台湾・林先生からのお手紙。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

台湾・林先生からのお手紙。

一月に藤吉憲典が訪問した台南の芸術家・林文嶽さんからお手紙が届きました。

台湾で国宝級の陶芸作家である林文獄さんの芸術活動四十周年を記念するパーティーに参加し、工房とお住まいを兼ねた広大なスタジオに滞在したのでした。

書・水墨画・陶芸と活動範囲の広い林文嶽さんとたくさん話をするなかで、国や環境は違っても、文化芸術を心から愛し大切に思う気持ちと、芸術活動に取り組む姿勢、そしておそらく芸術家としての境遇にも共通点がたくさんあることが伺え、とても喜んで台湾から帰ってきたのでした。

台湾から帰国後に、お世話になったことへのお礼状を出していました。わたしは台湾語はやっと勉強をはじめたところで、ほとんど読むことができないのですが、美しい筆の文字と詩的な文章に、林さんからの気持ちが伝わってきて、とても嬉しく温かい気持ちになりました。

台湾語の堪能な友人に翻訳を頼んでみたところ「とても高尚な言葉遣いの文章」であることが判明。さすが現代の文人・林先生。ご縁にあらためて感謝の午後でした。

 

読書『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)

写真は『ART GALLERY 現代世界の美術 GOGHO』(集英社)より、ゴッホの「包帯をした自画像」と、佐藤虎清「風景の中の芸者」

昨秋出ていた原田マハさんの新刊を、やっと読みました。今回はゴッホ。


『―たゆたえども沈まず。
パリは、いかなる苦境に追い込まれようと、たゆたいこそすれ、決して沈まない。まるで、セーヌの中心に浮かんでいるシテ島のように。
どんなときであれ、何度でも。流れに逆らわず、激流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる。』

『「考え込んでも、どうにもならないことだってあるさ。どんな嵐がやって来ても、やがて通り過ぎる。それが自然の摂理というものだ」
嵐が吹き荒れているときに、どうしたらいいのか。―小舟になればいい、(中略)
「強い風に身を任せて揺れていればいいのさ。そうすれば、決して沈まない。』

『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)より


タイトルに込められたメッセージが全編を貫いています。が、ゴッホとテオの物語は「沈まず」に終わったと言えるのだろうかと、わたし自身はすんなり受け入れることができませんでした。沈まなかったからこそ「世界中が認めている」現在の評価を勝ち取ったといえるのかもしれませんが、本人にとっては生きているうちに「評価された」という実感を得ることができなければ、「沈まなかった」ともいえないような気がするのです。

それにしても、今回も原田マハワールドに一気に引き込まれました。次作も楽しみです(^^)

春なので、文化部スタート。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

春なので、文化部スタート。

この4月から人生のステージが変わる方もあれば、新しいことを始めたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

花祭窯では、この春から文化部活動をスタートすることにいたしました。

第一弾は「書道部@花祭窯」。

毎年お正月の1月2日に書き初め会を行っておりますが、そのなかから、字を書く面白さを感じる人がじわじわと増殖。年に1回だけでなく「定期的に書道をしたい」というお声をいただいておりました。

そこで、月に1回の書道部を始めます。部活動なので、部員制。書道をするには、ある程度スペースが必要なので、募集人数も限られてきますが、字を書くことに向き合いたい人たちで、ぼちぼち愉しめたらよいかな、と。

文化部は第二弾、第三弾も考え中。まずは書道からスタートです(^^)

 

「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」観てきました。

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上の写真は『小学館ギャラリー 新編 名宝日本の美術7 東寺と高野山』より。

「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」観てきました。

久しぶりの映画鑑賞報告。空海観てきました!映像のスケールの大きさが見応えある1本でした。華やかさ、荘厳さ、そして少々のおどろおどろしさ(笑)

