金毘羅さんでした-ご近所秋祭りシーズンスタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

金毘羅さんでした-ご近所秋祭りシーズンスタート。

3年ぶりとか4年ぶりに開催される地域行事がつづく2023年。ここらあたりの秋祭りの先頭を切る金毘羅さんも、昨年までは「コロナ禍対策仕様」でしたが、今年は行列が復活しました。下のブログは、2013年のもの。そういえば2012年に津屋崎に移住してきて、その年の金毘羅さんがちょうど住んでいる地域の当番年で、さっそくダンナと息子が参加させていただいたのでした。

さて、4年ぶりの金毘羅さん。大名行列や獅子舞による奉納の舞は無かったものの、お神輿を引っ張っての行列は楽しく賑やかしく。遠くから歩いてこられる行列をお迎えする接待所を、山笠の人たちがつくります。行列が辿り着くのを今か今かとご近所さんたちと一緒にそわそわ待ちました。この時間もまた楽しみ。お神輿と一緒に引っ張ってこられる賽銭箱にお賽銭を入れれば、神主さんがその場でお祓いをしてくださいます。しばし頭を垂れて、お祓いしていただき、大満足。

この秋は、この先宮地嶽神社のお祭りや、地元波折神社のお祭りも開催されます。とても楽しみです。

読書『口訳 古事記』(講談社)町田康著

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読書『口訳 古事記』(講談社)町田康著

『古事記』の口訳です。口訳すなわち、一般的な口語体=今の時代で読める・わかる言葉に訳すること。古文や漢文に対して使われますね。現代語訳、としていないところがミソ。その訳者が町田康氏ですから、一筋縄では行かないだろうという予想は出来ます。

わたしがちゃんと『古事記』の内容を読んだといえるのは、実は子どもが生まれてから。子ども用に作られた、日本の神様の神話絵本があり、それを息子に読み聞かせながら「古事記って、こんな内容だったのね」とあらためて認識したのでした。もちろん中学高校時代から『古事記』というタイトルは知っていましたが、本というよりは日本史のなかの位置付けでした。

さて『口訳 古事記』、町田康ワールド全開です。講談社のサイトでの紹介に「画期的な口語訳」とある通り、というか、画期的というのはだいぶ抑えめの表現だと思います。本書内で交わされる神々の会話部分が、特に面白かったです。町田康の口訳を通すことによって、神話の「エロ・グロ・ナンセンス」な部分が、よりあきらかになる感じがしました。ただ、『古事記』を名乗っている以上当然ではありますが、物語の筋は変わっていません。古文の言い回しによってなんとなくオブラートに包まれていたものが、そうではなくなった、とでもいいましょうか。

神々の名前のややこしさはどうすることも出来ませんが、古事記のなかで「言っていること」「やっていること」は、この口訳によって、だいぶわかりやすくなったと思います。これまで古文はもちろん各種現代語訳の『古事記』にチャレンジしつつ途中で挫折した、という方々(わたしもその一人でしたが)に、試してみていただきたい一冊です。先に述べましたように「町田康ワールド全開」ですので、好き嫌いはあるかもしれませんが。

475ページ、結構な分量です。ですが、物語のストーリーはある程度知っていたのと、口訳が面白かったのとで、わりと一気に読み切ることが出来ました。それにしても、絵本の読み聞かせをしていたときも「日本の神様、けっこうめちゃくちゃしてるなぁ」と思っていましたが、本書を読み終わってその思いがなお強くなりました。

『口訳 古事記』(講談社)町田康著

郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』@福岡市美術館を開催してまいりました。

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郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』@福岡市美術館を開催してまいりました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。担当する美術鑑賞講座を開催してまいりました。今年は念願の「美術館訪問」がようやく実現。コロナ禍下では美術館への訪問が叶わず、昨年は福岡市美術館さんのアウトリーチにお世話になっていたのでした。

昨年お世話になったご縁で、引き続き今年は福岡市美術館の常設展示「コレクション展」を利用した教育普及のプログラムを活用。参加者約20名を4つのグループに分け、それぞれのグループにガイドボランティアさんが1名ついて、美術鑑賞をナビゲートしてくださいました。

ガイドさんは鑑賞用に使う題材の作品を選び、解説用の知識・情報を用意して、この日のために準備をしてくださったようです。各グループ、平面と立体を含めた3つの作品を題材に、対話型鑑賞を体験しました。参加者の皆さんは、「鑑賞」に意識を向けた体験が初めてだったようで、とても楽しんでおられました。

