読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

カメリアステージ図書館の新刊棚に文庫を発見。令和3年11月1日発行となっていました。今更ながらではありますが、名作は何度も文庫で新刊として蘇るのですね。写真は、小説の舞台のひとつであるロンドン、テムズ川。

サマセット・モームの本は『月と6ペンス』を読んで以来です。『月と6ペンス』は、画家ゴーギャンがモデルとされるストーリー。個人的な読後感としては、たしかに衝撃は大きかったものの、「ゴーギャンだから」という前提(わたし自身の思い込み)が、プラスにもマイナスにも働いてしまった感じがしていました。

『人間の絆』は1915年に発表された長編で、自伝的小説とされています。『月と6ペンス』より後に出たのかと思っていましたが、『人間の絆』の方が先でした。分厚い上下巻に引き込まれて、どんどん読みました。ただ、ワクワクしてページをめくるのが楽しいという感じではありません。主人公の劣等感や、それと表裏一体となった自意識過剰、プライドの高さが生む滑稽さ無様さが自分自身と重なり、目を逸らしたいのにできない、という感じ。

モーム=月と6ペンス、という印象でしたが(というか、それしか読んでいませんでしたが)、どうやらモームの代表作と言えば、本書『人間の絆』なのだろうな、と思った読書でした。

読書『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

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『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

2021年カメリアステージ図書館選書ツアーの選書本から、第一読者としての一冊目は、大好きなロンドンナショナルギャラリーコレクションを紹介・解説したMOOK本。展覧会図録ではありませんが、出版のタイミング的には、2020年から2021年にかけて日本国内で開催された「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の関連かと。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」 は、コロナ禍でなんとも難しいなかでの開催でした。行こうと思っていたけれど行けなかった、自粛した、という方々も少なくなかったのではないかと思います。この本を通して、次回の国内展覧会(あるかはわかりませんが)や、現地への訪問に思いを馳せる時間を楽しむのもおすすめです。そういえば、わたしが前回ロンドン・ナショナル・ギャラリーに行ったのは、2年前の今頃でした。美術館前の広場で高所作業車がクリスマスツリーを設置していたのを思い出します。

さて本書。巻頭で「必見」マークを付けた名作を紹介し、そのあと年代別に5章に分けて、各年代ごとの必見コレクションを並べています。絵画の写真に添えられたそれぞれの作品解説が、長すぎず短すぎず、読みやすいです。一枚の絵のなかでも特に注目すべきポイントは、「クローズアップ」としてアップ写真で解説しています。巻末には掲載されている絵画タイトルのインデックスが載っているので、見たいものから逆引きで見ることもできます。

わたしはふだん美術館で絵を見るときは、キャプションをほとんど読みませんので、この本であらかじめ予習していると、また見え方が異なってきそうです。来年あたりはロンドンに行きたいなぁ、と思いつつ。

本書の監修の冨田章さんは、東京ステーションギャラリーの館長さん。そういえば、東京ステーションギャラリーにはまだ一度も足を運んでおりません。東京駅といえば辰野金吾。次回状況の際には必ず訪問したいと思いました。

選書ツアー本がやってきた!

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選書ツアー本がやってきた!

今年10月に参加したカメリアステージ図書館の選書ツアー。「選書が届きました!」とのお電話で、ワクワクと図書館に向かいました。選書ツアー参加のなにが嬉しいかといえば、選んだ本のなかから図書館の蔵書が生まれること。そして選んだ本の「第一読者」になれること。第一読者には、その本をおすすめする「ポップ」を書く使命も課せられますが、そこは「喜んで!」。

例年ですと、一人の選者から2冊か多くても3冊の本が図書館に入るのですが、今年度はなんと6冊も入れていただくことができました。書籍購入予算の都合などがあるのでしょう、詳しいことはわかりませんが、なんともありがたく嬉しいことです。貸出カウンターで選書の受け取りをする際、6冊もの新刊を前に思わず興奮状態(笑)で、司書さんにお礼を言いました。

選書ツアーからふた月も経っていませんが、自分がどんな本を選んだのかは、すっかり忘れていました。どういうわけか分厚い本ばかり選んでいたわたし。あらためて顔ぶれを見ると…すべて心あたりあり、読みたい本ばかり。本を入れようと持って行っていたエコバッグをパンパンにして帰路につきました。第一読者のあとには、新書を待ちわびている図書館利用者の皆さんがいらっしゃるので、サクサクと読まねばなりません。果たして貸出期限の2週間内で全部読めるのか!?

