こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
土井善晴さんの
『一汁一菜でよいという提案』
いろんな方があちこちで書評を書いておられるので、今さらという感じではありますが、せっかく読んだので、そして面白かったので、こちらにご紹介。
「やきものや」として特に心に響いた部分をピックアップしてみました。
・ハレとケ。贅と慎ましさのバランス。
・良いものに触れ、目を肥やし、日本の文化を支えていた。
・喜んでくれる人は、わかってくれる人。
・毎日手に触れるもの、毎日見るものは、いいものが良いのです。
・よそ行きのものよりも、毎日使うものを優先して大事にして下さい。
・人間は道具に美しく磨かれることがあるのです。
・いいものというのは人それぞれにありますが、きちんと選んであげて下さい。(子どものために)
・いい器とは、なんでもない炒め物一つでもおいしそうに見せてくれるもの。
・茶碗は手で触れて持ちやすいもの、唇に触れて気持ち良いものもあります。
・目で食べ、食感を楽しむという和食の大切な要素は「器」です。
(土井善晴『一汁一菜でよいという提案』より)
この本のなかの写真では、家庭料理風にざっくりとした盛り付けをしているものばかりなのですが、器についての考え方がこのようにしっかり文章にしてあったことが、とてもありがたく嬉しいところでした。日頃考えていることがいくつも重なっていて、思わず「そうそう!やっぱりそうよね」と大きくうなずきながら読んでいました。
そしてもうひとつ。巻末に「きれいに生きる日本人―結びに代えて―」として、著者が特に影響を受けた方のエピソードが載っています。
このなかに、奈良の生駒にあった器ギャラリー「やきものいこま」のオーナー箱崎典子さんが紹介されていました。実は、いこまさんには、お店をお閉めになるときまで、藤吉憲典もたいへんお世話になりました。この本のなかにも記されているのですが、箱崎さんは若手の陶芸家の良いところを見出して、大事に扱ってくださる方でした。
藤吉もまた、いこまさんに器を見ていただこうと奈良の生駒に器をもって行き、いろいろと扱っていただきました。朝からアポイントを取って伺って、お昼時にかかると箱崎さんが二階に上がってお昼ご飯を出してくださったという話を、この本を読んで思い出しました。息子が誕生したときに箱崎さんからお祝いにいただいた、繭で出来た十二支のお人形は、今でも我が家に大切に飾ってあります。
と、個人的にも共感しながら読んだ『一汁一菜でよいという提案』でした。