漆で器の修理。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

漆で器の修理。

本漆を使った直し。たまに思い立って(というか、自分のなかにブームがやってきて)直しに取り組むのですが、不器用なもので、正直なところこれまでなかなか思ったような仕上がりになっていませんでした。機会があって年末から久しぶりにチャレンジすることに。こういうタイミングで一緒に直そうと、ちょっとした割れや欠けの器はとっておいています。

少し前、11月に「修復」の研修を受けてきたばかりでしたので、そのときに学んだことも生かして、少しはきれいに仕上げることができると嬉しいな、と思いつつ。

学芸員研修に行ってきました。その2

まずは完全に割れているものの接合。これはご飯と漆を使った糊(糊漆)を作って使いました。糊が乾燥するまで、接着後1~2週間ほどお手製のムロに入れてそのままにしておきます。

漆直し

くっついたのが確認できたら、はみ出た糊漆を取り除き、継ぎ目や欠けの部分に漆をのせてきれいになるように仕上げていきます。ここで載せた漆が乾くまで、さらに1~2週間。

今回は金や銀で化粧をしないので、漆の赤黒い色がそのまま残るような仕上がりになります。最初からそのつもりではじめましたが、やはり割れた跡・欠けた跡に残った色を見ると、最後に化粧をして「金継ぎ」にした先人の方々の気持ちがなんとなくわかるような気がしてきました。もしかしたら、あとから金を載せるかもしれません(笑)

今回は乾かす時間を含めて約1か月がかりの直し仕事となりました。それでも「また使える!」と思うと、その手間も時間も楽しみになるから面白いものです。

ちなみに花祭窯では「直し」のご要望は承っておりませんご相談いただいた場合は、信頼できるプロの方をご紹介するようにしております。時間も手間も技術も要る仕事なので「買ったほうが安い」ことも多いですが、思い入れのある器は直して使っていくことができると嬉しいですよね。

最近ではご自分でできる「金継セット」があちらこちらで販売されていますし、一般向けの「金継教室」なども各地で開催されています。「自分で修理する」という選択肢は、以前ほどハードルの高いものではなくなってきたように思います。

 

 

手ぬぐいが好き。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

先日お友だちとおしゃべりをしていて「どう使うの?」と聞かれたのですが

手ぬぐいを日常的に愛用しています。

きっかけは、神社からいただいた手ぬぐいでした。

博多の櫛田神社で結婚式を挙げたご縁で、櫛田神社から「その年の山笠にちなんだ手ぬぐい」が送られてくるようになりました。もしかしたら大切に飾るべきものだったのかもしれませんが、「おめでたいからありがたく使おう」と迷わず使いはじめたのが最初です。

タオルでもない、ハンカチでもない。けれど、日頃から持ち歩いていると、タオル的にもハンカチ的にも、はたまた風呂敷的にも使うことができてなんとまあ便利なこと!当たり前ですが綿100%というのも、個人的には嬉しいポイントです。薄手で乾きやすいので、旅行先でさっと洗濯して使いまわせるというのもありがたいですね。

たしかに洋服のポケットに入れるにはやや大きいのですが、生地がかさばらないため思いのほか小さく折りたたむことができます。もちろんバッグに入れて持ち歩く分にはまったく問題ありません。というわけで、わたしのバッグの中には普段から2~3枚の手ぬぐいが…。

そして手ぬぐいを使いはじめると、ことあるごとに手ぬぐいが気になりはじめました。手ぬぐい暦20年を越えますが、嬉しいことに年々手ぬぐいを使う人たちが増えているとみえ、近頃はいろんなところで目にするようになってきました。

伝統的な和柄ものの楽しさはもちろん、お土産に嬉しい各地の様々なデザインの手ぬぐいも面白いものがたくさんあります。また最近では企業PRやイベントの記念品としてオリジナル手ぬぐいを作るところも増えていて、凝ったデザインのものも少なくありません。

美術館・博物館内にあるミュージアムショップにも、その館の収蔵品や展覧会テーマにちなんだ手ぬぐいが並んでいるのを見つけます。わたしの手ぬぐいコレクション(?)のなかにも、草間彌生さんの赤い水玉手ぬぐいや、村上隆さんの手ぬぐいがあります。

