桃居 藤吉憲典個展2025

ありがとう 桃居(とうきょ)の広瀬さん

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ありがとう 桃居(とうきょ)の広瀬さん

藤吉憲典を長年サポートしてくださった桃居さんが、2026年5月26日でお店を閉じられました。1987年東京西麻布に開店した桃居さん。藤吉憲典が陶芸作家として独立した初期からのお付き合いです。陶(土もの)の作家さんが中心の桃居さんでしたが、当時さまざまな雑誌記事などで桃居さんの美意識・スタンスを拝見していた藤吉が、広瀬さんに自分の作ったものを見てもらいたい一心で、アポを取って訪問したのが最初でした。

常設展示でのお付き合いからスタートし、桃居さんが個展中心の運営方法にシフトなさってからは、隔年での個展をずっと開催してくださいました。桃居さんでの個展は、藤吉憲典にとって毎回「新たにチャレンジしたものを、最初に見ていただく機会」となっていました。作家が「今度の個展はこういうものを考えています」というのに対して、広瀬さんはその取り組みを心から楽しんでくださっているようでした。そして個展での売上が芳しくなくても、毎回個展の終了時には「次回」の話をしてくださるのでした。

そこには、作家・作家が作るものに対する圧倒的な信頼と期待がありました。広瀬さんはとても大きくて暖かい方で、作家のことをよく見てくださっていました。同時に「ものづくり」という点に関しては、とても厳しい眼をお持ちの方でもあります。ですから、わたしたちはいつも「広瀬さんに、藤吉憲典は面白い!と思ってもらえる制作活動を続け、桃居さんで発表する」ことでその信頼に応えていきたいと常に考え、それは作り手としての気概となっていました。

藤吉にとっては、一年前、2025年の5月が桃居さんでの最後の個展となり、このときに広瀬さんから直接、2026年5月で閉店なさることをお聞きしました。作家が受けたショックはとても大きいものでした。長年のお付き合いの中で、広瀬さんは作家に対してなにかアドバイスをしたり、過度な計らいをするようなことは一切ありませんでしたが、広瀬さんの仕事への姿勢・作家に対するスタンスそのものが、作家にとってはメンター的な存在となっていました。初めて出会ったときから今まで、広瀬さんの作り手に対する態度は、まったく変わっていません。未熟なわたしたちは、なかなかあんなふうにはなれないけれど、人として、あんなふうにふるまえるようになりたいと、ずっと思っています。

先週末、六本木で「ありがとう 桃居の広瀬さん」なる集まりが開かれ、藤吉憲典も参加してまいりました。帰ってきたダンナに話を聞いたところ「めっちゃ楽しかった!すごく刺激になった!」と。桃居さんで個展をしていた作家さんたちだけでなく、桃居さんの古くからのお客さま、デザイン関係の人、メディアの人、アート系の人、さまざまな方が全国各地からいらっしゃっていたようです。参加申し込み「先着50名」だったそうで、入りきれなかった方々がたくさんいらっしゃったのは容易にイメージでき、その場に藤吉が居ることができたのは嬉しいことでした。呼びかけ人の皆さんには、このような機会を作ってくださったことに、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

思えば「桃居さんが扱っていらっしゃったから」「広瀬さんが高く評価しておられたから」という理由で、花祭窯に訪ねてこられてたギャラリーオーナーさんが何人もいらっしゃいました。桃居さんは、多くの工芸・器ギャラリーさんにとっても、目標とする存在だったのですね。これからの広瀬さんは、2026年秋にアパレルブランド45Rが立ち上げる工芸ギャラリー「茶馬亭」のキュレーターとしてご活躍なさいます。まず銀座店、追って京都店ができるとのこと。藤吉憲典も、またそこでご一緒させていただくことが決まっています。詳細決定次第、あらためてご紹介いたします。

桃居の広瀬さん、ありがとうございました!そして今後ともよろしくお願いいたします!

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その独立準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々雑用)担当として作家活動をサポートしています。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)としても、並行して活動しています。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。