読書『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著

新年最初の読書は光文社新書。先日『おとなのOFF 2023年 絶対に見逃せない美術展』を読書記録に上げていましたが、文章を読んだという意味ではこちらが初読書ということで。

お正月をはさんで1月5日にご近所カメリアステージ図書館が開きましたので、冬休み中に借りていたたくさんの本を返却しに足を運びました。今年もたくさんお世話になります♪

さて『100万円で家を買い、週3日働く』。社会デザイン研究者・三浦展(あつし)氏による著書です。2012年に刊行された同著者による『第四の消費』の実例集と称されている本書では、現代を生きる世代の価値観が体現された、いくつもの生き方・生活を垣間見ることが出来ます。わたしは『第四の消費』を読んでいませんでしたので、これから遡って読んでみようと思いました。

第四の消費とは、「1.物の豊かさ志向から人間関係の豊かさ志向へ 2.私有志向からシェア志向へ 3.ゴージャス・ブランド志向からシンプル・ナチュラル・手作り志向へ 4.欧米・都会志向から日本・地方志向へ」という4つ特徴を持ち、「高度経済成長期以前の日本人の一般的な暮らし、生活を、もう一度見直し、再評価し、部分的にではあってもそれを現代の生活に取り入れようとする動き」である「再・生活化」という共通の軸がある(『100万円で家を買い、週3日働く』「序」より引用)ものだそうです。

窯を開くために佐賀の山里に移住して生活をスタートしたときのことを思い出しました。近所のおばちゃんたちに教えてもらいながら、梅を摘み梅干を漬け、味噌を手作りし、山菜を採りに行き、白菜や高菜の漬物を仕込み、小さな畑を作り…と、まさに田舎ではあたりまえに続いてきた生活のあれやこれやを、生まれて初めて自分の生活に取り入れたのでした。

2018年初版でしたので、5年ほど前ですね。いくつか知っている事例が載っていて、この流れが大きくなりつつあることを感じます。本書で描かれているさまざまな生き方を読んで、とても心強い気持ちになりました。実践している当事者の一人が「生活実験」と言っているように、手探りで取り組み進んでいる様子は、「より自分達らしい生き方」を求めていく道の途中を思わせましたが、そこには先々への不安よりも期待が満ちているように感じました。

花祭窯の創業地・花祭は、自然豊かな里山。この場所が、わたしたちにとって心のセイフティゾーンになることを、その可能性とともに嬉しく実感した読書でした。

『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著