こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
読書:『江戸百夢』田中優子著
サブタイトルが「近世図像学の楽しみ」。
この八月に講演を聴くことができ、とても面白かった法政大学総長・田中優子先生。
『江戸百夢』は2000年発刊。「江戸」といいながら、むしろ地理的には江戸のみにとらわれているわけではない内容だなぁ、と感じながら「あとがき」を読んで納得。もとは「朝日ジャーナル」に連載されたもので、その時のタイトルは「EARLY MODERN の図像学」だったのだそうです。
「図像学」とあるだけあって、豊富な絵図がとても楽しく、そこに添えられた解説というかエッセーというか、田中優子氏の文章がまたユーモアたっぷりで秀逸です。上の写真にある目次を眺めるだけでも、その片鱗を感じていただけると思います。
アーリー・モダンの視座が混ざっている結果として、「江戸」の時代的・地理的な特質やイメージが余計にくっきりと浮かび上がっているのを感じます。うまいなぁ、と思わず感嘆。
ちくま文庫から文庫版も出ていますが、絵図の面白さをより実感するには、単行本版がおすすめです。