その顔触れは、上の写真の通りです^^…『世界の戦略図鑑』(宝島社)、『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』(SBクリエイティブ)、『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)、『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)、『読書大全』(日経BP社)、『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)

教科書が2冊(笑)。ダイヤモンド社から2冊。小説がひとつもありませんね。実は今回一緒に選書ツアーに参加した息子が選んだのが、すべて小説でした。親子合わせてちょうどよいバランスです。ともあれ、これから2週間は読書三昧。また読後ブログを上げてまいります^^

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

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2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

九州産業大学美術館、地域共創学部の緒方泉先生が中心となって開催してくださる、文化庁事業「学芸員技術研修会」。学芸員技術のブラッシュアップの場であり、最新の知見を得ることができる貴重な場です。多様な立場で活動しておられる学芸員の皆さんと、さまざまな課題を考察したり意見交換できる機会でもあります。館に属さずフリーランスで活動しているわたしにとっては、ほんとうにありがたい機会で、2016年から毎年参加しています。

美術館等での研修の現地開催が悩ましい昨年から今年は、講座への参加に地域別の条件が付いたり、講座自体が中止になったりと、運営する事務局の皆様方のご苦労はいかほどかと頭が下がります。そんななか今年度は、オンライン開催による連続講座のご案内をいただきました。

「博物館リンクワーカー人材養成講座」では、美術館博物館をはじめとした社会文化施設が、地域住民の健康・福祉にどのようにかかわっていくことができるか、がメインテーマ。「博物館浴」の実現性と、そのための人材養成を探っていきます。思えば、2018年に受講した連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」から、「博物館浴」への動きはスタートしていました。

連続6回で構成される講座の3回目までが終了し、折り返し地点です。前半第1回から第3回までの、備忘的メモ。


第1回「博物館浴研究の最前線」

緒方先生のお話「博物館浴研究の最前線」。自分が漠然と考えていたよりも、ここ数年でエビデンス(医学的根拠)を積み上げていく取り組みが、世界各地でかなり進んでいるということがわかり、嬉しい驚き。英国、カナダなどが先進的なほか、3回目で報告のある台湾の取り組みも要注目。

グループワーク「オンライン語り場」では、全国各地からの参加者の皆さんのこのテーマに対する関心の高さが伝わってくる。どの地域でも同様の課題があることがわかる。またコロナ禍下で、課題の緊急度が高まっていることも伝わってくる。

個人的には「美術(美術館)はもっと使える」を実現する方法のひとつとして、具体的なアプローチが見えてくる予感大。「博物館健康ステーションのリンクワーカーとして働く」ことが、職業選択の際に現実的な選択肢として生まれる場になりそう。

第2回「オンライン博物館浴プログラムの実際」

身体を動かすことの意味・効果を、ふだんとは違った角度から眺める。2018年に参加した音楽療法講座での体験が、そのさらに先の展開につながっていることを理解できた。拝見した高齢者施設での事例はまだまだ発展途上の感があったものの、だからこそ今後どのように展開・進化していくか、期待が膨らむ。

実際にプログラムに合わせて体を動かしてみて、フィジカルなアプローチでの美術鑑賞法の可能性が広がることを実感。これまでは主に子ども向けのプログラムとして考えがちであった、美術と身体的エクササイズの組み合わせは、子どもに限らず楽しめるものであり、かつ心身のリフレッシュに有効であることが体感できた。例えば、エクササイズ×絵画、エクササイズ×仏像、エクササイズ×彫刻、エクササイズ×埴輪…など、組み合わせは資料により無限大。

