続・単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

単発講座「肥前磁器(ひぜんじき)面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ」@朝日カルチャー福岡教室

朝日カルチャー福岡さんで、イベント告知のページができましたので、あらためて宣伝です(^^)

ご縁があって 、朝日カルチャーセンター福岡教室で 「肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ」講座をすることになりました。入会不要の単発講座です。興味のある方はぜひお気軽にご参加くださいませ。

「肥前磁器」とは、北部九州でつくられる「有田焼」「伊万里焼」などと呼ばれるものの総称です。磁器の歴史・つくり方・特長などの基礎知識から、現代生活での選び方・使い方のヒントまで、窯元おかみの視点でご紹介します。

とはいえ、せっかく「窯元おかみ」の視点でお話しするのですから、学術的な歴史のお話などよりは、「窯元」や「陶芸作家」の実態(!?)についてのざっくばらんなお話をする方が、楽しんでいただけるかな、とも思いつつ。90分という限られた時間をどんな内容で構成するか、今まさに考え中です(^^)


「肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ

日時:2019年4月10日(水)13時半~15時
場所:朝日カルチャーセンター福岡教室
受講料:朝日カルチャーセンター会員2,268円、非会員2,808円
講師:花祭窯・内儀(おかみ) 藤吉有里

お申込み・お問合せは
TEL 092-431-7751(朝日カルチャーセンター福岡教室)へ


ご参加をお待ちしております(^^)

読書『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書)圀府寺 司 著

ちょうどひと月前、アメリカの現代アート市場について、その道のプロである方にいろいろと教えていただいていた時のことです。アーティストだけでなくギャラリスト・ギャラリーオーナーも、コレクターも、美術館のキュレーターも、アメリカではアートに関わるあらゆる場面で ユダヤ系の方々が多く活躍しているという話になりました。

教えていただきながら、北米アート市場に進出したいと言いつつ、自分がそういうことをきちんと考えたことも無かったことに気づかされました。「人種のるつぼ」という多民族国家アメリカ合衆国を言い表す象徴的な言葉を聞いたことがあっても、その現状・背景をアートとのかかわりのうえで考えたことがありませんでした。

まずは少しでも知らなければと頼ったのが、本。「美術」「ユダヤ人」のキーワードで、ドンピシャのタイトルを見つけることができました。2016年1月初版のこの本。多大な時間と労力のかかっている研究成果が、このように一般人でも読みやすい本になっていたことに、感謝!の一冊です。

以下、備忘


  • 「教養」の概念は(中略)ドイツ古典主義の作家たちによって形成された理想的な人間の特性であり、その模範となったのが古代ギリシャの理想である。
  • それはロマン主義的な激情的美ではなく、理性的美を志向し、真善美の調和のとれた人間像を追求した。
  • 個人の真善美と内面の調和が社会も支えると考えられ、その意味で徹底した個人主義的理想であった。
  • 「教養」は個人主義的であると同時に、普遍性志向であり、ある種のコスモポリタン(世界市民)的な理想
  • 知性は最も奪われにくい財産でもあった。
  • この無形の財産の習得によって世界市民としての「市民権」と社会的評価と敬意を勝ち取れる。
  • 〔絵画の領域で〕他の生徒たちより優れていたことで、私は自分が受けていた屈辱に復讐することができた。
  • フィリップ・ファイトが「教養」や「世界市民」の理想のなかに見た普遍性は、古典文化に精通したひとにぎりのエリートたちだけの間でのものだったが、ピサロが絵の中で実現しようとした感覚世界、視覚世界はさらに大きな普遍性とはるかに広い受容者層をもちえるものだった
  • おそらく、啓蒙主義をいち早く実践し、最も早くユダヤ人に市民権を与えたフランスという国が保証し続けた「自由」こそが、芸術が育つために不可欠な土壌だった
  • 印象派以降、ピサロ以降に可能になってきた感覚的な美による大衆的感覚的普遍性
  • 一握りの裕福な家庭出身の知的エリートしかなれない世界市民ではなく、東欧の貧しいメシューゲにも手の届く新しい世界市民への道をシャガールはみつけることができたのである。
  • かつてユダヤ人を追放して衰えた国々のように、異邦人たちに安住の土地を与えられなくなった「芸術の都」はその地位を失っていく
  • これらの人々の主な亡命受入先がアメリカだったことを考えれば、アメリカが獲得した文化的な遺産の大きさも想像できる。
  • 芸術家や画商は、家柄や富、大きな元手がなくても、才能と努力で成功していける仕事である。
  • ロスコは自身の絵画を普遍的な根源的感情、宗教体験を伝えるものと考えていた。
  • 「原初の人間は芸術家であった」
  • 「人間の最初の手仕事は陶磁器ではなく神のイメージをつくることであった」
  • 陶磁器は文明の産物にすぎず、芸術的行為こそが人間にもともとそなわっていた本性なのである。
  • わたしの意図は空間environmentではなく場placeを創りだすことにある。
  • しかし私は、自分の作品が普遍的なものとして見られ、理解されるものであってほしいと望んでいます。
  • 普遍的な価値をもつと信じた美術を創り、それらを守り、それらに関わることで自分たちを支えた。

