読書『仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝』(朝日新聞出版)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝』(朝日新聞出版)鵜飼秀徳著

上の写真は、本書に載っている島津製作所と京都、日本、世界のトピックスがわかる年表。

大阪でサラリーマンをしていた時の、わたしの仕事は法人営業職で、毎日会社の経営者の方々にお会いしていました。わたしの担当エリアは大阪府内の企業さんがほとんどでしたが、「京都担当」「神戸担当」「和歌山担当」の同僚と情報交換をしていると、それぞれ独自の土地柄を感じることがよくありました。

京都企業といえば、ワコール、京セラ、村田製作所、オムロン、ローム、島津製作所などの社名が頭に浮かびます。社名は浮かびますが、「ワコール=婦人肌着」「オムロン=体温計」などのほかは、実際にどのような事業をなさっているのか説明できないことがほとんどです。わたしにとっては島津製作所もそのひとつでしたが、この本でその歴史を知ることができました。

幕末から明治維新、二度の世界大戦、そして現代まで、日本の大変換期と重なる島津製作所の歩みを読むことで、日本の近現代史の一側面を垣間見ることができました。仏具制作から始まった事業がノーベル賞受賞者を輩出する企業になるまでの変遷は、変化することによって会社を守り伸ばし続けている老舗の凄みを感じさせるものでした。2025年で創業から150年だそうです。

最終章に載っている、ノーベル賞の田中耕一さんの言葉に共感しました。曰く「独創とは、“無から有を生み出す”と思われているふしがあるが、アイザック・ニュートンの言葉を借りれば『巨人の肩に乗っている(先人の知恵の積み重ねから学べる)』からこそできる、(後略)」(『仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝』(朝日新聞出版)鵜飼秀徳著より)。まさに製造業(芸術も含めて!)に関わるすべての人が自覚すべきことだと思います。

次回の京都旅行にまた楽しみが加わりました。