大きな変化への第一歩。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大きな変化への第一歩。

花祭窯の創業地に行って参りました。集落の入り口に入ったところで、思いがけず目の前いっぱいにコスモス畑が広がりました。

いわゆる「限界集落」と呼ばれる条件を備えた場所です。20数年前の当時も、林業も農業も皆さん兼業で、農繁期になると外に出た兄弟やお子さんたちが週末ごとに手伝いに来る景色がありました。年々過疎化が進み、担い手がどんどん少なくなっていました。

それでも1-2年前までは、お米と大豆の二毛作を続けていたと思います。今年の梅雨時期に訪れたときは、棚田状の農地が水田になっていなかったので、「今年は大豆だけなのかな」と、単純に考えておりました。

11月、いつもならそろそろ収穫期の大豆畑が見えるものと思い込んでいたところに、このコスモス畑。もちろん「わぁ!きれい!」ではあったのですが、同時に「ついに農業の担い手がいなくなったのだろうか」と、現実的な想いがこみ上げてきました。そして「いったい誰が、このコスモス畑を主導したのだろう?」と。

林業も農業も協働で補い合ってきたムラのこれまでの在り方を振り返ったとき、米や大豆の生産をやめるという決断と、そのあとをコスモス畑にするという発想を実現することは、困難な道のりだったのではないかと想像できます。新しい考え方を受け入れるのには、とても時間のかかるコミュニティでしたから。でも、目の前にあったのは、荒れた農地が取り残された景色ではなく、可愛らしいコスモス畑。

思えば工房を移転してもうすぐ10年。創業地に足を運ぶたびに、ご近所さんから「どんどん人が減ってね…」と聞かされていました。そして今回、大きな転換期にあることを突然目の当たりにしたのでした。ここに至る経緯がわからないだけに、ほんとうに驚きましたが、写真をとりながら、少しづつ気持ちを整理することができました。前向きな変化があることを感じたコスモス畑でした。

何年経っても、創業地はわたしたち花祭窯の原点であり、そこに立てば初心の志がありありと蘇ってくる場所です。これからも足を運び、村の変化も見守っていきたいと思います。

立冬も晴れの好日。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

立冬も晴れの好日。

暦の上では冬に入りました。この週末は衣類を入れ替えたり、冬布団を出して干したり、ストーブを点検したり、居間のラグがくたびれていたので暖かそうなものに買い替えたり。このところ風のないカラリとした晴天が続いたので、季節の家事も快適に進みます。今年の秋は穏やかな日が多くて、久しぶりに、秋ってこんなふうだったなぁ、としみじみ感じました。

朝晩の冷え込みで、紅葉も進んでいますね。週末のSNSには、友人たちが登山をしていたり、紅葉狩りに出かけていたりと、美しい季節の風景が全国各地から届き、こちらまで嬉しくなりました。外に出て、季節を楽しみ、春から続いた閉塞感を少しでも吹き飛ばして、心も体もリフレッシュ!にぴったりの季節。

とはいえ、個人的には特段お出かけの予定も作らず、淡々と日々の家事・仕事をしています。そのなかで見つける「晩秋らしさ」もまた、ちょっとしたリフレッシュのタネ。ツワブキの黄色い花が咲いていたり、ダンナが山からムカゴを採ってきたり、ご近所さんから柿をいただいたり、朝市の魚市場に並ぶヤズ(ブリの幼名)に脂がのってきたり、早朝見上げる空の月が冴え冴えと美しかったり。

気持ちが安定する晴れの日は、行楽日和であるだけでなく、日々の仕事や家事にも最適なのだと実感する今日この頃です。

ひさびさにサイト作り込み。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ひさびさにサイト作り込み。

オンラインショップのリニューアルを目指して、画面に向かう日が続いています。作家・藤吉憲典の公式サイト制作はプロにお任せしているので、すっかり楽をしておりますが…オンラインショップはサービス会社から提供されている「テーマ」と呼ばれる既存デザインに助けられつつ、自力でコツコツ構築しています。

素人仕事ではありながらもなんとかなるあたり、昨今のECスタートを取り巻くサービスの充実を感じます。もちろん同じテーマを使っても、プロの構築したものと素人の構築したものでは歴然とした差が出るのは当然です。が、それでもスタート地点への立ちやすさは隔世の感。スタート後に集客・販売をいかに伸ばしていくかは、また別の話として。

