読書『ある男』(文藝春秋)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ある男』平野啓一郎著(文藝春秋)

『マチネの終わりに』から約2年ぶりだったそうですね。平野啓一郎ファンには待ちかねた1冊だったようです。

戸籍を交換して別の人間の過去を引き継ぎ、その人間として生きる。小説ではありますが、自分の身近にそういう人がいたとしても不思議では無く、漠然とリアリティを感じながら読みました。

「別人として生きる」ある男の決断の背景にあるもの。そしてその背景を明らかにしないでいられない主人公の執着。すべてが少しづつ過剰ではありながら、誰にでもイメージできる程度のさざ波が立っているようなストーリーでした。

「文体」の妙があり、それが魅力でありながら、作品によっては、読み進めるのに時間のかかる平野作品。ちなみにわたしはデビュー作をいまだ読み終われずにおります(笑)が、この『ある男』は一気に読み終わりました。

選書ツアー!@紀伊國屋書店。

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選書ツアー!@紀伊國屋書店。

今年も行って参りました。地元のカメリアステージ図書館が開催してくれる選書ツアー。写真はイメージ。

大学図書館では一般的らしいのですが、一般の公的図書館での開催はまだ珍しいという選書ツアー。「図書館に入れたいと思う本を選ぶ!」とっても魅力的なイベントで、もちろんすべての希望が通るわけではありませんが、このような機会があることが嬉しくて仕方がありません。

博多にある紀伊國屋書店に集合。今年は「子どもが選ぶ本」も入れたいということで、夏休み期間中の開催となりました。図書館の職員さんからの説明と、紀伊國屋書店さんからの説明を聞いた後、約1時間かけての選書タイム。自分が図書館に入れたいと思う本を見つけたら、専用の端末でISBNコードを読み込んでいきます。

このところ本屋さんをぶらぶらする時間をとれていなかったので、とってもいい時間になりました。普段はなかなか行かないコーナーにも足を伸ばし、久しぶりに子ども向けの本コーナーをのぞき、視界を広げる時間となりました。

図書館がより身近になる選書ツアー。せっかくの素晴らしい機会なのですが、3年目の今年も参加者の募集に苦戦をしたようで、図書館のスタッフさんと「次回はどうしたらもっと積極的に参加してもらえるか?」について意見交換。

福津市、とくにカメリアステージ図書館をお使いの皆さん、次回は是非ご参加をご検討ください。選書ツアー、おススメですよ♪

波折神社の夏越し祭。

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波折神社の夏越し祭。

今年は7月28日(日)に行われました。半年の穢れを落とし、無事に感謝して茅の輪をくぐります。 「茅の輪くぐり」「夏越し祓い」「輪越し祭」 など呼ばれますが、半年が終わる6月30日に開催する神社も多いですね。

ここ津屋崎に越してきてから、すっかり我が家にとっても大切な年中行事のひとつとなっています。昨年作った我が家の輪を納め、今年くぐった輪の葦をいただいてきて、お守りにします。写真は我が家の今年2019年の夏越しの輪。輪を編むのはダンナの仕事です。輪っかをつくって八年目となり、だいぶ形も格好良く作れるようになりました。

毎年、人がどれくらい集まるかが気になりますが、今年はわたしの知っているなかでは最も多かったように思います。神職のお手伝いをしているダンナが「饅頭足りないかも…!」と(笑)

輪くぐりとお祓いが終わると、紅白のお饅頭をいただいて帰ります。今年は予想よりも参加者が多かったようで「一家族にひとつ」でなんとか間に合ったようです。でも、地域の方々がたくさん出て来てくださるのが嬉しいですね。

神主さんを先頭にぞろぞろとみんなで行列を作って輪をくぐるのは、神妙な神事でありながら、なんだかとても楽しいのです。心のなかで半年間の無事を感謝しながら。歩いて行ける地元の神社でこのような行事のあることが、毎回ありがたいです。

降りてきた!?

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降りてきた!?

