八月のお干菓子「沖ノ島の波しぶき」。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

八月のお干菓子「沖ノ島の波しぶき」。

和菓子このわさんにお願いしている、花祭窯でお出しするお干菓子。

八月は、宗像の大島でとれる藻塩を使った艶干し錦玉。沖ノ島の波をイメージしてつくったとこのわの大将がおっしゃるので、「沖ノ島の波しぶき」と呼ぶことにしました。

涼しい透明感のある姿。ほんのり塩気が感じられる絶妙の味わいが秀逸です。見た目も味わいも波しぶきを感じさせる季節感たっぷりのお干菓子。お抹茶とお出しするだけでなく、ほうじ茶や番茶と一緒にお出ししても、夏っぽくて良さそうです。

豆皿にお干菓子を載せて眺めて喜ぶ贅沢。

↓これまでのお干菓子はこちら↓

七月のお干菓子は七夕。

文様の話、古典とオリジナル(2)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(2)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

ふたつめのこたえは、

日常の景色から生まれるオリジナル。

作り手・藤吉憲典を見ていると、日々の暮らしのなかで目にする自然の生きものが、一番文様の素材になりやすいようです。創業の地・佐賀県の花祭は自然豊かな里山で、四季を通じて折々の自然とのかかわりが密接でした。

草花や昆虫などの小さな生きものが文様のもとになるのは、江戸の昔も今も変わらないのだなぁ、と思います。上の写真のヤマユリも、下のナズナも、メダカも、藤吉憲典のオリジナル文様。

ナズナ皿 藤吉憲典 染付メダカ文蕎麦猪口 藤吉憲典

いずれも、古伊万里の古典文様にありそうでなかったものです。そういう新しいものを古伊万里の文脈に乗せて文様化するのも、藤吉憲典の得意技。

ときどき、有田などで作陶している若い作家さんがナズナやメダカを題材にしているのを見つけると、藤吉のデザインを見て真似ているのだろうということがわかります。なぜなら、古伊万里には無いものなので。でも、皆きっと「藤吉憲典が描いているから、あれは古伊万里の写しなのだろう」と思って、写しているのだと思います。

藤吉の生んだ文様が、彼らにとっての古典になっている部分もあるのだなぁ、とひそかに嬉しくなる瞬間です。

↓ひとつめのこたえ「古典の写し」については、こちらでご紹介↓

文様の話、古典とオリジナル(1)

 

文様の話、古典とオリジナル(1)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(1)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

お客さまからのご質問も多く、わたしもメルマガやブログでときどき思い出したように紹介する内容のひとつです。答えのひとつが、

古典の写し

藤吉憲典の場合、古伊万里の文様からの「写し」が8~9割強ではないでしょうか。やきものの世界にはもともと「写し」の文化があります。「写し」とは、古くからある良いものを真似すること。でもそれは質の悪いコピーを繰り返すこととは違います。「本歌取り」と似ているとわたしは思います。

「写し」で大切なのは、ただそのまま真似するのではなく、元よりももっと良いものにすること。古いものをそのままコピーしても、その評価は「古くさい」となってしまいがちです。そうではなく「なんだか懐かしい」と喜んでもらえることが、写しで大切なことだと思います。

藤吉は窯元時代から商品開発をしており、独立してからのキャリアも含めると30年近く、やきものの文様を生み続けていると言えますが、それを支えているのが、古伊万里の史資料です。古伊万里に大きな影響を与えた韓国や中国の陶磁器の歴史と文化もまた、その「元」になっています。

例えば江戸時代に文化の華開いた蕎麦猪口は、文様の種類が数百とも数千とも言われています。現在までに藤吉憲典が写し直している蕎麦猪口の文様は約160種。まだまだデザインの元がたくさんあるということです。

美術館や骨董やさんにならんでいるやきもの、たくさんの本や美術書でのデータ、そして津屋崎陶片ミュージアムで紹介している陶片の数々も、たいせつな史資料のひとつです。

次回は「オリジナル」について。

 

毎夏恒例、盆踊りの練習。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

先週末は、

毎夏恒例、盆踊りの練習でした。

毎年8月15日は津屋崎の盆踊り。そして、その盆踊り=本番に備えて、毎夏8月に入ると、「盆踊りの練習の日」があります。

以前にも書いたことがありましたが、

盆踊りが終わって

津屋崎の盆踊りは、小さな櫓(やぐら)に三味線、笛、太鼓の生唄生演奏。とっても贅沢な盆踊りなのです。

ところがこの踊り、一周がとても長く、覚えの悪いわたしはなかなか上達しないままに今に至ります。「博多柳町」と「須磨の浦」という二つの唄があり、6年目を迎えた今年は、なんとか「博多柳町」は見よう見まねで行けそうな気もしていますが、「須磨の浦」が難しい…。