昨今、美術館・博物館では教育普及プログラムにとても力を入れています。今回の郷育カレッジ講座のように、館で既に提供されているプログラムを活用することが出来れば、講座の担当者が学芸員でなくても、有意義な講座を開催することが出来ます。特に公立の美術館博物館では、教育普及プログラムは無料で提供していることがほとんどですので、活用しない手はありません。

市民向け講座はもちろん、会社の研修などでも、美術鑑賞をはじめ美術を活用したカリキュラムを導入したいときは、ぜひお気軽にご相談ください。

そうそう、これこれ!がスムーズに伝わる嬉しさ。

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そうそう、これこれ!がスムーズに伝わる嬉しさ。

藤吉憲典公式サイトをちょっぴりリニューアル中です。今回も、福岡に拠点を置いて活動しておられるハラプロ原田大輔さんにお願いをしています。

藤吉憲典公式サイト https://fujiyoshikensuke.com

前回のリニューアルはちょうど3年前、2020年の9月でした。

初めてハラプロ原田大輔さんにお願いして、公式サイトを英語版でリリースしたのが2016年10月となっていました。やはり3‐4年ごとに修正点・改善点が見えてくるというか、ズレを放置できないと感じるのですね。世の中の変化のスピードもさることながら、自分たちの事業も少しづつ変化しているのですから、「その時」に合わせて変えていくことは、あたりまえに必要なことだと感じています。

初めてハラプロさんにお願いしたとき、わたしたちが伝えたい価値観や意図をしっかり汲み取ってくださり、構成もデザインも最初にいただいた提案でスムーズにピッタリと決まり、こんなことがあるのだとびっくりしたのでした。それまでに何社か別の会社に相談したことがありましたが、相手はデザインのプロなのにどうしてこんなに伝わらないのかと、自分の説明不足・説明下手に毎度嫌気がさしていた(笑)ので、かなりの驚きと喜びでした。

今回は部分的なリニューアルであり、変更する情報のボリュームはそれほどありませんが、サイト内においては重要な部分になります。主な目的としては、書画作品をラインナップに加えることと、お客さまからの問合せ受付方法を見直すこと。リニューアルに必要な情報を書き出し、テキストと画像データを用意して投げかけたら、あとはテストが上がってくるのを待つばかり。そうして今朝、上がってきたテストを見て思わず声が出たのが、本日のタイトル「そうそう、これこれ!」です。

毎度デザインに関しては丸投げに近いお任せですが、今回も期待通り・期待以上の「そうそう、これこれ!」が上がってきました。こんなに楽をしてよいのかと思うぐらい、言わずともわかっていただけているありがたさ。あとは、文章の言い回しなどの細かい点を修正していくだけとなりました。

今月中にはリニューアル完成できそうかな、という感じです。アップしましたら、またご案内いたします。

聖福寺さんでお経に浸る、献茶のお手伝い。

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聖福寺さんでお経に浸る、献茶のお手伝い。

9月5日は栄西禅師の命日です。日本最初の禅寺と言われる聖福寺開祖の栄西禅師は、日本に「茶」をもたらした人物だと言われています。毎年、命日の前日9月4日に、聖福寺の開山忌・栄西禅師の供養が行われています。わたしが入門している茶道南方流・円覚寺は、聖福寺さんの塔頭であり、毎年和尚様が法要の献茶を差し上げています。

今年もわたしにできるお手伝い=献茶式に使う道具を運ぶ=に参加して参りました。実のところ自分にできることは少なく、ほとんど役に立っていないのですが、他の先輩方がなさるお手伝いを拝見しながら学ぶことが多く、できるだけ参加したい機会となっています。また、献茶式の様子を近くで拝見することが出来る、貴重な機会でもあります。

毎年のことですが、荘厳な雰囲気に圧倒されます。仏殿のなかは、灯りは薄暗く、外はとても晴れていたので、窓から見える明るさとのコントラストが際立ちました。読経がはじまる前はしんと静かで、ときおり外で風に木や葉が揺れる音がさざめき、厳かな気持ちになります。そして法要がはじまれば、仏殿に響き渡るお経のシャワー。何人ものお坊様が連なって歩きながらお経を唱えるご様子は、ちょっと異次元空間に迷い込んだ感じで、何度体験しても大きな感動に包まれます。

すごいなぁすごいなぁと思っているうちに、読経が終了。初めて体験したときは、どれくらいの時間行われるのかを全く知らなかったので、読経の時間が永遠に続くかのように思われたのですが、今回はなんだかあっという間に終わってしまったような気がいたしました。