『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書) 圀府寺 司 著より


読書『芸術の都 ロンドン大図鑑』(西村書店)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『芸術の都 ロンドン大図鑑 英国文化遺産と建築・インテリア・デザイン』(西村書店)

1700枚以上の写真で語られるイギリス文化遺産。解説の文章も充実しています。見応えがあるうえに読みごたえもある本です。産業革命という猛スピードの変化と、二度の世界大戦という破壊行為を経たうえで、どうやってこれらの文化遺産が残されてきたのか、とても興味深く読みました。

名前は聞いたことがあるけれど行ったことのない場所、初めて目にする場所、とにかくたくさんの文化遺産的建築を堪能することができます。455ページある大型本なので、ガイドブックとして使うには大きすぎますが、次回のロンドン訪問時に行きたい場所がたくさんできました。

読書『夜想曲集』(早川書房)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『夜想曲集』(早川書房)カズオ・イシグロ著

副題が「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。そういえば『充たされざる者』の主人公も音楽家でした。

わたしにとっては、カズオ・イシグロの短編を読むのはこれが初めてでした。これまでさんざん長編を読んできただけに、一編読み終わるたびに「あらっ、もう終わり」と拍子抜け(笑)しましたが、余韻の残る読後感は短編でも健在で楽しめました。

ひとつのアルバムに見立ててつくられたという短編集。単純に「音楽のそばにあるストーリー」ということだけでなく、そこにある切なさというか、例えるならば夕暮れというか曇り空的な雰囲気が共通して感じられる五編でした。

まずはサクッとカズオ・イシグロワールドに触れてみたい、という方にお薦めの一冊。個人的には、次の長編が待ち遠しいところです。

読書『藤森照信の茶室学』六耀社

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『藤森照信の茶室学』六耀社

「日本の極小空間の謎」というサブタイトルのついた『藤森照信の茶室学』。久しぶりに取り出して読み直しています。以前、床の間について考えていた時に、この本が参考書のひとつとしてとても勉強になったのでした。

空中に浮いた茶室が有名な藤森照信さん。この本には茶室の歴史とそこに対する見解が述べられていて、勉強になるだけでなく、読み物としても面白いです。茶道の世界の方が書いたものではないところが、読みどころ。陥りがちな「こうあるべき」を取り払うのに最適です。

巻末の第七章の対談で藤森さんと茶室談義を展開しているのは、つい先日、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞したとのニュースが流れた磯崎新さん。

アマゾンでチェックしたところ、既に中古しかありませんでしたので、今後価格の上がっていく本であろうと考えられますが、建築や茶室に関わる方には、とてもおススメの一冊です。

単発講座「知識要らずの美術鑑賞」@朝日カルチャー福岡教室

こんにちは。Meet Me at Art(ミートミーアットアート)藤吉有里です。

単発講座「知識要らずの美術鑑賞」@朝日カルチャー福岡教室

「対話型鑑賞(ビジュアルシンキング)」で美術のミカタ(見方)を深めましょう。

ご縁があって 「対話型鑑賞(ビジュアルシンキング)」の手法を用いた 「知識要らずの美術鑑賞」講座をすることになりました。朝日カルチャーセンター福岡教室での、入会不要の単発講座です。興味のある方はぜひお気軽にご参加くださいませ。

