。まったく思いがけないところで「セインズベリー」の名前が聞こえてきて、驚くやら楽しくなるやら。とはいえ、ただわたしが知らなかっただけで、世界遺産に登録されてすぐのころから、つながりがあったようです。公式サイトを拝見すると「本研究所の使命は、過去から現在にわたる日本の芸術・文化の分野において、世界の最先端をいく最高水準の研究を推進し、日本芸術文化学のけん引役となることにあります」とありました。そのなかのひとつに、ご近所の世界遺産が入ったのですね。そうとも知らず、ただ「使い勝手の良いスーパーマーケット♪」と思っておりました。たいへん失礼いたしました…このニュースひとつで、認識がまた新たになりました。

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事から

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「海外観光客も引き続き無料」についての小さな考察 ― ARTnews JAPANの記事(2026.09.29)から

この2026年10月から、このブログに「ニュースから考える」カテゴリーを追加することにしました。ニュースとはいっても、個人的に興味のある分野に限られますので、美術・工芸系のもの、ざっくりと人文系が多くなるかな、と思います。ニュースソースとしては、新聞・雑誌・ウェブコンテンツなど。ニュース記事の内容について思ったことを、つらつら書くスタイルです。出典元を記載しますので、関心のある方はぜひ元ネタにあたってみてくださいね、という感じで^^

記念すべき第一回目は、株式会社MAGUSさんが運営するARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)の記事から。株式会社MAGUSさんは、寺田倉庫さんを中心に設立された、アートのプラットフォームを目指す会社ということで、わたしはそのウェブサイトをつい最近発見したのでした。美術品の物流業からアート関連事業をどんどん拡げておられる寺田倉庫さんの肝入りとなれば、注目度も高そうです。

さて

ARTnews JAPANより「海外観光客も引き続き無料」のニュースは、英国から。「イギリス政府は9月28日、大英博物館やテート、リバプール国立博物館群など、イングランドの国立博物館・美術館で海外観光客から入館料を徴収する案を撤回すると発表した」とありました。そもそも有料化する案が具体化しているということも知らなかったワタクシ、このニュースを見てドキッとするやらホッとするやら。そういう議論があるのは聞いたことがあったのですが、ね。

ロンドン出張時になにがありがたいかといって、主だった美術館博物館が入場無料であり、しかもその常設展示の規模と内容が素晴らしく膨大である、というところなのです。無料だからこそ、アポの合間に15分空いた!といって、近くの美術館に飛び込むことが出来たりもします。各館、無料で入れるとはいえ、ドネーション(寄付)の呼びかけが随所にありますので、わたしも行ったときには必ず幾ばくか寄付をします。たぶん、そういう人がかなりたくさんいらっしゃるはずです。昨年行ったときには、キャッシュレス化が進んでいましたが、コロナ禍前までは多くの館で透明の寄付箱がおいてあり、コインばかりでなく高額紙幣がたくさん入っているのを、ビジュアル的に見ていました。お金を持っていなくてもウェルカム、だけど館の存続運営のために、協力できるとき・協力できる人はよろしくね♪というスタンス。

寄付に積極的に協力するのは、入館料が無料だからこそ!という一面もあると思います。「こんなにたくさんの本物の資料を、無料で見ることができるなんて」という感激が、寄付に向かわせます。海外からの観光客となれば、入館すれば、館内のカフェでゆっくり飲食をしたり、ミュージアムグッズを買ったりして、お金を使うことも多いでしょう。おそらくそういうことがわかっているからこそ、現場である各館からは有料化に反対の声が上がっていたのだと思います。敷居はできるだけ低くして、中でお金を使ってもらうほうが、双方嬉しい結果につながるのではないかしら、というところですね。もちろん比較した試算を見たわけではありませんので、あくまでもイメージですが。

この記事を読んで思い出したのは、わたしが英語学習用を兼ねて勉強に使っているDVD『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』の中のいくつかのシーンです。このなかに、館運営のための予算を検討するシーンがあり、国からのサポートが厳しくなっていることがうかがえる会話が出てきます。日本の美術館博物館も財政的に厳しい状況ですが、英国でもそうなのだなぁと思いました。この映画が公開されたのが2014年でしたので、今はもっと厳しくなっているのかもしれませんね。