黄金の茶室観てきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

黄金の茶室観てきました。

九州国立博物館で開催中の「新・桃山展」

戦国武将マニアの息子に急かされて、観に行ってきました。

先週末・今週末と、同展の関連イベントであるリレー講座に「陶磁器に見る文化交流―大航海時代がもたらしたもの」「桃山の茶湯-茶碗を中心に-」と、興味深いタイトルが並んでいました。わたしは残念ながら講座には足を運ぶことができませんでしたが、つまりこのような講座が楽しめる展示内容になっている、ということです。

個人的に、特に「おお~っ!」な展示物は、次の通りでした(^^)


  • 唐獅子図屏風
  • 白天目
  • 志野茶碗 銘 猛虎
  • 絵唐津菖蒲文茶碗
  • 銀地狛犬
  • 黄瀬戸福字鉢
  • 雲龍図屏風
  • 黒織部沓形茶碗 銘 わらや

このほか「聖フランシスコ・ザビエル像」が教科書で見た記憶のままで楽しかったり、螺鈿細工のものはどれもとても美しかったり、見応えのある展示でした。

欲を言えば、茶碗など、のぞき込んだ内側・背面・高台裏などもしっかり見ることのできる展示にして下さったら、もっとよかったのになぁ、と。展示ケースの後ろに回り込んだりして拝見しましたが、「観たいところが見えない」ストレスが若干残りました(笑)

また今回、屏風絵がたくさんあったのですが、屏風にバランスよく絵を描くというのは、ただ絵がうまいだけでは成し遂げられないものなのだなぁ、とつくづく思いました。というのも、部分的に見ると「すごいな、うまいな」と描けているものも、引いて見ると、全体としての絵が成立していない(構図が崩壊している?)パターンがとても多く見受けられ。大きな画面で、しかも分割された画面の連続により成立するという特色からでしょうか。

九国訪問いつものコースで、四階の常設展示・文化交流展にももちろん足を運びましたが、その報告はまた次回。

ちなみに、写真の「黄金の茶室」復元は、「新・桃山展」の特別展示室ではなく、1階ホールに展示されていました。特別展・常設展へのエスカレーターと反対側の方にあります。「写真OK」の撮影スポットになっています(^^)

 

花祭窯・藤吉憲典の紹介ハガキ。

こんにちは、花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯・藤吉憲典の新しい紹介ハガキが出来上がりました。

津屋崎に工房を移転して以来、窯の案内と作家の紹介を兼ねた「紙もの」を、「作家陶歴」とは別につくるようにしているのですが、その最新作が昨日届きました。

ハガキサイズでつくったり、三つ折りの長形や正方形でつくったり、紙の厚さを変えてみたり、毎回試行錯誤です。限られたスペースに載せる情報の内容、現在の藤吉の取り組みが伝わる写真の選び方。文字情報も写真も、あれもこれもとつい欲張ると、紙面がどんどん大きくなってしまう(あるいは文字が小さくなってしまう…)のですが、今回は久しぶりにハガキサイズに戻してみました。

津屋崎移転六年目、その時々で「何をどう伝えたいか」が変わることを、身をもって経験してきたため、中身を変えたいと思ったときにすぐに変更できるよう、小ロットでの制作です。最近は印刷会社さんでの少ロット対応がとても増えてきたので、とてもありがたいです。

主に個人のお客さまからのご注文品をお届けする際や、花祭窯でお買い物をしてくださったときに、商品と一緒に同封しています。

花祭窯藤吉憲典

花祭窯藤吉憲典

花祭窯の縁側ー南天が色づいてきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-南天が色づいてきました。

わたしのもっている南天の木のイメージは、なんといっても生命力の強さです。というのも、佐賀花祭の山のなかに暮らしていた時、他所から移植したいくつかの木のなかで、南天の木がひとつも枯れることなく、どんどんと根元から増えて育っていったのを目の当たりにしたから。

