ギャラリーオーナーの意図・意欲が伝わってくる大胆な展示空間。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ギャラリーオーナーの意図・意欲が伝わってくる大胆な展示空間。

肥前磁器作家・藤吉憲典の次の展覧会は7月、銀座黒田陶苑さんでの個展となります。黒田さんはこの4月11日に新しいビル・新本店がオープン。オープンに先駆けて、作家宛てに内覧のご案内をいただいており、過日ダンナがおじゃまして参りました。上の写真は旧本店、2016年の個展でお世話になったときのもの。

「これまでより展示スペースがかなり広くなっているから、ぜひ内覧に来てください」とのご連絡を受けて、足を運んだダンナ。帰ってきての第一声は、「黒田さんの覚悟というか、チャレンジ精神というか、意志がビシビシと伝わってくる空間で、ものすごくテンションが上がった!」でした。これまでの2倍かあるいは3倍かという広さに、全体のテーマカラーは黒。簡単に変更のできない内装を黒で決めるというのは、明確な意図と確固とした意志が無ければできないことのように思います。その展示スペースに並ぶモノづくりを任される作家が、どれほど意気に感じるか。内覧から帰ってきたダンナの表情を見れば、一目瞭然です。

オープニング展として開催中(5月7日まで)の「古今の名陶展」では、黒田さんがお持ちのお宝の数々をじっくりと拝見することが出来ます。作り手はその展示を見ながら、自分の個展での展示イメージをいろいろと思い描くことが出来たようです。小さいものの得意な藤吉憲典ですが、7月の個展では、大きいもの、高さのあるものもお届けすることになりそうです。壁面をどう彩るかも、楽しみですね。陶板作品・書画作品と、可能性が広がりそうです。

黒田陶苑さんでの展覧会は、おおよそ隔年で機会をいただいております。個人のお客様だけでなく、料理人さんをはじめプロのお客さまも多いのが黒田さんの特徴の一つだと感じています。目の肥えたお客さまが、心から楽しんでくださる展覧会にできるよう、すでにワクワクドキドキしています。

銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典個展は、7月13日(土)~7月18日(木)です。

銀座黒田陶苑さんの公式インスタグラム

銀座 黒田陶苑 新本店
東京都中央区銀座7-8-17-5F
虎屋銀座ビル5階
TEL.03-3571-3223
営業時間11:00-19:00 
毎週月曜日・定休

読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。タイトルの不思議さと、インパクトのある表紙に手が伸びました。第170回芥川龍之介賞候補作だったそうですが、わたし個人的には、小砂川チトさん、初めましての本でした。

不思議な物語でした。最後の最後まで読まないと、ほんとうのところが見えてこない。いえ、最後まで読み切っても、どこまでが実際に起こったことで、どこからが脳内(妄想)で起こったことなのか、確信を持つことはできませんでした。わたしはとても好きですが、受け取る印象(好きか嫌いか)が読む人によってはっきり分かれるかもしれません。

悲痛な叫び声が聞こえてくるようであり、かといって主人公の彼女たちは、決して弱弱しいだけの存在ではなく。講談社サイトでの紹介文最初にある一文が、本書内からの引用なのですが、きっとこの本のテーマなのだろうな、と思いました。「思いました」と書いたのは、全部読み終わってもなお、著者の意図に確信が持てないからです。

「いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。」

独特の雰囲気がツボにはまりましたので、図書館検索で著作を探してみました。群像新人文学賞受賞作という本を発見・予約完了。読むのが楽しみです。

『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

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読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

著者のゴーティエ・バティステッラさん(声に出して読むのがとても難しい^^;)は1976年生まれ。ミシュランガイドの編集部員として働いた経歴をお餅ということで、そのキャリアが存分に生きている一冊です。

主人公は三ツ星シェフ。作中での呼び方は違うものが使われていますが、それがミシュランガイドの星を巡る物語であることは、本書のあらすじを知らないまま読みはじめても、容易に想い至るものでした。華やかでシビアでドロドロとしたフランス料理界のお話には、実在した人物の名前も頻繁に登場し、舞台裏をのぞき見しているような気分で読み進めました。