昨今美術館のワークショップにも増えてきた「対話型鑑賞法」。本講座では、他者の目(キャプションなどで得られる知識)を通してではなく、自分自身の目(心・価値観)で美術鑑賞を楽しむ方法についてお話します。美術鑑賞は、誰もがもっと気軽に楽しめるもの(と、わたしは思います^^)。「わかる、わからない」の前に、あなた自身の「好き、好きじゃない」を大切にして美術鑑賞を楽しむきっかけをつくる体験講座です。


「知識要らずの美術鑑賞」@朝日カルチャー福岡教室

日時:2019年4月5日(金)13時半~15時
場所:朝日カルチャーセンター福岡教室
受講料:朝日カルチャーセンター会員2,484円、非会員3,024円
講師:Meet Me at Art フリーランスエデュケーター 藤吉有里

お申込み・お問合せは
TEL 092-431-7751(朝日カルチャーセンター福岡教室)へ


お待ちしております(^^)

単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

単発講座「肥前磁器面白雑学」@朝日カルチャー福岡教室

肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ―

ご縁があって「肥前磁器(ひぜんじき)」に関する講座を「窯元おかみ」の視点でお話しすることになりました。朝日カルチャーセンター福岡教室での、入会不要の単発講座です。興味のある方はぜひお気軽にご参加くださいませ。

肥前磁器の歴史や技術的なことについては、その道の専門家が多数いらっしゃいますので、「花祭窯のおかみ視点」というのが、わたしがお話しする意味になると思います。窯の創業以来今まで、お客さまから現場でたくさんのご質問をいただいてきました。そんなご質問=皆さんの興味にお応えするような内容をお話しできればと思っています。


肥前磁器面白雑学―窯元おかみが語るエピソードあれこれ―

日時:2019年4月10日(水)13時半~15時
場所:朝日カルチャーセンター福岡教室
受講料:朝日カルチャーセンター会員2,268円、非会員2,808円
講師:花祭窯(はなまつりがま)内儀(おかみ) 藤吉有里

お申込み・お問合せは
TEL 092-431-7751(朝日カルチャーセンター福岡教室)へ


朝日カルチャーさんの申込ページが出来上がりましたら、あらためてご案内いたします(^^)

続2019九州産業大学国際シンポジウム。

こんにちは。Meet Me at Art ふじゆりです。

続・2019九州産業大学国際シンポジウム。

2019九州産業大学国際シンポジウム。の続き。

講演内容を踏まえてのワークショップと質疑応答の時間も、濃い時間となりました。「博物館が地域社会をつなぐ」の実現を目指すにあたり、イギリス、アメリカと日本との違いは数え切れないほどありますが、情熱を持って取り組む学芸員さんの姿には共通するものも多々。

以下、備忘。

  • 「誰が必要な人を連れて来てくれるか?」連携。
  • 公式・非公式なメンター。
  • 同業者会議。
  • 「人がつくったもの」を見る意味。
  • What humanity is.
  • What I am.
  • my mission = social mission
  • What museum can do for the world.
  • meaning making
  • social inclusion
  • social justice
  • mentoring
  • visitor’s view
  • accessible for anyone
  • for one = for every people
  • support each other
  • depends on interest
  • cultural relationship
  • positive feeling
  • open communication
  • create and connect
  • small group
  • continue and feedback
  • care = partner
  • diversity
  • school and museum space
  • community of neighbors

これまでの学芸員研修では、毎回のようにワークショップのなかで、各地各館の学芸員さんの「こうしたいけど、なかなかできない」苦悩を耳にしていました。縦割り行政の弊害であったり、事業のトップに立つ者の無理解であったり。