赤い実のおめでたさ、咳や湿疹への薬効など、南天は日本人の生活にしっかりと根付いているものであることを、花祭で実感しました。お正月が近くなると、ご近所の皆さんに、我が家の南天を飾り用に切っておすそわけ。冬、花が少ない季節には、赤い実は目に鮮やかで嬉しく、それをついばみに来る野鳥を観察するのも楽しみでした。

津屋崎のお庭にある南天も、花祭から分けて連れてきたものです。植えたその翌年から赤い実がついて、しっかりと根付いてくれました。今年も少しづつ色づいて、冬の間の彩りになってくれそうです。

 

 

読書:『江戸百夢』(近世図像学の楽しみ)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書:『江戸百夢』田中優子著

サブタイトルが「近世図像学の楽しみ」

この八月に講演を聴くことができ、とても面白かった法政大学総長・田中優子先生。

講演会「グローバリゼーションと江戸時代」聴いてきました。

『江戸百夢』は2000年発刊。「江戸」といいながら、むしろ地理的には江戸のみにとらわれているわけではない内容だなぁ、と感じながら「あとがき」を読んで納得。もとは「朝日ジャーナル」に連載されたもので、その時のタイトルは「EARLY MODERN の図像学」だったのだそうです。

「図像学」とあるだけあって、豊富な絵図がとても楽しく、そこに添えられた解説というかエッセーというか、田中優子氏の文章がまたユーモアたっぷりで秀逸です。上の写真にある目次を眺めるだけでも、その片鱗を感じていただけると思います。

アーリー・モダンの視座が混ざっている結果として、「江戸」の時代的・地理的な特質やイメージが余計にくっきりと浮かび上がっているのを感じます。うまいなぁ、と思わず感嘆。


ちくま文庫から文庫版も出ていますが、絵図の面白さをより実感するには、単行本版がおすすめです。

 

花祭窯の縁側ーシュウメイギク。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-シュウメイギク。

外をのぞいたらシュウメイギクの明るい白が目に留まりました。数日前、つぼみがたくさんついていたので、そろそろかなと思っていたところ、昨日の雨のなか、いつの間にか開いていたのですね。

「白い花」はいろいろありますが、シュウメイギクの白を見るたび「白が濃い」と感じます。透明感を感じる白とは対照的に、ぽってりとした厚みを感じる白。花弁の白と、真ん中の、これも濃いめの黄色の組み合わせ。

花祭窯の狭小茶室「徳り庵」は、小さな窓からの光を採り入れるのみなので、曇りや雨の日はどうしても薄暗くなります。そんななかにシュウメイギクが一輪あれば、ちょっとした灯りのようにおさまるだろうな、などとイメージ。

ここ数日、すっかり涼しくなってきたので、そろそろお茶会を企みたくなってきました。

 

花祭窯の縁側-水引草。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-水引草。

今、庭には紅白の水引草が咲いています。主張しない可愛らしさで、ホッとします。わたしの勝手なイメージなのですが、この水引草とトクサがあると、一気に「和の庭」な空気感が増すような気がします。

花が咲いて、気がついてみれば、水引草、増えています。種が飛んだのでしょうか、株が増えたのでしょうか。あるいはその両方!?きっと強い草花なのでしょうね。そういえば、花も比較的長く咲いています。

派手さはないけれど、さりげなく可愛くて、強くてしなやか。素敵な在り方ですね。

 

花祭窯の縁側-ノコンギク。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-ノコンギク。

庭を整えてもらうときに、庭師さんが意識してくださったのが「野にあるように」ということでした。「野にあるように」というのは、茶花においてよく言われることですが、それを庭にも置き換えてみる。そのようにしてくださった結果、「花祭の里山で見ていたような景色」をコンパクトに取り込むことができたように思います。

