読書『長谷園「かまどさん」で毎日レシピ』(河出書房新社)サルボ恭子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『長谷園「かまどさん」で毎日レシピ』(河出書房新社)サルボ恭子著

久しぶりに料理本。

本書タイトルにある「かまどさん」というのは、伊賀焼の窯元・長谷園さんが作っている土鍋だそうです。わたしは商品名ずばりのかまどさんは使っていませんが、毎日のご飯は土鍋で炊いています。水炊きやちゃんこ鍋などのいわゆる「鍋料理」以外に土鍋を使うようになってから、たぶん20年ほど。現在は、ご飯用と煮込み用2種類の土鍋を、ふだんの料理で使っています。

わたしが使っている土鍋は、ネットショップで買ったこともあれば、近所のホームセンターで買ったこともあり、いわばどこででも売っているようなもの。「○○焼」あるいは「○○窯」などのブランドには、まったくこだわっておりません。もちろん購入時にどこが作っているものか、どんな作りになっているか、商品のチェックはしますが、「変なものじゃないといいな」というくらいのもの。特別なものは使っていなくても、土鍋で炊いたご飯の美味しさ手軽さを知ってからは、もう電気炊飯器には戻れませんし、煮込み料理での使い勝手の良さも、土鍋が手放せない理由になっています。

ということで、本書のタイトルは「かまどさん」ですが、広く土鍋料理ということで手に取りました。

基本の白ご飯、お粥、玄米の炊き方にはじまり、各種炊き込みご飯の作り方、煮込み料理をはじめとした土鍋で作るおかずのレシピなど、土鍋の活用法がたくさんで、ワクワクしました。わたしの土鍋歴はそこそこ長いと思っていましたが、ぜんぜん使いこなせていませんでした。メインの料理レシピのほか、ちょっとした工夫も載っていて役立ちます。わたしは特に「ご飯を炊きながらゆで卵を同時につくる」の提案に感心しました。近年読んだ料理本のなかで、かなり好感度高い本となりました。

著者のサルボ恭子さんは、料理研究家だそうで、わたしは本書で初めてお名前を知りました。こうして道具の作り手さんと組んだ料理本を出すあたり、とても戦略的ですね。わたしなどは、自分が持っている土鍋を活用する方法として本書がとっても役立ちましたが、「この道具でこれを作れますよ」という提案だからこそ、実際に生かせると感じる方もいらっしゃるのだろうと思います。と思って巻末の著者紹介を読んでいたら、どうやら「ストウブ」によるレシピ本も売れている様子。

図書館で借りてきた本でしたが、これは手元に欲しい一冊です。

津屋崎祇園山笠が迫って参りました。

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津屋崎祇園山笠が迫って参りました。

4年ぶりの通常開催となる津屋崎祇園山笠。7月に入ってからは、毎週末なんらかの山笠行事があり、先週末は飾りつけの日でした。北部九州は大雨に見舞われ、予定通り準備できるのだろうかと心配していましたが、雨のなか山の飾りつけは無事終了。夕方からのお宮入りの頃にはタイミングよく雨が上がり、予定通りの行事が滞りなく進んだようで、一安心です。

今年はごりょんさん仕事は、本番16日と前日15日の裸参りの応援だけですので、それほど忙しくありません。家で仕事をしながら、外を長法被姿で歩く人の気配や楽しそうな話し声、山を担ぐ「おいっさ」の声が聞えてくるので、景色をイメージして楽しんでいます。

津屋崎千軒なごみと、有形登録文化財「藍の家」では、山笠の展示も開催中。期間中、津屋崎方面お越しの方は、ぜひ山笠楽しんでご覧くださいね!