パリと地方都市の格差、料理の格付けによる差別、星を獲得した者とそうでない者との間にある明確な境界線、力を持ちすぎるメディア、厨房でのパワハラセクハラ、名声を得たがために起こる親子間夫婦間の確執…。星を維持していくことがどんなに大変なことか、星を獲得することによってがんじがらめになってしまう恐ろしさが、これでもかというほどに伝わってきました。

自分の舞台をどこに設定するのか、何を評価基準とするのか。周囲の声や風潮に惑わされずに、自分の選んだステージで道を究めようとすることは、ことフレンチシェフに限らず、重大かつ悩ましいことだよなぁと、あらためて考えさせられました。どんな分野においても、たとえ崇高な目標を掲げていても、職人(あるいはアーティスト)のプライドや承認されたいという欲求は簡単に消せるものではなく、そこに葛藤が生まれるのはあたりまえ。その苦しさが、痛いように伝わってくる読書でした。

本書は著者の三作目ということで、他の著作も読んでみたいと思います。

『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。今回の講師は、マーケティングコンサルタントの竹内謙礼氏。ネットショッピング黎明期から20年以上走り続け、日経MJ新聞への連載も10年以上という、経営コンサルタントさんです。

今回のテーマは「動画・SNS・LINEの活用法」でした。上の写真は藤吉憲典公式インスタグラムより。何をどう使うべきか、実践とデータに基づいた説得力のあるお話で、2時間あっという間でした。セミナーが終わったときには、何を止め、何を続け、何を始めるのか、はっきりと意思決定が出来ていました。

以下備忘。


  • 独自ドメインの存在意義←調べもの半分、買いたい気持ち半分。
  • SNS・動画の目指すゴール=「有名」にする。「ファン」をつくる。「商品力」の高さを理解してもらう。
  • 購買行動は、「知っているものを買う」or「知っている人から買う」のいずれか→お客さまにとって「知っている人」になることが大切。
  • SNS・動画を使ってできること=商品への理解度を上げる。コアなお客様を増やす。好感度を上げる。
  • FB→昔からのファンへの情報提供(現状維持)。
  • X→要らない。
  • インスタ→ファンづくり、露出、わかりやすさ。
  • YouTube→ファンづくり、わかりやすさ。
  • メルマガ→SNSからの落とし先。長くお付き合いしていくお客様のためのツール。
  • いかにプロフィールを読んでもらうか→いかにサイトに飛んでもらうか。
  • インスタ→エンゲージメント率のアップを狙う。
  • =役に立つ・ためになるコンテンツを制作。
  • =飽きさせないコンテンツを継続発信。
  • =「保存」「シェア」「滞在時間」をアップするコンテンツ作り。
  • =滞在時間アップ=例えば、1つの投稿に写真を最大(10枚)入れる。
  • =インスタを問合せの入り口に。
  • YouTube→商品の良さ・売り手の良さが伝わるコンテンツをつくる。
  • =サムネイルは重要。
  • =作家の個性をアピール。
  • =商品の特徴・他との違いをアピール。
  • =再生回数よりも、リアクション数。
  • =お客さまに理解してもらうための動画づくり。
  • SNSのノウハウは積み重ねていくことに意味が出てくるので、社外発注はNG。
  • 好きな人が専業でやるのが一番→インスタを好きになろう。
  • どれか一つに特化して取り組む=インスタ。動画→インスタ。
  • 誰かが勝手に紹介したくなるようなもの。
  • お客さまにいかに価値ある情報・経験を提供できるか。

笑いっぱなしの2時間でした。そういえば前回の九州ECも笑ってばかりだったような気がします。活気のある勉強会は、にぎやかで陽の気が会場に溢れますね。講師の方の力量に加えて、参加者の皆さんのモチベーションの高さ故でしょう。素晴らしい勉強会を企画運営してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。

【第108回九州EC】ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法

再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

4月に入ってしばらく図書館に行く余裕が無く、目新しい本が手元にありませんでした。隙間時間に読む本を求めて、自分の本棚のなかから手に取った既読本がこちら。たまたま手に取ったものですが、こういうときの「たまたま」には、天の意図を感じます。スティーヴン・キングの著作ですが、ホラーとかではありません。実用書と言いましょうか、ノンフィクションと言いましょうか、です。読んだのはつい最近だと思っていましたが、もう4年以上前のことでした。

