こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
読書『江戸の美術大図鑑』(河出書房新社)
「江戸時代」と区切って日本の美術を紹介する一般書は珍しいのではないでしょうか。それともやはり専門書なのかな?ともあれ、単純に観ていて目に楽しいので、いろんな方にページを開いて欲しい本です。
個人的には、やはり仕事上江戸文化について学ぶことは楽しみでもあり欠かせない部分です。というのも、藤吉憲典の創作技術・文化の基礎である肥前磁器の歴史は、江戸時代にほぼ重なります。肥前磁器に現れる傾向は、そのまま「江戸(時代)の美術」の傾向に重なり、江戸の美術の変遷から当時の風俗がうかがい知れるのが、その面白さ。
本書の「はじめに」にもあるとおり、江戸の美術(文化)の最大の特徴は、庶民への広がり。それまで公家や武家のものであった美術が民衆化したことによって、新たな表現が生まれたり、「ブーム」が生まれたり。蕎麦猪口のブームも、江戸の庶民文化のなかで広がったものです。
タイトルに「大図鑑」とついているだけあって、豊富なカラー写真に加え、作者や作品についての解説もしっかり。トピックごとに文化人な方々の「エッセイ」があるのも、見方を深めるうえで役立ちます。
一番後ろには「江戸の工芸」として、染色、陶磁器、漆芸についても載っています。工芸の文様として用いられる意匠(デザイン)についてもページを割いてあるのが嬉しいところ。芸術・デザインに関わるお仕事をなさっている方にもぜひ手に取ってほしい本です(^^)
※福津市カメリアステージ図書館の選書ツアーで本書が館の蔵書に選ばれました。カメリアステージ図書館でも借りることができます(^^)