藍の家フェイスブックページ 

津屋崎千軒なごみ 山笠スケジュール

映画『大名倒産』を観て参りました。

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映画『大名倒産』を観て参りました。

2023年5本目は、4本目に続き邦画となりました。原作は浅田次郎著の時代小説。そういえば、本作に限らず浅田次郎さんの小説を読んだことが無いことに気がつきました。

キャストがなんとも贅沢です。そもそも観てみようかなと思ったのは、その顔ぶれゆえ。正直なところ、本を読んでいなくても先が読めるストーリー展開でしたが、わかっていても面白く楽しめたのは、クセのある登場人物を力いっぱい過剰に演じる役者さんの力にほかなりません。競い合うように楽しんで演じているなぁ~と。

松山ケンイチの弾け具合、浅野忠信のオタクっぽさ、勝村政信のやりすぎメイク、コントにしか見えない梶原善など、数え上げればきりがありませんが、本作でわたしが個人的に一番でハマったのは、桜田通の変な存在感。テレビをほとんど見ませんし、邦画もあまり観ていませんでしたので、この役者さんのこと知りませんでしたが、映画を観終わってすぐに思わず「あれは誰!?」とググりました。とてもよかったです。

実は今年上半期は、最寄りの映画館で「これ観たい!」と思える映画が少なく、はてどうしたものかと思うこと少なからずでした。が、そのおかげで(!?)邦画に目が向きました。原田マハ著の『キネマの神様』文庫版のあとがきで、片桐はいりさんが邦画のスケール感について、「家でビデオで見ればいいや、と思われるようなものを想定して作っている監督など一人もいない。皆、映画館の大画面で見てもらうためのものを作っている」というようなことを書いていたのを思い出しました。

とはいえそろそろ、大画面だからこその「画」を観たくなっているのも確か。この先8月以降は、観たいものが次々に封切りされそうなので、楽しみです。

再び、福津市立図書館協議会委員。

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再び、福津市立図書館協議会委員。

市立図書館の運営について、年に数回、有識者・図書に関わる地域の諸団体・市民が集まり、よりよい図書館運営のための意見交換をするための協議会。前回、委員として参加したのは、わたしがたいへんお世話になっているご近所図書館「カメリアステージ図書館」が開館した2017年からの1期2年でした。

昨年までの3年に渡るコロナ禍下で、図書館運営も通常期とはまったく異なる試行錯誤の連続だったと思います。福津市ではこれを機会に電子図書館の導入に踏み切ることが出来たという、良い成果もありました。ここからまた地域における図書館の役割や機能が大きく変わっていくだろうな、という予感があって、市民ユーザー(自称ヘビーユーザー)の一人として、再び協議委員に応募したのでした。今年2023年からの1期2年です。

その第1回の協議会が、先日開催されました。議題の中心は、昨年度の実績報告。各種の数字を追いながら、現在の図書館の状況と課題を把握する時間となりました。総合的に見れば、今のところ、他自治体等と比較した福津市の図書館利用状況は、それほど悪くはないようで、ひとまずは安心。わたしが一番恐れているのは、「そんなに使われていないから縮小していこう」という傾向に向かうことです。そういう意味では、もちろん課題も山積です。

自分の住んでいる街における、文化教育的な事業分野への予算や優先度が削られることが無いよう、削られる方向にあっても、それを最小限に抑えることが出来るよう、自分にできることがあれば協力したいと考えています。そのためには各種指標で、「市民に必要とされており、かつ、実際にとても有効利用されている」ことが示される必要があります。

たった2年の任期では、できることは数少ないかもしれません。それでも、今回の実績報告を聞いて、まずは実態を知ることから、自分自身の図書館ユーザーとしての行動を変えたり、周りに啓発していくことも出来そうだと思いました。なにより市立図書館、特にご近所のカメリアステージ図書館が健全に社会教育施設として育ってくれることは、自分自身にとって大切なことなのです。しっかり務めます。

読書『孫正義2.0 新社長学 IoT時代の新リーダーになる7つの心得』(双葉社)嶋聡著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『孫正義2.0 新社長学 IoT時代の新リーダーになる7つの心得』(双葉社)嶋聡著

このところの読書がすっかり小説か美術系かと二極化しておりましたので、久しぶりのビジネス書です。ビジネス書という言い方が正しいかというと、それもちょっと違うかもしれません。限られた期間でのお話ではあるものの、伝記的要素も強く感じました。「社長室長」として孫さんの間近で仕事をしてこられた著者の目を通して、孫さんの姿・思想を垣間見ることが出来ます。