そんな盆踊りを控えての練習日。今年は例年にも増して、ベテランのお姉さんたちが熱心に指導をしてくださいました。おかげさまでなんとなく、なんとか踊れるかなぁ…、という気もしてきた今日この頃。

ともあれ、下手でもなんでも、生演奏に合わせて、皆で踊りながら回る時間は、とても特別な時間です。

 

読書『15歳から、社長になれる。』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『15歳から、社長になれる。』 家入一真著

先日オープンしたばかりのカメリアステージ図書館(福津市津屋崎)で、さっそく本を借りてきました。

既に「書籍の数が少ない!」との苦情が多く寄せられているようです。たしかに書架を見ればかなり余裕のある配置で本が並んでおり、空白があちらこちらに。ビジュアル的に「本の数が足りない」感が満載なのです。

でも、並んでいる本をよくよく見ながらぐるりと一周してみると、個人的にはけっこう面白いと思えるタイトルが並んでいて、分野によりかなり癖のあることが感じられる本揃え。聞けば紀伊國屋さんが本の選択などのコンサルで入っているということで、もともと紀伊國屋さん大好きのわたしとしては、ますます期待大なのです。

ということで、今回借りてきたなかで特に面白かった一冊が、これ。


序章にある、このセリフにつきます。(以下引用)

“そもそもこの時代、どんなに有名な大企業でもいきなりぺシャント倒産しかねないし、「安定」の代名詞みたいな公務員の立場だって、どうなっていくかわからない。
(中略)そんな時代を生きていくために、何が必要なのか。
それは、「自分で仕事をつくって、稼いでいける力」を身につけることだと僕は思う。”(『15歳から、社長になれる。』家入一真 より)

現役の小中高生・大学生はもちろん、「気持ちは15歳」の大人にも楽しんでもらえると思います。

 

Potluck Partyという名の呑み会。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Potluck Partyという名の呑み会。

Potluck Partyというとなんだかおしゃれな響きですが、実態に合わせて翻訳すると「1品持ち寄り呑み会」です。場所も花祭窯の座敷なので畳座で、Potluck Partyの言葉とはイメージがかけ離れていそうにも思えますが、英会話の先生が「それは英語で言うとPotluck Partyだね」とおっしゃったので、間違い無いでしょう。

家族ぐるみのお付き合いで集まって開催することもあれば、気の合う仲間に声をかけておっさんばかりで開催することもあり、はたまた息子のサッカー親子で集うことも。うちで開催することのメリットは、なんといっても、子連れでも遠慮が要らないこと。

1品持ち寄りは、参加者の個性でいろんなものが集まる楽しさが魅力。とはいえ、手づくりにこだわってはいないので、気楽です。手料理を持ってくる方もあれば、お気に入りのものを買って来られる方もあり、それぞれに楽しめます。

幸い、器は売るほどにある花祭窯(笑)
大皿や大鉢に盛ったお料理が食卓に並ぶと、とっても嬉しい気分になります。

 

波折神社で輪越し神事。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

地元の波折神社で輪越しの神事がありました。

ここ津屋崎に越してきてから、喪中の年を除いて毎年必ず参加してきている季節の行事。波折神社の鳥居につくられた大きな茅の輪を、神職さんを先頭にぞろぞろと三回くぐり歩きます。

夕方になるとぽつぽつと境内に地域の方々が集まってきます。今年は例年にも増してたくさんの方が集まっていたように思います。輪越しが終わると、神殿で代表の方々が玉串を捧げ、神事が終わると紅白の饅頭がふるまわれます。帰り際には、先ほどくぐった茅の輪の茅を何本か頂き、自分で輪を編んで、家の玄関に飾ります。

上の写真、向かって右の緑色の残る輪が今年のもの、向かって左の茶色の輪が昨年作り一年間我が家の玄関で守ってくれたものです。

「茅の輪くぐり」「夏越し祓い」「輪越し祭」いろいろと呼び方があるようですね。新年が明けてから夏に入る前の半年の間の無事を感謝し罪(穢れ)を祓い、その先の半年の健康と無事を祈る神事です。

 

七月のお干菓子は七夕。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

七月のお干菓子は七夕でした。

お隣の町、宗像市にある和菓子の名店、このわさん。オープンなさってすぐのころから、特に豆大福のおいしさに、すっかりファンになっていました。豆大福以外の生菓子も、もちろんとってもおいしくて、早い時間に売り切れてしまうことが少なくない人気店です。