手ぬぐいの日常使い、おススメです(^^)

 

初釜茶会に行って参りました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

初釜茶会に行って参りました。

昨日は入門している茶道南方流の初釜でした。お茶会前日はお掃除と準備。窓ふき・露地掃除・毛氈(もうせん)の準備などなど…この「前日のお勤め」を通して心を整えていくことが、おかげさまですっかり習いになりました。

日頃はお稽古の曜日や時間帯によりお会いする機会の少ない同門の方々、先生や諸先輩とお会いできるのも初釜茶会の嬉しさ。初釜らしい皆さんの装いで、気分も華やぎます。わたしはまだまだ着物の着方が下手なのですが、安心してアドバイスをいただいたり、その場で直していただけるのも、ありがたい機会です。

メインの楽しみはなんといっても、和尚さま自らのお点前を間近で拝見できること。余裕ある手さばき足さばきの美しさに思わずため息が出ます。また南方流の初釜では、毎回色紙を頂戴します。これがもうひとつの楽しみ。

今年の色紙に書いてあった言葉は

無位の眞人(むいのしんにん)

「どんな位にも属さない眞の自由人。大悟徹底の人をいう。」とありました。

どんな位にも属さない眞の自由人!すごい響きですね。

新しい一年が始まった、と感じる初釜の茶会です。

 

 

花祭窯・藤吉憲典2017個展予定など。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>

2017年最初のブログは・・・

花祭窯・藤吉憲典の2017個展予定。

本年もありがたい機会をいくつもいただいておりますことに、心より感謝申し上げます。ありがとうございます!


5月3日(水)~5月24日(水)
ロンドン Sladmore Contemporary 個展

国際アートフェアCOLLECT、企画展”FIVE CERAMICISTS”を経て、海外での初個展。いよいよ世界のアート界へチャレンジの第一歩です。

5月26日(金)~5月30日(火)
東京・西麻布 桃居さんで個展

2005年から隔年で機会をいただいている桃居さんでの個展。つくり手としての成長・進化をご覧いただいてこそのありがたい機会です。今年もまた「新しい藤吉憲典」をご覧いただくべく、すでにテーマも決定しました。どうぞご期待ください。

6月9日(金)~6月11日(日)
福岡・津屋崎 花祭窯「20周年展」

今年は花祭窯創業20周年です。開業日の6月9日を含む週末に、皆さまへの感謝イベントを開催できればと考えています。

6月下旬~7月初旬
熊本 SUNNYさんで企画展

恒例となりましたBistro&Bar SUNNYさんの周年記念展。昨年の3周年までは連続で蕎麦猪口展を開催しました。今年の4周年の日程詳細と内容は現在検討中。決定次第、あらためてご案内いたします。

7月22日(土)~7月30日(日)
兵庫・神戸 ギャラリー壺屋さんで個展

昨年からお付き合いのはじまった神戸御影のギャラリー壺屋さんでの初個展です。「これぞ藤吉憲典」と納得していただける内容を持ってお伺いいたします。

12月14日(木)~12月28日(木)
鹿児島 壺中楽さんで個展

2年ぶりの鹿児島・壺中楽さんでの個展になります。普段使いの器から、クリスマス・年末年始に嬉しいハレの器まで「お家の食卓」を意識したラインナップを予定しています。

12月22日(金)~12月29日(金)
福岡・津屋崎 花祭窯「暖の器展」

1年の感謝を込めた花祭窯の企画展を予定しています。


現時点での予定はこのようになっております。今後詳細が決定したり、追加・変更などがありましたら、その都度ブログでもご案内してまいります。

今年は特に5月から7月に個展が集中します。つくる時間を確保するため、最初の個展が5月と少々お待たせいたしますが、楽しみにしてお待ちいただけると幸いです。

本年も各地で一人でも多くのお客さまにお会いできることを、つくり手・藤吉憲典ともども楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします!

