文様の話、古典とオリジナル(2)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(2)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

ふたつめのこたえは、

日常の景色から生まれるオリジナル。

作り手・藤吉憲典を見ていると、日々の暮らしのなかで目にする自然の生きものが、一番文様の素材になりやすいようです。創業の地・佐賀県の花祭は自然豊かな里山で、四季を通じて折々の自然とのかかわりが密接でした。

草花や昆虫などの小さな生きものが文様のもとになるのは、江戸の昔も今も変わらないのだなぁ、と思います。上の写真のヤマユリも、下のナズナも、メダカも、藤吉憲典のオリジナル文様。

ナズナ皿 藤吉憲典 染付メダカ文蕎麦猪口 藤吉憲典

いずれも、古伊万里の古典文様にありそうでなかったものです。そういう新しいものを古伊万里の文脈に乗せて文様化するのも、藤吉憲典の得意技。

ときどき、有田などで作陶している若い作家さんがナズナやメダカを題材にしているのを見つけると、藤吉のデザインを見て真似ているのだろうということがわかります。なぜなら、古伊万里には無いものなので。でも、皆きっと「藤吉憲典が描いているから、あれは古伊万里の写しなのだろう」と思って、写しているのだと思います。

藤吉の生んだ文様が、彼らにとっての古典になっている部分もあるのだなぁ、とひそかに嬉しくなる瞬間です。

↓ひとつめのこたえ「古典の写し」については、こちらでご紹介↓

文様の話、古典とオリジナル(1)

 

文様の話、古典とオリジナル(1)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、古典とオリジナル(1)

「やきものの文様はどこから生まれるのでしょうか」

お客さまからのご質問も多く、わたしもメルマガやブログでときどき思い出したように紹介する内容のひとつです。答えのひとつが、

古典の写し

藤吉憲典の場合、古伊万里の文様からの「写し」が8~9割強ではないでしょうか。やきものの世界にはもともと「写し」の文化があります。「写し」とは、古くからある良いものを真似すること。でもそれは質の悪いコピーを繰り返すこととは違います。「本歌取り」と似ているとわたしは思います。

「写し」で大切なのは、ただそのまま真似するのではなく、元よりももっと良いものにすること。古いものをそのままコピーしても、その評価は「古くさい」となってしまいがちです。そうではなく「なんだか懐かしい」と喜んでもらえることが、写しで大切なことだと思います。

藤吉は窯元時代から商品開発をしており、独立してからのキャリアも含めると30年近く、やきものの文様を生み続けていると言えますが、それを支えているのが、古伊万里の史資料です。古伊万里に大きな影響を与えた韓国や中国の陶磁器の歴史と文化もまた、その「元」になっています。

例えば江戸時代に文化の華開いた蕎麦猪口は、文様の種類が数百とも数千とも言われています。現在までに藤吉憲典が写し直している蕎麦猪口の文様は約160種。まだまだデザインの元がたくさんあるということです。

美術館や骨董やさんにならんでいるやきもの、たくさんの本や美術書でのデータ、そして津屋崎陶片ミュージアムで紹介している陶片の数々も、たいせつな史資料のひとつです。

次回は「オリジナル」について。

 

お待たせしております。

こんにちは、花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

お待たせしておりますm(_ _)m

今年2017年は藤吉憲典の個展が五月~七月に重なり、正月明けからその準備に入っていました。そのため上半期はご注文品のお届けがなかなかできず、お客さまにはいつも以上にお待たせをしてしまいました。

八月に入って、ようやくご注文品の制作に集中できる状態になってきました。藤吉憲典は一人でつくっているため、どうしてもこのようなかたちになります。今月末から順番にお届けしていくことができると思います。もう少しお待たせいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

お取引先のギャラリーさん、その先にいらっしゃるお客さまがご理解くださり、待つ時間も楽しみのひとつとしてくださるので、つくづくありがたいなぁ、と思います。「待ってよかった」と思っていただけるよう、ひとつひとつしっかり丁寧につくって参ります。

いつもありがとうございます。

 

 

七月のお干菓子は七夕。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

七月のお干菓子は七夕でした。

お隣の町、宗像市にある和菓子の名店、このわさん。オープンなさってすぐのころから、特に豆大福のおいしさに、すっかりファンになっていました。豆大福以外の生菓子も、もちろんとってもおいしくて、早い時間に売り切れてしまうことが少なくない人気店です。