今回の講演では、ダリッチ・ピクチャー・ギャラリー、イントレピッド航空宇宙博物館、両館のとてもポジティブな発表に、環境・文化の違いゆえに博物館での教育普及への理解が日本よりも深く、実行しやすい環境が整っているのだろうと単純に考えそうになったところ、彼らもまたたくさんの努力によって障壁を乗り越えて施策を進めて来たこと、そして今後も継続していくためにネットワークの構築に力を注ぎ続けていることがわかりました。

特に日本ではイメージしにくいほどの人々の多様性を受け入れてきている両国での努力は、ことばで聞いた内容以上に大変なことなのだろうと推察できました。でも、だからこそ、わたしたちは常にチャレンジしていくのだという言葉に、実際に推進してきた人たちの強い意志と力を感じました。

ほんとうに素敵な機会をいただきました。あらためて、九産大の緒方泉教授に心より感謝申し上げます。

2019九州産業大学国際シンポジウム。

こんにちは。Meet Me at Art ふじゆりです。

2019九州産業大学国際シンポジウム。

博物館が、地域社会をつなぐ。」博物館にはその力があると思います。でも、日本では残念ながらまだその力があんまり発揮できていない。2018年度の学芸員研修では「医療・福祉」を通してそのことを考えてきました。そのまとめ的位置づけの国際シンポジウムに参加してまいりました。

ロンドンにあるダリッチ・ピクチャー・ギャラリーと、ニューヨークにあるイントレピッド海上航空宇宙博物館からの、高齢化社会に向けた博物館教育の取り組みについての事例報告講演を中心に、ワークショップ・質疑応答など、脳みそフル回転の一日でした。

以下、講演からのキーワード備忘。

  • aged friendly city
  • find yourself in art
  • my care, my way
  • voluntary challenging
  • social care
  • positive way, positive environments
  • collection → benefit to public
  • welcoming
  • Can I support? What could I do? How do we do?
  • find new audience → connect
  • opportunities to try
  • knowledge and skills
  • together through art projects
  • individual experience
  • feel be supported
  • partnership
  • community based programs
  • Arts & Minds
  • any types of museums can do
  • care partners
  • connections
  • besides with
  • try something new
  • do themselves
  • professional networks
  • national and local networks
  • access
  • for opportunities, for challenges
  • continuing

当日は同時通訳さんがついて、講演を日本語・英語の両方でイヤホンでクリアに聞き取ることができました。わたしはといえば、できるだけご本人のことばで聞きたいなと思いながらも英語できちんと聞き取れるはずもなく、日本語と英語を行ったり来たり。言語脳も大汗をかきました。英語学習、全然足りていないことを痛感。同時通訳さんのすごさにも感動した一日でした。

読書『忘れられた巨人』(早川書房)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『忘れられた巨人』(早川書房)

カズオ・イシグロ作品。

早川書房編集部による解説の表現を借りるならば「神話や歴史を取り込んだファンタジー仕立てで、これまでのイシグロ作品を読んできた読者は不意打ちを食らう」であろう本。全編読んだ後にこの解説を読み、なるほどと思いました。

これも解説で知りましたが、物語の設定を位置付ける要素を「道具立て」というのですね。『忘れられた巨人』では、道具立ての要素として「アーサー王」という時代設定があり、「鬼・竜・魔女」といった空想上の存在がありました。

ただ、だからといって単純に「歴史小説」「ファンタジー」とならないところが、この物語の深みであったように思います。ではジャンルは何かと問われると、よくわかりません。作者的には「ラブストーリー」だそうで、そういわれて見ればなるほどと思えなくもありませんが、この際ジャンルは何でもよいように思います。

とても考えさせられる本でした。歴史小説的・ファンタジー的道具立てでありながら、現在をリアルに生きるわたしたちにも突きつけられるものがありました。その普遍性があるからこそ、目が離せず、夢中で読んでしまうのでしょうね。

これまでにも、イシグロ作品にビックリさせられることはありました。個人的には特に『充たされざる者』。読みながら募る「?」、上下巻すべてを読み切ってなお残る「?」。なので今回の物語も、たしかに不意打ちではありながら「なるほど、今回はそういう展開なのね」と落ち着いて受け止めることができたように思います(笑)