「祝の器展」本日最終日。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

「祝の器展」本日最終日。

2016年もお世話になりました。ありがとうございました。

毎年、12月は一年間の感謝を込めて花祭窯での展示企画をしたいと思いながら、できたりできなかったり。今年は12月22日から本日29日まで「祝の器展」として展示ができて、ホッとしています。

この展示でつかったのは、江戸時代からつい近頃まで使われていたという朱塗りのお膳。ご近所さんからのたいせつな預かりものです。

ご主人がお亡くなりになってから、それまで続けていたお正月の習慣もすっかりやめてしまったと。昔からのお道具が蔵に眠っているから、それよりは使ってもらうと嬉しいのよ、とおっしゃって、わたしたちに預けてくださったお道具のひとつです。

藤吉憲典染付の器、赤絵の器

「祝の器展」を見に来てくださった方、みなさんがこれをご覧になって喜んでくださいます。「なつかしい」とおっしゃるご年配の方だけでなく、若い方からも「かわいい~!」の声。

一人でも多くの方にこの風景を楽しんでいただくことも、花祭窯がここでできる仕事のひとつかもしれないと、ありがたく嬉しくなります。来年もこのような機会を必ずつくろうと、手帳に予定を書き入れました。

2016年の祝の器展もあと数時間。
今年も一年、ありがとうございました<(_ _)>

2016読んだ本ベスト5。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

今年もたくさんの本に助けられました。
本に順位をつけるのはいかがなものか?とも思ったのですが、2016年に読んだ本のうち、自分に与えた影響の大きな本、という視点で振り返ってみました。
(それぞれの本の画像をクリックすると、アマゾンの書籍紹介のページで本の内容詳細をご覧いただくことができます)

2016年読んだ本ベスト5。

第5位 THE CURATOR’S HANDBOOK

400ページの分厚い本です。途中挫折するかと思いながらの読みはじめでしたが、終わってみれば内容の面白さに最初から最後まで通し読み。キュレーターとはなにか?という漠然とした問いかけから、実際に美術館・ギャラリーなどのスペースで展覧会をつくるための具体的な個別のノウハウ・事例・考え方が網羅されています。かといってマニュアル書ではない奥深さ。

第4位 SUPERFLAT COLLECTION

展覧会図録です。豊富な展覧会の写真がもちろんメインではあるものの、桃居オーナー広瀬一郎さんと村上隆さんによる陶芸対談をはじめ、コレクター対談、熊倉功夫先生の寄稿など、文章によるアプローチが見逃せない一冊でした。

第3位 地域を変えるミュージアム

2013年発行後すぐに購入して読んだ本。再び読み返しました。美術館・博物館のもつ力と、地域で果たすべき役割を思い起こさせてくれる本なので、たびたび引っ張り出して読んでいます。ひとくちにミュージアムによる場のデザインといっても、さまざまなアプローチがあることを、事例を通して教えてくれる本です。

第2位 南方録

南方録は、さまざまな訳本・解説本が出ています。いずれもかなりボリュームのある本が多く、どれを選んだらよいか迷っていたときに見つけたのが、これ。訳注はついていますが訳本ではなく、南方録そのままです。現代語ではないため読みにくく、正直なところ、勉強不足のわたしには何が書いてあるのか理解できないところも多々(笑)。ところがそれでも伝わってくるものがあるので不思議です。茶道稽古の実践とともに、これからも繰り返し読んでいきたい本です。

第1位 大きな羊のみつけ方 「使える」美術の話

2016年わたしに一番影響を与えた本は、宮城県美術館の教育普及担当学芸員(当時)である齋正弘先生による『「使える」美術の話』。このブログでも何回もとりあげました。

美術の使い方。

本を読む時間は移動中や、寝る前などの隙間時間が多いのですが、それでも読みたい本を読む時間は、わたしにとって大きな栄養補給になっています。

来年も嬉しい本との出会いを期待しつつ(^^)

杵と臼で餅つき。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

本日はご近所で恒例のお餅つきでした。

杵と臼を使ってのお餅つき。

セイロで蒸しあげたもち米を石臼に入れて、杵で餅つき。
ここ津屋崎に越してきてから、この景色を毎年見ることができています。ありがたいですね。

餅をつき、ちぎる、丸める。

この作業のなかに、自然と役割分担や協力関係が生まれるさまは、見ていて・参加していて、なんとも面白いのです。

参加者は老若男女。主催なさる方の厚意による餅つきは「ご自由にお越しください」のスタンスで、実際にはじまってみないと、誰が来るのか、何人くらいくるのか、いつくるのかがわかりません。でも、そんななか、出来ることをできる人が進んでやっていく。人手が足りないときは声をかける。目配りしている人がさりげなく采配する。年長者がやり方のコツを伝授する。