タイトルの意味する文章術の本である以上に、スティーヴン・キングがいかにして「スティーヴン・キング」になったかという自伝的な物語がまず描かれています。その人生の物語から読みとれる示唆が、とても心に響きました。

以下備忘。

  • 無駄な言葉は省け。
  • われわれがしなければならないのは、そういったものを見つけ出すことではない。そういったものがふと目の前に現れたときに、それに気づくことである。
  • ドアを閉めて書け。ドアをあけて書き直せ。
  • 信じてくれる者がいるといないとでは、ぜんぜんちがう。
  • 言葉はあくまで意味を伝えるためのものだ。
  • これからとりかかろうとしている仕事にもっとも適した道具を選ぶことだ。
  • 懸命に努力し、研鑽を積み、しかるべき時にしかるべき助力を得られたら、二流が一流になることは可能
  • 読みたいから読むのであって、何かを学ぶためではない。
  • たくさん読み、たくさん書け
  • 毎日根気よく仕事を続けるには、何よりもまわりが平穏でなくてはならない。
  • 知っていることをみんなに話せ。
  • 直感に頼る
  • 何を切り捨てるのかという選択
  • 見せることができるなら語るな

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング より

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

「わたし(の仕事)は○○です」を、簡潔にわかりやすく伝える方法。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「わたし(の仕事)は○○です」を、簡潔にわかりやすく伝える方法。

上の写真は、ロンドンのシャーロックホームズミュージアムで手に入れた、シャーロック・ホームズの名刺です。肩書の「Consulting Detective」は、DeepL翻訳の直訳によると「探偵」「顧問探偵」というところ。

これまで名刺に載せる「肩書」については、頭をひねらせたことがありましたが、その名刺を手渡しながら、自分が何者なのかをわかりやすく説明する努力をサボっていました。名刺交換を儀礼的な作業に終わらせてしまっていたのです。名刺を作るのにいくら工夫をしても、渡すときに機械的で無機質な挨拶をしていたら、相手の印象に残るはずもなく、せっかくの機会が水の泡です。

尊敬するお友だち「展示会活用アドバイザー」大島節子さんのブログで、今更ながらそのことに気づきました。彼女がブログを書き続ける姿に影響を受けて、わたしはブログを書き続けています。いわば「師」的存在。その彼女のブログの先日のタイトルが、『あなたは「何屋さんですか?」』で、「仕事内容を端的に言語化できていますか?」と問いかけられました。

できていません…!

これは、言語化せねば!と思いました。大島さんに直接たずねてみたところ、時間にして10秒前後・文字数に変換すると50文字程度を目安に考えるといいですよ、とのこと。大島さんが今一番使っておられる挨拶が「展示会活用アドバイザーの大島です。中小企業向け展示会セミナーの講師とコンサルタントをしています。」ということで、字数が句読点含めて48文字、読んでみたら9秒と、その通りでした。

ということで、さっそく考えてみました。


「花祭窯おかみ」の10秒挨拶

  • 花祭窯の藤吉と申します。主人が陶芸作家・彫刻家で、そのマネジメントと、キュレーションをしています。(51字/9秒33)

「花祭窯おかみ」の10秒挨拶 ちょっと長いバーション

  • 花祭窯の藤吉と申します。主人が陶芸作家・彫刻家で、そのマネジメントと、キュレーションを担当しています。国内外のギャラリーでの個展を中心に活動していて、わたしの仕事は、作品制作以外のほぼ全部です。(98字/15秒62)

「アートエデュケーター」の10秒挨拶

  • アートエデュケーターの藤吉と申します。フリーランスの学芸員で、美術を活用した研修や講座の企画・講師をしています。(57字/9秒75)

「アートエデュケーター」の10秒挨拶 ちょっと長いバージョン

  • アートエデュケーターの藤吉と申します。フリーランスの学芸員で、美術・美術館を活用した研修や講座の企画、講師をしています。ビジネスマンや経営者向けに観察力・創造力・表現力を養うプログラムなども行っています。(102字/16秒70)