原作を読んでいた友人によると「原作をかなり端折っている」ということでしたが、「全くの別物として観れば、悪くない」と。そして、とにかく「この映像は映画館の大きなスクリーンで見るべし!」ということで行って参りました。幸いわたしは原作を読んでいなかったので、純粋に楽しめました(^^)
空海については、どういう人であるかということをほんのちょっとでも事前情報として知っていると、より楽しめるかも、とも感じました。わたし自身は、数年前に空海について書かれた本を数冊読んでいただけでしたが、そこで得ていたイメージが、この映画を観るうえで補完的に役立ったように思いました。
それにしても、染谷将太さん演じる空海がとても良かったです。
ただひとつ残念だったのは、なぜか最寄りの映画館では日本語吹替版しか上映していなかったこと。舞台は中国でしたので、中国語で観たかった!
映画が面白かったので、夢枕獏の原作を読んでみようかな、と思っています。

読書『英語でアート』(マール社)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『英語でアート』(マール社)

佐藤実・宮本由紀共著

英語とアート。以前から、この組み合わせでの情報を得られる場として、フェイスブック上でチェックしていたのが、Art Alliance「英語を使ってアートを学ぼう!」の情報でした。

Art Alliance「英語を使ってアートを学ぼう!」

上京のタイミングが合えば、英語講座に参加したい!とずっと眺めていたのですが、なんと、主催者の宮本由紀さんの本が出る!ということで予約注文してゲットしたのがこちら。

帯にあるとおり、たしかに「ただの英会話の本ではありません。」

ロンドンのギャラリーとやり取りをするなかで、たしかに日常会話でもなく、かといってビジネス英語でもない独特の距離感の英語を感じ、試行錯誤しながらやってきておりましたので、この本を得て百人力。

この本を読んで、さらに「アーティストのための英語講座に参加したい!」と思いました。海外展開を目指すアーティスト必携です(^^)

 

読書『SHOE DOG 靴にすべてを。』(東洋経済新報社)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『SHOE DOG 靴にすべてを。』(東洋経済新報社)

NIKE創業者フィル・ナイト氏による、ナイキの物語。現・ナイキCEOのマーク・パーカー氏はアートコレクターとしても有名なのですが、実はそのプライベートコレクションに藤吉憲典の作品も入っているのです。これは読むしかありません。

わたしも世代的にはナイキの熱狂を感じてきた世代ではあります。が、それ以上に「今のナイキ」につながる物語を知りたいと思って手に取りました。

ところがまあ、純粋にストーリーに引っ張り込まれました。全548ページの分厚い1冊でしたが、一気に読みました。以下本書より、ひびいた言葉。


  • 馬鹿げたアイデアだと言いたい連中には、そう言わせておけ
  • 金が最終目標ではないが、目標やゴールが何であれ、そこに到達するには金がいる。
  • 負け犬でも勝てる
  • ゴールラインは存在しない
  • 偶然と言ったが、ほんとうに偶然だろうか。
  • 懸命に働けば働くほど、道は開ける。
  • 自分を信じろ。信念を貫けと。他人が決める信念ではない、自分で決める信念だ。

『SHOE DOG 靴にすべてを。』より


 

カフェトーク「歴史資料館を極めよう!」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

カフェトーク「歴史資料館を極めよう!」

先日参加した、福津市カメリア歴史資料館でのイベント講座があまりにも面白かったので、先週末ブログをアップしていたのですが、さらに内容について、わたしが受け取ったことをまとめてみました。


  • カメリア歴史資料館ができるまで、福津市内で発掘された遺物類(文化財)は、一部を除いて九州歴史資料館(小郡市)に、膨大な量が預けられていた。
  • 今回歴史資料館をつくるにあたり、展示だけでなく保存管理のための設備もつくることができたため、文化財を本来あるべき場所取り戻すことができた。いわば「里帰り」。
  • 保存管理のみならず修理・修復、展示のための製作など、九州歴史資料館の方や、専門業者、専門家の方々の協力を仰いで、カメリア歴史資料館での企画展示が出来上がっている。
  • 展示内容の理解を深めてもらうために複製品も活用していくが、「ほんもの」での展示がメイン。
  • 福津市から出土しているもののなかに県(福岡県)が所有しているものがあり、カメリア歴史資料館で撮影禁止になっているものは、おもに県所有のもの。福津市の所有する文化財については、保存の観点から必要なものを除いては、基本的に撮影可能

福津市文化財課の担当の学芸員さんが、解説中になんども「里帰り」という言葉をお使いになったのが印象的でした。まさに里帰り。歴史資料はその土地に暮らす人たちのルーツに関わるもの。お話を聞きながら、本来あるべき場所に里帰りできたことの価値の大きさが、じわじわと伝わってきました。