ともあれ、久しぶりにオンラインショップの組み立てをしていると、わたしはこの作業がまったく得意ではないけれど、かといって嫌いではないのだなぁ、と感じます。思えば、マイクロソフト社のホームページ作成ソフトを使って初めてホームページを自力でつくったのは、かれこれ20年ほど前のこと。四苦八苦しながらも必死に取り組んだことが現在につながっていると思うと、よく頑張ったよなぁと当時の自分に声をかけたくなります。あの時、こういうのは苦手だからと逃げていたら、今の社会環境にまったく適応できていなかったと思います。

当時、オンラインショップをスタートした最初の店名が「やきものや ふじゆり」。わたしの通称「ふじゆり」が生まれたのは、このタイミングでした。そんな当時のことを思い起こしつつ、コツコツ作業。2020年末までにはリニューアルオープンできるよう、がんばります。

久しぶりに、特急。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに、特急。

先日「久しぶりに、博多。」と言ったばかりでしたが、急に近場への出張要件が増えてまいりました。ひとつ動くと、いろいろと動き出す。不思議なものですね。

本日は朝から佐賀に出張してまいりました。久しぶりの特急は「ハウステンボス号」。新しいデザインになってからは、初めての乗車となりました。ついています(^^)。仕事で出かけられることも、ハウステンボス号に乗れることも、両方嬉しくて、ついついパチリ。

車両自体は以前からの783系ハイパーサルーン。車両内の仕様はそれほど変わっていないように思いましたが(たぶん)、色遣いががらりと変わりました。ビジネス利用でも気分が上がる、オレンジ色。

内装もパステルカラーで可愛らしく。写真の通り周りは空席ばかりでしたので、ゆったり乗車できました。人がいないのをよいことに、パチリ。

おかげで、首尾よく仕事も完了。帰りは長崎方面からの「白いカモメ」でした。こんなふうに「久しぶりに、新幹線。」「久しぶりに、飛行機。」と、少しづつ動いていけるといいな、と思いつつ。

東京商工会議所の貿易部会セミナーに参加しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

東京商工会議所の貿易部会セミナー「新たな販路開拓へ、中小企業のEC活用メリット」に参加しました。

Zoomを使ったウェブセミナーです。東京の商工会議所が主催するセミナーに気軽に参加できるようになったのは、ウェブセミナーが一般化してきたおかげですね。開催場所を問わず同じタイミングでセミナーに参加できるのは、地方在住者にとって大きな恩恵です。ウェビナーの場合は参加者数を大幅に増やせるのも利点だと思います。

セミナータイトルは「新たな販路開拓へ、中小企業のEC活用メリット~最新トレンドと成功事例をご紹介~」。中身は、ECサービスShopifyの紹介と活用法。ちょうどShopifyのサービス内容を知りたいと思っていたところでグッドタイミングでした。

以下、備忘。


  • 実は、チャネルはどれでもよい。
  • 大切なのは「ワクワクするショッピング体験ができるか?」と「自分にとって便利か?」。
  • SNS上でアクションを起こす人は約7割。
  • 写真の重要性。
  • 1商品平均10枚以上が主流。
  • 手に取ったとき、手に入れたときのイメージができるか?
  • マニュアルダウンロード、無料オンラインセミナー、コミュニティ。
  • 個人配送対応はEMSとDHL。
  • アプリで多言語・他通貨は標準対応。
  • コースによる違いはアカウント数。機能的には全コース同じ。
  • ブログは販促情報の宝庫。

以上、東京商工会議所貿易部会セミナー「新たな販路開拓へ、中小企業のEC活用メリット」(2020/10/8開催)より


冒頭からShopifyの担当者さんが「実は、チャネルはどれでもいいんですよね」とスタート。率直なところを聴くことができて、面白いセミナーでした。最後に質疑応答の時間がたっぷりとってあったのも良かったです。Zoomでしたので、参加者がオープンチャットに質問を書き、講師の方が口頭で順に答えていくという方法。かなり具体的な質問も入り、この質問タイムのおかげで、内容をより理解できました。チャットだからこそ質疑応答がより活発になったのかもしれないな、と感じました。

