津屋崎陶片ミュージアム:H290707宋・龍泉窯系青磁。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:宋の龍泉窯系青磁。

上の写真は、福津市津屋崎小学校内にある在自西ノ後遺跡(あらじにしのあといせき)の展示です。わかりやすい解説付きで、遺跡がそのまま残っているほか、遺物の展示も行われているので、小学校に足を運ぶ機会があるたびに、思わず見入ってしまいます。

そのなかに「これ見たことがある!」というものがいくつもあるので、今回は、展示されている龍泉窯系青磁と同じ文様のものを、海あがりの陶片から探してみました。

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

やはり同じものがあがっているのですね。こうしてルーツが明らかになる嬉しさも、陶片の愉しみのひとつです。

青磁の陶片はこれまでにも何回も(笑)

津屋崎陶片ミュージアム:H290620青磁いろいろ。

在自西ノ後遺跡については、こちらにも取り上げています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム~青磁の陶片

蕎麦猪口の桐箱について。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

蕎麦猪口の桐箱について。

蕎麦猪口倶楽部では、桐箱はご注文の都度、ご希望に合わせて桐箱屋さんに発注して作っていただいています。

蕎麦猪口の数によって異なるのはもちろん、桐の材質、蓋の合わせ方、紐の有り無しなどによって金額が変わってくるため、その都度見積もりを取ってお客さまにお知らせしています。

このたび、蕎麦猪口が1客の場合、2客の場合で、最もご要望の多いパターンでの桐箱代金の目安を掲載いたしました。だいたいどれくらい費用がかかるものか、ご参考にしていただけると幸いです。

蕎麦猪口・小皿豆皿の桐箱について

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290704幕末の金襴手大皿

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:幕末の金襴手(きんらんで)大皿

津屋崎陶片ミュージアム幕末金襴手大皿

別の日に見つかった二つの陶片。同じ大皿の一部と思われます。こういうことがたまに起こるのがまた、海あがり陶片の面白さ。

染付の藍色の部分はガラス質の釉薬の下に描かれているので、海で洗われても絵が落ちないのですが、器の表面に描かれる赤絵(上絵)は消えてしまうことが多いです。赤の色が残った貴重なカケラ。

よく見ると何も描かれていないようにみえる面にも、絵が描かれた跡がうっすらとあるのです。松の木、梅の枝、波が描かれていたのかな。何色が使われていたのかなぁと、気になります。

津屋崎陶片ミュージアム幕末金襴手大皿

このころはお皿の高台が大きいものが多いようですが、それでも尺(約30cm)はあるのではないかと思われるサイズの大皿です。

幕末~明治ごろの金襴手は以前にも紹介したことがありました。

津屋崎陶片ミュージアム:H290301001

2017年下半期朝勉スタート。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

2017年下半期朝勉強会スタート。

花祭窯で開催している月に1度の津屋崎朝勉強会。半年ごとに継続するか退会するかの意思確認をしながら、メンバーも入れ替わり立ち代わりしつつ、ゆるゆると継続しています。

今日は2017年下半期の第1回目。とはいっても上半期からメンバーが変わらなかったので、いつも通りのスタートでした。

勉強会の柱は「最近どう?」

簡単に言ってしまえば、それぞれの取り組みを聞き、自分の現状を話すというそれだけのことですが、これがまあ大きな気づきのもとになるのです。

もともと「全員異業界」であることが特徴の集まりなのですが、このところその幅の振れ方がより大きくなり、ますます面白くなっています。人数は3名から多いときでも8名なので、人数的には多くないのですが、その職業がさまざま。

ざっくり分けても飲食業、製造業、小売業、農業、仕業…と、ほんとうにいろんな視点での意見交換ができます。共通点は個人かまたは家族経営に近い事業形態であるところ。

ついつい専門バカになりがちで、視野が狭くなりそうなところを、腹を割った話のできる仲間たちに、とても助けられています。

 

お豆腐屋さん発見!

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。お豆腐は撮る前に食べてしまったため写真は炒り大豆ですが‥

お豆腐屋さん発見!