孫さんについて書いた本は、たくさん出ていますが、わたし自身は、「本」という形で読むのは、ノンフィクション作家佐野眞一氏が著した『あんぽん 孫正義伝』に次いで2冊目。孫さんのことは好きなので、インタビュー記事などはたびたび読んでいますが、本としてまとまっているものは意外に読んでいませんでした。『あんぽん』もいつ読んだかしらと、自ブログ内検索をかけたところヒットせず、わたしがこの本を読んだのは、ずいぶん前だったようです。ちなみに刊行は2012年となっていましたので、出てすぐに読んでいたのかもしれません。

わたしがこのブログ内で孫さんのことを書いていたのは、1本だけでした。

ともあれ『孫正義2.0』、たまたま手に取りました。最新刊というわけではなく、刊行は2016年。すでに7年近く経っていますので、本書が書かれた時点で予言的に描かれていた諸々のことが、2023年時点の実際はどうなのか、現在に照らしながら読むことが出来ます。ただ、本書が書かれた数年後に世界的な「コロナ禍」という出来事がありましたので、いろいろな前提が変わっているとのは当然のことと含んで読む必要はありますが。

孫さんのこれまで(孫正義1.0)と、これからの孫さん(孫正義2.0)が、著者が見た孫さん自身の行動・言葉とともに描かれています。『あんぽん』が、いわば「孫正義1.0」が誕生した背景にある生育環境を中心に描いたものだったのに対して、こちらは完全に事業家としての孫さんの姿を語っています。双葉社サイトでの紹介に『新時代の「新社長学」を明かす』『IoT時代を生き抜くための、ビジネスマン必読の教科書』とあるのを読むと、やはりジャンルとしてはビジネス書なのでしょう。

ストーリーに孫さんの思考・行動のすごさを感じるのは当然のこととして、発言のなかにたくさんの金言を見つけて嬉しくなりました。孫さんの発言は、常に多数のメディアで取り上げられていますので、聞いたことのある言葉もたくさんありますが、どのような背景があって、どのような場でその発言になったのかを知るとまた面白く、桁外れの人物であることをあらためて思い知らされます。

本書でしつこいほど言われていることで、一番響いたのは、やはり

大風呂敷を広げる。

これに尽きます。

先に書いたように、7年前の本になります。なので、読み終わってまず感じたのは、コロナ禍を経た今、孫さんはどのように考えどんなことに取り組んでいるのだろうか、ということ。最近は、わたしのなかでは「孫さん=ホークスオーナー」という側面が強くなっていましたので、事業家・孫さんの情報にもアンテナを張っていきたいと思いました。

『孫正義2.0 新社長学 IoT時代の新リーダーになる7つの心得』(双葉社)嶋聡著

博多阪急さんでの藤吉憲典個展、案内ハガキ・告知動画など。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博多阪急さんでの藤吉憲典個展、案内ハガキ・告知動画など。

今月7月下旬に博多阪急3F特別室にて開催の「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。着々と準備を進めております。福岡県内での商業個展は初開催、九州内で考えても、とても久しぶりの開催になります。一人でも多くのお客さまと会場でお会いできることを、心から願っております。

そんなわけで告知にも力が入ります。今回ぜひご覧いただきたいのが、イベントの告知動画。いつもお世話になっている動画クリエーター日浦さんが作ってくださいました。作家への愛情をもって撮ってくださるので「任せて安心」です。

博多阪急3F特別室にて開催「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」(約5分)

またイベントのプレスリリースは、福岡で文化イベントの広報といえばこの方、福博ツナグ文藝社の西山健太郎さんに、今回もお世話になりました。おかげさまで、各種媒体で紹介していただいています。

そして先日完成した告知チラシに続いて、ハガキDMも完成いたしました。下の画像をクリックすると、拡大してご覧いただくことが出来ます。

博多阪急3F特別室にて藤吉憲典個展
博多阪急 藤吉憲典個展 DM
博多阪急3F特別室にて藤吉憲典個展
博多阪急 藤吉憲典個展 DM

藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画

会期:7月19日(水)~7月25日(火)
時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)
場所:博多阪急3F特別室(フロアマップは下記URLでご覧いただくことが出来ます)
https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/floor/3f.html

↓告知チラシはこちらでご覧いただくことが出来ます↓

第105回九州EC勉強会に参加して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

第105回九州EC勉強会に参加して参りました。

九州EC勉強会に久しぶりに参加することが出来ました。九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。2005年1月に「九州でも東京並みの情報が得られる場」を目的に結成され、現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。わたしも過去に数年間、幹事の一人として微力ながらお手伝いをいたしました。