第3回「台湾の博物館処方箋プログラムの動向」

台湾では既に手引書ができ平準化されつつあることに、嬉しい驚き。「処方箋に博物館と書く」動きがどんどん進んでいる。昨年来読んできた、台湾IT相オードリー・タン氏関連の著書にあったとおり、社会課題に対して国(政治)が真摯に市民の声を聞く仕組みができており、そのうえで官民共同があるからこそ(例えばコロナ対応しかり)、必要な施策をスピード感をもって実行できる。博物館浴への先進的な取り組みもまた、そうした成果のひとつであろうと思えた。

医療(医者)との連携、福祉(施設)との連携、行政の各分野(縦割り)との連携。どこを窓口として、いかに横のつながりを構築していくかが、実務を考えていくうえでの現実的な課題になるであろうとの共通認識。


後半のプログラムは12月。今からとっても楽しみです。

読書『創造思考』(東洋経済新報社)パノス・A・パノイ、R・マイケル・ヘンドリックス著 大田黒奉之訳

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読書『創造思考』(東洋経済新報社)パノス・A・パノイ、R・マイケル・ヘンドリックス著 大田黒奉之訳

サブタイトルに「起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ」とあります。先日ご紹介した『Dark Horse 好きなことだけで生きる人が成功する時代』も表紙が文字でいっぱいでしたが、こちらも文字の多い表紙です。

実は表紙の感じだけでなく、中身で言いたいことも、本書『創造思考』と『Dark Horse』では、アプローチは異なれど、とっても似ています。この2冊を同じタイミングで読んだのは、まったくの偶然だったのですが、これから考え方の中心がこのように移っていくのだろうな、と感じました。

どちらも良書だと思いますが、どちらか一冊を言われたら、わたしは個人的にはこちら『創造思考』をおすすめします。

以下、備忘。


  • 人類最大の知性であるレオナルド・ダ・ビンチが科学者であると同時に芸術家であり、科学と芸術をそれぞれに役立てたのも偶然ではない。
  • 「聴く力」は武器になる
  • テクニックとしての沈黙
  • 自身の奥の直感を信じて耳を傾ける。
  • 失敗したら方向転換したらいいんだし
  • 大事なことは書き続けること
  • 遊ぶことは正義
  • 「誰と組むか」がすべて
  • 一番重視するのはアンサンブル
  • まず自分のスキルに自信を持つこと(中略)2つ目に他の人に興味を持つこと
  • 完成品を作るな、試作品を作れ
  • プロデューサーとして、自分が一番のフォロワーだと考える
  • その仕事はアーティストが成功するための空間作り
  • まず相手の本質を見抜かないといけない。これには経験とか読書が必要だ。
  • 創造性と想像力
  • 事実や数字と同じくらい力になるのは直感と自信
  • その根本に真実があれば、表のシンボルにもそれがにじみ出る
  • リミックス
  • 共通の方向にエネルギーが向いている
  • さあ前に進もう
  • 自分の核を知る

『創造思考』(東洋経済新報社) より。


2021年もあと1か月余り。年内にあと何冊読めるかわかりませんが、本書『創造思考』は、今年のふじゆり的ベスト3に入りそうです。

読書『Dark Horse 好きなことだけで生きる人が成功する時代』(三笠書房)トッド・ローズ、オギ・オーガス

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読書『Dark Horse 好きなことだけで生きる人が成功する時代』(三笠書房)トッド・ローズ、オギ・オーガス

大浦千鶴子訳、伊藤羊一解説、と表紙に続きます。そしてタイトルの前には「ハーバードの研究チームが実証!」と。文字数の多い表紙です(笑)

わたしの本購入のパターンは大きく3パターンあります。その1、本屋さんで出会って即買い。その2、図書館で出会って本屋さんで購入。その3、メールマガジン「ビジネスブックマラソン(以下、BBM)」のおススメで購入。

本書『Dark Horse』は、その3。出版コンサルタント土井英司氏のメルマガBBMでの書評に『いわゆる王道キャリアではなく、「期待薄」のところから大成功を収めた人(ダークホース)がどうやって成功したのか、その共通法則を導き出した、画期的キャリア論』とあるのを読み、思わず購入しました。

