藤吉憲典のチューリップ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典のチューリップ。

古伊万里に見られる古典文様の写しを発展させることの多い文様のなかにあって、上のチューリップ文様は藤吉憲典のオリジナル。ただ、古いものにチューリップの文様が全くなかったかというとそうではなく、肥前磁器にもいくつかの古典文様が残っています。

画質が荒いですが、下の写真、真ん中のマグカップの文様が、古典的なチューリップ文様。もともとは皿に描かれていたものを、マグカップの文様に仕上げたもので、オリエンタルな雰囲気です。

マグカップ 藤吉憲典

チューリップがオランダで大ブームになったのは17世紀。日本には江戸時代後期に渡ってきたと言われていて、時代的には肥前磁器の歴史にも重なっているので、チューリップ文様があるのも不思議ではありませんが、ヨーロッパからのオーダー品に描かれたのが最初だったのかもしれませんね。

そして、↓こちら↓が、藤吉憲典オリジナルのチューリップ文様。

藤吉憲典 チューリップ大皿

文様自体はオリジナルですが、デザイン的には古伊万里の文様のパターンをきちんと継承しているため、古典文様といってもばれないかもしれません(笑)長いこと染付文様のチューリップだけだったのですが、「赤絵も見たい!」という声に応えて、今回作ってくれました。

期待以上に良い雰囲気に仕上がりました(^^)

 

カルメン

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

カルメン

写真は昨日(2018年10月12日)アクロス福岡で上演された『カルメン』のプログラム。観てきました。わたしにとっては初オペラ、初カルメン。

明治ブルガリアヨーグルトスペシャル
ブルガリア国立歌劇場 ビゼー「カルメン」
プラーメン・カルタ―ロフ版

カルメンといえば赤い薔薇、運動会っぽい音楽がある…というほどのイメージしかもっていなかった素人です(笑)今年に入ってなぜか仕事中のBGMにビゼーのカルメンが流れることが増えていたところに、アクロス福岡での公演情報。

すばらしく魅力的なカルメンでした。声も発するセリフも、これは人生を惑わされても仕方ないな…と思えるカルメン。そう感じるかどうかはひとつには個人的な好みもあるとは思うのですが、演じていたゲルガーナ・ルセコーヴァさんのプロフィールにあった「哀愁ある妖艶な声」の形容に納得。

佇まいがまた魅力的でした。「立っているだけでカルメン」とはこういうことかと、素人ながら考えたりしながら、これまた彼女のプロフィールにある「役柄への追求と洞察は、他の追随を許さない」の紹介文に大きくうなずき。約3時間の上演時間中、すっかり虜に(笑)ドン・ホセ、ミカエラ、エスカミーリョと、他の登場人物ももちろん素敵だったのですが、わたし個人的には「カルメン一人勝ち」の舞台でした。

今回の講演は日本公演を意識しての新演出版だったそうです。ギリシャ古典劇と日本の能に着想を得たということで、舞台セットも非常にシンプルでしたが、それがまたカルメンという人物そのものを際立たせたのかもしれませんね。

素晴らしい初オペラ体験となりました。早くも次の機会を物色中です(^^)

 

藤吉憲典の源氏構図香炉。ときどき、頼まれもの。

おはようございます。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の源氏香図香炉。ときどき、頼まれもの。

写真は、藤吉憲典のつくった染付源氏香図香炉

「源氏香図」は、やきものの文様として江戸時代からあったもの。やきものだけではなく、伝統工芸品の文様として知られています。

10年以上前のことですが、東京で香道の先生をなさっている方から藤吉憲典に、聞香(もんこう)に用いる香炉「聞香炉(ききごうろ)」をつくってほしいとご相談があり、おつくりしたのが最初でした。通常、「これをつくってほしい」というご相談に対しては、お断りすることも多いのですが、作り手・藤吉憲典が興味を持ち「やってみよう」と思えば形になります。