なるほど餅つきがあたりまえの風景であった時代・場所においては、子どもからお年寄りまで、それぞれがその場所で役割を担うことが、自然に行われていたのだろうな、と感じられるひと時です。

ありがとうございました(^^)

冬至は柚子(ゆず)風呂。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

昨日の朝、ラジオから流れてきた「今日は冬至です!」の声に促されました。

冬至は柚子風呂。

さっそく柚子を調達するため近所に散歩にでかけました。
ここ津屋崎千軒には国指定有形文化財の「藍の家」があります。我が家から徒歩2分ほどの距離。もとは明治34年に建てられた藍染めを主とする染物屋さんで、古民家好きの方々が観光に訪れる場所になっています。

そんな藍の家、ボランティアの方々によって運営されており、その軒先でご近所の農家さんが持ってきた旬のお野菜や果物が時々少し売られているのです。ご近所散歩のついでに立ち寄り、運良く新鮮な野菜が手に入ればラッキー!というのがわたしのスタイル。

目論見どおり、藍の家で柚子ゲット(^^)
完熟の柚子。ぷかぷかと湯船に浮かべると、芳香に包まれてなんとも贅沢です。

日本の四季折々の習慣には、日常のなかにさりげなく非日常を取り込む面白さがありますね。気が付いたときに、できそうなことを取り込むだけで、気分が盛り上がり楽しくなることをあらためて感じた冬至でした。

花祭窯で祝の器展。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

近所の店先に「柚子」をみつけました。
もうすぐ冬至ですね。

2016年の展示の締めは

花祭窯で「祝の器 展」。

毎年12月には感謝の気持ちを込めて、ここ津屋崎の花祭窯で藤吉憲典のうつわ展示を、と思っています。個展の日程やあれこれでできない年もありますが、今年は、やります!

―――――――――――――
花祭窯 祝いの器 展

2016年12月22日(木)~12月29日(木)
午前11時~午後5時
期間中無休

花祭窯:福津市津屋崎4-8-20にて
―――――――――――――

展示期間中は無休ですので、営業時間内であれば事前の連絡無しにお越しいただいても大丈夫です(^^)

江戸時代から現代にかけて使われていたという塗りのお膳に、藤吉憲典の器を並べてセッティングいたします。楽しい展示になるよう、いろいろ考え中。もちろん気に入った器はお買い上げいただくことができます。

忙しい年末、ちょっぴり息抜きに花祭窯へいらっしゃいませんか。お待ちいたしております。

干支の置きもの(酉)。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

12月も半ばを過ぎて、暦の上では正月準備が始まりました。

毎年この季節になると花祭窯でもつくるのが

干支の置きもの。

来年2017年は、酉(トリ)年です。
もともとは普段からお世話になっているご近所の皆さまへのお礼につくりはじめたのですが、ご購入を希望なさる方が増えてきて、すっかり年末の定番となりました。

大きさは毎回手のひらにおさまるサイズ

というのも、最初は「箸置き」としてつくっていたからなのです。
そのまま飾るという方が増えている今も、箸置きとしても使えるつくりにしています。

もうひとつ、最近よくお聞きするのが「筆置き」としての用途。

確かにこのところ「箸置きにしては、サイズがやや大きい」感じになってきているので、筆置きにすると、サイズ的におさまりもよさそうです。

「筆置きに使います」とおっしゃる背景には、絵手紙ブームがあるようです。
日常的に筆を手にする機会はどんどん減っていますが、水彩などによる絵手紙のブームが、筆を手にする機会を増やしてくれているようです。

藤吉憲典のつくる干支の置きもの。
飾りとしても美しく、用途を持ったものとしても美しい、というのが日本の伝統工芸文化の素晴らしさ。楽しんでいただけると幸いです。