ごく個人的な話ですが、生まれてから今までに暮らした場所が10市町村になります。暮らす場所が変わるごとの楽しみのひとつに、「その場所でのおいしいお店を見つける」があります。

旅行先でおいしいものを探すのと少し違って、生活のなかで通いたいお店を見つけるのは、ガイド本をめくってガツガツ探すというような感じではなく、ご近所さんとの会話のなかで教えてもらったり、お友達のお宅に招かれた食卓で出会ったり、通りがかりに偶然見つけたりということが多いです。

福岡県の津屋崎に越してきて6年目。つい先日、お友達からの紹介で、とうとう「ここ!」といえるお豆腐屋さんが、隣町に見つかりました。

津屋崎に来る前の佐賀県花祭は、近くに高品質な大豆の収穫を誇る白石町があり、その白石町にあるお豆腐屋さんが、ほんっとうにおいしかったのです。息子が2~3歳のころから、そのお店でお豆腐や厚揚げを買っては、店先でなにもつけずにたいらげていて、お豆腐を作っている親父さんがとても喜んで、揚げたてのがんもどきを息子に「おやつ」とサービスしてくれていました。

そんなにおいしいお豆腐屋さんの記憶があるので、「おいしいお豆腐」はみつけても、白石のお豆腐屋さんに匹敵する味を見つけることができずにいたところが、6年目にして出会えたことに感激です。

おいしいお豆腐屋さんがある幸せです(^^)

 

藤吉憲典公式サイト更新中。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典公式サイト更新中。

藤吉憲典公式サイト

磁器作家・藤吉憲典(ふじよしけんすけ)の公式サイトでは、制作した作品を定期的に更新しています。

https://fujiyoshikensuke.com/artwork/

しばらく更新できていなかったのですが、ここ数日でやっと2017年に入ってからの制作分をアップすることができました。既に売れてしまっているものも多いですが、よかったらぜひご覧くださいませ。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290620青磁いろいろ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

日々増え続ける津屋崎陶片ミュージアムの陶片。本日は青磁です。

津屋崎陶片ミュージアム:青磁いろいろ。

そういえば、このブログで一番最初にご紹介したのも、青磁でした。

津屋崎陶片ミュージアム~宋の青磁~H260614001

中国は宋の時代(12-13世紀)の青磁の数々。宋の貿易商人が持ち込んだ輸入磁器と見られています。

ひとことで青磁といっても、その青の色もいろいろ。彫りこまれた文様もいろいろ。その一端を垣間見ていただけるかなと思い、並べてみました。

津屋崎陶片ミュージアム青磁

青磁というのは青磁釉と呼ばれる釉薬(ゆうやく)をかけて焼成された磁器です。磁器では、ロクロなどで形をつくったのち素焼をし、下絵付(染付)や彫りによって文様を入れ、ガラス質に焼きあがる釉薬をかけて本窯焼成して出来上がります。(赤絵(上絵)のついたものは、このあとにさらに絵付があり、赤絵窯で焼成します。)

津屋崎陶片ミュージアム青磁

同じ釉薬でも、釉薬のかかり方、厚みによって色の出方・文様の出方がかなり変わってきます陶片の良さは、割れているゆえに断面を観ることができること。「けっこうたっぷり釉薬がかかっているね」などと言いながら、このように磁器の生地の表面にガラス質の青磁釉がかかっている様子を見ることができるのも、大きな楽しみのひとつです。

 

企業秘密はありません。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯に企業秘密はありません。

佐賀・花祭に工房を構えていた時は、有田の磁器の窯元に勤める後輩などがときどき「つくり方」のヒントを求めて足を運んでくることがありました。福岡・津屋崎に越してきてからは、そういう機会もずいぶん減ってしまいましたが、それでもたまに、やきものを仕事になさっている方がお見えになることがあります。福岡に来てからは、土ものをなさっている方が多いです。

器の触り方を拝見していると、なにも聞かずとも「この方はやきものの仕事をなさっているな」とわかることが多々あります。面白いことに、趣味でなさっている方と、プロとして仕事でなさっている方とでは、触り方が違ってくるのです。不思議ですね。

さてつい先日も、仕事でなさっているらしい方がお見えになったそうで(わたしは不在でした)、いろいろと「作っていて上手くいかないこと」を話していかれたそうです。そこでダンナ・藤吉憲典が経験上わかることを、具体的な技術含めてすべて説明したところ、とてもビックリなさったとか。