香道なるものがあるとは知っていたものの、実際どのようなものかはさっぱりわからなかったわたしたち。ご相談をくださった先生にたくさんお話を聞き、書籍を探し回って調べ。当時、香道をなさっている人が身近におらず、実際にお使いになっている様子を見ることができないままに取り組んでのでした。

香道も茶道と同様、独特の世界があるようで、例えばその流派御用達の道具屋さんが扱うものしか、正式の場では使うことができないなどの決まりごとがあったようです。けれども道を究めるほどに「この道具はもっとこうあってほしい」という意識も高まるようで、せめて自分が家で楽しんだり、仲間内で香遊びをするときには、自分がほんとうに気に入ったものを使いたい、というのが、その方のおっしゃったことでした。

おかげさまで、手に持った感じのおさまり具合など、理想に限りなく近いものとなったようで、とても喜んでいただけた仕事でした。

 

【開催報告】世界史を建築家の視点で学ぶ! 第3回初期キリスト教・ビザンチン

こんにちは。Meet Me at Art ふじゆりです。

【開催報告】世界史を建築家の視点で学ぶ!第3回初期キリスト教・ビザンチン

台風が近づきつつあった9月29日。予報進路を見る限り大丈夫そうだったので、開催いたしました。お天気の心配ななか、足を運んでくださいました皆さまに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

今回も「目からウロコ」の連続でした。この講座、わたしは一度聴いているはずなのですが、にもかかわらず膨大な発見や気づきがあるのが、講師をしてくださる藤井さんのすごい所だと思います。

以下、まとめ(^^)


  • 機能と構造と生活習慣と装飾とが一致することが「美しさ」である。
  • 初期キリスト教・ビザンチン文化の背景にはキリスト教迫害の歴史がある。
  • 初期キリスト教・ビザンチンの時代は、機能・構造と形の美しさが一致している時代であり、我々(ものづくりに関わる人間)がもっとも憧れる時代。
  • 東ローマ帝国は、西方(ローマ)文化と東方(メソポタミア・ペルシャ)文化が出会い融合した場所。その結果生まれたのが、ビザンチン文化。
  • ローマ・キリスト教徒と、イスラム教徒との文化・技術がイスタンブールで融合。
  • イスタンブール=ビザンチン=イスカンダル。
  • ビザンチン文化に我々が見る素朴さ・なつかしさ=ビザンチン文化に潜むイスラム・アジアの東方文化へのあこがれ。

自分たちが、何に対して美しさを感じるのか、その根源を知ることができた勉強会でした。

次回は「ロマネスク・ゴシック」。こちらもますます楽しみです(^^)

 

 

読書『ギュスターヴくん』(白泉社)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『ギュスターヴくん』(白泉社)

この夏、宮崎の「みやざきアートセンター」にて開催されていたMOE展で出会った、ヒグチユウコさんの絵本『ギュスターヴくん』。

あらためて、ちゃんと読んでみました。

独特の世界観は絵だけではなく、ストーリーにも。というか、そもそもストーリーがシュールで、それを現した絵、ということになるのか。なんとも一筋縄ではいかない絵本です。

絵も、絵であったり、ぬいぐるみとの組み合わせであったり。著者の肩書は「画家」ということで、まずはやはりビジュアルイメージありきなのかもしれません。実際のところはご本人に聞いてみないとわかりませんが。

とにかく、読み終わって「面白い」とか「かわいい」とはすんなりいかない引っ掛かりがあって、その引っ掛かりこそが、ギュスターヴくんをブランドたらしめているのだろうな、という気がしました。

ヒグチユウコさんの絵本を読んだのは、これが1冊目。MOE展の展示もとても素晴らしいものでしたが、独特の世界観を味わうには、絵本のように1対1で向き合えるものか、あるいは個展のような機会に伺うのが良いかもしれません。

 