ものづくりをする人=ダンナ・藤吉憲典がときどき言うことばです。現在、11月からの上海個展と、12月のロンドン個展に向けて「創造脳」フル回転中のダンナ。

あきらかに手が動いているときは「仕事をしている」感じがありますが、仕事中なのだか休憩中なのだかわからないような状態も多々。でも、この(傍から見ると)ぼんやりした時間も必要な時間なのだと、20年以上一緒に仕事をしてきて、慣れてきました。

そんな「ぼんやりした時間」がスパッと切り替わるのが、「降りてきた」とき。手の動き方、集中の仕方がまったく変わるので、「降りてきたんだなぁ」と思っていると、案の定「降りてきたから」と。

写真は今朝「降りてきた」後に、グンと制作が進んだシマウマのレリーフ。 何ものかが降りてきて、いろいろなことがしっくりくると、どんどん進むようです。出来上がりが楽しみです。

九国に来たら、文化交流展示室。

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九国に来たら、文化交流展示室。

九州国立博物館に足を運ぶのは、特別展の企画内容に興味があってのことではあるのですが、毎回特別展同様楽しみなのが、常設展にあたる「文化交流展示室」。

最近は、まず足を運ぶのが、展示室6。仏像や曼荼羅図の掛け軸などが展示してあることが多いです。「アジア人の理想の姿」の部屋と名前がついていますが室名はさておき。今回はカッコいい四天王像が待っていてくれました。

そして、展示室10の「田中丸コレクション」。陶磁器のコレクションの部屋で、定期的に入れ替えられているので、毎回必ずチェック。そういえば、先日行ってきた福岡市美術館でも、田中丸コレクションが観れました。

この二部屋をまずは押さえて、あとはぶらぶらと回ります。土偶コーナーもお気に入り。文化交流展示のエリアはとっても広いのですが、休憩できる場所がしっかりあるので、ゆっくり何度も回ることができます。

文化交流展示室の構成はこちらでご確認できます(^^)

もう何度も何度も言っているのですが、九国にお越しの際は、ぜひ4階の文化交流展示室にもお出かけくださいね♪

室町将軍 戦乱と美の足利十五代@九州国立博物館!

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室町将軍 戦乱と美の足利十五代@九州国立博物館!

ひさびさの九州国立博物館。夏休み、平日の朝一番に行って参りましたところ、ゆっくり楽しむことができました。

写真は、展示室に入ってまず目に飛び込んできた秀逸なパネル。わたしは普段、展示パネルをほとんど読まずに素通りするのですが、ここでは思わず足が止まりました!さらに出品目録とともに置いてあった、子ども向け(?)の「ワークシート」がこれまた素晴らしく、スタートから学芸員さんの熱意がバシバシと伝わってきました。

とっても面白かったです。その後の戦国時代などに比べて、なんとなくスポットが当たりにくい「室町時代」。なかなかどうして、見どころがたくさんありました。個人的には「勘合貿易」にまつわる品々に興味津々でした。そのほかには「寒山図」「肩衝茶入」など「お!」と目を引くもの数点。

そしてなんといっても、13体の足利将軍座像がぐるりと並んだ様は、迫力がありました。これは是非、京都の等持院で拝見したいな、と思いつつ。ひとつひとつを丁寧に見ていくと、顔つきに表れている人柄が感じられ、時代を追っての変容も面白かったです。初代尊氏像の厳しい顔つき、よかったです。

室町将軍 戦乱と美の足利十五代は、九州国立博物館にて9月1日(日)までです(^^)

コラム「日日是好日」提供中。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

コラム「日日是好日」提供中。

経営者の勉強会などでご一緒していた「 株式会社おつうじ屋 」さんのニュースレターに、コラム「日日是好日」を提供しています。「花祭窯おかみ・ふじゆり」として執筆中。先日、おつうじ屋さんのサイト内に、そのコラムを一覧でご覧いただけるページが登場しました!

おつうじ屋さんは、その店名からイメージする通り、腸内環境の改善に役立つお茶やもち麦を販売なさっているネットショップさん。ネット草創期に勉強会でご一緒してからのお付き合いです。代表の石井さんとおしゃべりするなかで、ストレスが体に及ぼす影響や、日常生活をいかに快く過ごすかという話題から、意気投合したのでした。

コラムのタイトルは「日日是好日」。ニュースレターは、ご購入なさったお客さましか読むことができませんでしたが、サイトではどなたでもご覧いただくことができます。

お茶のこと、 禅のこと、 花のこと、旅のこと、読書のこと、アートのこと…このブログと同様、日々のよしなしごとを書き綴っています。ちょっとしんどい時でも、視座を変えて穏やかに過ごせるような、そんなきっかけになる文章をお届けできたらいいな、と思っています。

ちなみにわたしは、おつうじ屋さんの扱っておられる「紫もち麦」が、大のお気に入りです(^^)