ご縁があって、このわの大将とお会いしお話しする機会があり、何度目かお会いした際に思い切ってお干菓子のご相談をしたのが今年の四月。それから毎月、季節感のあるお干菓子をご提案いただいています。

七月は、和三盆糖の軽やかなお菓子。短冊を思わせる白い長方形に、笹を思わせるやわらかいグリーンが涼やかで、見た瞬間に「七夕ですね!」と嬉しくなりました。

花祭窯にお越しのお客さまに、お茶と一緒にお出ししています。七月は緑にお抹茶を感じたので、重ならないよう番茶や紅茶とあわせて。

七月も残り一週間、八月のお干菓子はどのようなご提案をいただけるのか、今からワクワク楽しみにしています。

 

 

台湾からのお客さま。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

いろいろなご縁がかさなって、

花祭窯に、台湾からのお客さま。

台湾の陶芸家・何志隆さんから、日本と台湾との陶芸における交流をしたいので、機会があれば花祭窯にも訪問したいというお話があったのは、一年以上前のことだったと思います。

今回、その何志隆さんの開発した「翡翠青磁」を広める活動をなさっている財団法人翡翠青磁文化芸術基金会の理事長・李壮源さんと、台日企業経営協会の李富山さんが、花祭窯にお越しくださいました。

今回の九州訪問では、佐賀県唐津・有田の両産地でいくつもの窯元を回り、佐賀大学で陶芸専攻の教授(ダンナの幼馴染!)とも意見交換をしてきたとのことで、最終日の当日は、お二人ともリラックスした雰囲気。

李壮源さんが花祭窯の展示を見まわしてまず手に取られたのは、書道道具のひとつである水滴でした。実は著名な書道家でもあられるということがわかり、ダンナ・藤吉憲典のつくった水滴や硯(すずり)を持ち出し、その出来映えや文様、歴史をめぐって楽しく盛り上がりました。

また当日たまたま部屋に掛けっぱなしになっていた、藤吉が書いた「徳は孤ならず必ず隣あり」の短冊の字を褒めてくださり、その言葉を選んでいたことをとても喜んで下さいました。花祭窯の狭小茶室・徳り庵の元となった、孔子の言葉です。

書の道具の話から、青磁の話、世界市場という視点でのやきものの歴史の話、津屋崎浜に上がる中国からの陶片の話へと広がり、最後はその場で即興で短冊に書をしたためてくださいました。

「台湾と日本との陶芸界における交流」を目的の来訪と聞いていたので、実のところ、なんの業界団体にも属さない一個人陶芸家の藤吉憲典がどんな話題をご提供できるものかと少し心配していました。

蓋を開けてみれば、とてもざっくばらんな心の交流で笑顔の絶えない時間となり、ほっと安心。上の写真からも、雰囲気が伝わると思います。とてもありがたい機会でした。次回台湾訪問の際には、必ずご連絡して、台湾のやきものの歴史と現在を案内していただくという嬉しい約束をしました。

ご来窯ありがとうございました!

 

福津市複合文化センターの歴史資料館

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福津市複合文化センターの歴史資料館。

写真は、福津市複合文化センター(カメリアステージ)のフェイスブックページからお借りした、新原奴山古墳群の関連資料展示室。

先日、図書館ができた!という話題を提供したばかりでしたが

津屋崎に新しい図書館誕生!

あらためて同じ館の1階にある、歴史資料館に行ってきました。福津市にはこれまでに遺跡から出てきた遺物をまとめてきちんと展示できる場所が無かったため、ここにスペースが確保できたことはほんとうに嬉しいことです。

写真の新原奴山古墳群展示室のほかに、特別展示室がふたつと、その周りに回廊になっている展示スペース、そして持ち出しはできないけれども閲覧可能な書籍資料の部屋。歴史資料館は無料で気軽に入れる空間でありながら、見応えもあります。

先日、その特別展示室の設計に関わったという方が、偶然花祭窯にお見えになられ、少しお話を伺うことができました。ふたつの特別展示室は、防火設計をはじめ、重要な遺物等を展示するための基準を満たす設計がしてあるということで、とても嬉しくなりました。というのも、このような「ちゃんとした展示室」があることで、重要な遺物や、他館からお借りした遺物の展示紹介が可能になったりするのです。

わたしが訪問した時には、新原奴山古墳群展示室には、このたびの世界遺産登録に関する資料と思われる映像が流れており、なるほど楽しみながら学べるスペースになっていると感じました。