藤吉憲典の動物シリーズ

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の動物シリーズ。

動物ものはいろいろと手掛けていますが、シリーズ化しているものは、実はまだそれほど多くありません。

スタートはカバでした。

カバ 藤吉憲典

カバのウィリアムさん。by藤吉憲典

次に、サイ。

藤吉憲典 サイ

そして、今手掛けているのが、ゾウ。

藤吉憲典 動物シリーズ

上のゾウは形を作ったところです。なんといっても形が決まるまでが一番時間のかかる作業のようです。いかにそれらしく見えるか!?というのはまずその姿かたちが肝のようです。

これから素焼きに入り、本窯に入り、絵・色がついて、赤絵窯。そして出来上がりです。

果たしてどのように出来上がるのか。はじめての造形はわたしには完成の姿がなかなかイメージがつかず、それだけにとっても楽しみです。

 

 

読書『日の名残り』(早川書房)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『日の名残り』(早川書房)

カズオ・イシグロ作品のおっかけ継続中です。写真はロンドンにあるウォレス・コレクション。お屋敷がそのままコレクションの美術館となっています。

『日の名残り』の舞台である「お屋敷」には、薄暗い館内のイメージが、読んでいる間ずっとありましたが、きっとこの写真のような、シャンデリアが煌めき肖像画のかかったお部屋があったに違いない、というのが、わたしの勝手なイメージです。

さて『日の名残り』。執事スティーブンスの独白で進むストーリーに引き込まれ、あっという間に読み終わりました。物語が起こっているのはほぼお屋敷内という限られたエリアであり、主要登場人物はとても少なかったこの本。物語を深め広げるのは物理的な条件ではなく、人の心の動きにあるのだなぁ、とつくづく感じました。

それにしても、本を読んでいる現在の自分と、『日の名残り』の主役スティーブンス、時代も背景も(性別も!)まったく違うのに、ストーリーが進むにしたがって、これほどまでに感情移入できるものなのだなぁ、と我ながら驚きました。あまりにもせつなくて、終盤はもう、一緒に泣きそうでした。

『日の名残り』ノーベル賞記念版が出ていました(^^)

秋分でした。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

昨日は秋分でした。

写真は、花祭窯に咲いたヒガンバナ。この夏は猛暑といわれましたが、どんな夏であろうとも、この季節になるときちんと花開くヒガンバナ。毎年、植物ってえらいなぁと思うことのひとつです。

秋分は、二十四節気のひとつ。お彼岸の中日。満月、お月見、お団子、おはぎ、秋の七草…。秋分から連想される旬のモノコトは数多く、やきものの文様の題材が多い季節でもあります。

秋分はこれから先、冬至までの三カ月のスタートの日でもあります。そんな昨晩は、これからライフワークとして進めていくことについて、一緒に歩んでいきたい方々とお食事しながら語らう時間を持つことができました。

これからしっかり触角を伸ばしていきます。

 

告知:世界史を建築家の視点で学ぶ、第3回目『初期キリスト教・ビザンチン』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福岡acad. 世界史を建築家の視点で学ぶ! 第3回初期キリスト教・ビザンチン

株式会社藤井設計室の藤井昌宏さんを講師にお迎えして学ぶシリーズ。第3回の「初期キリスト教・ビザンチン」では、世界遺産登録されているイタリアのラヴェンナの美しい建築装飾が楽しみです。

「建築の歴史勉強会シリーズ」でスタートしたスライドショー勉強会の第3回目。今回から勉強会タイトルを「世界史を建築家の視点で学ぶ!」と変更しました。

というのも、過去2回の参加者の方々から「建築のことをまったく知らなくても、世界史の面白さがわかるし、哲学的でとても楽しい!」というご感想をいただいたのでした。

藤井さんの解説で建築の歴史を学ぶことの最大の楽しさは、日本では「点」で紹介されることの多い芸術(建築・美術・工芸・デザイン)が、世界史の流れのなかで繋がっていくことです。これは、ここでしかなしえないことだと思います。

皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております!


