香椎宮献茶式と、野点

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

香椎宮献茶式と、野点。

毎年秋恒例の野点茶会。朝降っていた雨も上がり、気持ちの良い風が吹くなかでお茶をいただきました。いつも家路についてから「写真撮るの忘れた…」となるのですが、今回も。目の前の景色に夢中になり、つい「撮る」が後回しに。

香椎宮への献茶式、スタートは昭和22年といいますので、もう70年以上続いていることになります。献茶式の行われる香椎宮、野点の行われる報恩寺、茶道南方流の円覚寺との関係については、昨年の香椎宮献茶式のご報告に少し書いています。

神社本殿での禅寺茶道による献茶の儀。何度体験しても不思議な感覚に包まれます。南方流では「献茶」と呼ばれるものは、春の南坊忌、秋の実山忌と合わせて年に三回あるのですが、南坊忌と実山忌の際にあげられるお経は、香椎宮では神主さんによる祝詞になります。儀式が終わると、最後はお神酒をいただくのもまた神社ならでは。

今回のお茶席では和尚さんとご一緒でした。曰く、野点は南方流では一番最後のお点前であること。初伝に至るまでのお稽古に始まり、いろいろなお点前を学びお稽古を積みあげてここに至ること。野点では決まりごとのなかでの自由が重視されるということ。

論語の「心の欲する所に従えども矩を超えず(こころのほっするところにしたがえども のりをこえず)」を思い出しました。「思いのままに行動しても 決して道理を踏み外すことがなくなった」というほどの意味です。

茶道のお点前の作法には、決まり事がいろいろとあります。その決まり事が意味する本質を、何年もかけて何回も稽古することによって、体にしみこませることができたら、自由にやっても大丈夫な域に達するということなのだろうと理解しました。

二十年後、三十年後、あるいは五十年後、果たしてこの境地に至ることができるのでしょうか。今はまだまったくイメージできませんが、目指すべき姿があらためてはっきりとしたお茶会でした。

ありがとうございました。