お手伝いが終わったあとは、ねぎらいのお抹茶をいただきました。暑いなかでもお抹茶をいただくとホッとしますね。ありがたいことです。南方流は8月がお稽古お休みなので、皆さまにお会いできたのも久しぶりで、嬉しい機会でした。9月からはまたお稽古再開です。

取材協力した『Homes & Antiques』8月号が、ロンドンから届きました。

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取材協力した『Homes & Antiques』8月号が、ロンドンから届きました。

藤吉憲典が初のロンドン雑誌掲載ということで、英文と格闘していたのは、ゴールデンウィーク前のことでした。

記事校正を経て、待つこと数カ月。ようやく実物が手元に届きました。既にロンドンのギャラリーSladmoreからは、記事を見たコレクターさんから好反応があったということで、ひとまずホッとしてはいたのですが、やはり実物を手にすると、嬉しいですね。

『Homes & Antiques』8月号

あたりまえですがインタビュー記事は英語ですし、日本で本誌をご覧になる機会もほとんどないかと思います。というわけで、記事の元になったインタビューの日本語版をまとめました。結構なボリュームになりましたが、ご興味がありましたら、時間のある時にご覧くださいませ。

ようやく必要な情報誌を発見、その名も『イタリア好き』。

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ようやく必要な情報誌を発見、その名も『イタリア好き』

ダンナ・肥前磁器作家・藤吉憲典が商用と研修でイタリアに向かうことになり、その準備をしています。研修地が決まってから、ずっと目的地の「情報誌」あるいは「マップ」を探しているのですが、見つからず。イタリアの旅行情報誌はたくさん出ていますが、目的地に関する情報は全く載っていないのです。ネット書店で探し、紀伊国屋で探し、丸善で探し、見つかりません。トスカーナ地方の情報が載っていても、そこに目的の地名は出てきません。福岡市内にある「イタリア会館」にたずねても、「今は、みんなネットで情報を集めるから、地図もパンフレットも全然置いてないんですよね~」と…。

その場所とは、カッラーラ。大理石の産地です。歴史は古代ローマ時代にさかのぼり、ルネサンス期にミケランジェロが通い詰めた場所としても有名。あのダヴィデ像をはじめ、多くの大理石像は、ここカッラーラの石から彫り出したものだそうです。ようやくネットで探し当てた情報誌『イタリア好き』のバックナンバーに「白い大理石の山に呼ばれて カッラーラ」の特集号を見つけ、即本誌をゲットしたのでした。上がその写真です。雪山かと見紛う白い山々は、大理石。

「イタリア好き委員会」が発行する季刊誌『イタリア好き』

知りたい情報が満載!というわけには参りませんが、これまで全く探すことが出来なかった情報を1冊のなかにいくつも見つけることが出来、ホッと安堵したのでした。カッラーラ、なかなか魅力的な街のようです。「造形」「彫刻」というキーワードで結ばれた志のある者にとっては、聖地といえるのかもしれません。

それにしても、有名な都市や観光地以外の情報を紙媒体で探すことが、こんなに難しいとは。マニアックな雑誌を刊行してくださっている「イタリア好き委員会」の方々に、心より感謝です。

今日から九月、種まき準備に追われております。

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今日から九月、種まき準備に追われております。

昨日今日と雨やら曇りやらで、この夏の猛暑から厳しい残暑の続く津屋崎千軒も、ちょっぴり涼しくホッとしております。いつのまにか、朝から大騒ぎだったセミの声は聞こえなくなり、トンボの群れが目に留まる今日この頃です。お日さまの角度もだいぶ変わってきましたね。着実に秋は近づきつつあります。

収穫の秋が近づきつつあるなか、わたくし個人的には、種まきの準備に追われているここ数カ月です。花祭窯おかみの仕事は、半分以上が種まき準備かもしれません。常に新しい展開を考えて、情報を集め、変化への可能性を探ること。それはとてもワクワクして楽しい仕事です。新しく人と出会う機会にもなります。これをしてきたからこそ、「やりたくない仕事はやらない」スタンスを貫いても、花祭窯を続けることが出来ているのだと思います。というか、そう信じるからこそ、やっていることなのではありますが。

