神戸のギャラリー壺屋さんで個展です。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

7月下旬は、

神戸のギャラリー壺屋(つぼや)さんで個展です。

壺屋さんもまたギャラリーをオープンなさって20年目。壺屋さんのオープンに至る経緯についてはこれまでにもお話を伺っていましたが、この6月に20周年を迎えた花祭窯とほぼ同時期のスタートであったことを、個展案内状に添えられた言葉からあらためて感じました。

由緒ある茶陶の作家さんを中心に、お一人お一人との関係性、ひとつひとつの企画を厳しくこだわりぬいていらっしゃった壺屋さん。自分の美意識とつくりたいものへの欲求に正直に、道のりを開いてきた藤吉憲典。

そんな二者による初個展。この出会いが、お客さまにとって楽しく嬉しいものでありますよう。


藤吉憲典展

平成29年7月22日(土)~30日(日)
11時~18時【期間中無休】

ギャラリー壺屋
神戸市東灘区御影本町6-2-25
TEL078-843-5288
http://www.tsuboya.co.jp/

津屋崎陶片ミュージアム:H290712染付のお皿。丁寧な仕事。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:染付のお皿。丁寧な仕事。

有田焼の磁器生産は歴史的に各工程が「完全分業」です。そのため、海あがりの陶片も「せっかく形はきれいなのに、絵付がひどい」とか、絵付のなかでも「線描きはこんなに丁寧なのに、ダミ(色塗り)がどうしてこうなる?」とか、「表はきちんと描いているのに、裏が恐ろしく手抜き」とかいうものが、少なくありません。

そんななかダンナが拾ってきた、染付のお皿。

津屋崎陶片ミュージアム:丁寧な染付

唐草も地紋も、見込の松竹梅も、とっても丁寧に描かれています。

津屋崎陶片ミュージアム:丁寧な染付

高台がきっちりきれいに仕上げられていて、お皿の裏側にもきちんと絵付が施してあります。

このように形のつくりも、表も裏も、丁寧になされている陶片を見つけると、無条件に嬉しくなります。関わった職人さん皆が丁寧にいい仕事をしたもの。

こういう仕事を見つけると、つくり手も背筋の伸びる思いがするようです。

ちなみにこの「完全分業」、いまだに佐賀有田の産地では継承されていますが、「高度な専門化を目指した結果」というのは実は表向きで、江戸時代に職人技術の他藩への流出を防ぐための方法として、佐賀鍋島藩が敷いた方針だったというのがほんとうのところのようです。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290707宋・龍泉窯系青磁。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:宋の龍泉窯系青磁。

上の写真は、福津市津屋崎小学校内にある在自西ノ後遺跡(あらじにしのあといせき)の展示です。わかりやすい解説付きで、遺跡がそのまま残っているほか、遺物の展示も行われているので、小学校に足を運ぶ機会があるたびに、思わず見入ってしまいます。

そのなかに「これ見たことがある!」というものがいくつもあるので、今回は、展示されている龍泉窯系青磁と同じ文様のものを、海あがりの陶片から探してみました。

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

やはり同じものがあがっているのですね。こうしてルーツが明らかになる嬉しさも、陶片の愉しみのひとつです。

青磁の陶片はこれまでにも何回も(笑)

津屋崎陶片ミュージアム:H290620青磁いろいろ。

在自西ノ後遺跡については、こちらにも取り上げています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム~青磁の陶片

蕎麦猪口の桐箱について。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

蕎麦猪口の桐箱について。

蕎麦猪口倶楽部では、桐箱はご注文の都度、ご希望に合わせて桐箱屋さんに発注して作っていただいています。

蕎麦猪口の数によって異なるのはもちろん、桐の材質、蓋の合わせ方、紐の有り無しなどによって金額が変わってくるため、その都度見積もりを取ってお客さまにお知らせしています。

このたび、蕎麦猪口が1客の場合、2客の場合で、最もご要望の多いパターンでの桐箱代金の目安を掲載いたしました。だいたいどれくらい費用がかかるものか、ご参考にしていただけると幸いです。