ご縁があって、このわの大将とお会いしお話しする機会があり、何度目かお会いした際に思い切ってお干菓子のご相談をしたのが今年の四月。それから毎月、季節感のあるお干菓子をご提案いただいています。

七月は、和三盆糖の軽やかなお菓子。短冊を思わせる白い長方形に、笹を思わせるやわらかいグリーンが涼やかで、見た瞬間に「七夕ですね!」と嬉しくなりました。

花祭窯にお越しのお客さまに、お茶と一緒にお出ししています。七月は緑にお抹茶を感じたので、重ならないよう番茶や紅茶とあわせて。

七月も残り一週間、八月のお干菓子はどのようなご提案をいただけるのか、今からワクワク楽しみにしています。

 

 

台湾からのお客さま。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

いろいろなご縁がかさなって、

花祭窯に、台湾からのお客さま。

台湾の陶芸家・何志隆さんから、日本と台湾との陶芸における交流をしたいので、機会があれば花祭窯にも訪問したいというお話があったのは、一年以上前のことだったと思います。

今回、その何志隆さんの開発した「翡翠青磁」を広める活動をなさっている財団法人翡翠青磁文化芸術基金会の理事長・李壮源さんと、台日企業経営協会の李富山さんが、花祭窯にお越しくださいました。

今回の九州訪問では、佐賀県唐津・有田の両産地でいくつもの窯元を回り、佐賀大学で陶芸専攻の教授(ダンナの幼馴染!)とも意見交換をしてきたとのことで、最終日の当日は、お二人ともリラックスした雰囲気。

李壮源さんが花祭窯の展示を見まわしてまず手に取られたのは、書道道具のひとつである水滴でした。実は著名な書道家でもあられるということがわかり、ダンナ・藤吉憲典のつくった水滴や硯(すずり)を持ち出し、その出来映えや文様、歴史をめぐって楽しく盛り上がりました。

また当日たまたま部屋に掛けっぱなしになっていた、藤吉が書いた「徳は孤ならず必ず隣あり」の短冊の字を褒めてくださり、その言葉を選んでいたことをとても喜んで下さいました。花祭窯の狭小茶室・徳り庵の元となった、孔子の言葉です。

書の道具の話から、青磁の話、世界市場という視点でのやきものの歴史の話、津屋崎浜に上がる中国からの陶片の話へと広がり、最後はその場で即興で短冊に書をしたためてくださいました。

「台湾と日本との陶芸界における交流」を目的の来訪と聞いていたので、実のところ、なんの業界団体にも属さない一個人陶芸家の藤吉憲典がどんな話題をご提供できるものかと少し心配していました。

蓋を開けてみれば、とてもざっくばらんな心の交流で笑顔の絶えない時間となり、ほっと安心。上の写真からも、雰囲気が伝わると思います。とてもありがたい機会でした。次回台湾訪問の際には、必ずご連絡して、台湾のやきものの歴史と現在を案内していただくという嬉しい約束をしました。

ご来窯ありがとうございました!

 

イタリアの専門家。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

イタリアの専門家にお話を聞いてきました。

イタリア・欧州を中心とした国際事業コンサルタントの専門家に、イタリアの現代アートフェアやギャラリーの市場調査をお願いしてみたところ、かなり具体的に必要な情報を調べてくださいました。

担当してくださったのは、博多駅南にあるディサント株式会社さん。現在、福岡県の出先機関である福岡アジアビジネスセンターの登録アドバイザーをなさっています。

「アート」「ギャラリー」という特異な分野にもかかわらず、こちらの期待する情報をばっちり集めてくださいました。ありがとうございます!

地域ごとの経済特性や、住んでいる方々の気質特長、各アートフェアの傾向など。自分一人では大量の時間を要する調査も、専門家はやっぱりすごいですね、短い期間でレポートをまとめてくださいました。

調査の中心はインターネットでの情報収集だったようですが、イタリアから受け入れておられる研修生から生の情報を確認しながらまとめてくださったレポートは、非常にリアリティのある内容で、すぐに生かせるものでした。

今回、レポート報告後の雑談のなかで一番「なるほど!」と思ったのは、イタリアからの研修生の一言「イタリア人は、まず『家ありき』なんだ」

家=家族=家族と一緒にいる空間・時間を大切にする

ということなのですね。その空間・時間が豊かなものになることが一番。そのためにも日々のお掃除で、まずは空間を常に美しく保っておくことというのは、とても重要なことなのだそうです。