「わたし(の仕事)は○○です」第一弾は、まずはこんな感じです。実際にしゃべるときは、その都度時間が変わりますし、言い方も変わりますが、このひな形が身に付いたら、とても楽になりそうです。ストップウォッチで測りながら思ったのは、意図的に少しゆっくり話してもいいかな、ということ。話し言葉では、場面や相手に合わせて変わっていくのが当たり前ですので、いろいろな場面で使っていくうちに、もっとスマートな表現や言い方に改良されていくはずです。

四月八日は花祭(はなまつり)でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

四月八日は花祭(はなまつり)でした。

花祭=灌仏会=お釈迦さまの誕生日です。花祭窯の屋号は、創業地である佐賀県江北町にある地域の通称「花祭(はなまつり)」からいただいたもの。お釈迦さまの誕生日とは、もともとは関係ありませんが、毎年あやかってお祝い気分になります。実のところ、創業時に窯の名前を考えていたときには、お釈迦さまの誕生日を意味するとは知らず。もし知っていたら創業日を「4月8日」で登録していたかもしれません。ともあれ、ありがたい名前をいただきました。

東京蔵前でお花屋さんをしているお友だちが、花にまつわるnoteを書いています。毎回、詩的で素敵な言葉が綴られていて、読むのが楽しみなnoteです。昨日は花祭のことが書いてありましたので、こちらでご紹介。

花祭(はなまつり)sakiko suzuki

花祭には甘茶をふるまうものとされていますが、その甘茶が「アマチャ」なる花なのだということは、ほとんど意識に上っていなかったワタクシ。サキコさんのnoteで、その花の姿を見て、そうだったのね!と今更ながらの新発見でした。紫陽花に似ています。

noteでは、「釈迦の誕生を祝うとともに、子どもたちの無病息災を願う行事」と紹介されています。わたしが「花祭」をはじめて意識したのは、花祭窯を創業して間もなく佐賀・鹿島にある祐徳稲荷にお参りに行った時のこと。それがたまたま4月8日で、参道を地域の幼稚園・保育園児たちがゾウのお神輿を引っ張って歩いていたのでした。ゾウの上にはきっとお釈迦様が乗っているという想定だったのだと思います。紙吹雪をまきながらゾウのお神輿を引っ張る子どもたちの姿が、花まつりのイメージとして強く心に残りました。

というわけで、わたしのなかには「花祭=ゾウ」が刷り込まれています。一緒に観ていたダンナもきっとそうだったのだということが、上の写真のゾウのオブジェを見ると、よく分かります。花祭は創業日と並んで、わたしたちにとっての記念日でもあります。

「産学官」が目の前に現れて、それぞれに特徴的で、違いが面白かった。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「産学官」が目の前に現れて、それぞれに特徴的で、違いが面白かった。

わたくしごとですが、先週、息子の大学入学式がありました。お天気も良く、満開の桜のもとでの入学式なんて、とてもラッキーだったと思います。そしてコロナ禍以降、小中高大ともに学校関係の大きなイベントをYouTubeでライブ配信するようになってきたのは、良い変化の一つかもしれません。その恩恵で、仕事をしながら大学の入学式を楽しむことが出来ました。

さて「産学官」。字面ではよく目にしたり耳にしたりしますが、これが思いがけず目の前に具体的に現れて、とても興味深い入学式でした。まず登場したのは「学」。大学の学長挨拶です。きちんとした佇まいに、古典からの引用や比喩をいくつもちりばめたお話は、いかにも学術的な雰囲気で、これからの大学での勉強こそが、子どもたちにとって本来の学問であることを思い出させてくれるものでした。就職の手段として学ぶのではなく、学びの結果が将来につながっていくのだということを、考えさせてくれるお話でした。

次に登場したのは「産」。こちらは大学理事長という肩書でのご登場でしたが、場馴れした雰囲気は、見るからにいかにも経済界の人です。その話の内容がまた実践的で、経験に基づくのであろう示唆に溢れ、とても心強さを感じるものでした。あとから大学の役員名簿を確認したところ、地場大手企業の顧問を務めておられ、商工会議所会頭等も歴任された、バリバリの実業家。こういう方が大学経営のなかにいらっしゃるのは、素晴らしいことだと思いました。