【福岡acad. 世界史を建築家の視点で学ぶ! 第3回 初期キリスト教・ビザンチン】

講師:株式会社藤井設計室・藤井昌宏氏

木原千利建築設計事務所を経て、藤井建築設計室を開く。店舗・住宅・病院などのほか、ハウステンボス、阿蘇ファームランド、ひらかたパークなどエンターテイメント性の高い設計管理を得意としている。昨年(2017年)全体リニューアルした「かしいかえん」の設計監理は遊園地の大規模リノベーションとして、エンターテイメントビジネス業界で注目を集めている。(https://www.facebook.com/Fujii.Design.Office/)

<日時>2018年9月29日(土) 18:30 – 21:30

<会場>メイトム宗像 2階202会議室

<住所>福岡県宗像市久原180

<参加費>3000円(※学生は1500円)
※軽食と飲み物付。

<定員>最大45名

<申込方法>このイベントページにて「参加」ボタンを押してください。追って事務局より確認のメッセージを差し上げます。
メッセージでの確認完了をもって、正式申込といたします。

※キャンセルについて:軽食準備の都合上、9月27日(木)17時以降のキャンセルは100%(3000円※学生は1500円)申込者の負担となります。何卒ご了承くださいませ。

<ジャンル>クリエイティブ、デザイン、建築、アート、工芸、世界史
<主催グループ>福岡acad.(藤井昌宏、藤井睦、相良友也、藤吉有里)
<事務局>Meet Me at Art 藤吉有里

<スケジュール>
18時~ 開場・受付開始
・お飲み物と軽食をご用意しております!(参加費に含まれています)

18時半~ スタート

・参加者自己紹介(一人30秒程度)。
・スライドショー講座スタート。
・途中休憩をはさみます。

21時~ 交流タイム
・質疑応答&意見交換会

21時半~ ・アンケート記入。自由解散。
・閉場時間まで、名刺交換等ご自由にお過ごしください。
(注意)勧誘・営業行為などは厳禁です。社会人としてのマナーを守れない方は、退場&今後の参加をお断りいたします。

21時50分 閉場

<お問合せ・申込方法>FBイベントページにて「参加」ボタンを押してください。追って事務局・藤吉有里より確認のメッセージを差し上げます。

世界史を建築家の視点で学ぶ! 第3回 初期キリスト教・ビザンチン
https://www.facebook.com/events/1071637046344986/

 

Meet Me at コラージュ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Meet Me at コラージュ。

コラージュを使ったお試し講座を実施しました。「Meet Me at コラージュ」というのはわたしの造語で、「コラージュ作品をつくることで自分の内側と向き合う」というほどの意味です。

コラージュは、誰でも気軽にできるアートの表現技法のひとつです。絵が下手でも、手先が不器用でも関係なく楽しめるのが、コラージュ制作の良いところ。雑誌やカタログやチラシなど、不要な印刷物のなかから自分の気分にフィットするビジュアルイメージを切り抜いて好き好きに貼っていくだけで、その時の自分を表す作品が出来上がります。

「なんだか、すごくすっきりした」

今回のご参加者の感想の一言が、コラージュという表現によって内側を解放した効果をストレートに物語っていました。

一番の魅力は、そうして出来上がった自分の作品に向き合うことで、自分自身の状態が確認できたり、課題を整理できたりという、副次的な効果が得られることです。また一緒に作業をする仲間から感想を聞くことによって、自分では気づかなかった「作品の意味」が広がっていきます。

学芸員研修のなかでコラージュの可能性を感じて以来、そんなコラージュの魅力をどう伝えていくかをずっと考えてきました。今回のお試し講座では、解説や解釈を広げていくタイミングで、どのようにアプローチするのがより望ましいか、参加者の方から具体的な助言をいただくことができました。

ご協力くださったお友だちに、心より感謝です!