それぞれの事例が興味深く、あっという間に読了。面白かったですが、この話ならよく知っているかも、という読後感でした。というのも、「ダークホース事例のひとつが最も身近にいる」からです。家や親せきに陶芸や芸術関係者が無く、芸術系大学も出ておらず、なんの後ろ盾もないところから出発して磁器作家・彫刻家を生業としているダンナは、まさにDark Horseでしょう。「好きなことだけで生きる」は、まさにその通りです。そして「成功」しているかどうか?という点においては、本書で成功の指標に位置づけられる「充足感」を基準にしたとき、大きく「Yes」と答えることができます。

本書では、これらDark Horseをそれぞれ事例として調査しただけでなく、実は誰もが個性を持ったDark Horseであり、それぞれの個性を尊重し育てていこうという動きが北米でははじまっていること、そうした動きを日本にも世界にも広げることができる(そうしなければならない!)であろうという希望を見ることができました。そこが単なる事例紹介本ではなく「ハーバードの研究チームが実証!」という部分なのだと思います。社会に広げての考察こそ、わたしにとっては本書を読んでの大きな収穫でした。

「個人の充足感の追求」が社会へ好循環を生む、という本書の希望的な結論は、とても腑に落ちるものでした。誰もがそうできる(自分自身の充足感を追及して生きることができる)社会になるならば、「生きづらさ」なんていう言葉もなくなるのかもしれません。

読書『乾物』(家の光協会)有元葉子 著

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読書『乾物』(家の光協会)有元葉子 著

ご存じ料理研究家の有元葉子さんの料理本です。表紙タイトルの右側に「有元葉子の和の食材」と書いてあり、どうやらシリーズもののよう。タイトルの左側には「切り干し大根、干し椎茸、きくらげ、かんぴょう、ずいき、大豆、干し湯葉、車麩、ひじき、煮干し、干し貝柱、干しえび、桜えび、じゃこ」と書いてあります。

乾物は大好きです。長期保存が大前提というところから、近頃は非常食としての側面を説く人たちも出てきましたね。個人的に、もっと活用したいと思っていたところに良書発見!ちなみに今うちの台所にある乾物を上げてみると、切り干し大根、干し椎茸、昆布、高野豆腐、ひじき、煮干し、じゃこ、削り節、ひよこ豆。

乾物って、面倒くさそうに見えて、実は「戻す」という一手間があるだけのこと。調理自体が面倒くさかったり難しかったり、ということでは無いと思います。そして、常備しておけば、いざという時にとっても便利です。なによりも、美味しくて栄養バランスが良いというのもGOOD。本書をパラパラとめくり、もっと買い貯めておこうと思いました。

それぞれの乾物をおいしくいただくための「戻し方」と、特徴にあったレシピがわかりやすく載っています。写真もいい感じです。最近は、調理方法を知りたいと思ったらインターネットでサッと調べることができますので、料理本を購入する機会がめっきりなくなりましたが、この『乾物』は手元に置いておきたい1冊です。

久しぶりのクラシックコンサート。素人だからこその、鑑賞の特権。

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久しぶりのクラシックコンサート。素人だからこその、鑑賞の特権。

東京ほどではないものの、制限の続いた福岡県。緊急事態宣言も、まん延防止措置も解除となって、少し気分的にほっとしていたところに、「秋のお客様大感謝コンサート」なるご招待をいただきました。地域のコンサートホール宗像ユリックス九州交響楽団(以下、九響)の粋な計らい。

今回は「クラシックコンサートが初めての方でも楽しめるように」考えられたプログラムということで、聞き覚えのある曲、初めてでも楽しめる曲が並びました。上の写真はそのプログラムの一部。ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズのテーマ」でスタートし、オーケストラを構成する楽団・楽器を紹介する「インストゥルメンタル・ブルース」を経て、ヴィヴァルディ「春」、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ベートーヴェン「運命」、スメタナ「モルダウ」と続きました。

素人・初心者にやさしいコンサートを実感しました。「初めての方でも楽しめるように」がしっかりと伝わってくる選曲・曲の並び。わたしは音楽を聴くのは好きですが、楽器はしないし、知識的にもほとんど情報を持っていません。だからこそ、ジャンルを問わずコンサートで思うのは「自分の好きな音かどうか」だけ。 横山奏さん の指揮による九響オーケストラが奏でた音は、とっても好きな音でした。