感心しつつ、自らを振り返って反省しつつ、のひと時でした。

神戸のギャラリー壺屋さんで個展です。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

7月下旬は、

神戸のギャラリー壺屋(つぼや)さんで個展です。

壺屋さんもまたギャラリーをオープンなさって20年目。壺屋さんのオープンに至る経緯についてはこれまでにもお話を伺っていましたが、この6月に20周年を迎えた花祭窯とほぼ同時期のスタートであったことを、個展案内状に添えられた言葉からあらためて感じました。

由緒ある茶陶の作家さんを中心に、お一人お一人との関係性、ひとつひとつの企画を厳しくこだわりぬいていらっしゃった壺屋さん。自分の美意識とつくりたいものへの欲求に正直に、道のりを開いてきた藤吉憲典。

そんな二者による初個展。この出会いが、お客さまにとって楽しく嬉しいものでありますよう。


藤吉憲典展

平成29年7月22日(土)~30日(日)
11時~18時【期間中無休】

ギャラリー壺屋
神戸市東灘区御影本町6-2-25
TEL078-843-5288
http://www.tsuboya.co.jp/

津屋崎陶片ミュージアム:H290712染付のお皿。丁寧な仕事。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:染付のお皿。丁寧な仕事。

有田焼の磁器生産は歴史的に各工程が「完全分業」です。そのため、海あがりの陶片も「せっかく形はきれいなのに、絵付がひどい」とか、絵付のなかでも「線描きはこんなに丁寧なのに、ダミ(色塗り)がどうしてこうなる?」とか、「表はきちんと描いているのに、裏が恐ろしく手抜き」とかいうものが、少なくありません。

そんななかダンナが拾ってきた、染付のお皿。

津屋崎陶片ミュージアム:丁寧な染付

唐草も地紋も、見込の松竹梅も、とっても丁寧に描かれています。

津屋崎陶片ミュージアム:丁寧な染付

高台がきっちりきれいに仕上げられていて、お皿の裏側にもきちんと絵付が施してあります。

このように形のつくりも、表も裏も、丁寧になされている陶片を見つけると、無条件に嬉しくなります。関わった職人さん皆が丁寧にいい仕事をしたもの。

こういう仕事を見つけると、つくり手も背筋の伸びる思いがするようです。

ちなみにこの「完全分業」、いまだに佐賀有田の産地では継承されていますが、「高度な専門化を目指した結果」というのは実は表向きで、江戸時代に職人技術の他藩への流出を防ぐための方法として、佐賀鍋島藩が敷いた方針だったというのがほんとうのところのようです。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290707宋・龍泉窯系青磁。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:宋の龍泉窯系青磁。

上の写真は、福津市津屋崎小学校内にある在自西ノ後遺跡(あらじにしのあといせき)の展示です。わかりやすい解説付きで、遺跡がそのまま残っているほか、遺物の展示も行われているので、小学校に足を運ぶ機会があるたびに、思わず見入ってしまいます。

そのなかに「これ見たことがある!」というものがいくつもあるので、今回は、展示されている龍泉窯系青磁と同じ文様のものを、海あがりの陶片から探してみました。

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

やはり同じものがあがっているのですね。こうしてルーツが明らかになる嬉しさも、陶片の愉しみのひとつです。

青磁の陶片はこれまでにも何回も(笑)

津屋崎陶片ミュージアム:H290620青磁いろいろ。

在自西ノ後遺跡については、こちらにも取り上げています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム~青磁の陶片

蕎麦猪口の桐箱について。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

蕎麦猪口の桐箱について。

蕎麦猪口倶楽部では、桐箱はご注文の都度、ご希望に合わせて桐箱屋さんに発注して作っていただいています。

蕎麦猪口の数によって異なるのはもちろん、桐の材質、蓋の合わせ方、紐の有り無しなどによって金額が変わってくるため、その都度見積もりを取ってお客さまにお知らせしています。

このたび、蕎麦猪口が1客の場合、2客の場合で、最もご要望の多いパターンでの桐箱代金の目安を掲載いたしました。だいたいどれくらい費用がかかるものか、ご参考にしていただけると幸いです。

蕎麦猪口・小皿豆皿の桐箱について