住太陽氏 2023年のE-E-A-T攻略 〜商人が持つ「経験・専門性・権威性・信頼性」をお客さまとGoogleに伝える

講師の住太陽さんは、これまでにもタイミングごとに九州ECで講師をして下さり、その都度、最新の情報と考察を惜しげもなく公開してくださるすごい方。今回もまた、ウェブコンサルタントとしての最前線の動きと、今後の予測、事業者がなすべき対応を、かみ砕いて解説してくださいました。

住さんの講演で毎回有難いと感じるのは、あくまでも「中小企業の経営者」という目線を外さずにレクチャーしてくださることと、複雑に聞こえがちなEC(あるいはより広くIT)業界の先端の概念を、できるだけ平易に伝えようとしてくださること。おかげさまで取り残され感を持つことなく、自分の仕事に反映すべきこと、自分でできることをしっかり持ち帰ることが出来ます。

以下、備忘。


  • 経験E xperience・専門性 Expertise・権威性 Authoritativeness・信頼性 Trustworthiness
  • Experience・Expertise=自社評価(自社メディア)
  • Authoritativeness=他者評価(外部メディア)
  • ➜ Trustworthiness
  • 外部からの言及をいかに引き出すか。
  • エンティティ=単なる文字列ではなく、実体としての事物・概念
  • Earned media(第三者による露出)
  • 自社メディアでやるべきことは、経験と専門性を表現すること。
  • 検索意図とエンティティの一致を目指す=ブランディング。
  • ブログ著者はバイライン(署名欄)を明確に。
  • 経験と専門性➜市場からの信頼。
  • 社長名>会社名
  • 信頼できる文章(あるいは写真・動画)の発信者となる。

第105回九州EC勉強会 住太陽氏 2023年のE-E-A-T攻略 〜商人が持つ「経験・専門性・権威性・信頼性」をお客さまとGoogleに伝える より


「エンティティ」の概念を知ることが出来たのが、わたしにとっては今回のセミナーでの一番の収穫でした。日ごろ仕事をしながらなんとなく感じていた変化を、きっちりを言語化していただいた感じで、すっきり。IT活用における変化のスピードがあまりにも速くて、目をつむりたくなることも多々ありますが(笑)、こうして専門家のお話を聞く機会はやっぱり必要ですね。

今回の九州EC勉強会も、わたしにとって救済的な回となりました。次回九州EC勉強会は2023年10月21日(土)予定。毎回素晴らしい機会を提供してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。次回も楽しみにしています。

読書『雲を紡ぐ』(文藝春秋)、『犬がいた季節』(双葉社) 伊吹有喜 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『雲を紡ぐ』(文藝春秋)『犬がいた季節』(双葉社) 伊吹有喜 著

大量に本を読んでいる友人の存在はとてもありがたく、そういう師匠的な友人が何人も周りにいる…と書いたのは、つい先日のことでしたが、本日ご紹介する2冊、著者の伊吹有喜さんもそんなお友だちから教えていただいたのでした。伊吹有喜さんのことは存じませんでしたので、初読み♪

読みはじめてすぐに、どうにも時代背景の描き方に親近感があり著者紹介を探したところ、道理で生まれ年が一緒でした。舞台となる地域については、これまでに縁の無いところばかりでしたので、新鮮な気持ちで読みつつも、同時代の親近感というのは濃いものですね。

『雲を紡ぐ』でも『犬がいた季節』でも、高校生から大人へと成長していく道のりでの葛藤が、登場人物を通して描かれています。その一方で、『雲を紡ぐ』では伝統工芸の手仕事、『犬がいた季節』では美術が、大切な要素として物語を支えていました。著者自身の趣味・興味として、伝統工芸文化や美術があるのでしょうね。そんなところにも、わたしが読みながら親近感を持った理由があったのかもしれません。

いずれのストーリーも、学校の問題、進路の問題、家庭の問題など、登場人物たちはそれぞれにシビアな現実を抱えています。それにもかかわらず、ストーリーは最初から最後までやさしい雰囲気に包まれていると感じました。具体的に説明するのは難しいのですが、あたたかいというよりは、やわらかい感じ。