指揮を務めた横山奏さんの「おはなし」からも「優しいクラシックコンサート」のコンセプトがしっかり伝わってきましたが、それはあくまでも補足的なもの。自分が好きかどうか、音が心身に響いてくるかどうかに、知識は要りません。音楽を学んだことのある人は、きっとそうもいかないのかもしれないな、と思うと、素人だからこその鑑賞特権を嬉しく思います。

こういうとき、いつも思い出すエピソードがあります。それは一流の日本料理人さんとお食事に行ったときのこと。「和食の会食は、いろいろと目についてしまって心から楽しむことができないから、フレンチや中華の方がいい」とおっしゃったのを思い出すのです。どんなジャンルでも、純粋に自分自身の五感で味わいたいと思ったときに、「知らない」ことは大きな強み。

ともあれ、「耳に入ってくる音」「響いてくる振動」だけを純粋に味わうことのできた、贅沢な時間でした。

郷育カレッジ講座『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』に参加してまいりました。

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郷育カレッジ講座『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』に参加してまいりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。令和3年度は7月に開校式を開催したものの、コロナ禍による「緊急事態宣言」や「福岡コロナ警報」といった制限が続いて、講座の中止を余儀なくされておりました。10月になってやっと解除になり、講座スケジュールも再開となっています。

さて 『カメリアステージ図書館を活用する楽しみ』 。ふだんは60代、70代の受講者が多い郷育カレッジ講座ですが、土曜日の開催とあって、嬉しいことに小中学生の参加者が三分の一を占めました。講師は郷育カレッジ学長でもあり、図書館での活動を長くなさっている成清鉄男先生。カメリアステージ図書館の説明と館内探検は、図書館長の森さんがご担当くださいました。

座学で図書館活用の概要を学んだあと、実際にカメリアステージ図書館へ。森館長の案内で、一周しました。書架の構成・特徴、企画展示の説明など、ふだんから通っている図書館であるものの、説明を聞きながら周るとまた新たな発見があるから不思議です。郷育カレッジ講座の運営側の一員として、一参加者として、充実した時間となりました。

福津市には福津市図書館とカメリアステージ図書館の二つの図書館があり、図書館探検は、一年ごとに交代で開催しています。市民にとって価値の高い講座内容なので、継続的にカリキュラムに入れています。数年おきに参加すると、図書館自体の進化も感じることができます。知ってますます好きになる図書館です^^

読書『キリギリスのしあわせ』(新潮社)トーン・テレヘン著、長山さき訳

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読書『キリギリスのしあわせ』(新潮社)トーン・テレヘン著、長山さき訳

オランダから届いたお話。読後にまず思ったのは「読後感」に既視感があるということ。とてもやさしくて、ちょっぴり切ない、そんな気持ちなのですが、過去にもそんなことがあったような。すぐにその理由がわかりました。『くまのプーさん』です。でも、キリギリスのお話の方が、プーさんのお話よりも、切ない感じ、不条理感がちょっぴり大きいかな。あくまでも個人的な感想ですが。

くまのプーさんは、石井桃子さんの訳が素晴らしくて、さらに大人になって原著を読んだら、石井桃子さん訳のイメージにぴったりの語感の英語が並んでいて、とても嬉しかったのです。本著『キリギリスのしあわせ』も、長山さきさんの訳が素晴らしいからこその、この読後感なのだと思います。ただ、原著はオランダ語になりますので、語感の確認は私には難しいですが。

『キリギリスのしあわせ』 にはいくつものお話が入っています。「なんだかちょっぴり不条理」な感じのお話も。とてもいいな、と思うのは、それらのお話から、教訓めいた説教臭い感じが一切してこないこと。同じストーリーでも、教訓めいた雰囲気が出た途端に、鼻白んでしまいますので。「ただ、そうなんだよ」というお話を書くことの方が、もしかしたら難しいのかもしれませんね。そう考えると、貴重な出会いです。

著者の『ハリネズミの願い』(新潮社)が2017年に本屋大賞の翻訳小説部門賞を受賞しているということでした。まったく存じませんでしたので、これはぜひ、遡って読んでみようと思います。