こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
読書『イギリスと日本ーその教育と経済ー』(岩波新書)
先日、直方谷尾美術館に行ったときに、常設展示室で偶然開催されていた直方図書館の古書交換会で手に入れた一冊。ちょうどイギリスの教育に興味が湧いてきていたところにこの本を発見し、「若干情報が古いかも!?」と思いつつもありがたく頂戴してきたところでした。
読んでまず思ったのが、この本と出合えた幸運。著者の森嶋通夫さんは、経済学者でロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の名誉教授。この本を執筆なさったときはロンドン大学教授の肩書です。2004年にご逝去されており、この本に出合わなければ、わたしは存じ上げることのない方だったかもしれません。
1975年の講演をもとに1977年に第一刷がでている本書。つまり40年前の本なのです。が、アマゾンで調べたら2003年1月21日刷がでてきました。それはつまり、40年前に書かれたこの本から、今もなお考えるべきことがたくさんあるということですね。
ページをめくると最初に現れる「はしがき」に、「日本でいま教育問題が大きな社会問題になっていますが、その解決策とまではいかなくても、せめて改善策を見つけるための、一つの資料を提供するという意図で、イギリスの教育についてお話したいと思います」と1977年当時の筆者が書いておられます。
が、2018年の現在も同様に日本は「教育改革」の方向性をいかにすべきか試行錯誤の状態。常にベターな状態を目指すべき「教育」ですから、「これが正解」に辿り着くことは永遠にないのかもしれません。そんな教育問題を考察するうえで大きな示唆のある本であると思いました。
1975年といえば終戦後30年。その当時の統計的裏付けを含みながらの、日本とイギリスの比較文化論。講演ならではのわかりやすい語り口の文章であることも相まって、とても興味深く面白く読みました。
教育の在り方について考察を深めたい方に、おススメの一冊です。