読む人が自分の高校生時代から社会人に至るまでの来し方を考えたときに、人によっては大きく共感して切ない気持ちがこみ上げるのかもしれません。残念ながらわたしには共感できるストーリーがありませんでしたが、それでも読んでやさしい気持ちになることが出来ました。ふだん自分が選んで読んでいた小説は、どちらかというと攻撃的な空気感を持ったものが多かったのかもしれないと、気づかされた読書でした。

こういう発見があるから、お友だちからのおススメはありがたいです。やさしい気持ちになりたい人、特に50代あたりの皆さまにおススメです。伊吹有喜さん、同世代の作家さんですので、これからも緩やかに追っかけてみたいと思います♪

読書『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗著

同著者の『名画の生まれるとき 美術の力II』がとても良かったので、遡って最初の『美術の力』である本書をゲット。こちらもまたわたし的には、大量の名言に出会えた良書でした。頭のなかでもやもやと感じていたことを、明瞭に言語化していただいた、と思える言葉がたくさんでした。

以下、要点整理&備忘


  • 場所の持っている力、いわゆるゲニウス・ロキ
  • 美術作品も、それが位置する場所の力と相まってオーラをまとう
  • 自社でも美術館でも、その作品が本来置かれてきた場こそが作品に生命力を与える
  • 印象に残った作品は必ず場所の記憶と一体になっている
  • 作品の前に実際に立ってみなければわからない魅力
  • どんな地域でもその自然環境と美術とは関係がある
  • 自娯
  • 売るためであろうが自誤のためであろうが、作品がすばらしければ十分であり、作者の意図や制作の事情など関係ない。
  • およそ芸術作品というものは、作者の手から離れた途端、一人歩きを始めて何百年も生き残るのであり、作者というちっぽけな存在に拘束されるものではない。
  • 西洋美術は基本的に公共性を帯びていた。(中略)19世紀以降、西洋で美術館という制度が成立して広く普及したのは、美術が本来このような公共性を持っていたためである。
  • 一方、日本美術は仏像や絵馬を除き、私的な性格が強かった。
  • これはカラスの値段ではなく、長年の画技修行の価なのだ
  • 長年培ってきた自らの技術に関しては絶対の自信を持っていたのである。
  • 古今の名画を模写する経験は、子どもの技術や鑑賞眼を養うことにもなる。
  • 書道と同じく、手本から入らなければ技術も習得できず、自分の様式も確立できない。創造や個性はいつも模倣から生まれるのだ。
  • 個性ばかりを尊重すれば、学ぶことを軽視しがちとなる。
  • 日本の美術環境には、こうした技術軽視と知識軽視の伝統が息づいており、それが日本の現代美術がふるわない要因になっている
  • 美術は、国家や社会の転換に関わらず、どんな時代にもしたたかに存続するもの
  • 美術というものは古今東西を問わず、どんな天才的作品でも必ず過去の作品と密接な関係をもっており、時間と空間の制約のなかからしか生まれないものであって、芸術家の天分や創意工夫などといったものはごくわずかな要素に過ぎないのだ。
  • 一種のオーラというか、愛蔵していた人たちの眼差しや執着までもが張り付いているように感じられる
  • 美術は政治や経済などよりも雄弁にその国の歴史や意義を物語る
  • どんな宗教でも、進行を維持するための物体を必要とする。
  • 信仰の拠り所として形あるものを求め、そこに生命を見出す心性は、(中略)そもそも人間の造形本能の根本であり、美術を生み出す原動力となっている
  • モダニズムが忘れてしまった「場」の力

『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗 より


7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

昨年に引き続き博多阪急さんで、花祭窯のある福津市の地域イベント「ふくつのね」開催が決まりました。花祭窯も参加いたします。今年は阪急さんが藤吉憲典のために「特別室」をご用意くださいました。地元福岡でまとまった数の作品をご覧いただき、お買い求めいただける初めての機会となります。ぜひお越しくださいませ。

藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画

会期:7月19日(水)~7月25日(火)
時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)
場所:博多阪急3F特別室
https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/

藤吉憲典個展 博多阪急

博多阪急 藤吉憲典個展