平面と立体のあいだ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

平面と立体のあいだ。

辻仁成&江國香織共著の恋愛小説『冷静と情熱のあいだ』を読んだことは無いのですが、登場人物は絵画の修復家だったのですね。当時「○○と□□のあいだ」という言い回しが流行り、コントのネタに使われていたのを思い出しました。

さて

美術作品を説明する際の要素のひとつに、ジャンルがあります。平面・立体・映像・インスタレーションなど。藤吉憲典の場合、陶芸家・彫刻家としてこれまで作ってきたものはほぼ100%「立体」です。美術やアートといったときに多くの人が真っ先に思い浮かべる「絵画」は平面です。写真も平面作品ですね。

このところ海外での作品発表の機会を見据えて藤吉憲典が集中的に取り組んでいるのが、「平面と立体のあいだ」である「半立体作品」。これまでにも数点作ってきてはいますが、まとまった数手掛けるのは、20数年の陶歴において初めてのことです。

ここに至る要因はいろいろとありますが、なかでもここ数年「世界史を建築家の視点で学ぶ」シリーズでさまざまな歴史的・芸術的建築物を見て解説を聞き、学んだことも大きかったと思います。半立体の彫像や装飾レリーフが空間に果たす役割の素晴らしさ偉大さを、意識的・無意識的に刷り込まれました。

藤吉憲典の半立体シリーズは、現在「シマウマ」と「人魚」をテーマに広がりつつあります。これから先の展開が、いっそう楽しみです。