読書『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵

友人がお年始に送ってくれた一冊です。出版元のあかね書房さんは、サイトに「子どもの本のあかね書房」と書いてある通り、児童書の専門出版社。1949年創立だそうです。

作者は硯(すずり)をつくる職人「整硯師(せいけんし)」。我が家には、ダンナのお父さんが遺してくださったたくさんの硯がありますが、わたしは整硯師という言葉を初めて知りました。「墨を磨って書く」ことがどんどん「昔のこと」となり、学校教育での書道の時間も「墨液とプラスチック硯」にすっかり変わっている昨今の状況を危惧して本書を制作したそうです。あとがきで『「道具たちの本来の姿」にふれる機会がなくなってしまっていいのでしょうか?』と問いかけています。

そういえば息子が小学校低学年の時だったと思います、書道の授業が始まる際に「書道具セット」購入案内が学校から届いたのでした。その時に初めて「プラスチック硯」なるものが存在することを知り、ダンナともども「いやいや、硯がプラスチックではイカンでしょう」と思ったのでした。結果、息子はダンナのお父さんが遺してくれた硯と、筆と文鎮をセットにして箱に入れ、学校に持って行って使いました。どれも昔ながらのものでしたので(筆は未使用のものでしたが)新品のぴかぴかではありませんし、持ち運びも重かっただろうな、と思います。それでも「じいじが遺してくれた本物だからね、上等だからね」という親の言葉を素直に受け入れ、嬉々として使ってくれたことを、あらためて嬉しく思います。

さて『すずりくん 書道具のおはなし』。文房具の四つの宝物「筆・墨・硯・紙」を「文房四宝」とし、文字のなりたちや道具の歴史を絵と文でやさしく紐解いています。子ども向けに制作されていますので、平易にコンパクトにまとまっていますし、文章には「かな」が付いて読みやすいです。でもその中身は、大人が読んでも知的好奇心がくすぐられるもの。わたしは書道には比較的親しんでいる方だと思いますが、知らないことがたくさんで、「ほぉ~!」と言いながら読みました。

毎年恒例の花祭窯での書き初めや書道部では、硯も墨も用意しますが、わたしもふくめ墨液を使うことがほとんどであるのも確か。上の写真は2年前2021年の書き初めのもの。たまにはゆっくり墨をすってみようかな、と思いました。

『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