そして最後に「官」。より正しくは、官を動かす長たる市長ですが。こちらはやる気(または野心)オーラを、全身から発しているような方でした。お話が、とてもこなれていてよかったです。紋切り型の聞き飽きたような挨拶ではなく、ご本人の思いがきちんと込められていると感じました(スピーチライターはいらっしゃるにしても)。なにより、地域をあげて全力で大学・学生をサポートすると宣言してくださったことは、すべてを鵜吞みにしないまでも嬉しいことでした。

三者三様の特徴がはっきりと出て、とても面白かったです。当の学生たちは、もしかしたら「早く終わらないかなぁ」という気持ちで聞いていたかもしれません。というのも、わたし自身、自分の大学の入学式のことなんて、まったく覚えていないというのがほんとうのところですので。今だからこそ、話してくださっている内容が沁みるのかもしれませんね。ともあれ息子のおかげで、なんとも楽しい入学式を味わうことが出来ました。

ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

久しぶりのアクロス福岡シンフォニーホール。シューボックス型で、音響が素晴らしいと言われている、本格的音楽ホールです。前回足を運んだのは「カルメン」で初オペラを観に行った時でした。なんとそれから5年以上も経っているということがわかり、びっくり。

春になったらクラシックを聴きに行きたいな、と思っていたところに飛び込んできたのが、トヨタのメセナ(芸術文化振興事業)のひとつ、この「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」でした。ウィーン国立歌劇場の協力で特別に編成された30名による室内オーケストラの演奏会です。

観劇のときは、できるだけ正面、できるだけ前の席を取りたいのですが、音楽のときはこだわりがありません。今回は、初めてこのホールに来た時(20年近く前)から、いつか座ってみたいと思っていた三階のサイドバルコニー席を取ることが出来ました。テレビで国内外のホールでの演奏会の様子を観たときに、上階のサイド席に座っている人たちがなんとなく格好よく見える、という理由で、あこがれておりました(笑)

さて演奏会。モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」からはじまり、アンコールのポルカまで大満足の2時間でした。しっかり聞かせる前半の2曲に、休憩をはさんで、ワルツやポルカで楽しく盛り上がる8曲、そしてアンコール。やっぱり生演奏はいいですね。なんども目頭が熱くなりました。時代を超えて演奏され続ける曲を生み出した作曲家の凄さと、それを現代のわたしたちに届けてくれる演奏家の方々の凄さ。

音楽を聞くのは好きでも知識的にはまったくの素人のわたくしは、拍手のタイミングなどは周りの皆さんに倣いつつ楽しみました。あこがれだった三階のサイドバルコニー席からは、舞台の中央にまとまっている30名編成のオーケストラの皆さんの演奏の様子は、残念ながらほとんど見えませんでした。が、席が一列しかないこと、階下を広く見渡せることが、贅沢な気持ちにさせてくれました。そんな初体験も含めて、とても良い演奏会でした。

小倉鍛冶町・実南(みなみ)さんで春をいただく。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

小倉鍛冶町・実南(みなみ)さんで春をいただく。

このところ春の恒例行事となりつつある、小倉鍛冶町・実南(みなみ)さんでのお食事。今年も行って参りました。藤吉憲典の器を使ってくださっている料理人さんのところに食事をしに行くのは、この仕事をしている自分たちへのたまのご褒美であり、貴重な勉強の機会であり、大きな楽しみです。

カウンター5席に個室がひとつ。小さいながらも徹底的に無駄がそぎ落とされた空間は、一歩足を踏み入れると、背筋が伸びつつホッとします。まず目に留まった、大将・南さんの花生けは、どんどん大胆になってきているようです。空間に伸びる立派な枝ものが、紙一重で邪魔になりそうなところ、逆に広さを感じさせる演出となっている不思議。

実はこのところちょっぴり胃腸が疲れ気味でしたので、お店に入る前は「万全で来たかったなぁ」と思ったりもしていたのですが、最初の一皿を食した瞬間に、杞憂となりました。みごとにすべてのお料理が、しみじみと体に沁みる美味しさで、呼吸するようにすんなりとお腹に入っていきます。一皿一皿、「旬のもの」と「地のもの」に最大の心配りがなされているのを感じました。

お料理とおしゃべりと空間自体をゆっくり時間をかけて楽しむ贅沢。日本の料亭文化は「総合芸術」だと言われます。料亭と大げさに言わずとも、そのような美意識を五感で味わうことのできる実南さん。今回も大満足でした。