『江戸百夢』田中優子

読書:『江戸百夢』(近世図像学の楽しみ)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書:『江戸百夢』田中優子著

サブタイトルが「近世図像学の楽しみ」

この八月に講演を聴くことができ、とても面白かった法政大学総長・田中優子先生。

講演会「グローバリゼーションと江戸時代」聴いてきました。

『江戸百夢』は2000年発刊。「江戸」といいながら、むしろ地理的には江戸のみにとらわれているわけではない内容だなぁ、と感じながら「あとがき」を読んで納得。もとは「朝日ジャーナル」に連載されたもので、その時のタイトルは「EARLY MODERN の図像学」だったのだそうです。

「図像学」とあるだけあって、豊富な絵図がとても楽しく、そこに添えられた解説というかエッセーというか、田中優子氏の文章がまたユーモアたっぷりで秀逸です。上の写真にある目次を眺めるだけでも、その片鱗を感じていただけると思います。

アーリー・モダンの視座が混ざっている結果として、「江戸」の時代的・地理的な特質やイメージが余計にくっきりと浮かび上がっているのを感じます。うまいなぁ、と思わず感嘆。


ちくま文庫から文庫版も出ていますが、絵図の面白さをより実感するには、単行本版がおすすめです。

 

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。