おかげさまで、知りたい情報を知ることができました。機会をくださった東京商工会議所さんに感謝です。

久しぶりに、博多。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに、博多。

なんと半年以上ぶりに博多へ行って参りました。あんなに身近だったのに、我ながらびっくりです。久しぶりの博多は、当然「マスク着用・キープディスタンス」ではありながら、街も人も賑わいを取り戻しているように見えました。が、まず気が付いたことは、やはり海外からの観光客の方々の姿が無いこと。あれほど中国語や韓国語が飛び交っていた博多駅周辺も、静かなものでした。写真は博多・祇園にある聖福寺さん。

今回の博多訪問の要件は、福岡アジアビジネスセンターでの個別相談。海外とのビジネス関係でちょっと知りたいことがあるときに、わたしがまず相談するのがここです。おおよそのことは、対応していただけますし、難しい場合でも関係機関を紹介していただいたり、なんらかのヒントをいただくことができます。メールで問い合わせたところ、対応できるアドバイザーがおられるということで、出かけてまいりました。

ご相談してきたのは、海外個人向けECに関すること。このところ、インスタグラム等を通じて、海外からの個人の方アート作品に対するお問い合わせが増えてまいりました。海外向けアート作品に関しては、基本的にはロンドンのギャラリーを紹介して、そちらで対応していただくようお願いをするのですが、個別に対応する必要がぽつぽつと。

福岡アジアビジネスセンターの担当者の方には、かれこれ7-8年お世話になっております。うちの事業をよくご理解いただいている担当者さんが間に立ってくださるので、初めてお会いするアドバイザーさんであっても、相談の席に着いたときには、ある程度先方に事前情報が伝わっているという安心感があります。気が付けば約1時間半もの相談になり、あれこれとヒントをいただくことができました。

さて帰り道、あまりにも久しぶりの博多が嬉しくて、電車に乗る前にお土産をゲット。好きなパン屋さんが出していた季節限定のマロンポテトパイを調達することができました。やっぱり博多、大好きです(^^)

商工会は身近な情報源。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

商工会は身近な情報源。

つい先日、シリコンバレーでガッツリとビジネスをし、アメリカ的起業文化を体現してこられたご夫妻とおしゃべりする機会に恵まれました。ここ福津市で起業の環境を整えるにはどうしたらよいのか?的なお話からはじまり、実際に相談に来る地元の若い方々と会って話して感じたことなど、率直なご意見を伺うことができました。

そのときに共通して「そうですよね!」とうなずき合ったポイントが、「自分で足を動かし、汗をかいて情報を取りに行くという基本的なことを、面倒くさがっていてはダメだ」ということでした。そして、日本の地方で何かをしようというとき、一番身近なところにある商工会を使わない手はないのに、それさえもしようとしない若い人が多いことについて、「格好いいことばかり言うけれど、ほんとうにやる気があるのか、一生懸命さが感じられない」というようなことでした。

シリコンバレー帰りの方の口から「商工会」という言葉が出て来たことに驚きましたが、実際にここ(福岡県福津市)で事業を起こすと考えたときに、情報の窓口としてとても便利なのです。地元の商工会の先には県単位での組織があり、その先には国があって、さまざまな施策はそこから降りてきます。万一、地元の商工会で得られる情報が少ないと感じたとしても、その先、そのまた先へとアンテナを伸ばすことで得られるものはとても多いのです。

たしかに、担当してくださる経営指導員さんのタイプにより、自分の求めるサービスを引き出すことができないということも、無いとは言えません。だからといって「使えない」と切り捨てる前に、どれほど働きかけているか、というところ。わたしも地元福津市の商工会に加えて、県の商工会連合会、福岡市の商工会議所と、状況に応じてアクセス先を変えています。

物理的な距離的にも最も身近な地元の商工会は、お世話になればなるほど、お世話になり甲斐があると感じています。お世話になる=自分の事業をより深く知ってもらう機会であり、それが増えることになり、新たな情報があった時に「花祭窯にも役立つかも。教えてあげよう」と思ってもらえるようになると思うのです。

というわけで、この秋もいろいろと相談をし、助けていただいております(^^)

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)エイドリアン・ジョージ著 河野晴子訳

いつかは!と思って読んでいた本が本格的に活躍しそうで、ワクワクしています。『THE CURATOR’S HANDBOOK』を読んだのは、約4年前。当時は、わたしにとって仕事上なじみの深い美術館・博物館・ギャラリーなどの「文化・文化施設が果たす社会的な役割」について考察する手引きとなる本として、読んでいたのでした。