津屋崎祇園山笠2019、無事奉納。

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津屋崎祇園山笠2019、無事奉納。

例年、博多の山笠から1週間遅れて開催される津屋崎祇園山笠。このお祭りに参加して8年目となりましたが、前夜祭ともいえる裸参りが大雨のため中止になったのは、わたしにとっては初めてで、天気予報をにらみながら当日を迎えました。

スコールのような雨が降ったりやんだりの状況が前の晩から続き、福岡県内は大雨警報があちらこちらで出ていていました。が、当日の日中は奇跡的にほとんど降らず!おかげさまで無事お祭りが終わりました。

毎年のことながら、お祭りが終わったら即座に山車が解体される潔さが気持ちよく。約1か月(とはいえ、週末だけですが)のごりょんさんの裏方仕事も無事終了して、また来年です。

読書『マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」』(新潮選書)

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読書『マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」』(新潮選書)冨田浩司著

「イギリスのことをもっと知りたい!」の気持ちがずっと続いていて、本を見つけては少しづつ読んでいます。図書館で新刊コーナーをチェックしていたところ、昨秋出たこの本を発見!

サッチャーさんといえば、わたしにとっては、70年代後半から80年代にかけての「イギリス・政治・女性リーダー」のアイコン的イメージです。彼女に対して自分が持っている表面的なイメージと、断片的な記憶を補足しようと手に取りました。

読んでよかったです。サッチャーさんのことを書くことはすなわち、戦後の現代史を紐解くことをも意味するのだと、分かりました。東西冷戦の時代の、なんとなく記憶に残っている、いろいろな事件の背景や、そのとき政治の世界でどういうことが起こっていたのかを、垣間見ることができました。

日本の小中高校での歴史教育が、近現代史にほとんど時間を割かないことはたびたび多方面で話題に上りますが、その一部分を埋めてくれる本の一冊だと思いました。レーガン(米)、コール(独)、ミッテラン(仏)、ゴルバチョフ(ソ)など、わたしの世代には耳なじみのある各国の政治家の名前が出てきたのも、読みやすさにつながりました。

そして、ここ数年なかなか落ち着くところの見えない英国のEC離脱問題についても、そこにいたるまでの時代の欧州とイギリスの関係を眺めることができました。

著者の冨田浩司氏は、外務省から研修留学と大使館勤務とで7年英国に滞在したという方。この『マーガレット・サッチャー』の前に『危機の指導者チャーチル』(新潮選書)を書いておられるとのことで、次に読むべき本が決まりました(^^)

小説家追っかけ読書:坂東眞砂子さん。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

写真は、なんとなくイメージ。

小説家追っかけ読書:坂東眞砂子さん。

ここ数年の追っかけ読書。思い返せば小説家のスタートは原田マハさんだったのかもしれません。カズオ・イシグロ氏平野啓一郎氏ときて、ここ2~3か月は坂東眞砂子さんの著書を読んでいます。平野氏の著書については、まだまだ読めていないものがたくさんありますが、いったん休憩中。

平野啓一郎氏の著作を数冊読んで「文体」の妙にひっかかり、読み辛さをも含めた魅力を感じていたところでしたが、今読んでいる坂東眞砂子さんの著作については、それぞれの著書を覆う「民俗学的なもの」に惹きつけられています。

坂東眞砂子=映画化もされた小説『死国』。彼女の著書を読んだことが無かったにもかかわらず、そのホラーのイメージに引っ張られてずっと敬遠していました。ホラーとかオカルト、苦手なのです。

なんのきっかけだったか一冊手にとったところ、全編にわたる民俗学的な雰囲気に、びっくり。ご本人が自覚なさっていたかどうかは存じませが、読みながら「民俗」「民族」「土着」という言葉が何度も頭をよぎりました。民俗学的フィールドワークを思わせる世界観。

わたしがここ数カ月で読んだものは、第二次世界大戦の影が濃いもの、3.11の影が濃いものが複数あり、それらは著者晩年の作ばかりであることがわかりました。これらの著作のなかで、小説家だからこそできる社会に対する問いかけの方法を見せられました。小説の姿を借りて描かれることで、むしろ真に迫るということがあるのだろうな、と。

亡くなられたときまだ55歳であられたことに驚き、それまでに出された著作の多いことに驚き、イタリアでデザインを学びタヒチにも住んでいたという経歴に驚き。

少し時代を遡って読んでみたいと思います。