蕎麦猪口・小皿豆皿の桐箱について

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290630土ものの高台。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:土ものの高台。

浜辺を歩いていて、どうしても染付赤絵の磁器が目につくので、それを拾ってくることが多いのですが、土ものもたくさん上がります。実際のところ、江戸期の塩田跡の発掘をお手伝いしていた時に出てきたのは、磁器よりも土ものの方が多かったのでした。

本日は、土もの三つ。ロクロで引いた碗です。三つとも高台がきれいに残っていて、面白いなぁ、と思いました。ロクロでひくと、底に向かうにしたがって生地が厚くなるので、高台周りが(後処理で削りすぎない限り)一番丈夫になって割れにくいのかもしれません。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑土ものの生地の上に、白土で化粧してあります。高台の内側にも釉薬がかかっているのが、土ものには珍しいと思いました。側面には波文様のような彫文様。彫に白化粧ということで技法的には三島手のような感じかと思いきや、現川(うつつがわ)焼にこのような技法があるということで、彫に見えたのは刷毛による文様かも知れません。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑黒っぽい釉薬がかかっています。釉薬をかけたあと、高台際をきれいに剝いだようで、きっちりと色が分かれています。写真はやや白っぽく映っていますが、いかにも粘土っぽい赤い土です。高台なかに見えるヒビは、残念ながら器の内側まで入っていますので、使うと水漏れしたでしょう。碗全体が割れるには至らなかったようです。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑土の感じ、釉薬の感じから、萩っぽいですね。キッチリと仕上げられた高台です。上の二つと異なり、釉薬は流れるまま。釉薬のかけ方ひとつとっても、違いが見て取れて面白いのです。

 

土もののうつわ、これまでにも唐津系の燈明皿の類をご紹介しています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム:H29041901明かりの道具

津屋崎陶片ミュージアム:H290331001~明りの道具(ひょう燭)。

 

藤吉憲典公式サイト更新中。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典公式サイト更新中。

藤吉憲典公式サイト

磁器作家・藤吉憲典(ふじよしけんすけ)の公式サイトでは、制作した作品を定期的に更新しています。

https://fujiyoshikensuke.com/artwork/

しばらく更新できていなかったのですが、ここ数日でやっと2017年に入ってからの制作分をアップすることができました。既に売れてしまっているものも多いですが、よかったらぜひご覧くださいませ。

 

熊本SUNNYで蕎麦猪口と小皿豆皿展。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

今年もこの季節がやってきました。

熊本SUNNYで蕎麦猪口と小皿豆皿展。

来週末、7月1日(土)から開催です。

熊本にあるビストロ&バーSUNNYの周年記念に合わせて開催されてきた藤吉憲典の蕎麦猪口展。今年2017年は4年目になり、蕎麦猪口に加えて、小皿豆皿もお持ちいたします。

昨年は4月の大きな地震の後、まだ余震が続くなかでしたが、3周年の蕎麦猪口展を開催することができました。だからこそ、今年またこの場所で開催していただけることは、嬉しさもひとしおなのです。

同じ場所で、同じ季節にご覧いただくことで「毎年ひとつづつ気に入ったものを揃えていく」ことを楽しみにしてくださるお客さまがおられることに、感謝しています。

営業時間が18-26時と普段ギャラリーではなかなか見ることのできない時間帯。水・土・日はランチ営業もあるので、お昼からもご覧いただくことができます。いずれにしても、おいしいお料理とお酒を楽しみながらご覧いただけるのが、SUNNYならではの愉しみです(^^)


藤吉憲典 蕎麦猪口小皿豆皿展

2017.7/1-7/9
Bistrot & Bar SUNNY
http://sunny-bistrot.com/

熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188

<営業時間>
火・木・金18-26時
水・土・日13⁻16時/18-26時
月曜日定休

企業秘密はありません。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯に企業秘密はありません。

佐賀・花祭に工房を構えていた時は、有田の磁器の窯元に勤める後輩などがときどき「つくり方」のヒントを求めて足を運んでくることがありました。福岡・津屋崎に越してきてからは、そういう機会もずいぶん減ってしまいましたが、それでもたまに、やきものを仕事になさっている方がお見えになることがあります。福岡に来てからは、土ものをなさっている方が多いです。