小さな菊も、そのひとつ。野菊は季節になるとたくさん花開き、活けても長持ちするので、花祭に居た頃もよく挿していました。菊の種類はたくさんあるようですが、里山で見かける小さめの菊はすべて「野菊」に集約しまっていたわたし。ノコンギクという名前であるのは、今回教えていただいて初めて知りました。

やきものの世界でも、菊はたくさん文様として描かれています。中国では重陽の節句の貴い花として描かれる菊。日本での人気の秘密は、皇室の紋章に代表される貴いイメージだけでなく、身近で親しみのある花であるからこそ、のような気がします。

染付熨斗菊文蕎麦猪口 藤吉憲典

津屋崎の秋ーおくんちと音楽散歩。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎の秋-おくんちと音楽散歩。

先週末、秋晴れのなか津屋崎の秋の二大イベントが無事行われました。

ひとつは波折神社の秋祭り。14時に神社を出発した行列が、太鼓の音とともにあちらこちらを練り歩きました。太鼓の音が聞こえると、家々から人が出てきたり、窓が開いたり。通りがかるお神輿にお賽銭を入れて手を合わせます。

行列が神社に戻ってきたのは、夕方17時頃でしたでしょうか。そのころには境内につくられた土俵で「奉納子ども相撲」もはじまりました。いっとき参加者が減って無くなっていた「子ども相撲」が復活し、いつもは静かな神社がたくさんの人でにぎわいました。

その翌日は、もうひとつのイベント「音楽散歩」。こちらは今年で八年目を迎えました。ボランティアに支えられた運営で、毎年試行錯誤のようですが、お天気にも恵まれ今年もたくさんの人でにぎわっていました。

ここ花祭窯にいても、「空の下ステージ」と名付けられた通りでの演奏や歌声が聞こえてきます。今年はサンバのリズムがにぎやかでした。贅沢な週末でした。

 

 

 

花祭窯の縁側-金木犀。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の縁側-金木犀(きんもくせい)。

2階から階段を下りていく途中に、あれ!?と気づきました。キンモクセイの柔らかい香り。もしや!と縁側に出てみると、キンモクセイの木にだいだい色の小さい花がたくさん。香りまで伝えられるといいなと思いつつ、パシャリ。

花祭窯の庭はそれほど広くありませんが、そのなかに四季折々の草花が植えてあります。ヒガンバナが終わって、今の季節は水引草、ノコンギク、キンモクセイ。シュウメイギクにもたくさんつぼみがついてきました。

今日は快晴で気持ちがよく、しばし縁側で花を眺めつつひなたぼっこ。さりげなく、いつもなにかしら花が咲いている贅沢。庭の設計と施工をガーデンアルテさんにお願いしたからこそです。身近に信頼できる庭師さんがいるのは、とてもありがたいことですね。

ガーデン アルテ https://www.facebook.com/artemisiagarden/

 

 

 

カブトガニ小皿のこと。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

カブトガニ小皿のこと。

先日の職場体験で、中学生男子二人が一番反応していたのが、カブトガニ小皿。陳列棚を磨いた後に、「器、美しく並べて展示してね」というこちらの要望に対して、色とりどりのカブトガニ小皿を、色分けしてきれいに並べてくれました。

カブトガニ小皿 藤吉憲典

6年前に津屋崎に越してきてから、干潟の保護活動をしている方のお話を聴く機会に恵まれ、「カブトガニの存在を知ってもらうことも大切な保護活動のひとつ」ということで、自分たちにできる取り組みとしてこのカブトガニ小皿が生まれました。

津屋崎の海は、カブトガニが生きていくために必要な「干潟」「藻場」「砂浜」が揃った豊かな海。カブトガニは干潟に棲む動植物の象徴種であり、その減少は干潟の汚染の深刻化を図る尺度のひとつとも言われています。

カブトガニを通じて、干潟環境を守ることは、人間をも含めそこに暮らすあらゆる生命を守ることにつながっている、という専門家の方のお話に、共感したのでした。

百年先も、子どもがこの海で「生きた化石」の姿を見ることができますように。