もしかしたら、自分がバタバタ動かなければ、周りが動いてくれる、ということもあるのかもしれません。現にそういう事業者の方もいらっしゃいます。わたしは気質的に「待ち」の姿勢がとれないので、どうしても今のようなやり方になるのかもしれません。今大丈夫でも、この先どう転ぶかわからない。そう考えると「転ばぬ先の杖」の候補をひとつでも多く持っておきたいな、と思ってしまいます。自分たちの進む道を、自分たちで選べるように、と。

というわけで、この夏から準備して蒔いた種のなかから、ひとつでも収穫が得られたら嬉しいなと願いつつ。晩秋には収穫祭を開催できるよう、手を尽くして参りましょう。

読書『空芯手帳』(筑摩書房)八木詠美 著

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読書『空芯手帳』(筑摩書房)八木詠美 著

先日読んだ『休館日の彼女たち』の突飛な設定が面白くて引き込まれ、気になった作家さんの読書2冊目。

著者紹介に、本作『空芯手帳』が第36回太宰治賞を受賞し、世界13か国での翻訳が進行中とあり、興味が湧いたのでした。世界13か国での翻訳って、すごいですよね。文化的な背景の違いを超えて、共感されているということです。さっそくいつものカメリアステージ図書館で蔵書検索したところ、ありました。本屋さんより図書館の方が近くなので、毎度まずは図書館検索です。

既に読んだ『休館日の彼女たち』の設定が、現実的には「ありえないこと」としての突飛さであったのに対して、本作『空芯手帳』の設定は、じゅうぶん有り得る突飛さであるところが秀逸でした。実際に身近にこんな人がいたら、ちょっと怖いぞ、と。物語としては、コメディ的な要素もあり可笑しい場面も多々あるのですが、腹の底からは笑えない類です。

主人公の、社会(会社での具体的な出来事や人とか、無形の社会通念とかあたりまえとされがちなこと)に対する、静かだけれど根深い反発が、やや狂気的な怖さを感じさせます。狂気的と書きましたが、とても身近で、ちょっとしたきっかけで自分だって似たようなことをやりかねないと確信・共感できるのが、また怖い。しかも小説全体のトーンは、あくまでも穏やかで、淡々としているのです。妊娠もので怖い小説といえば、わたしは真っ先に小川洋子さんの『妊娠カレンダー』を思い出すのですが、また違った怖さです。

タイトルの「空芯手帳」は、読み終わってなるほど、と理解しました。これまた秀逸なタイトルです。「空芯」は、主人公の会社の仕事の生産物であり、彼女のついている「嘘」を表現している物であり、本来「母子手帳」であるべきものが「空芯手帳」であるという。一見ゆるい雰囲気だけれども、よく見るとちょっと怖い表紙の装画がまた完璧にマッチしています。八木詠美さん、かなり気になる作家さんです。

『空芯手帳』(筑摩書房)八木詠美 著

映画『エリザベート1878』観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

映画『エリザベート1878』観て参りました。

2023年の映画7本目は『エリザベート1878』。2週間前に『バービー』を観てきたところでしたので、なかなか良いペースです。

やはり「これは観たい!」と思ったら、時間を作る努力をしますね。

さて『エリザベート1878』、オーストリア映画です。原題は『corsage』で、「コルセット」を意味するフランス語だそうです。日本語読みしたら「コサージュ」。ドレスやお洒落なスーツを着たときに胸元を飾ったりする、あれですね。身体を不自然に縛り付けるコルセットであり、「飾りもの」「引き立て役」などの訳をもつコサージュであり。宣伝チラシにある「お飾りなんかじゃない」のセリフの理由がわかりました。

年初は念願のミュージカル『エリザベート』観劇でスタートしたのでしたが、そのときはこのような映画がつくられているとはまったく知りませんでした。

当然ですが、ミュージカルのストーリーやエリザベートのキャラクターとは、まったく異なる映画のエリザベートです。とても現実味のあるエリザベート、というのが、わたしの印象でした。エリザベート40歳の一年間を描いたものですが、映画のなかで「平民女性なら寿命の年齢」というセリフが出てきます。コルセットをぎゅうぎゅうに締め上げるシーンが何度もあるのですが、そんな毎日を送ってきたエリザベートがその年齢になったときに、何を考えたか。生き方を痛烈に問いかける監督さんも女性だったのだと鑑賞後にわかり、妙に納得いたしました。

最近は現代をカタカナ読みさせたまま日本公開時のタイトルにする洋画も多いなか、久しぶりに原題と邦題とでずいぶん違う映画でした。でも『エリザベート1878』というタイトルだったからこそ飛びついたわたしにとっては、わかりやすくて良かったと思いました。

映画『エリザベート1878』