器の触り方を拝見していると、なにも聞かずとも「この方はやきものの仕事をなさっているな」とわかることが多々あります。面白いことに、趣味でなさっている方と、プロとして仕事でなさっている方とでは、触り方が違ってくるのです。不思議ですね。

さてつい先日も、仕事でなさっているらしい方がお見えになったそうで(わたしは不在でした)、いろいろと「作っていて上手くいかないこと」を話していかれたそうです。そこでダンナ・藤吉憲典が経験上わかることを、具体的な技術含めてすべて説明したところ、とてもビックリなさったとか。

「そういうのって、話しちゃっていいんですか?」とおたずねになったそうですが、真剣にやきものに取り組んでいる方、真面目にもっといいものをつくりたいと思っている方に対して技術をお伝えすることに、ダメな理由はありません。

作陶の技術的なことだけでなく、それ以外のことについても同様です。一生懸命学ぶ気持ちを持っている人が「知らなかったからできなかった」ことを、自分たちが説明することで出来るようになるなら、そこで立ち止まる必要はないというのが、ダンナもわたしも共通の考え方です。

そして、わたしたち自身もまた、そういう先人の方々のご厚意でこれまでずいぶん助けられてきています。自分たちが真剣に向上したいと思って取り組んでいることを理解してくださる方は、たいていは親切に教えてくださいます。だから、わたしたちもそうありたいと思っています。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290619唐草の鶴首。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:唐草の鶴首。

「つるくび」と呼ばれる、細首の瓶。その首から口部分の陶片です。用途は徳利のような注器でしょうか、一輪挿しでしょうか。

津屋崎陶片ミュージアム

津屋崎陶片ミュージアム

口の際までしっかり丁寧に蛸唐草が描かれており、おそらく下の部分にもきれいに蛸唐草が描かれていたのだろうな、と思われます。

このように器の外面全体にほとんど余白が無い状態にまで文様を描く描き方を「埋詰(うめつめ)」というのだそうです。(九州陶磁文化館 柴田コレクションⅥより)

埋詰の技法は比較的初期の古伊万里から続いているということで、その文様のつけ方で時代を見極めるのは難しいのですが、「柴田コレクションⅥ」に1700~1740年代の同様の「染付唐草詰文細首瓶」が載っていました。

唐草の描き方、線の太さがよく似ていて、もしかしたら同時代のものかしら、と。ところがこの図録に載っているものは、鶴首の途中で唐草が終わっています。

こんなふうに共通点・相違点を探しながら陶片の由来をイメージするのも、つくり手ではないわたしの陶片の楽しみ方のひとつです。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290616なまやけ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:なまやけ。

漢字で書くと「生焼け」。つまり、ちゃんと焼成できていなかったもの、ですね。

津屋崎陶片ミュージアム

見込に山水文を描いた皿でしょうか。あるいは浅めの小鉢。絵がずいぶんと簡略化されています。素朴と言えば素朴ですが。裏には文様がまったくなく、銘もついていません。量産品だったのかしらと思われます。

最初、土ものかな、と思いました。色合いとニュウ(ヒビ)の入り方が、萩っぽいなぁ、と。でも、絵付は伊万里っぽい。で、どうやら磁器の生焼けかな?と。

磁器を窯で焚くときに、酸化焼成と高温での還元焼成という方法があります。「生焼け」は酸化焼成で焼いた場合にでやすいのだそうです。他にも呉須の青色が鮮やかに明るい色に上がる、生地がやや黄味がかった色合いになる、などが酸化焼成した場合の特徴としてありますが、いずれも焼成温度が低かったり、時間が短かったりと、しっかり焼けていないときにあらわれやすい特徴なのだそうです。

ちなみに還元焼成をすると、より硬質な磁器に焼きあがります。花祭窯では、本窯焼成は必ず還元をかけています(^^)