「そういうのって、話しちゃっていいんですか?」とおたずねになったそうですが、真剣にやきものに取り組んでいる方、真面目にもっといいものをつくりたいと思っている方に対して技術をお伝えすることに、ダメな理由はありません。

作陶の技術的なことだけでなく、それ以外のことについても同様です。一生懸命学ぶ気持ちを持っている人が「知らなかったからできなかった」ことを、自分たちが説明することで出来るようになるなら、そこで立ち止まる必要はないというのが、ダンナもわたしも共通の考え方です。

そして、わたしたち自身もまた、そういう先人の方々のご厚意でこれまでずいぶん助けられてきています。自分たちが真剣に向上したいと思って取り組んでいることを理解してくださる方は、たいていは親切に教えてくださいます。だから、わたしたちもそうありたいと思っています。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290619唐草の鶴首。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:唐草の鶴首。

「つるくび」と呼ばれる、細首の瓶。その首から口部分の陶片です。用途は徳利のような注器でしょうか、一輪挿しでしょうか。

津屋崎陶片ミュージアム

津屋崎陶片ミュージアム

口の際までしっかり丁寧に蛸唐草が描かれており、おそらく下の部分にもきれいに蛸唐草が描かれていたのだろうな、と思われます。

このように器の外面全体にほとんど余白が無い状態にまで文様を描く描き方を「埋詰(うめつめ)」というのだそうです。(九州陶磁文化館 柴田コレクションⅥより)

埋詰の技法は比較的初期の古伊万里から続いているということで、その文様のつけ方で時代を見極めるのは難しいのですが、「柴田コレクションⅥ」に1700~1740年代の同様の「染付唐草詰文細首瓶」が載っていました。

唐草の描き方、線の太さがよく似ていて、もしかしたら同時代のものかしら、と。ところがこの図録に載っているものは、鶴首の途中で唐草が終わっています。

こんなふうに共通点・相違点を探しながら陶片の由来をイメージするのも、つくり手ではないわたしの陶片の楽しみ方のひとつです。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290615蓋ものいろいろ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:蓋ものいろいろ。

江戸中期~後期の蓋ものの、蓋。

家庭の料理で「蓋もの」を使って出す機会がどんどん減ってきている昨今です。が、こういうものを見ると、やっぱり蓋ものいいな、かわいいな、と思うわけです。

津屋崎陶片ミュージアム

写真向かって右側は、瓢箪(ひょうたん)の実と蔓(つる)、葉っぱがいい感じに描かれています。蓋ものに限らず古伊万里によく見る文様の題材です。ひっくり返して内側を見ると、口縁部は墨弾きで○×。見込は瓢箪の蔓を描いているようです。全体にやわらかい筆遣いで、なんとなくユーモアも感じる文様の組み合わせが魅力的ですね。文様がきちんと丁寧に描かれていることから、江戸中期のものではないかと推測。

津屋崎陶片ミュージアム

一方左側は、間取に獣面の組み合わせでしょうか。間取の窓のなかに描かれているのは山水(さんすい)文が簡略化されたもののようにもみえます。つくり手・藤吉憲典の解釈は、龍の文様にいろいろと装飾がついたものではないかと。年代別文様事典を見ていると「唐花」とされている文様にも似ているようです。

こちらはひっくり返すと口縁部の縁地文に雷文様と呼ばれる卍の変形のような地文、見込には松竹梅。地文も松竹梅もかなり崩れてしまっていますが(^^;)外側の文様と内側の文様とで、ずいぶんと雰囲気が異なる器です。

表も裏も、職人さんによって、文様から文様へと意味を考えずに描き継がれているうちに、原形をとどめず訳が分からなくなっている状態、というのが一番正しい解釈かも知れません。たくさん描きこんであって面白くはありますが、雑な絵付だとやっぱり少し残念です。こちらは「雷文様」と粗雑な絵付から、江戸後期かなぁ、と推測。

津屋崎陶片ミュージアム

こういう、仕事ぶりまでもイメージできる楽しさがまた、陶片の面白さです。