読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

いつものカメリアステージ図書館、新刊棚。いわば図書館の入り口となる階段を上った正面にあるこの棚は、上の写真で見ていただけると一目瞭然、全体から見ればとても小さな棚です。が、常に新しいものが入り、入れ替わってるので、じっくり探す余裕が無いときには、この棚で探すだけで十分に新しいもの・興味をそそるものを見つけることが出来ます。ここ数カ月、日本人作家の小説をここで見つけて読むことが増えていました。本書もそのなかの一冊。

篠田節子さんの小説を読んだのは、いつのことだったかしら…と思いつつ手に取りました。ずいぶん前に読んだような気がするのですが覚えておらず、巻末の著作一覧を見て、ああそうか『女たちのジハード』だ、と思い出しました。

さて『セカンドチャンス』。なんてことのない物語です。けれど、主人公の年齢が今のわたしと近く、性格も環境もまったく異なるのに「なんとなくわかる」ことが多く、引き込まれました。読みながら、登場人物と自分自身との共通点、知人友人との共通点が重なっていきます。50年以上の人生経験を積んできた方なら、感情移入とは言わないまでも、タイトルの「セカンドチャンス」の言葉の意味に頷きながら読むことが出来る本だと思います。

日常のなかで小さくガッツポーズをする瞬間の愛しさを思う読書でした。

『セカンドチャンス』(KODANSHA)篠田節子著

サントリー美術館「京都・智積院の名宝」観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

サントリー美術館「京都・智積院の名宝」観て参りました。

12月最初の週末は、東京出張。南青山の百福さんで開催の「藤吉憲典展(磁)」の最終日に顔を出して参りました。

朝一番に福岡空港から羽田行きで、10時前には都心部に到着。ギャラリーオープンは12時なので、2時間を美術館で過ごすことに。六本木・東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館に足を運んでまいりました。六本木ヒルズ内の森美術館でもちょうど展覧会がはじまったところでしたので、どちらにするか迷ったのですが、古いものを観る方に軍配が上がりました。

さて、京都・智積院の名宝。上の写真は上階のホールスペースに設けられた、展覧会のフォトスポット。本展覧会は、長谷川等伯一門による金碧障壁画群が目玉です。実際のところ、その大きさ、迫力はなかなかのものでした。が、個人的には「もともとあるべき場所」すなわち智積院のなかで観たいなぁ、という感想が先に立ちました。そこだけを取り出した状態ではなく、全体として空間的に見るのが一番だろうなぁ、と。あたりまえですが。

そんななか、個人的に一番気に入ったのは、梵字による曼荼羅図。曼荼羅図全体の迫力、面白さはもちろん、ひとつひとつの梵字の生き生きとした筆が、とても良かったです。今にも動きだしそうな文字でした。縮小版を部屋に飾りたいと思いました。それから、南宋時代に書かれたという金剛経も素晴らしかったです。まず第一に読みやすい、そして浮ついたところが無く、かといって固さも無く、力強いのに緊張を強いない字でした。また展示の最後に、智積院が秀吉天下の時代から近現代に至る京都画壇を支えるパトロン的役割を担った一面が垣間見え、素晴らしいなぁと、嬉しい気持ちになりました。

たくさん美術館博物館があるからこそ、出張のたびに、用事のある近くに興味のある展示・展覧会を見つけることが出来るのは、東京ならではの贅沢だと思います。サントリー美術館「京都・智積院の名宝」、良かったです♪

百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

南青山百福さんでの「藤吉憲典展(磁)」、ご来場ありがとうございました!

百福さんが南青山に移転なさってから初めての個展。わたしも最終日におじゃまして参りました。上の写真は、百福さんのインスタグラムから拝借。オーナーの田辺さんはとても素敵な写真を撮ってくださいます。器の写真撮りはプロの写真家の方でも結構難しい題材のようなのですが、百福さんの写真はいつも、安定した美しさと独特の質感があります。

さて百福さん。東京メトロ青山一丁目駅からも外苑前駅からも歩いて5分と交通至便な場所でありながら、青山通りから一本内側に入っているために静かで落ち着いた空間です。オープンがお昼12時からなので、当日は六本木で一つ展覧会を観てから、お散歩がてら歩いて向かいました。

訪問したのが最終日とあって、お客さまのご来店はのんびりペース。おかげさまで、ご来店の方とはもちろん、オーナーの田辺さんともお久しぶりにゆっくりお話をすることが出来ました。早くに売り切れてしまっていたシリーズもありましたので、目当てにお越しのお客さまにはお詫びをしつつ。

町田でお店をなさっていた時との違い、東京近辺での「食」に対する料理人さんの視点、最近の陶芸作家さんたちの意識と制作の在り方、作家物の器のお店としての矜持とこれからの進むべき方向など、18年お店を続けていらっしゃるからこその視点を、いろいろとお聞かせいただくことが出来ました。そういえば、じっくりオーナーさんのお考えを伺う機会を作ることが、このところ出来ていませんでしたので、とてもありがたく貴重な時間となりました。

昔から何度も思っていることですが、お付き合いのあるギャラリーさんに恵まれている嬉しさを、あらためてかみしめる一日となりました。百福さんでの藤吉憲典展は、次回はまた再来年。楽しみにしていただけると嬉しいです。

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

今日から12月。今朝は今シーズン一番の冷え込みで、まさに冬が来た!という感じです。いつものカメリアステージ図書館で見つけた本書は、季節的にもぴったり。赤と金の装丁のインパクトに惹かれて手に取りました。

『ちいさな手のひら事典 クリスマス』(グラフィック社)ドミニク・フゥフェル著

「事典」のタイトルの通り、クリスマスについての豆知識が78項目。それぞれページ見開きで左側に解説テキスト、右側に絵、の構成です。上の写真のような感じですね。本の半分は絵が占めているわけで、パラパラとめくって「可愛い!子ども向けに良さそう!」と思いながら借りてきました。ところがなんのなんの、左側のテキストページに書いてある解説は、しっかり大人向けと言いましょうか、シニカルと言いましょうか…な感じです。実は、そこがとても気に入りました。

のっけから「その長い歴史は4世紀にさかのぼり、ローマ教皇リベリウスが12月25日を公式にイエスが誕生した日と定めました。しかし、歴史的な根拠はありません。」と、キビシメです。その他にも「クリスマスの日、子どもにプレゼントするおもちゃは、19世紀以降、お金儲けの絶好の機会になりました。」「そりをサンタクロースの移動手段にしたのは、米国の牧師です。」(『ちいさな手のひら事典 クリスマス』より)など、美しいページをめくりながら、思わずニヤッとしてしまいました。

「ちいさな手のひら事典」は、シリーズでいろいろと本が出ているようです。巻末に既刊の一覧が載っていまして、それによると、現時点では本書を含めて14冊。飾っても可愛らしいので、興味のあるテーマから少しづつ買い集めてみようかな、と思います。