また最後の「基本的に撮影可能」というスタンスが、とても嬉しく思いました。写真にとることで、その文化財と自分との距離が縮まるような気が、わたしはしています。

観覧の際には、ぜひ「撮影禁止」マークの有無をご確認のうえ、禁止でないものについては、自分の気に入ったもの、気になったものを写真にとってみて楽しんでもらえるといいな、と思います。

福津市の歴史資料館。

 

福津市の歴史資料館。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福津市の歴史資料館。

福津市複合文化センターカメリアステージ歴史資料館 のイベント講座に参加してまいりました。タイトル『歴史資料館を極めよう!』で、案内人は福津市文化財課の井浦さん。

「歴史資料館ができるまで」「展示解説(文化財・設備)」「まとめ」の三部構成でした。座学で福津市歴史資料館への理解を深めるにあたっての基本的な知識や背景を学んだあと、解説を聞きながら実物の見学、そして最後に参加者の皆さんと意見交換という、非常に贅沢なイベントでした。

すべての内容が面白く、参加人数は10名足らずでしたが質問が活発に飛び出し時間が押し押し(笑)予定時間の1時間半が足りないくらいでした。

2階にある図書館内の多目的室での講座→1階の歴史資料館に移動して展示観覧→1階のカフェコーナーでお茶を飲みながら意見交換。福津市複合文化センターカメリアステージをフル活用した組み立てで、とても楽しい時間でした。解散後は皆さん図書館で本を借りて帰っていたのは言うまでもありません。

これからこのような学びの場を継続的に設けていきたいと、館長の南さん。とってもとっても楽しみです(^^)

 

読書『いちばん親切な 西洋美術史』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『いちばん親切な 西洋美術史』(新星出版社)

先日手に入れた2冊の『西洋美術史』。

西洋美術史、2冊。

まずは、新星出版社から出ている池上英洋・川口清香・荒井咲紀共著の『いちばん親切な 西洋美術史』を読んでみました。

全ページカラー。時代時代の特長を表す美術品の写真が載っていて、読んでいてワクワクします。絵や写真がたくさん=文章が少ないのですが、平易な言葉で簡潔にまとめられていて、「いちばん親切な」というタイトルのとおり初心者でもとっつきやすく、楽しく読める本になっています。

紀元前40世紀エジプト・メソポタミア文明から、20世紀以降現代にいたる現代美術まで。絵や彫刻だけでなく建築を含めた広い意味での芸術を通して時代を見る楽しさを感じることができます。

個人的には、2年ほど前から「お酒を呑みながら建築のお勉強」の機会を、株式会社藤井設計室・藤井さんご夫妻のご好意でいただいていますが、そのなかで学んできたものをこの本で復習することができたのが、とても嬉しかったです。

本屋さんで偶然見つけた本書。こういうラッキーな出会いがあるから、本屋さん通いはやめられませんね(^^)

 

西洋美術史、2冊。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

西洋美術史、2冊。

本屋さんの同じ棚で発見。

  • 西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける教養』(ダイヤモンド社)
  • 『いちばん親切な 西洋美術史』(新星出版社)

最近、ビジネスマンに向けてアートを語る本が少しづつ増えてきたな、と感じています。これまでに紹介したところでは『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』、『コレクションと資本主義』、『巨大化する現代アートビジネス』あたり。

そんななか、ダイヤモンド社の『西洋美術史』(木村泰司著)をあちこちの書評で目にして気になっていました。先日本屋さんに行った際、美術書系の棚を眺めたら、そのビジネス書っぽい表紙をすぐに発見。そしてすぐ近くに、もう一冊『西洋美術史』が!新星出版社から池上英洋・川口清香・荒井咲紀共著の『西洋美術史』。こちらはいかにも美術の教科書的な表紙です。

ダイヤモンド社が2017年10月、新星出版社からは2016年7月に出ていました。同じ「西洋美術史」というタイトルで、アプローチの方法が大きく異なるものが、わりと近いタイミングで出版されていることが面白くて、思わず両方手に取りました。まず1冊目読み進めていますが、それぞれの感想はまた次回以降に(^^)

読書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

読書:『コレクションと資本主義』

読書『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)