こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
津屋崎陶片ミュージアム、磁器の重箱。
津屋崎浜に上がってくる陶片に、碗の形の蓋ものの蓋などはわりとよく見かけるのですが、今回のこれは、蓋のあるもののなかでも重箱の類と思われます。
↑この写真は高台(底部)を上にして立てて撮っています。ロクロで薄手に創られていますが、口縁部もきっちりと仕上げられているので、逆さでもきれいに立ちました。
江戸時代には、重箱に料理を詰めて行楽に出かける楽しみがあったということで、佐賀県立九州陶磁文化館の資料にも、19世紀につくられた円形や方形の重箱がいくつもあります。
(※佐賀県立九州陶磁文化館 平成6年度特別企画展「よみがえる江戸の華―くらしのなかのやきもの―」を参考にしています。)
この手の重ね箱は、料理用のお弁当箱としての重箱だけでなく、化粧道具入れとしてつくられたものもあるようで、今回の陶片がそのどちらだったのかは定かではありません。
陶片の大きさから考えて、それほど大きな重箱とは考えにくいので、もしかしたら、お化粧道具入れとしての重箱だったのかもしれません。
薄手ですっきりと立ち上がった品の良い形。高台際のかっちりとしたつくり。そして文様の丁寧さ。贈りものとして特注されたものかしら、などと想像が膨らみます。