本書の日本語でのサブタイトルが「美術館、ギャラリー、インディペンデント・スペースでの展覧会の作り方」。サブタイトル通り、第1章から第12章まで “How to” の宝庫です。


目次

第1章 始動する:キュレーションの第一歩
第2章 アイデアを実現させる
第3章 プロポーザル、企画の売り込み、プランニング
第4章 予算と資金調達
第5章 契約、交渉、義務、評価
第6章 展覧会の出版物と物品販売
第7章 展覧会をつくる
第8章 オープン前の数週間
第9章 展示作業
第10章 オープン数日前と当日
第11章 プレスオープンと内覧会
第12章 展覧会会期中、そして会期後

『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)より


「展覧会」。花祭窯の場合、それは「陶芸作家・藤吉憲典の個展」です。主催してくださるコマーシャルギャラリーさんがすべてお膳立てしてくださるので、作品と作品リストをお届けすることに注力し、それ以外は全面的にギャラリーさんにお任せするのが常です。

なので、学芸員資格を持っているとはいえ、自分自身が中心となって「展覧会をつくる」ことは、「いつかできたら楽しいだろうな」と思うぐらいで、具体的にイメージしたことがありませんでした。が、ここにきて「展覧会をつくる」計画が浮上。まさに本書が活かされる状況になりそうです。

ギャラリーオーナーの方々には毎回お世話になりっぱなしです。オーナーさんがどれほどのエネルギーを注いで個展を開いてくださっているのか、身をもって理解することのできる機会になりそうです。とはいえ、まだ計画どころか「アイデア」の段階。開催できるのが来年になるのか再来年になるのか、詳細はこれからです。本書を読みなおし、準備するべきことの多さを考えると、ある程度時間がかかる(時間をかける必要もある)こともわかってきました。

一日も早く皆さんに告知ができるよう、頑張ります!

完全予約制の良いところ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

完全予約制の良いところ。

花祭窯では、ご来店のお客さまを「完全予約制」で承っております。もともと不定休で営業をしていたもので、せっかくお客さまがいらっしゃったときにこちらが不在!ということもあり、その失礼を避けるために「あらかじめご連絡ください」とあちらこちらでお願いの文言は入れておりました。

コロナ対策を機に、完全予約制を打ち出すことを決定。これまでも「ゆるく予約制」ではありましたので、運営上はそれほど大きな変化はありません。でも、完全予約制にしたことで、より「気持ちの余裕をもってお客さまをお迎えする」ことができるようになったと思います。

あらかじめご連絡いただくことにより、まったくの初対面の場合よりも、お客さまとの距離が少し近くなるような気がしています。またどんなものをご覧になりたいと思ってお越しになるのか、少しでもわかっていると、ご要望に合わせた準備もできます。なにより、その時間帯は一組のお客さまだけですので、ゆっくりと気兼ねなくご覧いただけるのが一番喜んでいただけているような気も致します。

実際に「完全予約制」を打ち出してからもうすぐ半年になりますが、ご来店に合わせてお店を開けるというのは、津屋崎千軒という場所的にも、うちの商材的にも合っているようです。前日までのご予約確認をしていただけると確実ですが、当日直前でもお電話などでお問合せいただければ、対応できるときもあります。「花祭窯に出かけてみようかな」と思いついたときは、まずはお電話をいただけると幸いです。

花祭窯の九月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の九月の庭。

九月は初旬に大きな台風がふたつありましたので、さすがのヒガンバナもお彼岸には難しいかも、と思っていたのでした。大潮と重なったこともあり、津屋崎千軒は潮をかぶりました。潮をかぶると、モノは錆びるし、植物は枯れてしまいます。

枯れた植物を片付けつつ、突如まっすぐに伸びてくる茎が数本あるのに気が付いたのが、約一週間前。ヒガンバナです。台風の潮風にも負けず、きちんとお彼岸に照準を合わせて伸びてきました。9月20日にひとつめが開花。その後次々と咲いて、いつものようにお彼岸の風景となりました。

気候が変わっても季節に合わせて咲く花のすごさは常々感じています。なかでも「秋のお彼岸」ピンポイントのタイミングに必ず花を咲かせるヒガンバナの力には、毎年感動しています。今年はまたひとしお。

今朝はまたここに、ヤブランも新たに顔を出してくれました。紫色のヤブランは8月の下旬に咲いていたのですが、時間差で白が開花。

植物の力に勇気づけられる初秋です。